インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 池田純矢×松尾貴史『ザ・池田屋!』対談 「早くみんなで本読みがしたい!」

池田純矢×松尾貴史『ザ・池田屋!』対談
「早くみんなで本読みがしたい!」

 俳優として活躍する池田純矢が作・演出を手がける「エン*ゲキ」シリーズの第3弾『ザ・池田屋!』が、2018年4月に上演される。2015年7月に上演されたエン*ゲキ#01『君との距離は100 億光年』、2017年1月に上演されたエン*ゲキ#02『スター☆ピープルズ!!』に続く本作。#01と#02は物語がリンクして描かれましたが、今作は全く新たな物語となる。タイトルの「池田屋」とは、新選組の「池田屋事件」が起きた京都の旅館のこと。ということは新選組の物語?となるが…この作品はその逆側、“襲撃された側”のお話! 長州藩・尊王攘夷派志士、松下村塾門下生の吉田稔麿(よしだ・としまろ)が主人公。史実を基に、池田純矢による新解釈のストーリーを展開します! キャストに名を連ねるのは、主演の鈴木勝吾、松島庄汰、中島早貴、米原幸佑、河原田巧也、透水さらさ、オラキオ、そして松尾貴史。池田自身も出演する。そんな本作について、作・演出・出演の池田純矢と、松尾貴史に話を聞いた!

全部がアドリブにみえるくらいのライブ感を。
 
――まずは『ザ・池田屋!』をつくられた経緯をうかがいたいのですが、#01は池田さんが17歳の頃に書かれた小説を元にした朗読劇、#02はそこともリンクした舞台作品となりました。今作も書き溜めていた作品から生まれたものですか?
 
池田「いえ、ストックも何本かあるんですけど、それではなくて“今書ける一番おもしろいこと”を書きたいと思って。自分の得意なジャンルのひとつでもある時代物でなにか挑戦できたらいいなと考えました。それで最終的に幕末に辿り着き、吉田稔麿を見つけて、“あ、こいつだ”と。というのも、逸話だけはいっぱい残ってるんですよ。とにかくすごいヤツだったってことは残っているのに、出自に関しても死に関しても全部「諸説あり」で謎しかない。そんな面白いヤツがいるのに、今まで誰もいじってない。これはもういじってくださって言ってるようなもんじゃないか!と思って(笑)。彼を主人公にした物語を書きたいなと思いました」
 
――松尾さんは脚本を読んでどのように思われましたか?
 
松尾「言語感覚がものすごく現代なんですよ。登場人物や事件、場所は時代ものなんですけど、ノリは時代劇らしからぬもので。そこはまだ“僕はどの辺にいったらいいのかな”という感覚で読んでいます」
 
池田「最終的な落としどころは史実の通りですが、中身に関しては歴史に則っている部分はほぼないんです。キャラクターも好き勝手につくったので、楽しく楽しく、みんなが自由にできればと思っています」
 
――その自由さの中で大切にするものってなんですか?
 
池田「ライブ感です。実際はしっかり稽古して、0コンマ何秒の間をつくって、という計算をしてやっていかなきゃいけないんですけど。それを究極にやると多分全部がアドリブに見えると思うんですよ。最終的にそういうつくりにできたらなとは思っています」
 
――松尾さんは池田さんとはこれまで舞台『ベイビーさん』(2015)、舞台『七つの秘密』(2016)で共演されていますが、池田さんのつくる舞台に参加することはどのように感じていますか?
 
松尾「池田君は、欲望に忠実にものをつくっていくと思うんですよ。それってすごく大事なことで。“こういうのをやりたいんだ”っていうのが、僕は一番ものづくりで正しいと思うので。“これを表現したい”という方向に進んでいく人のそばにいると、口幅ったい意味ではない“純粋な芸術”に触れられますから、そこに参加できるっていうことはすごくありがたいなと思いますし、楽しみです。まあ、人柄はわかっているので…どんな人柄か知らないですけど(笑)」
 
池田「なんの前置きですか(笑)」
 
松尾「(笑)。だからまあ、安心です」
 
――どんな人柄ですか?
 
松尾「振り幅が大きいです。上のほうを見てる感じと、下(しも)のことばかり考えてる、その振り幅。縦の振り幅がすごい(笑)」
 
池田「あはは! 僕にとってキッチュさん(=松尾)はオアシスなんですよ。舞台『ベイビーさん』で初めて共演したとき、僕は主演をやらせていただいていて。考えることがすごく多い作品だったので、精神的にもけっこうきつい部分があって。でもキッチュさんが、普通にお酒を飲みながら、普通の話をして、楽しい…っていう時間をつくってくださって。そのときの一番の潤いだったんですよね。冗談抜きに存在がオアシスみたいな人なので。好きです」
 
松尾「ありがたい」
 
――その松尾さんにこの作品で出演オファーをしたのはどうしてですか?
 
松尾「セクシーとか?」
 
池田「そうですね(笑)。セクシー、ダンディー…シニカル」
 
松尾「それは合ってるね(笑)」
 
池田「脚本を書きあげて、一人だけ大人が出てくるけど誰だろうなと考えていて。いろんな想像をしているときに、これはキッチュさんだよなって思ったんです。渋い、かっこいいキャラクターでもあるんですけど、コミカルなので。それが天然とかつくりこんだものではなく、滲み出るコミカルがある人がいいなって考えると、やっぱりキッチュさんしかいないなと思いました」

ikedaya2.jpg
 
酒が美味くなる舞台を。
 
――池田さんと松尾さん、俳優として舞台上で見たお互いの魅力は?
 
池田「キッチュさんは必ずなにかが起こる人」
 
松尾「それ、ほとんどミスでしょ(笑)」
 
池田「そんなことない(笑)。“あれ!?”ってことがあるんですよ。本読みから最終稽古まで同じ芝居だったところが、ある日全然違う色で出てきたりとか。本当に目が離せない人で。僕がお客さんでも目で追いたくなる役者さんだなと思いますね」
 
松尾「割と“無自覚”にいようと努めてるんですよね。だから“自覚がない”って怒られるんですけど(笑)。ある程度、身体と脳みそが(芝居を)覚えたところで自然と出てくるもの、無自覚に出てくるものを制御しないっていう癖はあるのかもしれないです。あとは飽き性っていうのもある(笑)。違うことをやってみようという衝動が起きるんですよね」
 
――松尾さんから見た舞台上の池田さんはどうですか?
 
松尾「華やかですよね。顔が派手っていうのもあるんですけど(笑)。でもオーバーなアクションをするときにも、人によって“実際こんなやつおらんやろ”っていうのと“実際こんな人おるな、オーバーだけど”っていうのがあって、池田君は後者なんですよね。必ず現実感の伴った演技をする。でもリアリズムでいこうと思ったらどんどん小さく静かな芝居になっちゃうと思うんですけど、そうなってないので。エネルギーをうまく制御できてる。絶対事故の起こらない原発のようなね」
 
池田「すごい! めちゃめちゃいいですね、最高の誉め言葉」
 
松尾「だからそこが羨ましいです。一人安全神話(笑)」
 
池田:すごいあだ名もらいました(笑)」
 
――では最後に、この作品で一番楽しみにしていることを教えてください。
 
松尾「新宿(東京公演)と福島(大阪公演)なのでね」
 
池田「そうですね(笑)」
 
松尾「いい飲み屋がいっぱいある(笑)」
 
池田「究極ですよね。舞台が終わった後に美味しいお酒が飲めるっていうのが一番いいことですから」
 
松尾「もちろんそれを楽しみにできるのって、舞台が盛り上がったり楽しかったり充実してたりお客さんが楽しんでくれたりっていう状況があってのものなのでね。だからこそ酒が美味くなる…ってこじつけましたけど」
 
池田「あはは!」
 
――池田さんはどうですか?
 
池田「今、僕は、美術はこう、装置はこう、衣裳は、メイクは、音楽は、照明は、音響はって全部自分でディレクションしながらやっていってるのですが、当然、人とやっていると全く違うものが出てきたりもするんですよ。そこで“うわ! おもしろい”に出会えるのが楽しくて。“イメージを超えてくるおもしろさ”を実感しているところなんです。だけどそれが一番如実に出るのは、やっぱり役者さんと芝居をつくる瞬間だと思うので。早くみんなで本読みがしたい。今はそこが一番楽しみです!」

ikedaya3.jpg

取材・撮影:中川實穗
ヘアメイク:古橋香奈子、成谷充未



(2018年1月15日更新)


Check
左から、松尾貴史、池田純矢

エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』

【東京公演】
1月27日(土)一般発売 Pコード:482-791
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9530(10:00~18:00)、通常電話■0570(02)9999にて予約受付。

▼4月20日(金) 19:00
▼4月21日(土) 14:00/18:00
▼4月22日(日) 14:00/18:00
▼4月23日(月) 19:00
▼4月25日(水) 19:00
▼4月26日(木) 14:00/19:00
▼4月27日(金) 19:00
▼4月28日(土) 14:00/18:00
▼4月29日(日・祝) 14:00/18:00
▼4月30日(月・祝) 14:00/18:00

紀伊國屋ホール

S席-6800円

[作][演出]池田純矢
[出演]鈴木勝吾/松島庄汰/中島早貴/米原幸佑/河原田巧也/透水さらさ/オラキオ/池田純矢/松尾貴史/他

[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888

Pick Up!!

【大阪公演】

1月27日(土)一般発売
Pコード:482-791
※発売初日は店頭での直接販売および特別電話■0570(02)9530(10:00~18:00)、通常電話■0570(02)9999にて予約受付。

▼5月12日(土) 14:00/19:00
▼5月13日(日) 12:00/17:00

ABCホール

S席-7000円

[作][演出]池田純矢
[出演]鈴木勝吾/松島庄汰/中島早貴/米原幸佑/河原田巧也/透水さらさ/オラキオ/池田純矢/松尾貴史/他

[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

1/21(日)23:59までプレリザーブ受付中!
チケット情報はこちら


オフィシャルサイト