1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきたトーマス・ルフの大回顧展「トーマス・ルフ展」が、12月10日(土)より金沢21世紀美術館にて開催。

 

　アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーで学んだ“ベッヒャー派”として知られるトーマス・ルフ。本展は、世界が注目する写真家ルフの、初期から初公開の最新作までを紹介する展覧会となる。ルフは、初期に発表した高さ約2メートルにもなる巨大ポートレート作品で注目されて以降、建築、都市風景、ヌード、天体などさまざまなテーマの作品を展開。それらを通じ、現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークなヴィジョンを提示してきた。

 

　写真というメディアそれ自体も、ルフ作品の重要なテーマのひとつ。自ら撮影したイメージだけでなく、インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで、あらゆる写真イメージを素材に用い、新たな写真表現の可能性を探究している。作品選択や展示構成にルフ自身が参加するなど、作家の全面的な協力を得て実現する今回の展覧会では、未発表の新作を含む作品世界の全貌を紹介する。特に、初期作品である「Interieurs」や評価を高めた「Porträts」、少年時代からの宇宙への関心を背景とする「cassini」や「ma.r.s.」、インターネット時代の視覚・情報空間を問う「nudes」や「jpeg」に加え、ある新聞社のプレス写真アーカイヴを入手したことから着想された最新シリーズ「press++」など主要な18シリーズで構成される。しかも、本展では、先行する東京会場から、30点以上の作品が追加されている。