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歴史的価値のある建造物が存続の危機。
神戸・塩屋の「旧ジョネス邸」保存活動。

 神戸市中心部から電車で西へ約20分。海と山に囲まれた美しい小さな街「塩屋」。ここは明治以降、外国人の居住地として発展し、関西屈指のライブ&イベントスペースとして知られる旧グッゲンハイム邸や、婚礼施設として活用される旧ジェームス邸、旧後藤邸など多くの特徴的な美しい洋館が現存している。
 
 そんな塩屋の海沿いに建つ「旧ジョネス邸」。1919年にイギリス人貿易商F・M・ジョネス氏の私邸として建設され、1963年に建物を引き継いだ山田作之助氏が現在の場所に移築。2010年には兵庫県「ひょうごの近代住宅100選」に選出された建造物だ。この歴史ある旧ジョネス邸が、いま、存続の危機に瀕している。
 
 既に新聞などの報道で知っている人も多いだろうが、今年に入ってこの旧ジョネス邸の解体と10階建て高層マンションの建築計画が開発業者より発表された。現在、開発に反対する有志による旧ジョネス邸の保存・活用への活動が行われているが、改めて開発業者より買い取るための寄付・出資の目標金額は3億6千万円。開発業者は先日、購入を希望する企業や団体があれば交渉に応じるとして解体時期の延長を決めたが、それでも猶予期間は2013年9月末とあと僅かしかない。こうした塩屋の建築物は、文化的遺産としての価値も高く、旧グッゲンハイム邸のように見事に活用され街のシンボルとなっている例も少なくない。
 
「旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会」では、旧ジョネス邸の保存・活用する道を求めて、開発業者よりの買い取りを目指し、資金の支援を募っている。また、飲食店経営やイベント企画などの事業を担う活用運用主体として、合同会社「塩屋百年舎」も設立され、市民による合同出資で買い取りを目指す。9月21日(土)まで、1口10万円からの出資を募り、業績次第では出資者に利益を配分する。寄付・出資、問い合せなど、詳細については「塩屋百年舎」「旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会」のウェブサイトを参照。
 
 
 寺社の建築装飾などを盛り込んだ和洋折衷の魅力あるこの建物は、90年以上塩屋の街に立ち続けてきた。この旧ジョネス邸の100年を祝い、次世代へとこの建造物を継承できるよう、まずはぜひこの現状を多くの人に知って欲しい。下記の動画を見れば、塩屋の町並みや、ジョネス邸の魅力がわかるだろう。

 




寄付・出資・内覧などの問合せは下記へ。
 
塩屋百年舎
 
旧ジョネス邸を次代に引き継ぐ会
 
問合せはともに
info@shioya100.co.jp
 
 

(2013年8月27日更新)


Check
シンメトリーや中央の玄関ポーチなど「洋風」意匠の中に、日本の伝統的な「和風」意匠が巧みに取り入れられた建築。
地下1階、地上2階の建物で、2階北側のバルコニーからは塩屋の街と六甲の山並み、南側のベランダからは海が広がる。
阪神淡路大震災にも耐えて現存する旧ジョネス邸は、かつては塩屋の海沿いに並んでいた洋館のほぼ唯一の生き残りだ。
2階には和室もあり、南側には海が望める。ソテツなど緑も多い庭には太陽の光が降り注ぐ。