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「Not day but today」ーー今日を精一杯生きるだけ…
エイズやドラッグ、貧困、LGBTなど様々な問題を
抱えながらも夢に向かって生きる若者たちを描いた
ミュージカル『RENT』初出演の青野紗穂にインタビュー

1996年のブロードウェイでの初演以来、世界15カ国で上演され、2006年には映画化もされたミュージカル『RENT』。1830年頃のパリの下町を題材にしたプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースに、舞台を20世紀末のニューヨーク・イーストヴィレッジに置き換え、当時の世相や若者の生き方をドラマティックに描いた本作。貧困、エイズ、ドラッグ、同性愛、そして隣り合う死という生々しい現実に直面しながらも、愛や友情を信じ、夢に向かって生き続けようとする若者たち。そんな彼らの姿を、バラエティ豊かなミュージカルナンバーで彩っている。日本でも2008年から4回上演を重ね、今年2年ぶりに登場。新キャスト5名を迎え、更なる進化を遂げている。HIVポジティブでヘロイン中毒のSMダンサー、ミミを演じる青野紗穂も2017年の『RENT』に新風を巻き起こしている一人だ。

ミミという強い個性の役柄を演じる際に、青野自身がミミと同い年であるということで一気に近づくことができた。「ミミはぱっと見、気の強い女の子という印象が強いのですが、人より繊細で、芯の太い人。女性ならではの特徴――分単位で感情が変わるとか(笑)、がすごく強く出ている役でもあるなと思ったのですが、役柄と同い年というのもあってすごく親近感がありました。そのときそのときの感じ方とか、強がるところ、弱さは見せたくないけど誰かに助けを求めたい気持ちとか、自分のハンデに対する気持ちとか、その感じ方は私と結構近いものがありました。だからミミという役を作るというより、自分自身として生きるということがキーワードになりました」。

等身大で演じることは、自分自身をさらけ出すことでもあった。「自分を全部、出したらどうなるんだろうって、今までそういう機会があまりなかったので、最初はすごく怖かったです。でも、今はそうしたことで自分に正直になった気がして。自分が今、感じていることに正直に生きたりとか、毎日を大事にしたりとか、ちょっとしたことを感じられるようになりました」。

ミミの相手役、ロジャーもWキャスト。堂珍嘉邦とユナク(超新星)が演じる。青野は相手役の二人をどのように見ているのだろうか。「ロジャーが『One Song Glory』を歌うときに感じるのが、残り少ない時間をどう過ごしていくかということへの気持ちが、お二人とも違うのかなって。堂珍さんはこれから死ぬまでの時間をカウントしているような雰囲気で、ユナクさんは死ぬまでにどれだけ生きられるのかということを考えているような気がします。どちらもすごく魅力的ですよね。人に対しての拒絶の仕方や笑顔の向け方が違ったり、打ち解けたときの愛情表現も全然違います。包み込んでくれる愛がお二方とも違うので、演じていてとても楽しいです」。

好きなシーンや歌を尋ねると、シーンではロジャーと出会う瞬間に歌う『Light My Candle』。歌は『I'll Cover You (Reprise) 』。「エンジェル(平間壮一/丘山晴巳)というこれから先、出会えないくらい大切な人を亡くしたコリンズの愛情を歌で感じられるのがすごく好きです」。

歌手として活動する傍ら、ミュージカル『RENT』の出演はオーディションで勝ち取った。本作と出合ったことで「以前より、言葉を大事にするようになった」と変化を語る。「歌手としての自分と、ミュージカルに出ている自分との間にはあんまり差はないのですが、言葉を大事にしたり、言葉の意味をもっと深く考えることは歌手としても今後につながるものがあると思っています。『RENT』は人と人とのぶつかり合いや愛し合うこと、寄り添ったり、反発したりと、自分をさらけ出してこそというところがありますが、それは日々、生きている私たちにもあることなので、普段の自分とあんまり変わらない感覚です」。

ミミを等身大で描いている青野。「音楽もすごく楽しくて、ライブ感覚で観られるところもありますので、ぜひ遊びに来てくださいね♪」と19歳の素顔も見せた。

ミュージカル『RENT』は8月17日(木)~22日(火)、森ノ宮ピロティホールで上演。

8月18日(金)19時公演はエイズやLGBTなどのテーマをシェアするチャリティ・デイ。カーテンコールでは『Love Heals』をキャストで歌う。『Love Heals』は本公演の作者、ジョナサン・ラーソンがHIVサポート団体へのチャリティソングとして作った歌。劇中に使用されていないもものブロードウェイカンパニーがチャリティイベントで歌ったことをはじめ、世界各国のカンパニーに歌い継がれている。ブロードウェイでの成功を夢見て、ニューヨークで暮らしていたジョナサン。『RENT』は自身の経験も踏まえて7年の歳月と魂を費やして作り上げたミュージカルだった。しかし、1996年1月のプレビュー公演の前日に35歳という若さでジョナサンは死亡した。『Love Heal』は彼の精神も引き継がれている名曲だ。




(2017年8月18日更新)


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ミュージカル『RENT』

発売中
Pコード:458-463
森ノ宮ピロティホール
全席指定-11800円
[脚本・歌詞・音楽]ジョナサン・ラーソン
[演出]マイケル・グライフ
[日本版リステージ]アンディ・セニョール Jr.
[出演]村井良大/堂珍嘉邦・ユナク(超新星)/青野紗穂・ジェニファー/光永泰一朗/平間壮一・丘山晴己/上木彩矢・紗羅マリー/宮本美季/NALAW(CODE-V)/新井俊一/千葉直生/小林由佳/MARU/奈良木浚赫/岡本悠紀/長尾哲平

▼8月17日(木) 19:00
▼8月18日(金) 19:00
▼8月19日(土) 13:00
▼8月19日(土) 18:00
▼8月20日(日) 13:00
▼8月21日(月) 13:00
▼8月22日(火) 13:00
※未就学児童は入場不可。一部Wキャストあり。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]0570-200-888

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