インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 和太鼓を中心に「叩く」ことに徹した鼓童の『打男』 常に進化を遂げる本作を石塚充と小松崎正吾が語る

和太鼓を中心に「叩く」ことに徹した鼓童の『打男』
常に進化を遂げる本作を石塚充と小松崎正吾が語る

太鼓芸能集団、鼓童のツアー「打男 DADAN 2017」では、ひたすらに太鼓を叩いて叩いて叩きまくるステージを展開する。演出を務めた坂東玉三郎とともに「太鼓を叩きまくった先にどういう味が出てくるか」という挑戦の意味合いも含めて2009年に初演した。進化を続ける本作は、ヨーロッパやアジア、南米、そしてアメリカと世界各国でツアーを続け、2017年にいよいよ日本再上陸を果たす。男性奏者のみで魅せる打楽器のエンターテインメント、木琴やティンパニーなども用い、シンプルでありながら奥深い世界を醸成している。

2013年よりメンバーになった小松崎正吾は稽古場で初めて聴いた際、あまりの音圧に音酔いしたと話す。「音が攻めてくるという印象でした。その後、浅草公会堂の客席で聴いたのですが、その時は小さな音へのこだわりが聴いていても、目で見てもわかって。力強く叩いていても出てくる音は優しかったり。視覚的にも聴覚的にも楽しめる舞台に進化していると思いました」。

同じ演目でも奏者が変わると音も変化する。そこには作品が持つ柔軟性もあると話すのは、メンバーとなって今年で15年の石塚充だ。「『打男』は叩くというテーマに絞っているのですが、すごく自由なんです。鼓童の作品の中で最も、出演者の息によって色を変える特殊な作品だと思います。ストーリーがなく、打楽器の打撃音だけで構成されていますが、聴く人の体調や打つ人のさじ加減ですごく変わるので、それが何回見ても面白いところです」。

単純に「叩く」といっても、その表現は千差万別。「他のメンバーとも話をするのですが、叩くという行為自体、すごく原始的なことで。自分の気持ちとか気合、日本人独特の間、呼吸、魂の部分で震えて叩くという行為があって、その先に太鼓が“どーん”と鳴る。人間の中から出てくるものが「叩く」という行為にはあるので、ある種怖いところもあるのですが、命の息吹を感じられる部分もあると思うんです。『打男』は何も考えずに観ても気持ちよく、観終わると真っ白になる感じがします」(小松崎)。カーテンコールでも通常の舞台とは手ごたえが違うと話す石塚。叩いて叩いて叩いた末に、“どこかに行き着いた”という感覚があるのだという。

石塚によれば、ステージが終わる頃には、客席とも一体化しているという。進化を遂げながら、常に新感覚を与えてくれる鼓童の『打男』。この秋の日本ツアーでぜひ、体感してほしい。




(2017年9月19日更新)


Check

鼓童「打男 DADAN 2017」

発売中
Pコード:334-213

▼11月11日(土) 17:00
▼11月12日(日) 13:00

新歌舞伎座

S席(1・2階)-6000円
A席(3階)-4000円

[演出]坂東玉三郎
[出演]鼓童

※特別席は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。

[問]新歌舞伎座テレホン予約センター
[TEL]06-7730-2222

チケット情報はこちら

写真左から小松崎正吾、石塚充。