戦後の日本陶芸を代表する陶芸家
鈴木治の没後初の大規模回顧展
戦後の日本陶芸を代表する陶芸家の一人、鈴木治の没後初となる大規模回顧展が7月12日(金)より京都国立近代美術館にて開催される。
千家十職の永樂工房で轆轤(ろくろ)職人をしていた鈴木宇源治(うげんじ)の三男として京都五条坂に生まれた鈴木治は、戦後本格的に陶芸家を志し、1948年に八木一夫、山田光らとともに、陶芸による新しい造形表現を目指して前衛陶芸家集団「走泥社(そうでいしゃ)」を結成。器としての用途を持たず、純粋に立体造形としての芸術性を求めた彼らの作品は、当時の人々に驚きをもって迎えられ「オブジェ焼」と呼ばれた。「オブジェ」ではなく、あくまでも土と火による造形を追求し続けた鈴木が、作品名にしばしば用いた「泥像(でいぞう)」や「泥象(でいしょう)」という言葉は、彼の作陶にこめた理念や想いが込められている。これらの作品は、陶芸における表現の可能性を広げ、陶芸観そのものをも大きく変化させる重要な役割を果たしてきた。
主に赤い化粧土を施した焼締(やきし)めと、みずみずしい色合いの青白磁(せいはくじ)の二つの技法によって制作された鈴木の作品には、馬や鳥などの様々な動物や、風や雲など自然現象のイメージから生み出された穏やかな「かたち」が力強く鋭い造形感覚で表現されている。いずれの手法も、鈴木治の表現には欠かせないもので、どの作品も鋭い感性を秘めながら、詩情あふれる独自の世界をみせ、世界的にも高く評価されている。
没後初めての大規模な回顧展となる本展では、初期作品から晩年の未発表作品まで含む約150点で、作者が到った「〈使う陶〉から〈観る陶〉へ、〈観る陶〉から〈詠む陶〉へ」の足跡を辿る。
「泥象 鈴木治の世界」
発売中 Pコード:765-720
▼7月12日(金)~8月25日(日)
京都国立近代美術館
前売一般1000円 大学生600円 高校生200円
当日一般1200円 大学生800円 高校生400円
※9:30~17:00。金曜日は9:30~20:00。最終入場は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(ただし、7/15は開館、翌7/16は休館)。中学生以下、心身に障がいのある方とその付添者1名は無料(要証明)。
京都国立近代美術館
075-761-4111
(2013年6月20日更新)
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