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「どんなにいじられてもいいように覚悟はしてます」
若いスタッフたちと取り組む浅香あき恵の芸能生活
40周年の記念イベントがなんばグランド花月で開催!
吉本新喜劇のブサイクキャラとして先頭を行く
あき恵ちゃんの40年とは?

芸能生活40年を迎え、記念イベントを行う吉本新喜劇のブサイクキャラ(!)の浅香あき恵。いじられてもいじられてもめげないブスの貫禄を見せる彼女に40年を振り返ってもらった。

--芸能生活40周年おめでとうございます。今回、なんばグランド花月で記念イベントを行われます。

そうなんです。芸能生活35周年の時は、同じなんばグランド花月で1週間、昼興行の時に私が座長というかたちで吉本新喜劇をやらせていただいたんですけど、今回、40年目を迎えるにあたって実はあんまり考えてなかったんですね。それに元々、自分から自発的にやりたい!っていうタイプではないので、周りのスタッフさんや新喜劇の人たちから「そういや40周年でしょ!」「なんかやりはるんですか?」「イベントやりますよね」って言われ出しまして、そう言われるとやらなアカンのかなぁ…やるべきなんかなぁ…でもチケット売るの、大変やしなぁと尻込みしてたら「大丈夫ですって!チケット売れますから!」「心配せんでもよろしいやん」て言われ、お尻叩いてもらいながらやっとやろう!って動いたんです。
 
--そうなんですか!
 
でも、実は本当は去年が40周年なんですけどね(笑)。
 
--え!?
 
20歳でこの世界に入って、1976年の7月21日が私、初舞台なんですよ。それで去年の10月23日の誕生日に60歳の還暦を迎えたので、それで40周年…。
 
――本来なら昨年の2016年にやるべきやったんですね!
 
そうなんです。先ほども言うたように、尻込みしてるうちにいたずらに月日だけが過ぎ、やっと重い腰を上げて私の誕生日くらいにって劇場を調べてもらったら、他の芸人さんとかのイベントで埋まっててまったく空いてなくて(笑)。それでどうしようかなと思っていたらスタッフさんが「3月31日までは今期っていうから、年またいでもいいんちゃいますか」って言うてくださって、あ、そうかと納得してやることになりました。まぁ私のお尻の重たさが原因なんですが、決まればハッピーということで(笑)。
 
――それにしてもそんなにお尻が重いイメージはないですけど。

いやぁ、まず私のイベントのチケットが売れるのかな?と。新喜劇の若い子たちがイベントが決まったら、よく「これからチケット販売してきます」とか、出番終わりで「手持ちチケット売りに行かなきゃいけないんですよ~」っていうのを聞いてると、私もチケット持って買ってくださいって言わなあかんのかなって。それを考えると、そんな勇気ないわ!と。だから絶対チケットは手売りできないって訴えたら、周りから「絶対手売りしなくても大丈夫です、売れますから」って言われたので。昔、若い頃に『あきえ組』ってイベントを心斎橋筋2丁目劇場でやったんですけど、その時はいきなりスナックとかに飛び込んでは「イベントやりますんでチケット買ってください」なんて、カラオケで歌の一曲でも披露して買ってもらったりしたことはあるんですけど、今はそんな勇気、とてもとても(笑)。今思えば若かったからできたことで、還暦でそれをやれって言われてもほんとできない(笑)。でも、おかげさまでチケットは順調に売れてきてるみたいです。
 
――さて、そんな40周年イベント、どんなことをやるのか、現在わかっている部分だけでもいいので教えていただけますか。

最初は私のいろんな顔を見せたいから、いろんな役をやりたいって提案したんですけど、新喜劇のお話として、いろんな役を演じるのは作りにくいと。『多羅尾伴内』的な、ある時はシェフ、ある時はコンビニの店員みたいなんとか、『24人のビリー・ミリガン』のような多重人格とかならと言われたんで、どうしたらできるか、あーでもない、こーでもないと色々話してたら、結局、そういうことってお客様は望んでないよねって(笑)。笑って、楽しんで、あー面白かったって思ってもらえることが一番よねって結論に至りまして、それで今回、ブレーンや作家さんたちを自分よりもずっと年下の若い人たちで固めて、私を好きに料理して!ってことで挑もうと思ってます。

――若いスタッフがどんなふうにあき恵さんを料理するかが、今回の一番の見どころでもありますね。

ですね。新喜劇のプロットを3本出していただいて、その中で今までの私やったら絶対演じないであろう役をやってみようと。で、一応いいなぁと選ばせていただいたのが、長らくコールドスリープしている私が、あるきっかけで目覚めるとそこは未来というもので。その世界は美容がさらにさらに進んでいて簡単に顔を変えたりとかできて、きれいな子ばっかり。そんな中に私が入り込んだもんやから大騒動になるって感じのものです。まぁこのプロットがどう変化して、もしくはガラリと変わるのかわからないですけど、お楽しみにってことで。そういう新喜劇が第1部でありまして、第2部はお祭りなので、私とゆかりのある人たちにいろいろと隠し芸的なことを披露していただいて、そこに私が絡ませていただこうと思ってます。それなら最初、私が思っていたいろんな役ができるなぁって。もちろん、こちらも定かではないんですが、まぁお祭りらしい2部になるはずです(笑)。

――聞くところによると、今回のポスターは娘さんがデザインをされたということですが。

そうなんです。娘は今、大学4年生でグラフィックデザイナーを目指してるんですが、なんとか就職も決まって、それなら社会人になる前にみんなに見ていただけるようなものを作ってみたらどうやろってことでお願いしたんです。

――すごくしっかりとしたデザインでいいですね。あき恵さんらしさも出ていて。

でも最初はね、女ターザンとか、昔、宮沢りえちゃんの『サンタフェ』っていうヌード写真集ありましたけど、あれみたいに扉の間から見せるとか、若い子たちから写真の設定アイデアをいろいろ出してもらったんですけど、どれも「身ぃ出すの!?」って感じで。この年齢なって身を出すのはちょっとなぁってことで、タイツで隠せる宇宙人なら大丈夫やろってことで、今回のシチュエーションで写真撮りました。それをうまく娘がデザインしてくれて…。私が気に入ってるのは、ポスターの左上にあるバラの花のマークなんです。娘もこれを最初にデザインしたみたいで、「ママはバラの花が好きだから、作ってみた」と言ってくれて、それでこれをグッズなんかにもポイントとして使ってもらってますので、ぜひ、グッズとかにも注目してほしいです!

――そして博多大吉さんをゲストに迎えらます。

そう! 博多華丸・大吉の二人には出てもらいたくて。でも華丸くんは博多座での舞台と重なってしまって、大吉くんだけになってしまったんです。 彼らは福岡吉本事務所の一期生の芸人なんですよね。彼らとは、今から30年近く前にあった『新喜劇やめよッカナ!?キャンペーン』で新喜劇を一旦、退団して、島田一の介さんと漫才コンビを組んで活動してた時、博多温泉劇場で一緒に寝泊りにしていた仲で。お互いに大変やった時期をわかりあえる同志なんです。 去年久しぶりに会った時、大吉くんが「あの時にお姉さんと出会ってなかったら、芸人やってなかったかもしれません」って言ってくれて、当時の話で盛り上がったんです。漫才やってた時は博多の劇場がほとんどで、芸人も作家もどんどん結束が堅くなって、いろんな笑いをやってた時期でした。だからこそ華大とは深いものがあって…。それだけに今回、大吉くんに出てもらうのは、感慨深いものがあります・
 
--そんな芸能生活40年を改めて振り返ってみていかがですか。

私は、もともとネガティブ思考で、小さい頃から物事をいいように取らへんかったんですよね。おまけに恥ずかしがり屋やわ、口下手やわで、なんとなく新喜劇でマドンナ役やってて、『吉本新喜劇やめよッカナ!?』に巻き込まれて退団し、漫才に転向した途端、新喜劇ブームが起きて…。そんな時、考えるこというたらネガティブなことになりますよね。せやけどそういうことが人生を見つめ直す時期やった。こんな経験もしないと人生楽しくないよっていうタイミングやったんやなあって思いますね。多分、あの時、新喜劇にいてずっとやってきてたら仕事一筋で結婚するタイミングも逃してたかもですから。

--今でこそ3枚目キャラの極限までいってますが、最初はマドンナ役が多かったですもんね。

おかしなもので入団当時、マドンナとしてちやほやされて、キレイやとか言われるような役をやってて、実際街を歩いてる時に「あれ、そうでもないやん」って言われること山ほどあって、傷つくことも多々ありましたから、今はほんまにいいポジションかも(笑)。舞台でブス、ブス言われる反面、プライベートでは「舞台とは違ってキレイですやん」とか言われるようになりましたから。振り子の原理、プラマイゼロ(笑)。

--とはいえ覚悟はいったんじゃないですか?

うーん、確かに。ブス役としていじり出されたのは新喜劇に戻ってきてからで、再入団したもののポジションがなかったから、必然的にそっちへ…。最初は、正直なんでそんなにいじられなあかんねんって受け入れることがなかなかできへんかったんですけど、いじられればいじられるほど笑いが起きるんですよね。そうなるとやっぱり嬉しいし、成立することもいっぱいあって。うっちゃん(内場勝則)曰く「ほんまのブサイクにブサイクって言うたらお客さんは笑わへんけど、そこは姉さん、よくできたいい塩梅の顔なんです」って(笑)。ただ、どんどんたとえがエスカレートしていくから、さすがにあんまりやろ~って時はあります(笑)。でも今回、いろんな人に支えていただいて40周年させていただきますので、どんなにいじられてもいいように覚悟はしてますので、大いに笑い転げて楽しかった~って劇場を後にしてもらえたら嬉しいです!
 

取材・文/仲谷暢之
 



(2017年2月 6日更新)


Check

芸能生活40年記念公演
あき恵ちゃん祭り
~未来に向けてがんばルンバ~

発売中

Pコード:456-530

▼3月25日(土) 19:30

なんばグランド花月

全席指定-4500円

[出演]浅香あき恵/他

[ゲスト]博多華丸大吉・大吉

※5歳以上または身長110cm以上の方はお席が必要となります。(膝上でのお子様の観劇は1名様のみ可能です。)16歳未満の方は保護者同伴に限り入場可。ビデオ・カメラまたは携帯電話での撮影禁止。出演者は変更になる場合がありますので予めご了承下さい。変更・払戻不可。

[問]チケットよしもと予約問合せダイヤル
[TEL]0570-550-100

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プロフィール

浅香あき恵

1956年10月23日、大分県出身。1976年、なんば花月の進行役を経て、吉本新喜劇に入団し、その年に初舞台を踏む。マドンナ役で活躍するも1989年に行われた『吉本新喜劇やめよッカナ!?』キャンペーンで解雇され、島田一の介とコンビを組み漫才師として活動する。その後、解散を経て吉本新喜劇に再入団。ブサイクキャラとして今もテレビ、舞台で活躍中。