ホーム > インタビュー&レポート > 「プライベートがうまくいかないと仕事がうまくいく。 そこも何か似ているような気がします」 舞台『関数ドミノ』出演、瀬戸康史が語る役との共通点
主宰である前川知大作・演出による劇団イキウメの代表作『関数ドミノ』。2005年に初演し、2009年、2014年に再演。そのたびに登場人物や結末が改訂されてきたが、今回、2009年版の戯曲を元に加筆された新たな『関数ドミノ』として上演される。真壁役を演じるのは映像や舞台に引く手あまたの瀬戸康史。とある都市で起こった奇妙な交通事故の目撃者となった真壁が立てた仮説。荒唐無稽と思われたそれをやがて裏付けるような不可思議な出来事が起こり始めるという物語だ。
非現実的な事象に興味があるという瀬戸、「イキウメの作品は非現実的なことから物語に入っていったり、テーマがそういうものだったりするので、僕が好きなジャンルにものすごくどんぴしゃなんです」とイキウメファンを公言する。前川作品への出演は2016年、『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』で念願が叶った。「2年連続で出演できるのはとても光栄です。『関数ドミノ』は何度も再演されていますし、注目度の高い作品なので、プレッシャーはありますが、イキウメではない役者がやることでこの作品がどう変わってくるか楽しみです」と語る。
演じる真壁については自分と似ていると親近感を抱く。「真壁は嫉妬や先入観の塊のような人ですが、先入観イコール思いの強さだと思います。自分に自信がなかったり、日々うまくいかないことを周りのせいにしがちで。自分が変わればもっといい環境になるかもしれないのに、まず周りのせいにしてしまうという人間の弱さが真壁という人で、僕も同じようなところがあるので、彼の気持ちは分かります」。
それだけに真壁が立てた“仮説”も理解できるという。「僕も真壁と同じような感覚を持ってしまっている人間なので、嫉妬から生まれる妄想はけっこうしちゃいますし、僕の場合は“プライベートがうまくいかないと仕事がうまくいく”という法則があるんです(笑)。それも似たような感覚かなと思います」。
「真壁役は劇団公演では事務所の先輩の安井順平さんが演じられていましたが、その時は希望で終わっていないんです。今回は僕が演じるので終わり方は希望がある方がいいんじゃないかと前川さんが少し手を加えてくださいました。『関数ドミノ』2017年バージョンになっています」と、過去3回とはまた異なる見ごたえが待っている。
「“奇跡”が物語のきっかけにありますが、結局は人間関係の話になっていくので、イキウメの作品の中でもリアルな感じがします。演じる上でも生っぽさというか、その時、自分がどう感じたかということを大事に演じていきたいです」と意気込む。
兵庫公演は11月10日(金)~12日(日)、兵庫県立芸術文化センターで行われる。10月4日から始まった東京をはじめ全国7都市を巡回したツアーの最終地点。その集大成をぜひ楽しんでほしい。チケット発売中。
(2017年10月31日更新)