日本のやきものにも大きな影響を与えた
清朝陶磁の魅力を探る展覧会が開催
中国・清時代の陶磁器、清朝陶磁は、古来から「やきもの」の王者として名高い中国陶磁の中でも、その形・質の多様性と色鮮やかさにおいて、他を圧倒する存在だ。そんな清朝陶磁の歴史と日本人との関わりを紹介する展覧会「魅惑の清朝陶磁」が、京都国立博物館 明治古都館(本館)にて10月12日(土)より開催される。
ヨーロッパの王侯貴族に愛されたばかりでなく、明治維新後の日本でも美術愛好家たちによって賞玩されていた清朝陶磁。ところが、「鎖国」という歴史観の影響もあり、江戸時代の日本へもたらされていた清朝陶磁には、これまであまり注意が払われてこなかった。しかし近年、遺跡の発掘調査や古社寺・旧家の伝来品の調査が進められる中で、既に江戸時代からかなりの量の清朝陶磁が日本へもたらされていたことが判明している。江戸時代の日本へ輸入されていた清朝陶磁は、基本的に民間工房(民窯)の作品が主流であったが、今日のように自由に海外渡航できる時代ではなかったため、多くの日本人にとっては見知らぬ異国からの渡来品として随分と貴重視された。とりわけ、粉彩とよばれる極彩色の清朝陶磁は、当時の日本のやきものにはない華やかなピンク色が人目を引いたらしく、日本の陶工たちにも大きな影響を与え、それに迫るものを作ろうと様々な努力をしていた。
本展では、清時代と同時代の日本人が、どのように清朝陶磁を賞玩してきたのかという歴史とともに、そこからどのような発想を得て、どのように新しいものを生み出そうとしてきたのか、その足跡を辿る。江戸時代の日本人が愛した民窯製品のおおらかさや、近代日本の陶工たちが好敵手と認めた官窯製品に代表される高級品の精巧さを、伝世の名品はもちろんのこと、出土品や沈没船からの引き揚げ品も交えて紹介。日本と中国の陶工たちが織り成す百花繚乱の「やきもの」世界を堪能してほしい。
魅惑の清朝陶磁
発売中 Pコード988-350
▼10月12日(土)~12月15日(日)
京都国立博物館 明治古都館(本館)
前売一般1100円 大学・高校生700円 中学・小学生300円
当日一般1300円 大学・高校生900円 中学・小学生400円
団体(20名以上)一般1000円 大学・高校生600円 中学・小学生200円
※前売発売は10月11日(金)まで。
※障がい者とその介護者1人は無料。
※平常展示館は建替工事中のため閉館。
9:30~18:00(金曜~20:00、入館は閉館の30分前まで)
月曜休館(ただし10月14日(月)、11月4日(月)は開館、10月15日(火)、11月5日(火)は休館)
京都国立博物館
075-525-2473(テレホンサービス)
(2013年9月27日更新)
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