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スリリングなサイコ・ファンタジー
キャラメルボックスの人気作
『嵐になるまで待って』が8年ぶりに再演!

演劇集団キャラメルボックスの『嵐になるまで待って』が、8年ぶりに上演される。1993年に初演され、今回が5度目の再演となる人気作のひとつ。声優志望のヒロイン・君原ユーリと、人の行動を操ることができる“もう一つの声”を持った男・波多野祥也との攻防を軸に、愛する者を守ろうとするそれぞれの思いが激しくぶつかり合う様を描いたサイコ・ファンタジーだ。上演を前に、初演から本作に携わる西川浩幸(写真右)と、波多野を演じる鍛治本大樹(写真左)に話を聞いた。

本作へは今回が初出演となる鍛治本。演じる波多野は物語のキーパーソンだ。「表に発する声ではない、“裏の声”で人の行動を操ることができる特殊能力を持っている人物。ろうの姉を、特殊能力で守ろうとするのですが、行動が行き過ぎて事件が起きてしまう。その波多野の能力に主人公の君原ユーリが気付いて、物語が発展していきます」(鍛治本)。また西川が演じるのは精神科医の広瀬教授で、狂言回しの役でもある。「僕が演じる広瀬教授は、君原ユーリの相談に乗りながら、波多野姉弟と関わっていく。この物語は広瀬教授の回想で進んでいくので、僕は語り部として物語を進めていきます」(西川)。

サイコ・ファンタジーだけに、緊張感のあるスリリングな物語が展開。本作の魅力について鍛治本は「サスペンスの要素がありながらも、キャラメルボックスが大切にしている“人を思う気持ち”がちゃんと込められている。それぞれの思いがちょっと曲がった方向にいったり、行き過ぎてしまったり、人が抱えている悩みもしっかりと描かれた作品。僕は、キャラメルボックスを観たことがない方にオススメの作品を聞かれると、『嵐になるまで待って』を紹介しています」と語る。一方、初演から出演する西川は「キャラメルボックスは分かりやすくてストレートなお話が多いんですけど、この作品は、みんながちょっとずついろんな不安を抱えながら生きている世界が描かれている。それぞれに何かを抱えながらも、我々は前に進んでいくんだというお話になっていると思います」。

とはいえ西川は、芝居の緊張をフッと緩める“笑い”ももたらす。「僕も演出家も、笑いがないと生きていけないので(笑)。できるだけ楽しくやりたいですね。それは、苦しい状況だからこそ、明るく生きていこうという思いにつながるんじゃないかなと思うんです。楽しい部分はできるだけ新しく作っていきたいと思います。僕は、舞台は笑って、ちょっと泣けたらいいなと思っているので、“あ~、楽しかった!でもちょっと心が痛かったね”と思って帰っていただけたら一番だなと思っています」(西川)

また本作は、手話を使いながら表現するのも見どころのひとつ。「僕が演じる波多野のお姉さんがろう者なので、セリフを言いながら通訳をする場面もあるんです。誰が観ても違和感なく、日常から使っている雰囲気を出せるようにしたいと思っています。あと、手話以上に不安なのがアクション。後半はアクションしかしていないくらい多いので(笑)、怪我に気を付けて、毎回全力でアクションできるように頑張りたいと思います」(鍛治本)

さらに、歴代の波多野を見続けてきた西川は「波多野役は難しい」と語るが、「今の鍛治本ならこれまでの役者と遜色なく演じられる」と、太鼓判を押す。「役者は、どの役をどのタイミングでいただけるかで、伸び方が変わってくる。そういう意味ではすごく運がいいと思います。波多野を演じるには、役者としてある程度お客さんに浸透していないとダメだし、冷たい演技ができないとダメ。彼は、クールな役はやってきていないですが、それができる段階ではあるので、とてもいいタイミングだと思います。この作品を経験することで、また何段階も成長できるんじゃないかなと期待しています」というベテランの言葉に、「ハードル上がりますね!」と、笑う鍛治本。しかし「僕は入団10年目くらいで、今までは創立メンバーに支えてもらってきたんですけど、この2~3年、劇団が30周年を迎えた頃からは、それじゃいけないなと。自分たちが先輩を超えていかないと集団はどんどん停滞していくと思うので、やってやる!という気持ちの方が強いです。不安はあまりないですね」と、力を込める。そして「この作品は、キャラメルボックスの歌舞伎作品だと思います。キャラクターも熟成していて、物語の面白さも間違いがない。その中で一新されたキャストが、役に向かっていく姿や、僕たちがどうこの作品を広げていくのか、楽しみにしていただきたいと思います」と、意気込みを語った。

 

取材・文/黒石悦子




(2016年10月14日更新)


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キャラメルボックス 2016
グリーティングシアター
「嵐になるまで待って」

発売中

Pコード:450-969

▼10月14日(金)19:00
▼10月15日(土)13:00/18:00
▼10月16日(日)13:00
サンケイホールブリーゼ

全席指定-6500円
ユースチケット(24歳以下)-4000円
OVER60割引-4000円

[脚本]成井豊 [演出]成井豊+有坂美紀
[出演]原田樹里/一色洋平/鍛治本大樹/岡内美喜子/久保貫太郎/山崎雄也/木村玲衣/関根翔太/毛塚陽介/西川浩幸

※未就学児童は入場不可。
[問]キャラメルボックス■03-5342-0220/ブリーゼチケットセンター■06-6341-8888

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