劇団壱劇屋の最新作『Pickaroon!』が開幕!
大阪を拠点に、“全国規模の在阪劇団”を目標にかかげる劇団壱劇屋。近年、セリフを使わずに殺陣だけで物語を紡いでいく「Wordless×殺陣芝居」シリーズを確立。今年3月に大阪・HEP HALLで4日間に渡り上演された『猩獣(しょうじゅう)』では、2000人越えの動員を記録するなど、注目を集めている。そんな彼らが、新作『Pickaroon!(ピカルーン)』ではその制約を解き放ち、セリフのある殺陣芝居を上演。7月5日(金)の開幕に向けて、ABCホールでゲネプロが行われた。
本作は、記憶を失くした少女と彼女を取り巻く7人の盗賊の物語。義賊の力石、口に特殊な金属を付けた異様な風体の由良、兄妹盗賊の陸上角(おがうえかく)、陸上飛(おがうえとび)、筆で描いた者の姿に成り代わることができる伊武、紙を自在に操る紙研(しげん)、圧倒的な力を発揮する不動の男虎(おのとら)。単独で悪名を重ねてきた彼らが、ひょんなことからひとりの赤子を手にし、“御姫”と名付けて7人で見守り、育てることになる。そんな彼らに目をつけ、少女となった御姫を奪おうと企む国の執政官・佐久間は、人並み外れた嗅覚を持つ腹心・勝又と共に、彼らを追い詰めていく…。
作・演出も手がける竹村晋太朗をはじめ、山本貴大、小林嵩平、西分綾香ら劇団員と、劇団Patchの竹下健人、墨絵師で本作の宣伝ビジュアルなども手がける御歌頭(おかず)、クールな佇まいの実力派女優・立花明依が、御姫を守る7人の盗賊に扮し、舞台を所狭しと駆けめぐる。そのスピード感あふれるアクションの数々に圧倒、7人がズラリと一列に並んだ姿は惚れぼれするほどのカッコよさだ。主役は不在、個性の異なるキャラクターたちが、それぞれの見せ場で、圧倒的な熱量を持って魅せていく。また、御姫を演じるのは、ローティーン向けファッション雑誌「nicola(ニコラ)」専属モデルで初舞台の池未来実。持ち前の透明感と初々しさで、愛らしくも儚げな少女を演じている。
これまでの「Wordless×殺陣芝居」で培われたであろう表現力の豊かさに言葉の力が加わり、壱劇屋の新たな魅力が生み出された本公演は、7月5日(金)から7日(日)まで大阪・ABC HALL、7月26日(金)から29日(日)まで東京・池袋シアターグリーン BIG TREE THEATERにて上演。
取材・文:黒石悦子
撮影:河西沙織
(2019年7月 5日更新)
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