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断れなかったから今がある!?
ふたりの絶妙なパワーバランスも明らかに
チョップリンの「断る」話

4月15日(土)に大阪・道頓堀角座で、5月20日(土)には東京・新宿角座で単独ライブ『断る。』を開催するチョップリン。いずれも新作、準新作合わせて約8本、短編、長編のコントを予定している。「すべての約束を断って、劇場きてほしい」と誘うチョップリン。「断る」という行動は、時に人間関係に亀裂が入りかねない、なかなか神経を使うもの。そこでまずは2人に「断る」話をリサーチ。そのエピソードは、すべての約束を断って単独ライブへ足を運ぶ勇気を与えてくれる……かもしれない。(単独ライブは断っちゃやあよ!)

--本題に入る前に、お2人の最近のトピックスを教えてください。
 
西野 そうでうすね。応援していたフェデラーが5年ぶりにグランドスラムを優勝できて、しかも久しぶりに往年のライバルであるナダルと決勝で。それで勝って、生で見ていて泣きました…! 感動して。泣いてまいました。
 
--西野さんが泣くなんて。
 
西野 そうです。ただ、泣くやろうなとは思ってたんです。次にグランドスラムを優勝することがあったら泣くやろうなと思いながら応援していたんです。実際に優勝したので、泣いてしまいました。泣いてたら、カシャ、カシャって聞こえてきて。娘が僕の泣いている姿を携帯で撮り出したんです。なので、それにぶち切れて「サアクショウセエアアアア!!!!」と。
 
小林 写真撮るとか、かわいいやん。
 
西野 言うやろ、みんなそう言うんですけど、ぶち切れましたわ。一瞬で喜怒哀楽が全部出ました。情緒がやばかったですね。泣いて、ぶち切れて。
 
--娘さんの前で泣いたことは?
 
西野 1回もないです。あのときの放送時間は子供が起きている時間やったので、思いっきり見られてまいました。
 
--小林さんの近況はいかがですか?
 
小林 僕はテニスにそんなに興味がないんですけど、フェデラーに関しても。でも試合時間によってネタ合わせの時間が変わってくるので、今回はテレビをつけながら、フェデラー見ながら何かしてました。これが終わったら打ち合わせがあるなっていう感じで。それに合わせて予定を組んで。終わるまで絶対に家から出ないので。
 
--今回の単独ライブのタイトルでいうと、試合中は「断る」。
 
西野 そうですね。
 
--小林さんはご自宅で待機していて、試合をつけながら動向を見守ると。
 
小林 そうですね。「まだやってんのか!」とか思いながら。
 
西野 長いからな。
 
小林 長いな~思うて。
 
--2月11日の単独ライブの打ち合わせも。
 
小林 そうそうそう。
 
--優勝したときは、小林さんも放送を見てたんですか?
 
小林 そうですね。あ、終わったなという感じで。それで、優勝の日はネタ合わせはしませんでした。それどころじゃないと思ったので。頭の中がフェデラー一色になっていると思ったので、ネタ合わせしてもフェデラーの話になるので。前日とか2日前もそうやったので、効率が悪いなと思って。
 
--次の打ち合わせのときの西野さんのモードはいかがでしたか?
 
小林 まだ全然、残ってましたね、フェデラーは。
 
西野 優勝して2週間くらい経っても試合の映像は毎日見てました。全然色あせない。毎日違う。
 
--西野さんのモードがフェデラーになっていたことで、小林さんが受けた影響はありますか?
 
小林 この大会の前とか、結構フェデラーが負けてたので、ばりイライラしてました。
 
--じゃあ、今回はイライラもなく。
 
小林 なくですね。スムーズに。
 
西野 フェデラーが優勝したからすごいんですよ。全く関係ないことですけど、僕もがんばろうと思って。モチベーションが上がって。
 
小林 山本マサが49歳で投げてたのと同じやろ?
 
西野 違う。山本マサさんとは全然違う。
 
--小林さんにとっては、山本マサさんがモチベーション?
 
小林 そうですね。50歳まで現役をやっていたというのは…。
 
--今、モチベーションは…。
 
西野 僕はほんま、めっちゃ高いです。フェデラーが優勝したので。
 
--小林さんは?
 
小林 最近、えっとね、その、試合を見ながら僕はYouTubeで違う動画を見てたんですけど、はまってるのが『漂流家族』っていう昔オンエアしていた大家族の番組で。親父さんが45、6歳で。埼玉から北海道に引っ越して家を建てるんです。その家を建てる資金の保証人になった人がいるんですけど、その人が50歳くらいで。それがまた、ええ加減な親父で、仕事もすぐ辞めるし。ほんで、北海道からその家を置いたまま、保証人を置いたまま、家族で埼玉に帰るんですよ。そしたら保証人に2000万のローンが残って払うことになって。連絡しても電話にも出んし。それで北海道から埼玉に行って、2人で話し合いをしてたんですけど、逃げられた怒りがマックスになって「ゲンコツさせてくれ」って言うんですよ、保証人が親父に。そんで、やらへんのかなって思って見てたら、50近いおっさんが本気でゴツンってゲンコツして。その瞬間を200回くらい見てます。
 
西野 アホやろ。何やねん、そのシーン。
 
小林 それ、めちゃめちゃおもろいんすよ。結局、その保証人がお金払ってるんですよ。
 
西野 一発のゲンコツで2000万ってないで。タイソンの一発並みやん。
 
小林 そのシーンの音が生々しくて。ゴーン!って。
 
--そのシーンに何を感じますか?
 
小林 やっぱ両方アホやなって。もっと考えて行動したらいいのにって。何でももっと計画立てて積み上げていかなあかんなって学びました。でもそのシーンね、ほんまに、むちゃくちゃおもろいんですよ。
 
--それはフェデラーと並行して見てたんですか?
 
小林 ながらで見てたんですけど、もうこっちに食いついてしまって。もう、フェデラーの球打ち返す音よりゲンコツの音の方が…。
 
西野 何と比べてんねん。
 
--優勝した瞬間、西野さんが珍しく涙を流していたそのとき、小林さんはゲンコツのシーンを見て…。
 
西野 爆笑していた。
 
小林 へへへ、そうすね(笑)。
 
--そして単独ライブですが、このタイトルについてお聞きします。今回はなぜ「断る。」にされようと?
 
西野 何個か候補があったんですけど、他の候補はあまりにもようわからんかったので。「エッフェンフィン」と「断る。」の2択になりましたね。すごい悩んだんですけど、まあ、「断る。」にしようかと。
 
--チラシの書体もそうですが、チョップリンぽくないですよね。チラシを見たときも、すごく新鮮でした。
 
西野 そうですね。今回は自分で作ってないんです。だからいつもと違う感じになってるんですよね。プロの人にある程度イメージを言って、あとはお任せにして。そしたらこの書体になりました。ちょっと……長渕剛さんが書きそうな字ですよね。でっかい半紙に、でっかい筆で。片岡鶴太郎さんとかね。
 
--180度違いますよね。
 
西野 そうなんですよ。ほんまはタイトルだけでいいかなと考えたんですけど、それはそれで今までっぽくなくなるんで、あとは写真と。
 
--大阪と東京では写真が違うんですよね。
 
西野 鰻屋さんとコーヒー屋さんで撮りました。
 
--ネットのニュースで小林さんは断れないタイプとのコメントを出されていましたが、西野さんに言われると断れずと。この写真のコートが元は小林さんのものであったそうですね。
 
西野 そうなんです。これは小林が持ってたステンカラーコートなんですけど、これをヘルムトラングのジャンパーと交換したんです。それ、いいジャンパーなんです。他のジャンパーでもよかったんですけど、まあ敬意を表して。僕なりの敬意を表していい方にしたんですよ。でも全然、そのジャンパーを着ないんですよ、小林が。こうやって仕事で会っても、1回も着て来うへんし。おかしいなと思ったら、交換した次の日にオークションに出して。あれ、20年くらい前のジャンパーなんですけど、何ぼで売れたんやったっけ?
 
小林 3万。
 
西野 即決やったんですって。僕は3万で小林のステンカラーコートを買ったようなものなんです。
 
小林 あのステンカラーコートはヤフオクで5000円で落としたんですよ。
 
西野 そうみたいですね。だから、小林は25000円儲かったという。
 
--コメントだけ見ると西野さんの強さが前面に出ているように見えますが…。
 
西野 裏で操作しているのは小林なんですよ。
 
小林 いやいや。
 
--印象が全然違いますよね。
 
西野 黒幕ですよ、だから。
 
小林 そうですね、フィクサー。フィクサー小林。
 
--小林さん、大胆ですね。何で出そうと思ったんですか?
 
西野 あれ、かっこいいから着たらよかったのに。
 
小林 まあまあ春先に着ようかなと思ってたんですけど。そんなすぐ売れるとは思ってなかったんで。とりあえず15000円で出してみたんです。
 
西野 オークションにもはまってるんですよ。YouTubeとオークション。だから何でもオークションに出すんです。このステンカラーコートも交換するにあたって既に小林は動きだしてて。オークションで落札するストックがいっぱいあったんですよ。だからあのコートに固執せずに、これがなくなったとしても5000円くらいでまたゲットしたらいいしっていう。
 
小林 これ5000円で落としたんですけど、出したら15000円くらい行くで。
 
--その辺はだんだん相場を読まれるようになって。
 
小林 そうです。
 
西野 会社の人に野球のレアグッズをもらったんですけど、即行オークションに出してましたね。結構ええ値段行ったんちゃうん?
 
小林 4、5000円くらい…。
 
西野 いやいや、本当は1万くらいですよ。何で今、抑えて言ったんか分かりませんけど、それがオークションにはまる発端でした。
 
小林 そうすね…。
 
西野 さっきも社員さんがスウェードのおしゃれなジャケット着てたんですけど、近づいて「くださいよ」言うてましたわ。即行オークションに出すんですよ。
 
小林 いやいや…。
 
西野 オークションの鬼と化してますよ。
 
--小林さんは今までも、黒く染めてみたり、ミシンにはまってみたりと、いろいろありましたが、今はオークション。
 
西野 はい。今日、会社に来るときに電車乗ったら、隣の車両に小林が乗ってたんですよ。あ、小林やと思って、気づかれんように後ろに回ったんですけど、携帯の画面はオークションでした。移動中もオークション。またオークション見てるやんって。すごい見てる。出品の状況も見てるし、狙ったものの情報も見てるし。
 
小林 でも失敗もすごいしてるんですよ。ノースフェイスの赤のジャンバー、えらい安いなと思って。結構楽しみにしてて。宅急便で届いたの開けたら、めっちゃちっちゃい…、A3の書類ぐらいのジャンパーやって。俺、着られへん。幸い、娘のサイズに合ったから着せてるんですけど、もうちょい調べないと。
 
--今は何点くらい出品中ですか?
 
小林 結構売りさばいたので、今は2、3点ですかね。
 
--今までで一番高値がついたものは?
 
小林 あの西野のジャンパーですね。出品したとたんに即行連絡が来て「30000円出すから僕に落札させてください」って。
 
--敬意を表して交換したジャンパーが。
 
西野 そうですよ。敬意を表したんですけどね。また違う服と交換してジャンパーを取り戻そうとしてたんですよ。それやのに、もうオークションに出して。薄々、気づいてたんですけどね。目の前の小銭ほど好きなものがないっていうくらい、小林は小銭が動くのを見るのが好きなんで。
 
--株はやらないんですか?
 
西野 そのうちやると思いますよ。
 
小林 でも株はちょっと勉強しないと。そう簡単には。ドルとかユーロとかは。昔、後悔したんですよ。1ドル69円くらいまでいって、7、8年くらい前に。その後150円くらいになったから、そのとき100万円分くらい交換してたら倍になってたでしょう。それで最近は為替レートはチェックしてますね。ただ、まとまったお金で買わないとそんなに利益が出ないから。
 
--なるほど。コメントには「自分は断れないタイプ」とありますが、誰からも断れない? 西野さんだけ断れないとか?
 
小林 西野には昔から断ってるんですよ。でも、断っても来続けるから、最終的に断れなくなる。
 
--追い込みがきついんですかね?
 
小林 追い込みがすごいです。昔も、家の電話に「遊ぼうぜって」かかってきて。「ええわ」って断ったら「何でなん?」。「いや、ちょっと…」って。で、電話切るじゃないですか。僕んち団地の6階やったんですけど、家の下に来て舌を鳴らすんですよ。それが団地の建物に共鳴してすごい響くんですよ。「また来てるわ~」って思って、カーテンの隙間から見たら舌鳴らしてて。そしたら、次は小石を、6階ですけど窓めがけて投げてくるんですよ。コツって当たると、ちょっともう…。
 
西野 小林が隙間から見るとき、カーテンが若干動くんですよ。それを見て「こっち見とるな~」って。それがおもろいんですよ。ごっつ見てるやんって。
 
--執念ですね。小林さんが落ちるまで。
 
西野 落札するまでは。
 
--小林さんを。落札は簡単なときと、難しいときとあるんですか?
 
西野 今は仕事なので来るけど、子供の頃の方が大変でしたね。小林を家から誘い出すというのは。手を変え品を変え。
 
小林 あのね、西野に誘われて遊んでいる友達があと2、3人いるんですよ。そいつらもあんまり遊びたくないなって半分思ってて。そのうちの2人からまず僕に電話がかかってくるんですよ。「今、卓球場におるから卓球やろうぜ」って。で、断る。そしたら違うやつからまた「卓球やろうぜ」って電話かかってきて。それも断るんですよ。そしたら最終的に西野から電話がかかってきて、「おい、やるぞ!」って。「……わかった…」って。
 
西野 みんな何が嫌かっていうと帰るのが遅くなる。それが嫌なんですよ。長いから。2時間遊んでぱっと帰るっていうのやったらいいと思うんですけど、2時間じゃ帰してくれへんっていうのを知ってるから。
 
--なんで帰さないんですか?
 
西野 なんでそんなに家に帰りたいんやろうって思う。もっと一緒におろうやって。長いっていうのが、最初から行かへんってなるんでしょうね。
 
--小林さんを攻略するのは大喜利みたいなものでしょうか。
 
西野 大喜利というより、伝統芸能みたいなもんですかね。毎回同じことをするという。
 
--パターンが一緒なんですか?
 
西野 パターンは一緒です。またやってるわっていう繰り返しの面白さですね。
 
--いまさらながらですけど、チョップリンのネタともリンクしてきますね。そういう型になってるんですね。
 
西野 なってますね。しつこい、嫌がる、断る、けど断れないみたいな。
 
--では、西野さんは断る、断れないでいうと、断るタイプですか?
 
西野 そうですね。
 
--断れなかったことは、何かありますか?
 
西野 芸人になるのは断れんかったですね。小林の執拗な誘いがあって。そこは逆でしたね。それくらいですかね、断れなかったのは。
 
--でもそれは、すごく大きなことですね。人生を左右する。
 
西野 そうなんですよ。断ってたらどうなってたんやろうって思いますね。僕、何してたんやろう。わかんないですね。
 
--小林さんは元々ピンでされていて。
 
西野 小林はピンでやろうとは思ってなかったと思いますよ。「2丁目劇場で俺がやるのを見に来いよ」と。それで、文鳥を相方にしてネタやっている姿を見せといて、刺激を与えて、俺らもやろうやって思わせる策略やったと思います。
 
--プレゼンみたいな。
 
西野 そのプレゼンが度肝抜くくらいすごかったんで。これはちょっとすごいなぁ…って。どう扱うねん、あいつ…みたいな。
 
--プレゼンには何人かいたんですか?
 
西野 4人いて。
 
--そのうち西野さんが相方に。
 
小林 みんなやらんかったんですよ。
 
--西野さんはなんで断れなかったんでしょうか。
 
西野 僕もやりたいことがなかったからじゃないですかね。最初は「えー、マジで、そんなんきついわ、人前で何かやるのは」とか言ってて。その後に文鳥を相方にしてるのを見て、さらに思ったんですけど、まあ…。
 
--気がつけば17年。
 
西野 そうですね。何も考えずにやってるからまだやれてるんでしょうね。僕らも一緒ですよ、小林のYouTubeの話と。ゲンコツやってるやつとやられたやつと。何にも変わらないです。
 
--単独ライブは、オール新作ですか?
 
小林 準新作もありますね。
 
西野 準新作…(笑)。結構言うな、みんな。「準新作」。じゅん、長作じゃなくて? レツゴー的な。
 
--レツゴー感ありますよね(笑)。
 
西野 いやもう、「じゅん」「長作」しか出てこうへんから。
 
--では、月並みですが、最後にメッセージをください。
 
西野 いろんな誘いを断って、ぜひ来てください。
 
小林 それがすべてじゃないですかね。僕もいろいろ断って、この日は単独のために空けておきます。
 
西野 当たり前や。
 



(2017年4月12日更新)


Check

チョップリン単独ライブ「断る。」
【大阪公演】

[出演]チョップリン

▼4月15日(土) 19:00
道頓堀角座
前売-1500円 当日-2000円(整理番号付)
[問]DAIHATSU MOVE 道頓堀角座
[TEL]06-7898-9011
※未就学児童は入場不可。

西野さん、小林さんのツイッターでも取り置き受付中!
西野さん
https://twitter.com/choplin_nishino

小林さん
https://twitter.com/choplin_koba


【東京公演】

Pコード:597-690
▼5月20日(土) 19:00
松竹芸能 新宿角座
前売-2000円(整理番号付)
[問]松竹芸能 新宿角座
[TEL]03-3226-8081
※未就学児童は入場不可。

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