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「s**t kingzがなかったら、自分の人生は全然違ったんだろうな」
三浦大知、AAA、BIGBANGらK-POP界隈からジャニーズetcまで…
いつだってダンスに魅せられシットキングスが結成10周年!
シッキンがこの10年のドラマを語るインタビュー&動画コメント

 三浦大知、AAA、BIGBANGらK-POP界隈からジャニーズをはじめとしたアイドルグループetcまで、彼らが振付やバックダンサーを担当した現場を列挙していきたいが、載せるべきアーティストが多過ぎてキリがない。そんな嬉しい悩みに頭を抱えるほど、エンタテインメントの世界のそこかしこには、彼らの技術と情熱が脈打っている。shoji、kazuki、NOPPO、Oguri、それぞれが第一線で活躍するパフォーマーでありながら、チームとしてもアメリカ最大級のダンスコンテスト『BODY ROCK』にて、’10年、’11年と2年連続優勝したのを機に世界進出。これまでに訪れた国は20ヵ国以上、’16年の単独公演には約2万人を動員、今年はダンスカンパニーながら夏フェスに初出演を果たすなど、ボーダレスにその勢力を拡大するs**t kingz(シットキングス)。いつだってダンスに魅せられ今年結成10周年を迎えた彼らは、楽しませることを忘れないプロフェッショナルであり、楽しむことを忘れない挑戦者である。リーダーのshojiは、インタビューでふとこう語る。「s**t kingzがなかったら、自分の人生は全然違ったんだろうな」。彼らがあなたに出会うために出会ってきた人、託されてきた現場、磨き上げてきたショーマンシップ。あなたから、そして、もっと多くのみんなから、同じ言葉が出る未来を願って――。


 

自分たちのいつものやり方にこだわり過ぎるよりは
何よりもお客さんに素直に楽しんでもらうこと
 
 
――実はこの夏の『WEST GIGANTIC CITYLAND’17』のs**t kingzの即レポを担当したんですけど、初見の方も多いであろうシチュエーションをうまく取り込んだパフォーマンスで、すっごく面白いなと思って。フェスに出たことは本当に新しい挑戦だったと思うんですけど。
 
shoji「そうですね。やっぱりお客さんの反応が最初は予測できなくてすごく不安だったんですけど、どんどん足を止めて観てくれたり、声を出してくれたりしてくれたお客さんがたくさんいて…。関西だったからこそ、ああいうあたたかい空気だったのかなって感じたところもあり。本当にのびのびとやらせてもらえたんで、何かもう“やり切ろう”というか、あんまり失うものもなかったし(笑)」
 
――10年やってきてるのに、“失うものがなかった”(笑)。
 
(一同笑)
 
kazuki「いつもと違う環境なんで、初心に戻って、新人として」
 
shoji「とにかくアウェイに飛び込もう! みたいなテンションで臨んだので」
 
NOPPO「いやもう本当に無我夢中でしたね」
 
――もうね、胸にデカデカと“ゆず”とか“フランプール”って書いてるあのTシャツ、どこで手に入れたんやと(笑)。あれはあの日のために作ったんですか?
 
kazuki「そうなんですよ。俺らの出番の前がflumpoolさんで楽屋が隣だったんですけど、挨拶させていただいたときに“ちょっとすいません、こういうのを作っちゃいまして”って見せた瞬間、“あぁ…”って。すごい、これが“苦笑い”かって(笑)。もうすいません!っていう」
 
――しかも今からダメって言えないですからね(笑)。あと、アナウンス=心の声がちゃんとストーリーを先導してくれる構成も秀逸で。
 
kazuki「本当に試行錯誤して、“俺らのことを知らない人からしたら、こういう情報があったら分かりやすいんじゃないか?”っていうのをだいぶ考えましたね。ちょっと図々しい感じで自己紹介、みたいな(笑)」
 
――でも、MCで“僕たちは…”って説明されるより、ユーモアも交えたバランスがすごくよかったなぁと。
 
shoji「嬉しい。出場=エンタテインメントな感じで(笑)。基本的にs**t kingzは舞台では声に頼らず物事を伝えていくのが自分たちのスタイルではあるんですけど、初めてレコーディングスタジオで声を録るっていう(笑)。自分たちのいつものやり方にこだわり過ぎるよりは、まずは何よりもお客さんに素直に楽しんでもらうことを優先して、自分たちなりにも新しいチャレンジとしてナレーションを入れてみたんですよね」
 

 
 
あのときの自分たちがあって、今がある
 
 
――今年で10周年を迎えたs**t kingzは、そもそも期間限定ぐらいのノリで始まったということですけど、それぞれこの10年ってどういう時間でした?
 
kazuki「それこそ海外に行ったり、コンテストに出たり、舞台も3作やってるし、思い出せばいろんなことがポンポン出てくるんですけど…何かあっという間だったよね?」
 
shoji「ちょうどさっきも、結成したちょっと後にトレーニングをしにアメリカに行ってたような頃の映像をみんなで観ていて。あの頃はまさか10年も続くと思わなかったし、今みたいに海外にダンスを教えに行ったりパフォーマンスしたり、それこそフェスに出たりビルボードでライブなんて、想像の範疇になかったというか。何かもう本当にあっという間に過ぎた10年だったんですけど、s**t kingzがなかったら、自分の人生は全然違ったんだろうなと思うと、本当に10年続けてこれてよかったなって」
 
――ただダンサーとして歩む10年とは、全く違う。
 
NOPPO「やっぱり海外にワークショップツアーに行ったり、アクティブに行動してたからこそできたことも多かったんで。そういう海外の方から“舞台をやった方がいいんじゃない?”っていうアドバイスをもらって、’13年に単独公演の『THIS SHOW IS s**t』をやろうと思ったこととか…結成した当時に明確な目標はなかったんですけど、本当に人との出会いでやりたいことがどんどん増えていった感じですね」
 
Oguri「多分、夢はそれぞれにあって、みんなで共有しつつやってるんですけど、いろんな出来事が来るべきタイミングで来てる10年なので。いきなり舞台をやってたらもちろん成功してないし、フェスも2〜3年前だったらまた違う結果になってたかもしれない。今だからこういう挑戦事が来るんだなっていう必然を感じて、ありがたいなって」
 
――それぞれ、ここがターニングポントだったなというか、自分を変えてくれたと思った、s**t kingzの活動の中での印象的なシーンはあります?
 
shoji「やっぱり初めてヨーロッパにワークショップに行ったときのことはすごく覚えていて。アメリカとかにトレーニングを受けに行ったことはあったんですけど、初めて呼んでもらって海外に教えに行ったのはスウェーデンだったんです。そのときに初めてヨーロッパのダンサーとちゃんと触れ合って…ヨーロッパにこんなにいっぱいダンサーがいて、こんなに面白いことをやってて、こんなにエネルギッシュで、みたいなことを知ったその瞬間に、“こんなにダンスの世界って広いんだな”ってすごく思った。それは1つ大きなターニングポイントだったのかなって」
 
NOPPO「僕は初めて舞台を4人でやり遂げたとき、4人で頑張ったら何とかなるんだって思ったし、それに伴っていろんな方々が協力しに歩み寄ってきてくれたり、本当にいろんな人のお陰で今踊れてるんだなって実感して。逆に、本当に自分たちだけじゃ絶対に実現できなかったと痛感したというか。こういう出会いとか人とのつながりを、もっと大事に踊っていこうって思いましたね」
 
――ダンスってある意味、身体1つで表現できる、ミニマムからマキシマムまでいけちゃう芸術ですけど、舞台をやることによって、いろいろな人の協力を得ることで、もっと大きな夢を持てるんだっていうのは。
 
NOPPO「今までは舞台にダンサーとして参加しても自分主体じゃなかったのが、自分たちが中心になると、こんなにやらなきゃいけないことがいっぱいあるのかと分かって。その後にいろんな舞台に参加するときも身に沁みるというか、この気持ちを大事にしようって本当に思いましたね。4人で舞台に立ってても、それを作ってるのは決して4人じゃない。それはすごく噛み締めてます」
 
Oguri「やっぱり『BODY ROCK』っていうアメリカの大会で優勝した瞬間…いや、それよりも初めてアメリカの大観衆の前で4人でパフォーマンスをしたときのリアクションがすごく嬉しくて。スタンディングオーベーションをしてくれたり、曲の合間の盛り上がりとかもそうですけど、日本では感じられないものすごい興奮で会場が包まれていて。それも、練習はもちろん積み重ねたんですけど海外のコンテストだからって気張るのがイヤで、日本で当時やっていたセットをそのまま持って行ったのが通用したというか、こんなにもリアクションをもらえたことに、すごく感動した気がしますね。そのときに、ヘンにビビる必要はないというか、世界との距離が近付いた。それこそヨーロッパのツアーとかもそうですけど、緊張はしても自信は持っていこうっていうスイッチになったり」
 
――チャレンジャーとして飛び込んだ最初の場所でちゃんとした評価をもらえたことは、すごく自信になりますね。
 
Oguri「本当に。すごく嬉しかったですね」
 
kazuki「一番最初に4人でチームを組んだとき、ある海外のダンサーの動画を見て、その人に習いに行っちゃえ〜!みたいな感じでロスに行って。何にも分からない状態でレンタカーを借りて、スタジオを調べて、みたいに割とアクティブに行動してきたというか。あのときの自分たちがあって、今がある。なんて思いますね」


まさかのラガーシャツ2枚重ねダブル襟(笑)
 
 
――10周年の今だからこそ改めて振り返ってもらいたいんですが、それぞれの出会いの第一印象ってどうだったんですか? 例えば、3人から見たOguriさんとか。
 
kazuki「Oguriはどちらかと言うとスタジオでしっかり習ってきたダンサーで、こっちはストリートダンサーでって、最初はカルチャーが別のところにいたイメージだったんで、クラブで見掛けたりするとすごい新鮮でしたね。“何しに来たの?”みたいな(笑)。よくよく話したら同い年とか、共通の知り合いが実はいたりして。俺の兄貴もダンサーなんですけど、兄貴の方が先にOguriと仲良くなったんですよ。だから、家に帰ったらOguriがいたり(笑)。そのときはまだ顔見知りぐらいだったんで、“あ、Oguriくん。俺、寝るわ”ぐらいのテンションで」
 
Oguri「当時は呼び捨てだったけどね」
 
(一同爆笑)
 
kazuki「図々しく呼び捨てるけど、気持ち的には“Oguriくん”ぐらいの距離があったっていう(笑)。他のみんなとはちょっと違う“転校生”みたいな感じでしたね」
 
shoji「あぁ〜でもそんな感じかもね。俺が初めて会ったのは、新宿の安田ビル(※かつてのストリートダンスのメッカ)だよね。あの頃は、今では考えられないぐらいすごく丁寧に俺のことを扱ってくれて(笑)。最初の数年はkazukiもOguriも2人ともすごく礼儀正しい、ダンスのめちゃめちゃ上手い、何でも踊れる人っていうイメージでしたね」
 
――10年やってきたら変わるもんですね、関係性が(笑)。
 
kazuki「全然真逆」
 
shoji「アハハハハ!(笑)」
 
Oguri「kazukiとは『a-nation』のアクトダンサーのオーディションのときに、一緒に合格して初めて会って。同じ年なのは聞いてたけど、兄ちゃんと先に仕事が一緒になって家に行ったときもあんまり喋んねぇし、何か仲良くなれなさそうだなって(笑)。そこから、イベントとかでもちょくちょく会うようになってちゃんと話してみたら、ユニットとかも誘ってくれて、“いいヤツじゃん”みたいな」
 
kazuki「ユニット誘ってくれるから=いいヤツ(笑)」
 
Oguri「やっぱり出会ったときに、いろんな年齢がいる中で同い年っていうだけで、ちょっと親近感が。周りはほぼ先輩だったんですよね。だから嬉しかったです」
 
shoji「kazukiとNOPPOは俺がダンスを始めてちょっとしたぐらいにはもう結構有名なチームにいて、俺は2人をクラブに観に行ってたんですよ。だから、初めてkazukiと喋ったときはちょっと芸能人と会った気分で、“俺、すごい人と喋ってる!”みたいな(笑)。あと、当時、千葉にそのチームが来たときにジョナサンで一緒にご飯を食べたんですよ。今でも覚えてる、ちょっと憧れの人とのご飯(笑)。“ここでいろいろ質問しよう!”みたいな(笑)」
 
(一同笑)
 
NOPPO「kazukiとは同じ地元で、スタジオは違ったんですけど小学生のときにコンテストで初めて会って。すごくカッコいい曲で踊るチームにいて、“何だこいつ!?”みたいな」
 
kazuki「そのコンテストはNOPPOがいたスタジオの企画なんでホームだし、優勝候補でキャーキャー言われてて。俺らはアウェイで“チッ”てなってて、ロビーでお互いを意識しながらストレッチとかやってたら…」
 
――でもそれ、端から見たらみんな小学生ですよね?(笑)
 
kazuki「いっちょまえにみんなダンサー気分なんで(笑)。“お前、あんな技もできるんだ”って仲良くなっていって」
 
――2人は付き合いがめっちゃ長いんですね。逆にshojiさんの第一印象はどうでした?
 
kazuki「俺とNOPPOが青山のクラブなんて行ったことがないのになぜか先輩から頼まれて、すごく敷居の高いイベントに出たんですよ。フロアでストレッチしてたらセキュリティに怒られるような日で、襟付きがドレスコードで。そしたらフロアに1人だけラガーシャツのヤツがいて、襟は付いてるけど!みたいな(笑)。しかも、まさかのラガーシャツ2枚重ねダブル襟(笑)。みんなおとなしくサラーッと観てるのに、1人だけ一番前で“イェ〜!!”みたいになってて、“誰だ? この人…”って踊りながらずっと思ってて」
 
NOPPO「ガン踊りだったもんね(笑)」
 
shoji「アハハハハ!(笑)  大人のパーティーのド真ん中で、蛍光色の服着て踊って(笑)」
 
kazuki「その後、近々のイベントでたまたまshojiくんが出てるのを観て、“あ、あのときの変な人だ”って(笑)」
 
――でも、普段はステージで踊る人なのに、観に行ったら行ったでお客さんとしてもちゃんと踊るんですね(笑)。
 
(一同笑)
 
Oguri「俺はさっき言ってた新宿の安田ビルで練習してたとき、一緒に踊ってた人がshojiくんの知り合いだったんですよ。アメリカから帰ってきたとか話してて、shojiくんが立ち去った後に、“彼女と行ってたんだって”、“へぇ〜ゲイじゃないんだねぇ〜”みたいな」
 
――アハハハハ!(笑)
 
NOPPO「俺の知り合いにも、“あの人ゲイなんだよ”っていう情報がいってて(笑)」
 
shoji「大学の後輩にゲイのダンサーの男の子がいて、その子とクラブに遊びに行ったときに、NOPPOの友達と出会ったんですよ。そこからNOPPOが“あの人ゲイなんだよ”って聞いて、“いやいや、違うから!”って(笑)」
 
――なるほどね。でも、そう言われてみたら、何だかそう見えてきました(笑)。
 
(一同爆笑)
 
kazuki「もはや原因はゲイの人と一緒にいたからじゃない(笑)」
 
NOPPO「最近のショーでもヒール履いてたもんね(笑)」
 
shoji「うちの嫁と2人でヒールを履いて深夜クラブで踊るっていう(笑)」
 
――最後にNOPPOさんについてはどうでしょう?
 
shoji「NOPPOも俺の中では憧れの存在だったんで。俺がすごい覚えてるのは、“何を食べたらそんなにダンス上手くなるんですか?”って聞いたんですよ。それが今すごい恥ずかしい…NOPPOにそんな質問をした自分が(笑)」
 
――それに何て答えたんだろう?
 
shoji「“食べて上手くなるわけないじゃん”って(笑)。いやぁ〜本当にただのファンでした」
 
kazuki「ジョナサンに行ったときも、注文するメニューとか気になってたんだね(笑)。NOPPOは小っちゃいときから背も高くてイケメンでダンスも上手くて、人気グループの中でも人気者のイメージ。グループに3人ぐらいメインになる感じの男の子がいて、3人とも人気だったんですけど、何か…チャラチャラしてんなって(笑)。茶髪のロン毛だし、サーファーのエリアの子たちだったんで、もうイケイケな感じの」
 
NOPPO「小学校の卒業アルバムに書いた将来の夢も、“世界一歌って踊れるサーファー”みたいな」
 
――もう何もかも手に入れたい、みたいな(笑)。


4人バラバラで動いてるからこそ、集まったときにパワーアップできる
 
 
――10年経った今でも4人の間にすごくいい空気が流れてますけど、解散の危機とかはなかったんですか?
 
shoji「ないよね?」
 
Oguri「shojiくんが脱退っていうのは…」
 
(一同笑)
 
shoji「おいおい! いつ!? いつ!? 教えて! よく言うんですよ、“3人で写真を撮るとしっくりくるなぁ”って」
 
Oguri「いつもアー写を撮ってくれるカメラマンさんも、“3人だとすごくいい。3人でいっときます?”みたいに、もうネタになってる(笑)」
 
shoji「“抜けたとき用に”みたいな。コラコラって」
 
――だったらね、shojiさんを端っこに立たせといたら、後からトリミングできるから。
 
(一同爆笑)
 
shoji「これからはできるだけ内に入っておこうかな。って消させないよ!」
 
――s**t kingzはもちろん、メンバーそれぞれが活躍し続けられてるのもすごいですね。
 
shoji「シッキンでやることはやるし、個人でやるものもあるし、そのバランスがちょうどいいのかなっていうのはありますね。それこそね、俺が“じゃあ今度は4人でヒールを履こう”とか言ったら、即解散だと思う(笑)」
 
――アハハ!(笑) それぞれの表現の場があるというね。
 
shoji「そうですね。別に俺の表現の場がそれしかないわけじゃないですけど(笑)」
 
(一同爆笑)
 
――シッキンをやってることでダンサー個人に返ってくるものがあったり、もしくは逆のことは活動していて感じたりします? 持って帰れるもの、持って出せるものというか。
 
shoji「Oguriはダンスとかじゃなくて普通に舞台にも出たりしてるから、演劇的な要素があるときに役立ったり、それこそライブの振り付けとか演出とかステージングをやっていく中で得た照明とか機材の知識も、自分たちの舞台を作るときに活きてきたり。やっぱり4人バラバラで動いてるからこそ、集まったときにパワーアップできる。ずっと同じところを見て、同じことだけをしてると、周りが見えてこなくなっちゃうこともあると思うんで。まだまだいっぱい勉強することがあるなって」
 
――三浦大知やAAAをはじめ多くのアーティストと絡むことも多いと思いますけど、そういう方たちと共演して感じる刺激というか、印象的なやりとりはありますか?
 
Oguri「大知はいろんなことに興味を持つし、ライブでも歌はもちろんダンスもすごいし、楽器も演奏して曲も作ったりするんで、毎回すげぇなって思いますね。多彩というか興味がいろんな方向に向いてて、それを全部ちゃんと形にして舞台の上で観せられる上に、エンタテインメントに対するバイタリティがめちゃくちゃある。近くにいると刺激をすごくもらいますね」
 
kazuki「AAAのNissy(西島隆弘)はまた考えが違って。大知って“ザ・アーティスト”って感じなんですよ。まさにエンターテイナー。Nissyももちろんそうなんですけど、やっぱりAAAの路線もあってファンのことをすごく考えた演出だったり、キャッチーなことに対する目の付けどころが流石だなって。実際にそれをライブでやってみると、見事に“キャー!”っていうポイントを作れるんですよ。照明とかそういうテクニカルなことにもめちゃくちゃ詳しくて、“俺、要るかな?”って毎回思いながら(笑)。でも、そう思っちゃうぐらい本当に本人が素晴らしい。そういう違うタイプの2人と一緒に仕事ができて、それこそその経験をシッキンに持って帰ることもできるし。いろいろと勉強になることが多いなと思うのは、この2人ですね」
 
 
4人でやれば何とかなる、みたいな(笑)
 
 
――個人としても活躍して振り付けもする、ダンスもする、人にも教えるっていう中で、今の自分にとってs**t kingzはどういう場所なのでしょう?
 
Oguri「いい意味で、1人でグワァ〜!っと頑張らなくても何とかなるから、安心してやりたいことを試せるというか、あんまり責任感を背負わずにいろいろと挑戦できる場所ですね。1人の仕事になると全部自分で考えなきゃいけないんですけど、ここにいればみんなで受け止めて、それを跳ね返してっていうふうに作っていけるんで」
 
kazuki「やっぱり他の現場は“仕事”っていう部分が少なからず入ってくると思うんですけど、シッキンに関しては、作ってる段階で何か縛りがあったとしてもそれをシッキンなりに何とかするので、あんまりこうしなきゃ、ああしなきゃって他の仕事ほど縛られないというか。やりたかったこともチャンスがあればどんどん取り入れられるし、無責任に提案しても4人でやれば何とかなる、みたいな(笑)。ダメだったらダメでもいいからとりあえず言ってみようみたいなテンションになるんで、アイディアも出やすい場所な気がしますね」
 
NOPPO「えっと…いつも一緒にい過ぎて分からないんです。まだ把握できてない(笑)」
 
――10年やってきたけど把握してない(笑)。
 
shoji「もうNOPPOは把握しなくていいかもしれない、大事なポジションです(笑)。本当にしょっちゅう一緒にいますね。家族より全然いるかもしれないよ、ぐらいの」
 
――shojiさんはどうでしょう?
 
shoji「あの…何だろう。“海の入口”みたいな」
 
kazuki「ほほぉ〜。導入がロマンチック」
 
――何も把握してない人もいれば、海の入口と言う人もいる(笑)。
 
kazuki「あえてその理由は聞かないけど」
 
――みんな気になるわ海の入口(笑)。だから一応聞いて、内容によっては載せないと(笑)。
 
shoji「アハハハハ!(笑) 4人が1本1本の川みたいなイメージで、学んだり感じたものを各自表現したり吸収したりしつつ、それが1つ1つ集まって4人になって最終的に海に流れ込む。4人が集まった瞬間に一番可能性が開いて、なおかつどこにたどり着くかは分からない。それがすごいシッキンっぽいなって今ふと思って。これからも多分そういう場なんだろうし、でも、やっぱり1本1本の川がしっかりしてないと、そこに流れ着けないというか。そういう意味で、川の終わりであり海の始まりみたいな場所なんじゃないかって、ロマンチックなことを言ってみました」
 
kazuki「使いましょう!」
 
――そうね。最初は“この人、何言ってんだろう?”って思ったけど(笑)。
 
(一同爆笑)
 
――使いましょう!(笑)
 
shoji「よかった~!(笑)」
 


 
ここから続く1年にお客さんがワクワクできるような、そんな一夜にできたら
 
 
――そして、ビルボードライブで10周年記念公演がありますが、動画でもいろんな試みが告知されていて。
 
Oguri「ビルボードも、生バンドと一緒にパフォーマンスしたいっていうのも、ずっと思ってはいたことなんですよね。それができるのが、まさに10周年っていう」
 
shoji「どちらかと言うと、今回は舞台みたいな形ではなくライブ寄りのものにチャレンジするイメージです。なので、隅から隅まで完璧に作られてるというよりは、むしろもう少しラフに、お客さんと近い距離で、お客さんもリラックスして、気付いたら立っちゃってたりしてもそれはそれでいいよねっていうスタンスで」
 
――舞台とはちょっと違うものを、よりパフォーマンスと生のバンドのシンクロ具合で魅せると。となると、4人だけのリハじゃなくなってきますよね。
 
kazuki「そこも初挑戦な感じだよね」
 
shoji「今までにいろいろとお付き合いのあったバンドもたくさんいたんですけど、あえてそこもまた新しい挑戦として、今回はorigami PRODUCTIONSの方々と一緒にやることになって、いろいろと曲のアレンジが上がってくるたびにテンションが上がるっていう(笑)。そういうのもすごく楽しいし、毎度ちょっと雰囲気が変わりそうな自由度の高いパートも残してるんで、毎回特別な空間になりそうで楽しみですね」
 
――それぞれビルボードライブ公演に向けてはどうでしょう?
 
Oguri「ビルボードライブには自分も観に行ったりもしていて、ちょっと神聖な場所っていうイメージがあって。すごいアーティストたちがライブをしてきたステージに立つからには、生半可な気持ちじゃダメだなっていうのもあるし。でも、あまり気張り過ぎずに何より自分たちが楽しんで、結果お客さんも一緒に楽しめればいいなって。そこを常に頭に置いて臨もうと思いますね」
 
kazuki「やっぱり“ビルボードだから”っていうのをどうしても意識しちゃうけど、お客さんはいつもより高いお金を払って来てくれるわけで。そこで自分たちが雰囲気に飲まれたショーをするとガッカリされるのもあるので、ビルボードの力をちょっと借りつつ、いつものs**t kingz+新しいライブ感を出せたらな…という希望です!(笑)」
 
shoji「10周年のイベントはビルボードから始まるので、ここから続く1年間にお客さんがワクワクできるような、そんな一夜にできたらいいなと思います」
 
NOPPO「俺が最後か…もちろん音も楽しんでほしいし、ダンスも楽しんでほしいし、生バンド×ビルボードライブ×s**t kingzで何か生まれるんじゃないかってみんなちょっと期待して観に来てくれる部分もあると思うんで。それを裏切らないように、試行錯誤して、頑張っていきたいと思います!」
 
――ドレスコードはぜひ襟付きでね(笑)。最後に10周年のスタートということで、今後s**t kingzとしてやっていきたいことを伺って終わりたいなと思います。じゃあ今度はNOPPOさんから(笑)。
 
NOPPO「っしゃ〜!(笑) もちろん大きい舞台はまたやりたいんですけど、s**t kingzって1つネタを作ったら、似たようなものはもうやりたくなくて。また新しいもの、新しいものっていう気持ちはあるんで、本当に今までにやったことがない舞台を作ってみたいなとは思います」
 
shoji「“ダンスってこういうもの”みたいな先入観に囚われ過ぎず、もっともっと自由に、今まで思ってもみなかったようなところでパフォーマンスしたり、想像もしなかったところに少しでも手が伸ばせるように、アメーバみたいにグニャグニャ変わりながら進んでいきたいなって思います」
 
kazuki「全世界の人に知ってもらえるダンスクルーというか、エンタテインメント集団になる。年々“これ、ダンサーのショーかな?”って思う瞬間がちょいちょい出てくるんで(笑)。舞台でもひたすら踊ってるわけじゃないんで、そういう瞬間がもっともっと増えるといいなって思います。もちろんダンスを武器にしつつ、ダンス以外でも人を楽しませて、それがきっかけでいろんな人に知ってもらえたら嬉しいなって思います」
 
Oguri「ダンスはもちろん上手くなりたいんですけど、それ以外にこういうふうに喋ることだったり、クリエイティブな部分だったり、いろんな方面を磨いてもっともっと単純にレベルアップしていきたい。そのためにはやっぱり経験値が必要なので、アイテムを使わずにそれを増やして(笑)。ちゃんと自分たちの力で1匹1匹モンスターを倒して、レベルアップしていきたいなっていう想いであります!」
 
――10周年が輝かしいものになることを祈ってます。本日はありがとうございました!
 
全員「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2017年11月16日更新)


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仲良しか!(笑) 4人の空気感伝わる
s**t kingzからの動画コメント

Profile

シットキングス…写真左より、NOPPO、shoji、kazuki、oguri。’07年10月に結成。アメリカ最大級のダンスコンテスト『BODY ROCK』にて、 ‘10年、’11年と2年連続優勝を果たし、世界のダンスシーンから注目を浴びる存在となる。世界各地でパフォーマンスやワークショップを行い、これまでに訪れた国は20ヵ国以上。’13年より舞台公演をスタートし、’16年の単独公演『Wonderful Clunker -素晴らしきポンコツ-』では初のロングラン公演を達成。東京・大阪を含む全国6都市での開催を果たし、約2万人の動員を記録した。 近年では世界屈指のビッグメゾンHERMESのファッションショーでのパフォーマンスや、音楽フェス『WEST GIGANTIC CITY LAND』への出演、MBS主催の『音舞台』にて夜の金閣寺を舞台にパフォーマンスを行うなど、活動の幅を広げている。また、Sonyの『Motion Sonic Project』の公式パートナーとして1年間にわたるプロジェクトに参加し、世界最大のテクノロジーフェス『SXSW』にてパフォーマンスを行う。同プロジェクトは世界一の広告賞である『カンヌ国際広告祭』のデザイン部門でブロンズ賞を獲得した。’17年10月には結成10周年を迎えた、ダンス界のパイオニア的パフォーマンスチーム。

s**t kingz オフィシャルサイト
https://shitkingz.jp/


Live

アニバーサリーの幕開けとなる
初の生バンドとの東阪ビルボード公演

 
『s**t kingz 10th anniversary show
 in Billboard Live』

【東京公演】
チケット発売中
▼11月16日(水)・17日(木)19:00/21:30
ビルボードライブ東京
自由席8500円
ビルボードライブ東京■03(3405)1133
※未就学児童入店不可。18歳未満・高校生は成人の同伴にて入店可。チケット購入後、手元にチケットを用意の上、問合せ先まで要連絡(入場整理番号決定)。

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード341-457
▼11月21日(火)・22日(水)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席8500円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※本チケットに整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。当日は整理番号順でお席へご案内しておりますが、整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルエリアの取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

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Comment!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんからの
オススメコメントはこちら!

「僕が昔からよく知るビッケブランカが、楽曲『Youe Days』をシッキンの舞台『Wonderful Clunker -素晴らしきポンコツ-』に提供した話を聞いて興味を持ったのをきっかけに、この夏は『WEST GIGANTIC CITYLAND’17』で彼らの即レポを担当。夏フェスという俗に言うアウェイな、“誰やねん”な環境下ながら(笑)、この日のためにいろいろと創意工夫してくれていたのが分かって一気に信頼感。取材の場でついにご対面したときにその旨を伝えると、どうやらシッキンも僕のレポを気に入ってくれていたみたいで…これって相思相愛?(笑) そんな彼らへの初インタビューでしたが、結成10周年というのもあって懐かしい話もチラホラ!? じっくり話を聞いて、表現者としてはもちろんのこと、4人の人柄にも大きく惹かれました。僕自身がs**t kingzのことをもっと知りたいなと思ったように、彼らと出会いさえすればきっと同じことを思う人は多いはずです。表現に人は出るし、人によって表現は変わる。彼らとの長い付き合いが始まったと思えた、大事なインタビューになりました」