ヘンリー・ダーガーに代表される、アウトサイダー・アート／アール・ブリュットの作家の中でも一番の知名度を誇る、アドルフ・ヴェルフリの展覧会「アドルフ･ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」が、2017年1月11日(水)より兵庫県立美術館にて開催される。

 

　芸術の教育や訓練を受けておらず、既成の芸術流派や傾向・モードに一切とらわれることなく独自に作品を制作しつづけている人々の作品を指す“アウトサイダー・アート／アール・ブリュット”。なかでも、スイスの首都ベルン近郊の貧しい家庭に生まれたヴェルフリは、1895 年にヴァルダウ精神病院に収容され、そのまま66年の生涯を終えた人物。彼はそこで、『ゆりかごから墓場まで』、『地理と代数のノート』、『葬送行進曲』といった物語の数々を紡ぎ出す。それらヴェルフリの作品は実に全45冊、25,000 ページという目もくらむようなボリュームで、ほかに例のない驚異的な表現で描き出される奇想天外な物語はひとびとを圧倒した。

 

　そんな彼の、総出品数全74 点というまとまった規模の個展は日本で初めて。ベルンのアドルフ・ヴェルフリ財団の全面協力により、門外不出とされてきた第一級のヴェルフリ作品が来日する。特にヴェルフリの中でも最大級の4 メートルを超える作品は必見だ。シュルレアリスムの画家たちをはじめとする多くの芸術家たちの注目を集め、現在では偉大な芸術家の一人として世界的な評価を得るヴェルフリの作品を目撃する、絶好の機会となる。