片岡仁左衛門が語る大阪松竹座の「七月大歌舞伎」
7月3日(月)より大阪松竹座で幕を開けた「七月大歌舞伎」。今年は昼の部に『夏祭浪花鑑』と『二人道成寺』を、夜の部に『再春菘種蒔 舌出三番叟』と『盟三五大切』を上演する。開幕を前に、片岡仁左衛門が語った。
関西で歌舞伎の興行が難しかった時代を知る仁左衛門は、「七月大歌舞伎」が昭和54年に結成された<関西・歌舞伎を育てる会>(平成4年からは<関西・歌舞伎を愛する会>)の尽力によって続いていることを改めて思い「七月の興行は本当に大事に思っています」と開口一番に語った。そして「(昼夜とも)初めてご覧になる方にも“歌舞伎ってこんなに面白いのか”と思っていただける作品です。ぜひ一度、大阪松竹座に足を運んでいただきたいと思います」といざなった。
『夏祭浪花鑑』は住吉大社や高津宮など大阪の名所や上方の風情も楽しめる作品。主人公の団七九郎兵衛を市川染五郎が、その女房・お梶を片岡孝太郎が、団七と義兄弟の契りを交わす一寸徳兵衛を尾上松也が、そして徳兵衛の女房のお辰を中村時蔵が演じる。歌舞伎舞踊の『二人道成寺』は中村時蔵と片岡孝太郎が白拍子となり艶やかな踊りを披露する。
夜の部の『舌出三番叟』も歌舞伎舞踊。中村鴈治郎、中村壱太郎親子で勤める。『盟三五大切』では、平成23年の2月以来、6年ぶりに源五兵衛を演じる仁左衛門。「大好きな芝居です。お芝居の運びは現代に通じるものとして見ていただける自信があります」とアピール。そして「源五兵衛は明るい男でしたが、女性にだまされて変わっていきます。え?あの人が…?と思うほど、冷酷無比な悪人になる。そういった人間の両面を演じられるところが面白いですね。また、このドラマでは主人のために働いたことがかえって、主人をだますことになる。そこも面白いところです」と見どころを語った。
登場人物それぞれの一途な思いや、殺しの場面なども見逃せない。「歌舞伎の場合、殺しの場面でも常に美学があります。そこが歌舞伎の魅力の一つだと思いますね」と話した。
「夢は大阪松竹座で半年は、歌舞伎が上演されること」と語る仁左衛門。「七月大歌舞伎」の前に行われる船乗り込みも夏の風物詩として定着した昨今だが、歌舞伎人気の更なる向上に意欲を燃やす。
「七月大歌舞伎」は7月3日(月)~27日(木)まで、大阪松竹座にて上演。
(2017年7月 3日更新)
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