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12月に浪切ホールで独演会を開催
落語家・柳家喬太郎インタビュー

最もチケットのとれない落語家・柳家喬太郎の独演会。2018年浪切ホール初登場から、4度目のお目見え。今回、12月の公演を前に喬太郎師匠にいろいろな話をお聞きしました。

――今さらですが“喬太郎”のお名前の由来を教えてください。
 
前座時代は“さん坊”でしたが、二つ目に上がるので名前を変えることになり、さん喬師匠につけていただきました。実は“喬太郎”と“喬之助”という二つの候補がありましたが、さん喬の一番弟子(長男)ということで“喬太郎”に決まりました。同時期に私のことをとても可愛がってくれた古今亭志ん馬師匠からも、『おめぇは、さん喬の一番弟子だから“喬太郎”だな』と偶然にも同じことをおっしゃっていただき、これはもう「喬太郎しかない!」ということで 名前が決まりました。
 
――本番のネタはいつ決めるのですか?
 
もちろん高座に上がる前には決めていますよ。当日このホールに、最近どんな落語家がきて、どんな噺をしているかを確認します。同じ噺は避けつつ、自分のネタ帳からどれが喜んでもらえるかを考えます。さらに今年の関西圏で自分がどんな噺をしてきたのかも、ネタを選ぶ時の参考にしています。ただ、ごく稀に“まくら”をふっている時に「あれ?今日のお客様の反応なら、こっちのネタに変えよう!」とひらめいたりする時もあります。

kyotaro1.jpg撮影:飯島隆 提供:兵庫県立芸術文化センター
 
――“俳優業”など色々なことに も取り組まれていますが、その理由は?
 
それはですね…、頼まれるからなんですね (笑)。自分は俳優業をやっているなんて気持ちは1ミリもないのですが「喬太郎さん、こんな映画やドラマがあるんだけど出てみない?」とお誘いいただき、手帳を開いて予定が空いていたら「いけそうです…」みたいな感じです。もともと演劇やお芝居は好きなのですが、意識的に「芸の幅を広げるため」にやっている訳ではないです。何をやっても「本業に返ってくる」と思っているので、これからもご迷惑にならない程度に続けていきたいと思っています。
 
――大阪のお客様と東京のお客様に違いはありますか。
 
大阪に来る前は、怖くて怖くて仕方がなかったですよ。関西は【笑いの本場】ですしね。初めて来た時はちぢこまっていました(苦笑)。ただ色々な笑いがある中で、“江戸の落語を聴いてみよう”と来ていただいているお客様の前でやりにくさはありませんね。反応の違いを感じる時もありますが、それは大阪市内と岸和田でも違いますので、その程度の違いです。いい意味でお客様に合わさせていただきつつ、悪い意味での迎合にならないようにといつも考えています。

kyotaro2.jpg撮影:飯島隆 提供:兵庫県立芸術文化センター
 
――来年はいよいよ喬太郎師匠も還暦。還暦を迎えるにあたり抱負はございますか?
 
コロナでここ数年はちょっとくたびれちゃったので、第一に「体力作り」ですね。まだまだ新しいネタも覚えたいし、新作ネタも考えたいのですが、ことさらに【頑張りすぎないで、ほどほどに】をテーマに、体力を戻して、元気に60代を迎えたいですね。
 
――今年は例年の夏寄席から冬寄席となります。冬を選ばれたその狙いはありますか?
 
ここだけの話…「12月がたまたま空いていた♪」というだけの話なんですよ! 残念ながら全然狙っておりません(笑)。今年は初めて暮れにやらせていただきます。「暮れ」というのは季節の中でも少し特殊で、今回は東京の講談の仲間である一龍斎貞寿(いちりゅうさいていじゅ)さんをゲストに迎え、講談も楽しんでいただきたいと思います。「暮れの師走に講談」はピッタリかなと思っています。それに季節が変わった方が、実はいろいろとありがたいのです。いつもやらせていただく夏ですと、冬の噺はしにくいですしね。結果“たまたま”ですが、今回の冬の公演をとても楽しみにしています!

kyotaro3.jpg撮影:飯島隆 提供:兵庫県立芸術文化センター
 
――ご来場くださるお客様にメッセージをお願いします!
 
板の上の芸人がメッセージなどおこがましく、申し上げることはないのでございますが…。足をお運びいただきました折には、こちらも一生懸命にやらせていただきます。何しろ師走のお忙しい時ですので、皆様方には“今年一年の垢を落とす”ような心持ちでお聴きいただければと思います。こんな事を真面目に話している自分が、何と言いますか「あぁ仕事をしているんだな~」という気持ちになりますな(笑)。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。柳家喬太郎でございました。

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(2022年7月15日更新)


Check
柳家喬太郎

〈浪切ホール開館20周年記念寄席〉
『柳家喬太郎 独演会』

8月6日(土)一般発売 Pコード:513-359
▼12月18日(日) 14:00
南海浪切ホール 大ホール
一般-4000円(指定)
学生(大学生以下)-2000円(指定)
[出演]柳家喬太郎/柳家やなぎ(開口一番)/恩田えり(三味線)
[ゲスト]一龍斎貞寿(講談)
※未就学児童は入場不可。
[問]浪切チケットカウンター
■072-439-4915

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