新トップコンビ紅ゆずると綺咲愛里を中心にお届け
アンコールもマサラ一色で盛り上がる星組公演開幕!
宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるが主演するマサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム ―恋する輪廻―』が、7月22日(土)に梅田芸術劇場メインホールで開幕した。世界的に大ヒットしたインド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の舞台化で、初日の公演を原作映画の監督ファラ・カーン氏も観劇し、カーテンコールでは真っ先に立ち上がって拍手を送った。本場のトップ舞踊監督さえ興奮する星組のパワーは、真夏の熱風よりも熱かった!
今年1月に東京で紅のプレお披露目公演として上演、大劇場公演『THE SCARLET PIMPERNEL』を経ての再演だけに、星組生がより濃厚なスパイスを作品に降り注ぎパワーアップしているのを感じた。1幕では紅の表情豊かに歌い踊る姿が一層エネルギッシュで、脇役俳優オームの個性を際立たせる演技では観客の大きな笑いを誘う。綺咲愛里(きさき・あいり)扮するスター女優シャンティに恋をし、夢は叶うと信じている真っ直ぐな心も、ピュアな芝居や歌からより強く伝わってきた。30年後の2幕では、オームの生まれ変わりのスター俳優となって堂々登場、女性たちをはべらせ数々のナンバーを披露する。あらゆる場面でセンターオーラを放ち、ラブロマンの色が深まる綺咲とのデュエットではふたりの絆もしっかり見せた。
綺咲は顔立ちや佇まいが華やかで、エキゾチックな雰囲気がヒロインにぴったり。切ない女心を巧みに演じた。また新キャスティングの七海(ななみ)ひろきが、妻のシャンティにひどい仕打ちをする大物プロデューサーのムケーシュを熱演。歩き方、煙草をくわえる仕草、決して本音で笑わない目の表情など、真のヒール役の凄みを存分に表現した。美稀千種(みき・ちぐさ)演じるオームの母親の温かさと柔軟な演技も観客の心をつかむ。
インド特有の節に多彩なジャンルをミックスした音楽性の豊かさ。指先や首の動きまで見入ってしまうノリのいいダンス。コメディからサスペンス、ホラーまでとことん振り切り観客を引き込む展開。中毒性のあるボリウッドの粋が詰まった今作に、大阪の観客はときに笑い、大いに引き込まれていた。
また今回初演ではなかった客席降りのアンコールフィナーレが加わった。軽妙なツッコミも入る振付レクチャーの後、音楽がかかると自然に観客も体が揺れ出演者と共にマサラ気分で踊り出す。曲が終わると「ウワーッ!」と劇場全体が大歓声に包まれた。紅もとびきりの笑顔を見せ、「インドの心をもって千穐楽まで突っ走ります!」と明るく宣言した。
公演は、8月7日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは発売中。
取材・文:小野寺亜紀
撮影:岸隆子(Studio Elenish)
写真提供:梅田芸術劇場
(2017年7月25日更新)
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