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城田 優の“三刀流”も話題のミュージカル『ファントム』
千穐楽に配信決定!

フランスの小説家ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』を原作に、脚本家アーサー・コピットと作曲家モーリー・イェストンにより生まれたミュージカル『ファントム』。優美かつ煌びやか、そして憂いと悲しみを湛えた音楽とともに、オペラ座の地下に棲むという怪人ファントムの人間的側面を描いた名作だ。

2004年の日本初演以来、公演を重ねてきた本作。2014年からファントム役として出演してきた城田 優が、2019年には同役とともに演出も担当し、話題を呼んだが、待望の2023年版では前述の2役に加えてシャンドン伯爵も務めるという"三刀流"も明かされ、さらに注目を集めた。

7月22日に大阪で幕を開けた本公演が現在、東京国際フォーラムで上演中だ。

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前回同様、ファントムことエリック役を務めるのは加藤和樹と城田。繊細で、豊かな感受性を持つエリックを、多彩な声色や強弱自在の目力で演じるふたりだが、コミュニケーションが苦手であることは否めないが、大人びた印象の加藤エリックと、大人になりきれず、少年の無邪気さがより悲しみを誘う城田エリック。その人物像は対照的で、加藤エリックは闇の中に光を取り込もうとしているように見え、城田エリックは逆に闇から光を求めているように見えた。また、それぞれに溶け合うような加藤と、すべてを包み込むような城田と、歌声の違いも楽しめる。

phantom230823-2.jpg宝塚歌劇団雪組で上演された『ファントム』でもクリスティーヌ役を務めた真彩だが、本公演の出演の決め手はエリックの母親ベラドーヴァも演じられることだったという。夢と希望に満ちあふれ、純粋無垢なクリスティーヌをみずみずしく演じる一方、ベラドーヴァの人生を描いた場面では壮絶なダンスや表情で魅せた真彩。「天使の歌声」というクリスティーヌとベラドーヴァの説得力を遺憾なく発揮し、いつまでも耳に残る声で惹きつけた。そして、ラストシーンの慈愛に満ちた声や表情はあまりにも美しく、エリックへの無償の愛が指先からもあふれていた。

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シャンドン伯爵役は大野拓朗と城田のWキャスト。大野シャンドンはまじめで誠実、穏やかでスマートな振る舞いに世の女性たちが夢中になるのも納得といった佇まい。城田シャンドンは自信に満ち溢れ、御曹司ゆえの余裕もにじみ出ている。エリックにとって憎き恋のライバルだが、到底敵う相手ではないということを両者とも全身で物語っており、エリック、クリスティーヌ、シャンドンによる三重唱では、それが痛いほど伝わってきた。

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オペラ座の新たなプリマドンナ・カルロッタは、石田ニコルと皆本麻帆のWキャスト。おちゃめな一面もあるカルロッタを石田と皆本が好演。石田カルロッタは迫力満点、有無を言わさない強さを感じるだけに、コミカルなシーンとのギャップも激しく、コメディエンヌっぷりを発揮。皆本カルロッタはどこかデリケートな一面があり、より欲望に忠実に生きているように見える。そんなふたりの相手役、オペラ座の新支配人でカルロッタの夫アラン・ショレ役は加治将樹。それぞれに異なるコンビネーションで笑いを誘った。また、オペラ座の前支配人であるゲラール・キャリエール役の岡田浩暉は、落ち着いた物腰で物語全体に安心感と重厚感を与えていた。

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物語、音楽、ダンスなど、様々な角度から楽しめる本作。登場人物の背景や心情を巧みに表す照明にも心が動かされる。オーケストラの存在感もスパイスとなっており、オペラ座でファントムを捜査する場面では、「ファントムを探せ!」と狂気を帯びた集団心理が指揮者の背中からも伝わり、実にスリリングだ。映像も出色の出来栄え、情景により一層、奥行きと臨場感、躍動感を与えていた。コロナ禍で久しく見られなかったキャストの客席降りも、待ちに待った演出。客席に登場するたびに"さざ波"が起こり、その空気感も劇場での観劇体験を豊かなものにした。

9月9日(土)17:30公演は加藤和樹と城田 優(シャンドン伯爵)、皆本麻帆、星 駿成(少年エリック)が、10日(日)12:30公演は城田 優(ファントム)、真彩希帆、大野拓朗、石田ニコル、井伊 巧(少年エリック)を始め出演者全員が千穐楽を迎える。各回とも配信があるので、仮面の下でくるくると表情を変え、時に深い悲しみを瞳に宿すエリックをはじめ、キャストたちの繊細な表情や動き、声色など、劇場とはまた違った距離感で楽しめるだろう。

※クリスティーヌ・ダーエ役で出演を予定しておりましたsaraは、体調不良のため、大阪公演・東京公演の全公演を休演させていただくこととなりました。

取材・文:岩本
写真提供:梅田芸術劇場




(2023年8月25日更新)


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ミュージカル『ファントム』

9月9日(土)17:30公演、10日(日)12:30公演の配信決定!

8月26日(土)一般発売 Pコード:520-937

▼9月9日(土)17:30・10日(日)12:30

PIA LIVE STREAM

配信視聴券-5000円
配信視聴券(プログラム付)-7500円(※公演プログラム郵送サービス付)

[劇作・脚本]アーサー・コピット
[作詞・作曲]モーリー・イェストン
[原案・原作]ガストン・ルルー(「オペラ座の怪人」より)
[出演・演出]城田 優

[9日(土)出演]
加藤和樹 真彩希帆
城田 優 皆本麻帆
加治将樹 中村 翼 加藤 将 西郷 豊 岡田浩暉 他
[10日(日)出演]
城田 優 真彩希帆
大野拓朗 石田ニコル
加治将樹 中村 翼 加藤 将 西郷 豊 岡田浩暉 他

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