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驚きの音楽評論、ふたたび!
細馬宏通「うたのしくみ 増補完全版」

 「こんな驚きの音楽評論は読んだことがない!」と絶賛された細馬宏通さんの名著「うたのしくみ」(2014年小社刊・絶版)に、原稿用紙約350枚もの大量のテキストを追加した「うたのしくみ 増補完全版」が2021年3月15日に発売されます。

 

 これは、元はウェブサイト「modernfart」の人気連載「歌のしくみ」(現在は閲覧不可)を集約、さらに大量の書き下ろしを加えたもの。ブラジルのサンバが持つ高揚感の秘密から、ユーミンの歌唱法の特異性、きき手を裏切るaikoの歌詞の魅力、19世紀のシート・ミュージック(楽譜)に、ブルースのはじまり、ロックンロールの誕生、そしてデュエット等における複数の声がもたらす歌の魅力……。今まで何気なく聴いていた歌、様々な解説で語りつくされたはずのあの名曲、あるいは知らなかったあの曲。それらがまったく新鮮な驚きをもってきこえてくる1冊です。 

 

 著者の細馬宏通さんは、会話とジェスチャーの分析などを専門とする早稲田大学の教授にして、バンド「かえる目」のヴォーカル&ギターとして4枚のアルバムをリリースするミュージシャン。かつてパソコン通信時代にはMacintoshのハイパーカードで様々な作品を作成していたほか、これまでに上梓した著書のテーマは、塔、絵はがき、ステレオグラム、二桁の掛け算、アニメーション、介護にテレビドラマまで多種多様。本書は、その膨大な知識はもとより、独特の視点と文章、今までにない角度の切り口で、ときには歌の作者さえも気づかなかった古今東西の名曲の「しくみ」を解き明かす、目からウロコの音楽論考となっています。

 

 そもそも音楽の魅力をどんなふうに言葉で解説するのか? この実は困難なテーマに対して細馬さんは、音楽理論を掘り下げる/きき手の印象や感情を語る、そういったあるひとつの側面を見ることとは異なるやり方で「なぜ私たちはこの歌に惹かれるのか?」を、丁寧に、そしてとんでもない方向へも飛躍しつつ展開していきます。その鮮やかな語り口は、ぜひ本書で体験してください。そして、様々な「うた」の持つ、新たな魅力を実感してください。

 

 




(2021年2月 8日更新)


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『うたのしくみ 増補完全版』 細馬宏通

発売日:2021年3月15日(月)
価格:1800円+税
ISBN 978-4-8356-4625-1
四六版並製本 420ページ


目次

うたのしくみ シーズン1
第一回 サンバがサンバであるからには
第二回 やさしさは成就する
第三回 青春のしずめ方
第四回 歌はどこから始まるか
第五回 語りと歌のあいだ
第六回 ことばの先で待ち伏せて
第七回 ヴァースと替え歌
第八回 歌になる理由
第九回 歌って、サム
第十回 犬と太陽
第十一回 ハイ・ディ・ホーのゆくえ
第十二回 それでは歌っていただきましょう
第十三回 歌を売る歌
第十四回 韻のゆくえ
第十五回 深く深く
第十六回 ブルースがおりてくるまで
第十七回 感電する足
第十八回 「メンフィス・ブルース」が指し示すもの
第十九回 音楽をきく順序
第二十回 どこでもない国の入り口

うたのしくみ シーズン2
第一回 二人でやり遂げる歌
第二回 にじむデュエット
第三回 二つの声の物語
第四回 ABBAは何人いるのか?
第五回 コーラスの夜
第六回 9月の星と雲
第七回 ロボットをうたう
第八回 WとMの劇
第九回 世界を揺する
第十回 私と私たちのあいだ
第十一回 インストイラクションの行方
第十二回 おどけた軍歌
第十三回 映像時代の多声
第十四回 私が私じゃなくなって
第十五回 ユニゾンの共同体
第十六回 息に漏れる声
第十七回 機械と人間のあいだ その1
第十八回 機械と人間のあいだ その2
第十九回 ゴスペルの時空間