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「お客様参加型のアミューズメントパークへ!」(瀧上)
流れ星がこの夏、過去最大規模の単独ツアーを開催!
ご当地ギャグも盛り込み、全国16都市を駆け巡る

ちゅうえいと瀧上伸一郎によるお笑いコンビ、流れ星。ともに岐阜県出身、高校時代からの付き合いで、高校卒業後の2000年に結成した。ギャグを巧みに盛り込んだ漫才で魅了し、2017年、2018年にはネタ番組『THE MANZAI』で2年連続「たけし賞」を受賞と、その実力は折り紙付き。爆発力のあるちゅうえいを、瀧上が冷静にコントロールしながら、バラエティ番組でも活躍中だ。2014年からは東京のみならず、全国でツアーを開催し、その規模は年々拡大。2019年は7月13日(土)の千葉公演を皮切りに、全国16都市17公演を行う単独ライブツアー『星幻想(スターファンタジー)』が幕を開け、大阪はツアー2日目、7月15日(月・祝)、IMPホールに登場する。

――まず、この『星幻想(スターファンタジー)』のビジュアルから聞きたいのですが、これは何かのパロディなんですか? いろいろ調べてみたのですが、最後まで突き止めらせんでした。
 
瀧上伸一郎(以下、瀧上) なんでパロディ前提なんですか(笑)。パロディではないんです。
 
――ああ、そうなんですね。2018年の『流星乱舞』のビジュアルが『刀剣乱舞』のパロディかなと思ったので。
 
ちゅうえい あれ違うんですよ。
 
瀧上 はい。偶然、パロディみたいに見えちゃったという。ただ、ややこしいのが、僕らのポスターを毎回撮ってくれているカメラマンさんが最近、タイトルをつけてくれるんですけど、カメラマンさんいわく「『聖闘士星矢』のパチンコ打っている時に思いついた」と。『聖闘士星矢』のペガサスファンタジーから来たということらしいです。
 
――カメラマンさんがつけてくださったタイトルありきで新ネタを考えたりするんですか? 
 
瀧上 ……それはほぼないですね(笑)。
 
――タイトルに縛られることはなく?
 
瀧上 ないですね(笑)。タイトルに一番こだわっているのはカメラマンさんだけですね。僕たちはいつものようなギャグ盛りだくさんの漫才をやるだけなので。
 
――今回はどういうコンセプトでお考えなんですか?
 
ちゅうえい 言ってあげて!
 
瀧上 最近ですね、お客さんを参加させる漫才、お客さん参加型漫才と呼んでいるんですけども、それをより強めに。お客さん全員を巻き込んだアミューズメントパーク感覚のライブにしたいと思います。
 
――たとえば?
 
瀧上 お客さんに何か大声で言ってもらうとか、コール&レスポンスではないですが…。毎年恒例になっているのが、オープニングに「ギャグギャグディスコ」といってお客さん全員にちゅうえいのギャグを連呼させるということをやっているんです。
 
ちゅうえい 大体の芸人さんってオープニングムービーから始まるじゃないですか。
 
瀧上 おしゃれな感じでね。
 
ちゅうえい そう。うちはもうコール&レスポンス、投げかけてしゃべる、投げかけてしゃべる。そこも他のお笑いライブとは違うと思ってもらえるんじゃないかな。楽しいですよ、観ていて。
 
――会場の温まり方も違いそうですね。
 
ちゅうえい 違いますね。
 
瀧上 お笑いライブに来るというよりは、1つのアミューズメントパークに遊びに来てくれるような感覚だとうれしいですね。
 
ちゅうえい 大阪の某テーマパークに遊びに行く感じでいいと思います。
 
瀧上 それよりかはだいぶん、規模が小さくなりますけどね。
 
ちゅうえい そういうことです!
 
――期間限定というか、『スターファンタジー』は一日だけの出現ですから。
 
ちゅうえい 幻になっちゃいますからね、一日経っちゃったら。スターファンタジーですから。
 
――会場によっては地域性、県民性みたいな部分で、シャイな方が多いとか、そういうことは?
 
瀧上 ありますね~。ほんとありますね~。
 
ちゅうえい 沖縄でやったことあるんですけど、沖縄だと指笛がピュウゥイィ~!!ってなって、盛り上がり方も沖縄だなぁと思ったし、べろんべろんに酔っぱらって見に来ている方もいましたね。お祭り感覚で観に来てくださって。関西もすごい盛り上がってくださって、やりやすいですよ。
 
――ネタ中でも盛り上がった場合はどうされているんですか? 臨機応変に対応して?
 
ちゅうえい もしも、ばーってネタ中に話しかけてくる方がいたら参加型の意味を間違えてますよって。
 
――いなせる方ですか。
 
瀧上 俺らはマジでそういうのは得意な方ですね。営業慣れはしているので。老若男女に強いので、イベントとか営業が多くて、そういうハプニング系、アクシデント系が大得意で。それをやっていくうちに、おとなしいお客様のいる単独ライブでもお客様を巻き込んでやったら面白いんじゃないかという発想でそうなったので。
 
ちゅうえい ちびっ子たちもすごく大事にしていきたいんですよね。
 
瀧上 (流れ星は)子どもと(ビート)たけしさんには強いですからね。『THE MANZAI』でたけし賞を2年連続でもらっているので。
 
ちゅうえい そんなこと言っていて、子どもがいっぱいいるイベントで大事件が起こっちゃったんですけど…。
 
瀧上 子どもを大切に、何なら子ども向けライブも今後やっていこうよって、ちゅうえいが「そうやな、確かにな」って言ったその日の営業で、子どもに「うるせー!」とブチギレたことがあって。あまりにもネタのオチを連呼していてたので、その子どもが。
 
ちゅうえい ネタのオチを先に全部連呼するものだから、あれだけ子どもを大事にしようと思っていたのに「黙れー!!」って。そしたらそれもギャグだと思われて、わ~わ~ってなって。「チクショーーー!!」っつって舞台の上で崩れ落ちました。
 
瀧上 さっきアミューズメントパークみたいって言いましたが、アミューズメントパークのイメージキャラクターは子どもに絶対キレないですからね。
 
ちゅうえい 確かにね。だからキレるキャラクターもある意味新しい。
 
瀧上 いやいやいや、キレないでください。
 
ちゅうえい キレられたい子どもはぜひ来てほしい。
 
瀧上 そんな子はいないですよ。
 
ちゅうえい 去年は会場ロビーでもグッズを販売したり、俺らのパネルと写真を撮るエリアもあったので、今年もそういう試みがたくさんあると思います。
 
瀧上 会場に入る前から楽しめるギミックは作っていきたいですね。
 
――去年は大阪のナレッジシアターでされていて。ツアーとして規模が大きくなってきたのは、2016年の『新世界』からなのかなと思ったのですが…。
 
瀧上 どうですかね。
 
ちゅうえい 2014年にツアーが始まっているんですよ。そこから順調にといいますか、多分、会場数は増えていると思いますよ。
 
瀧上 ありがたいことに右肩上がりで来ていると思います。
 
――その中で大阪に来ていない年もありましたよね? それは何か理由があったんですか?
 
瀧上 あのね…これはちょっと苦い思い出なんですけど、前、大阪の賞レースで高校生が決める大会みたいなのがあったんですよ。それで関東芸人代表で俺らとサンドウィッチマンさんが行ったのかな、決勝に。その時くそスベりまして。それで大阪怖いなっていう感じになってしまったんですよね。ただ、単独ライブをやったらすごく盛り上がるので…。
 
ちゅうえい 当時は本当に関西弁じゃないだけで、女子高生が笑ってくれなくなっていたんですよ。

――2016年は、近畿圏でいえば三重県でされていますね。それで、2017年の単独ライブツアー『星屑伝説』も大阪がなくて。
 
ちゅうえい 2回くらい大阪はなかったと思いますね。けど、本当に、うわ~、怖いな~って思いながらやったら笑ってくれて、笑ってくれるんだ~って思いました。
 
――東京と大阪の違いありますか?というご質問をした時、最近はあんまりないとおっしゃる方が多いんですよね。
 
ちゅうえい 今はなくなったと思います。
 
瀧上 俺らはトラウマですよね。あの賞レースが尾を引いていたこともあって。今現在は話が変わってくると思うんですけど…。
 
――トラウマを克服する瞬間などを大阪で体験したことはありますか?
 
ちゅうえい それこそ久しぶりに大阪に来た単独ライブじゃない?
 
瀧上 だからちょっと緊張しましたよね。最初にウケるのかどうか。だからすごく温かかったです。
 
――今ではもう…。
 
ちゅうえい ほんと、第二の故郷です!
 
――お二人は岐阜県出身ですよね?
 
ちゅうえい せやでっ。
 
――岐阜県の文化圏ってどういう感じなんですか?
 
ちゅうえい 東京よりは絶対に大阪寄りですよ。土曜日の昼も吉本新喜劇やってましたし、夜中も『おとなのえほん』っていう関西圏のエッチな番組をやってましたし…。
 
瀧上 まあね。ただ、東西ネタ対決みたいなときはちょうど真ん中なので、東代表になったり、西代表になったり、いいように使われています(笑)。その時足りなかった方のチームに流れ星が入るみたいな。
 
ちゅうえい だってお好み焼きもご飯と食べてましたもん。
 
瀧上 俺は食べていないので、こいつの家だけの可能性はあります。
 
――大阪、関西にそんなになじみがないわけではない?
 
ちゅうえい 瀧上はお笑いを始める前に大阪に住んでいたので。
 
瀧上 はい。僕にいたっては関西美容専門学校に行っていたので。
 
――ちなみにどのあたりに住んでいらっしゃったんですか?
 
瀧上 森ノ宮です。住んでました、1年間。そこでちゅうえいが口説きにやってきまして、大阪まで。「お前しかいないんだ、お笑いやろう」って。4人ぐらい誘って、全員に断られて最後の一人が俺だったんですけど…。それが19歳とか、20歳ぐらいの時。
 
ちゅうえい 高校の時に5人組でお笑いをやっていたんです。その5人組に俺と瀧上と他の3人がいて、その4人を順番に誘っていったんですよ。第一希望、第二希望、第三希望で。で、第四希望が瀧上だったんです。もう最後。それで「ほんと、俺はお前しかいないんだ」って言ったのは、俺は「ラストワン」のつもりで言ったら、こいつは勝手に「オンリーワン」で捉えて。
 
瀧上 いや悲しいわ。
 
ちゅうえい それで今、流れ星が。
 
瀧上 騙されました。
 
――大阪で口説いて。
 
ちゅうえい 俺、大阪に来ましたよ。パンタロン履いて。
 
瀧上 パンタロン履いて、「俺、髪の毛伸びたんや~」っつって。長髪になってるっていうから見たら、こいつ天然パーマやから天然アフロみたいになってて。
 
ちゅうえい 横にしかボリュームが出ないから、シュモクザメみたいになってました。
 
――その森ノ宮で「うん」と言ったのですか?
 
瀧上 はい。
 
――では結成も森ノ宮で?
 
瀧上 で、そこから東京に行ってお笑いをやろうということでちょっと期間が開くんです。
 
ちゅうえい その話をしたのは森ノ宮ですね。その後、賭けをして。僕は予備校に行っていたんですよ、東京で。瀧上は大阪で美容専門学校に行っていて、「俺が東京での大学受験が全滅したら大阪に行く」と。「でもどこか1つでも大学に受かったらお前、東京に来い」と。結局、瀧上が東京に来たんですけども、もしも俺が受験全滅していたら大阪に来て、大阪吉本に入っていたかもしれないですね。
 
瀧上 今、こうやってフィフティ・フィフティみたいに言っていますけど、お前何校受けたっけ?
 
ちゅうえい 俺? ……けど15、6校じゃない?
 
瀧上 そら1校は受かるやろ。
 
ちゅうえい まあなぁ…うーん。
 
瀧上 騙されたんですよ、これ。そら1校はかするじゃないですか、15、6校受けたら。
 
ちゅうえい うーん。
 
瀧上 その1校も補欠合格でギリギリやったんですけど(笑)。
 
ちゅうえい マークシートで「1」と「3」を交互に塗っていくという作戦で受かったんです。
 
瀧上 何も考えてねえじゃねぇか!
 
ちゅうえい すごくないですか? すごくないですか、逆に。「1」「3」「1」「3」ってずっとやってったから。
 
瀧上 今からでも卒業取り消しにならないかな。
 
ちゅうえい 遠くから見たらそのマークシート、ギザギザでした! のこぎりの刃みたい! 1・3作戦だったので。だから大学は1・3作戦で補欠合格までは行けると。個人的感想です。
 
――結成までのドラマも面白いですね。
 
瀧上 はたから聞けば面白いですけど、俺は本当に騙されただけです。
 
――瀧上さんは当初、芸人さんをするつもりはなかったんですか?
 
瀧上 そうですね。こいつが熱く誘ってきたので、まあ当然、こいつがいろいろ考えてくれるんだろうなと思っていたんですけど、こいつがネタ、全然作らないんですよ。作っても全然面白くない。じゃあ、しょうがないから俺作ろうかってなって、いつのまにかネタ担当になってるし…。
 
ちゅうえい (瀧上は)やるんスよ。
 
瀧上 俺は全部捨てて東京に来ているわけですよ。美容師の夢をあきらめ。その間、こいつ見たら、大学合格して、やれ合コンだみたいな、キャンパスライフをエンジョイしてるから。
 
ちゅうえい あの、別にほんとにそんなに楽しんでなかったんですけど、その大学がドラマの『あすなろ白書』の舞台だったので、すんげー楽しかったです!
 
瀧上 楽しんでるじゃねぇか。めちゃくちゃ楽しんでるじゃねぇか。
 
――瀧上さん、ネタは独学だったんですか? 養成所などにも行かずに。
 
瀧上 そうですね。だから本当に、僕は反面教師ですよ。こいつがやらないから俺が頑張るしかないという、それだけで来ましたね、ここまで。だから、天才なんでしょうね。たぶんね。誰も褒めてくれないんですよ。
 
――才能があったということでしょうね。
 
瀧上 死んだじいちゃん、ばあちゃん以外、誰も褒めてくれない。「肘神様」(流れ星の代表ネタの1つ)も作ったのは僕なんですけど、世間ではちゅうえいが目立っているので、納得はいかないですよね。最近、「左のちゅうえい」とか言われ出しているので、ショックなんですよね…。
 
ちゅうえい 左(さ)ちゅうえいです。
 
瀧上 左ちゅうえいじゃねえわ。
 
ちゅうえい けどそちらから見たら右にいるので、右(う)ちゅうえいです。
 
瀧上 本当に、この単独ライブをどんどん大きくしていって、「ネタを考えている天才は瀧上という者だ」と世に知らしめていきたいですよね。
 
――ネタのスタイルも徐々に変わってきてますよね? 昔の映像を拝見すると、衣裳も昔の方がラフで。何かその辺で変化があったのかなと思ったのですが。ネタは時代の流れもありますし、その時代で変わっていくのかなとも思うのですが、衣裳を変えようという瞬間ってあったんですか?
 
ちゅうえい ずんの飯尾さんはうちの事務所の先輩なんですけど、飯尾さんが「ちゅうえいよ」と。俺当時、オールバックで黒の猫のTシャツ着て、おばちゃんが履くようなズボンを履いて裸足だったんですよ。そしたら飯尾さんが「ちゅうえい、お前はちゅうえいだけで面白いんやから、そんな変な格好して、裸足とか、オールバックとかしなくていい。マヨネーズかけたり、ケチャップかけたり、砂糖かけたり、そんなことをしなくてもそのパンはおいしいから、もう普通の格好でいいよ!」って言われて、そこから普通の格好になったんですよね。
 
瀧上 飯尾さんのおかげでそうなったよね。だからボケが渋滞してたんですね、前はね。
 
ちゅうえい こんなオールバックで、猫で、裸足で。
 
瀧上 で、今は普通の格好になったんですけど、腹が出てきて、ハゲてきて、変な顔で……いや、またボケ渋滞してきてんじゃねえか。
 
ちゅうえい (Mr.ビーンみたいな顔をする)
 
――どうしても渋滞してしまう人。
 
瀧上 どうしてもね。
 
ちゅうえい ただ、前の格好を辞めてよかったなと思ったのは、あの時の格好が本当によかったって唯一今でも褒めてくれるのが、ペナルティのワッキーさんなんです! ハハハハハ! 俺、ワッキーさん大好き!
 
瀧上 僕はスーツになったんですけど、昔はロックンローラーみたいな格好していたんですよね。そしたらうちの事務所の社長とか、専務が話しかけてくれなかったんですよ。後々聞いたら、格好が怖かったからヤンキーだと思われていて。怖くて話しかけてもらえなかったみたいな。だから人って見た目大事なんだなって思って、そこからスーツになりましたね。
 
――そういう衣装を変えるだけで、親しみやすさが出てきて、ファン層も広がったということなんでしょうね。
 
ちゅうえい ファン層が広がったのもありますし、テレビ局のスタッフさんとかも、「今だから言うけどさ、やってることは面白いと思ってたけど、あの格好だと使いたいと思わないよね」みたいな。えー、そのタイミングで言うのはずるくないですか~?とか言ってたんですけど、そういうので変わるんですね。うちの事務所が格好のことをすごく言ってきてたんですよ。「何や格好なんて」って思ってたんですけど、格好が一番大事かもしれないですね! ネタ面白いよりも格好の方が大事かもしれないです!
 
瀧上 いやいやいや(笑)。
 
――そこに気づくかどうかは、キャリアを築く上ではすごく大事なことですよね。
 
ちゅうえい そうでしょうね。始めてすぐではそこにはいかないでしょうね。
 
瀧上 そのままの考えで、「普通の格好でいいよ」って飯尾さんとかに言ってもらえてなかったら、(チラシビジュアルの羽が生えた二人を見ながら)多分、この格好になってました。
 
ちゅうえい 考え過ぎて、行き過ぎて…。
 
瀧上 まだ売れないのは羽が生えてないからやとか言って。
 
ちゅうえい マジで迷走というか、そっちの方に行っていてもおかしくない。
 
瀧上 ただ分からないですよ、今回、この格好で漫才し出すかもしれない。これがフリになっている可能性はありますからね。
 
――瀧上さんはツッコミも変わっていった印象があるんですが、ご自身でも変わっていこうと意識されたんですか?
 
瀧上 2013年に『THE MANZAI』で決勝に行ったんですけど、その前の『THE MANZAI』も全然、成績がふるわなかったんです。決勝にも行けなくて。そこで1回、折れたんですよね、本当のことを言うと。そこで初めてちゅうえいのギャグをネタの中に取り入れてみようって。それまで入れてなかったんですよ。俺が作った漫才1本で勝負したいという気持ちがあったんですけど、『THE MANZAI』でダメだったから、次の日にちゅうえいを呼び出して、もうこうなったらネタで売れるんじゃなくて、キャラクターで売れていこうと、漫才じゃなくて「ちゅうえい4分間プレゼンショー」にしました。
 
――考え方を変えて。
 
瀧上 はい。そこからですよね、多分、変わったのは。
 
ちゅうえい あれですよ、もっと前に1回変わっていて。元々こいつ、すごいビンタしてたんですよ、俺のこと。それで1回、ビンタされ過ぎてマジで脳震盪みたいなことを起こして、センターマイクにつかみかかったら、センターマイクがするするする~って下がったことがあったんですよ。俺、そこから記憶力が悪くなっているんで、こいつのビンタで脳細胞が何個かやられているんですよ。……返せよ!
 
――そんなに強烈だったんですね。
 
ちゅうえい すごかったんですよ! 企画とかで、瀧上が他の芸人に突っ込んだとき、「ちゅうえい、毎日あれ食らってんの? いやいやいやいや、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」って。バーン!ってやってたんで。
 
瀧上 だからこいつは今ね、……2体目ですよ。1回死んでる。
 
ちゅうえい そう俺、2体目なんです……ってどういうこと!?
 
瀧上 1回、当時の俺に殺されてる。2体目です。はい。
 
ちゅうえい けど、狂暴的なツッコミはなくなりましたね。頭を叩くのもなくなったので。
 
――激しく叩くとかはインパクトあるじゃないですか。それでもツッコミを変えて。
 
瀧上 2013年にギャグを取り入れたネタで『THE MANZAI』で決勝に行かせていただいたので、そこを生かしていこうかなと…。
 
――ちゅうえいさん、ギャグはどのくらいお持ちなんですか?
 
ちゅうえい 400個、500個あるかな。
 
瀧上 そのうち使えるのが?
 
ちゅうえい 16個!
 
瀧上 少ねぇな!
 
――どういう時にギャグを考えるんですか?
 
ちゅうえい やっぱそうスね、いつもバーッて降ってくる時もあれば、すごい苦労して考える時もあるんですが…。
 
瀧上 俺が怒って作らせます。俺がめちゃくちゃ怒って、早く作れっつって。全然作らないので。こいつほんと何もしないので。こういう感じでって教えて、ゴールに導いてもまだ作らないから、俺がケツ叩いてやっとで作らせるという感じですよね。でもそこが全然人には見えないから、ちゅうえいに「ギャグをどうやって作るんですか?」って聞かれることが多いんですけど。
 
ちゅうえい けど降ってくるパターンもあったり…。
 
瀧上 こうやってすぐ答えるから、ほんと衝動的にシメそうになるんで。
 
――面白い関係ですね。お二人。
 
ちゅうえい テリー伊藤さんが、小学生の休み時間の二人みたいだなってことはずっと言ってくれていて。たぶん、二人でずっとギャーギャー言っていて。流れ星のルールで1分でも遅刻したら、遅刻した方にシッペ3発っていう謎のルールがあって。40の男二人がシッペをキャッキャッキャッキャ言いながらやってるんですよ。
 
瀧上 ネタとか全部僕が作ってるんですけど、言ったらゴーストライターなんですよ、ちゅうえいの。でも、ゴーストライターってギャラもらえるじゃないですか。俺はノーギャラなんですよ。ただのゴーストなんですよ。
 
ちゅうえい だから……瀧上は死んでるんですよ。今、見えているのは…2体目なんですよ。
 
瀧上 お互い2体目かよ。
 
――来年、20周年ですが、ここまで続くと思っていましたか? 最初の頃は。
 
ちゅうえい そんなに長くやるということすら考えていなかったです。
 
瀧上 気づいたらですね。
 
ちゅうえい 気づいたらですよ、本当。
 
瀧上 親よりも長くいますからね。18で出てきたので。それ考えると、ただただ気持ち悪いですよね。
 
ちゅうえい 本当。だってお笑いが人生の半分ですもん。
 
瀧上 僕、20年間ずっと、こいつにノーギャラでやってきたので、来年からはこいつをゴーストにさせたいですね。3体目にして。
 
ちゅうえい だから俺が写真に写ればいいですよね?
 
(……)
 
瀧上 …はぁ?
 
ちゅうえい 今、3体目になりました!
 
瀧上 今、死にました!
 
――最初、結成したかった時はどうなりたかったんですか?
 
ちゅうえい 俺はテレビにめちゃ出たかったです。テレビにすごい出たかった。モテたかったです。すげぇモテたかったです。まず衝動はそれだったと思います。高校の時に5人組でやっていた時も、女の子にキャーキャー言われるのがすごく気持ちよかったので、俺はまずモテたくて、テレビに出たかったんですよね。文化祭でやっていた時もお笑いが好きだったので。天然素材(吉本印天然素材。雨上がり決死隊、ナインティナイン、FUJIWARAらが在籍したユニット)のビデオを見ながら、当時の雨上がり決死隊さんのネタを丸々パクッてやったりとかして。
 
瀧上 本当に、ただのサルです。脳みそなかったよね、あの時。何にも入ってなかったんじゃないかっていうくらい、何も考えてないと思います。
 
ちゅうえい けど、高校の時はお前もモテたくてやっとったやろ?
 
瀧上 高校の時はモテたいというか、ワイワイみんなで騒ぎたいくらいですよね。それで、俺はそこから美容学校に行って。おかんが美容師をやっているので、おかんの跡を継ごうかなみたいなところから入っての。カリスマ美容師ブームがあったじゃないですか。あの時期に入って。かっこいい、モテるみたいなイメージで入ったけど、裏ではめちゃしんどかったんですよ。立ちっぱなしだし、手はめちゃ荒れるし。学生時代でこれだったら、就職したらさらに厳しくなるんやろうなみたいな、職業に対して明るい面もあれば、ネガティブな面もあるというのは分かっていたので、こいつよりは。だから、こいつにお笑いに誘われた時、じゃあ、ネガティブな面に耐えられるかというのを考えまして。お笑い芸人といっても、みんなが思っているような日の当たらないところもたくさんあるけど、美容師とお笑いを天秤にかけて、どっちのネガティブな部分を耐えられそうかと思った時にお笑いだったので。だから相当、覚悟は決めて行きました。そして東京でこいつ見たら、浮かれた、ピアスつけたサルがいたので…。
 
ちゅうえい 俺本当、浮かれてないって。大学行った時もサークルは入ってなくて、路上コント行くって嘘言って、よく予備校の人とコンパしてました。
 
瀧上 はい、浮かれていたので、俺が浮かれたらおしまいやと、この船は。
 
ちゅうえい 浮かれ号ね!
 
瀧上 浮かれ号(笑)。ひゃっほ~!言いながら、舵がえらいことになっているので。サルが船長の帽子かぶってピアスして。これは俺がしっかりしないとと思って。
 
――その時からお笑い芸人を職業として成り立たせていこうというお気持ちだったんですか。舞台に立ちたい、テレビに出たい、モテたいということよりも、食っていくための手段でもあると。
 
瀧上 僕は本当に毎日考えてましたね。毎日どうやったら売れるか、武器が増えるのかとか。いわゆるギャガーがあんまりいなかったから、ギャグやっていこうとか。それをちゅうえいに言ったら、え~、誰もやってないじゃん!って。やってないからやるんだよ!って殺したろかな思いました。
 
ちゅうえい みたいっすよ。
 
瀧上 そこからいろいろあったんです、歴史は。
 
ちゅうえい 溜まっているみたいですね。
 
瀧上 溜まってますよ。だから本当に今年から俺は楽をしていこうと思ってます。
 
ちゅうえい 今回のツアーは、まとめると「瀧上が楽する」。
 
瀧上 早く楽させてほしいんですけど、こいつの中ではまだ心にピアスしているので。
 
――楽しようと思っても、気になりますか?
 
瀧上 いや、本当に休もうと思っても考えちゃいますよね…。
 
――来年の20周年に向けて、今年も単独ツアーも最大本数を完遂して。
 
ちゅうえい 今年も過去最高規模になっているので、それを無事にクリアしないと。まずはね。
 
瀧上 これ自分で言いたくないんですけど、これだけの箇所をやるって結構すごいことなんですよね。結構、すごいことだから、ぜひみんなに来てほしいです。ふつうは3カ所、4カ所行っておしまいじゃないですか。あっても10カ所ぐらいなので。
 
――では、最後に大阪公演に向けて。
 
ちゅうえい おもろいでぇ…かな? はよチケット買うて~! 安心させてぇやぁ!……でお願いします。
 
瀧上 大阪ですもんね。ご当地ギャグもやるのでお楽しみに。
 
――ちなみに、今回初めて行く場所はあるんですか?
 
ちゅうえい 高松、長崎、福井、千葉ですね。
 
――テレビなどのご活躍を見て、楽しみにされている方が多いと思うんですけど、実際にお会いできるのはうれしいですね。
 
ちゅうえい 四国の方から、いつも四国を出なきゃ単独ライブに行けなかったので、こっちに来てくれてうれしいって聞いたので、そう言ってもらえて僕らもうれしいですよね。ただ、1つ不思議なのは、今回も凱旋じゃないですけど、自分らの地元の岐阜でやるんですけど、なぜかいつも岐阜が一番、ウケがあんまりよくないんですよ。県民性だと思うんですけど、みんな笑っても声に出さないので。声に出して笑ってもらいたいですね。だから、「岐阜の人は声を出して笑ってください」と。
 
瀧上 いや、大阪の方へのメッセージじゃなくなってるから!

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取材・文:岩本和子



(2019年7月12日更新)


Check

Movie

流れ星 単独ライブツアー2019
『星幻想(スターファンタジー)』

【千葉公演】
▼7月13日(土)行徳文化ホール I&I

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:493-404
▼7月15日(月・祝) 15:00
松下IMPホール
全席指定 大人-4000円
全席指定 学生-2800円(小学生~大学生)
全席指定 親子-3000円(1名分/大人+学生)
※未就学児童は入場不可。学生の方は入場時に学生証を提示いただく場合がございます。親子席は、大人+学生が対象、2枚単位(合計6000円)での販売です。
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

【富山公演】
▼7月27日(土)富山県民小劇場(オルビス)
【福井公演】
▼7月28日(日)
福井まちなか文化施設 響のホール
【東京公演】
▼8月3日(土)山野美容専門学校 山野ホール
【北海道公演】
▼8月10日(土)道新ホール
【埼玉公演】
大宮ソニックシティ 小ホール
【宮城公演】
▼8月24日(土)
仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール
【福島公演】
▼8月25日(日)
チームスマイル・いわきPIT(ピット)
【広島公演】
▼8月31日(土)
広島JMSアステールプラザ 中ホール
【岐阜公演】
▼9月1日(日)高山市民文化会館 小ホール
【長崎公演】
▼9月7日(土)NBCビデオホール
【福岡公演】
▼9月8日(日)イムズホール
【香川公演】
▼9月14日(土)高松オリーブホール
【岡山公演】
▼9月15日(日)さん太ホール
【愛知公演】
▼9月20日(金)名古屋市芸術創造センター
【東京公演】
▼9月23日(月・祝)浅草公会堂

チケット情報はこちら