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演劇×イリュージョンのコラボでかつてない
演劇体験が待ち受けるエン*ゲキシリーズ最新作

俳優の池田純矢によるエン*ゲキシリーズ最新作「エン*ゲキ#05『–4D–imetor 』」は、量子力学をテーマにした、壮大なスケールで繰り広げられる謎解きミステリー。四次元世界と超能力を“イリュージョン・マジック”で魅せる、いまだかつてない‟アトラクション・エンターテインメント”をお届けする。 物語は渡来暦(池田)が所長をつとめる私設研究機関「渡来超能力研究所」の壁面からテレポーテーションのように突如、記憶を失った謎の少女・ノア(生駒里奈)が出現することから始まる。時を同じくして、首相官邸では超能力でもなければ不可能な手口の立て籠もり事件が発生。政府の「国立研究所」でも何やら不穏な気配が立ち込め…。あらゆる謎が、パズルのピースを埋めるように次々と解き明かされていく。 主演で作・演出も手掛ける池田と、イリュージョンの監修及び‟なぞの超能力者”の役で出演するマジシャンの新子景視が本作の魅力や意気込みを語った。

池田純矢(以下、池田) 本作は1年前に上演予定でしたが中止という判断をしました。けど、どうしてもこの作品を届けたいという気持ちがありまして、今、この時代にこそ、この作品が必要なんじゃないかなと思いまして、この情勢下ではありますが延期公演とさせていただいて、公演させていただく運びとなりました。楽しんで、ホロリとできて、心の栄養になる作品を作っていきますので、どうぞよろしくお願いします。

――新子さんと舞台をやろうと思われたきっかけや経緯を教えてください。

池田 新子さんがマジックを披露されている姿をテレビ番組で拝見しまして、同じ時期に『–4D–imetor 』の台本が完成したんですね。けど、どうやって演出しようかなとずっと思っていたところで。たまたま新子さんのマジックを見て「これや!」と思って、すぐオファーをさせていただきました。

新子景視(以下、新子) 私も舞台とか、そういうものにできるだけかと関わりたいと常日頃から思っていて、そんな矢先にオファーをいただきました。しかも超能力者役で。そのまんまやないかと思いまして(笑)、私でよければぜひ出演させてくださいと。

――本番まで1年少しの時間ができたということですが、その間に台本をブラッシュアップして、イリュージョンも進化させたのでしょうか?

池田 脚本で大きく変えた部分は、まず上演時間を短くすること。2時間以内にしました。イリュージョンに関してもお客様と直接触れ合うということを考えていましたが、この情勢下ではさすがに厳しいということで、新子さんと相談の上で、「直接触れていないのに何かが起こる」というものを考えました。ただ、ここでのマジックは物語の一部なので、これは使える、使えないとか率直に意見させていただいて、その上でベストな方法を見つけました。そこはパワーアップした部分です。

作品のテーマとしては、生駒里奈さんが演じる少女「ノア」は記憶を失っているのですが、「何が自分を自分たらしめているのか」ということを大きなテーマとして作っていて、そのことをさらに深く強く感じているお客様がすごく多いのではと思いまして、そのテーマの部分ももう少し焦点を絞って、物語を広げるように改稿しました。

新子 ピンチをチャンスにといいますか、ブランクができたからこそマジックをより体感型に進化できたのではないかなと思います。私個人としましては、いわゆるマジックショーになってはいけない、マジックを「お見せする」のではなく、お話の中にマジックをうまく溶け込ませなければいけなかったので、その部分が非常に難しいところでもありました。でも、やりがいのある、考えがいのある部分でもございましたので、池田さんのアイデアをお借りして、この二人だからこそできた演劇の新しい形、体験型の舞台に仕上がったかなと思います。

――イリュージョンは誰かされるのでしょうか?

池田 生駒さんが演じるノアもだし、新子さん演じる謎の超能力者、村田充さんが演じるテロリストの超能力者…。超能力者がいっぱい出てくるんですよ。超能力者の人はみんな超能力を使います。僕もやります。僕は演出も出演をするのですが、自分の脚本・演出の舞台で主演をやらせていただくのは初めての経験なので、もう本当に怖いなあと、戦々恐々です(笑)。

――その超能力者は、それぞれに立ち位置があるのでしょうか?

池田 今回のテーマが量子力学で、この理論を使えばこの超能力は証明できると舞台の中では言います。「超能力を証明します」と。完全なる机上の空論ですが、「実際の学問を用いて超能力を解明する」というのが私が演じる渡来(わたらい)の考えていることです。そして実際に超能力者が目の前に現れる。それが記憶を失っているノアです。渡来とノアの思惑が合致したことでタッグを組んで不可思議な現象に挑んでいくというストーリーになりますので、いろんな超能力が出ます。テレポーテーション、透視、いろんな形で出てきますが、それを誰がやるかは舞台でお楽しみください!

――これまでもいろんなジャンルとコラボをされてきましたが、今回の新たなチャレンジ、これまでの「エン・ゲキ」シリーズの中では初めてのことは何でしょうか。

池田 前作は音楽と演劇の融合、ミュージカルでも音楽劇でもない、新しいものを作りましたが、今回はマジック、イリュージョンと演劇の融合ということで、それは今までなかったかと言うと全然そんなことはなくて。マジックを使った舞台は多々ありました。ただ、今回は何が特殊かと言いますと、新子さんの言葉を借りると「ものすごく物語に溶け込んでいる」ということです。なので、もしかしたらお客様が驚かないという可能性も高いです。驚かないというのが実はポイントで、あまりにもその光景が超能力者然としていて、お客様が不思議なことを不思議だと感じなくなってしまうかもしれない。劇場を出た後に「ちょっと待って、あれよく考えたらおかしくない?」と思われるようなことが随所に仕込まれています。そこは今までにない、僕は少なくとも見たことがありません。驚かないことが一番の驚きです。

――新子さんのマジックは、新作ということになるんですか?

新子 ほぼほぼ新作だと思ってください。舞台ならではの見せ方で、同じマジックでも新しくなりますので、その部分をぜひ注目していただきたいと思います。

池田 ただ、あえて言うなら「マジックが主役ではない」ということです。物語の流れの中で自然と、演出効果の一部としてイリュージョンとかマジックを使わせていただくというのが通常のマジックショーとは大きく違うと思います。

――劇中、池田さんが一番気に入っている超能力は何ですか?

池田 それは壁から人が出てくるマジックです。あらすじに入れているということは、一番のお気に入りということです。作品の肝でもあって。何もない壁から急に人が出現するなんて普通に考えたらあり得ないことです。でも、実際に何もない壁から出てきます。それは言い切れます! まずこの現象ありきで作品ができました。最初は実現するためにいろんなイリュージョニストに聞かなあかんと思ってたんですけ、一発目で新子さんが「はい、できます」とおっしゃったので、『ドラクエ』でいうとレベル5やのにレベル90をクリアできたみたいな、そういう嬉しさはありました(笑)。

――壁から出るイリュージョンは、難易度はどのくらいですか?

新子 レベルマックスではないでしょうか。なかなか高いハードルではありましたが、池田さんの熱意や、演出の肝の部分ともおっしゃっていましたし、僕も舞台で使えたら面白い、ワクワクするというのがありました。お客様に「今の目の前で実際に起こっている」と思ってもらえるにはどうしたらいいかということを常日頃から考えていて、池田さんもそこに全力を注いでいるので思いが合致したという感じでした。

――今回、出演が決まった村田充さんの魅力と、起用の理由を教えてください。

池田 まず存在感ですね。もう顔がめちゃくちゃ怖いんですよ(笑)。延期になる前は玉城裕規さんが決まっていたのですが、どうしてもスケジュールの都合で出られなくなって、じゃあ託せる人は誰やろうと考えた時、原点に立ち返って、まっさらな気持ちで台本を読んで、最初に思い浮かんだのが村田充さんでした。『破壊ランナー』という僕の主演作品がありますが、その時に師弟関係というか、村田さんが師匠の役をやってくださったんですけども、そういう縁もあったというのと、尊敬できる人、かつ説得力がある人を考えて、ベストなキャスティングだと思います。

――最後に改めて意気込みをお願いします。

池田 僕はこの作品の脚本家・演出家ではありますけが、演出家というポジションは自分の中では「最初の観客」と呼んでいます。僕が最高に楽しめて、心からハッピーになれるものをしっかり作り上げて、皆様にお届けしたいなと思っております。間違いなく言えることは、僕という観客が大喜びするものが出来上がるということです。それだけは間違いないです。それを皆様に共感していただけたら嬉しいです。

新子 この状況下ではございますけれども、一人でも多くの方に楽しんでいただけるように精一杯頑張りたいと思います!

 

Text by K.iwamoto




(2021年8月28日更新)


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エン*ゲキ#05『-4D-imetor』

▼8月28日(土)13:00/ 18:00
▼8月29日(日)12:00/16:00
COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
8/29(日)12:00公演当日引換券 全席指定-7800円
[作・演出]池田純矢
[出演]生駒里奈 / 池田純矢 / 村田充 / 松島庄汰 / 田村心 / 新子景視 / 阿南健治 / 他
お問合せ■公演事務局0570-200-114
出演者変更に伴う払戻し不可。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。来場者から新型コロナウイルス感染者が発生した場合などにおける濃厚接触者の特定等の目的で、必要に応じて保健所等の公的機関へ来場者の氏名及び緊急連絡先が提供され得る場合がございます。2枚でご購入されたお客様は、状況によっては連席でご案内できない場合がございます。公演中止など主催者がやむを得ないと判断する場合以外、チケットの払い戻しはいたしません。ご来場時にはマスクの着用を必須とさせていただく場合がございます。会場での感染予防対策の詳細は、随時公演公式サイトにてご案内致しますので、ご確認ください。

※8月29日(日)12:00/18:00公演は配信あり。

公演公式サイト
https://enxgeki.com/

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