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「視点をズラすことで日常の楽しみが増える」
ヨーロッパ企画の劇団内ユニット・イエティが
“幽霊”を題材にしたライトコメディを上演!

京都を拠点に活動するヨーロッパ企画の劇団内ユニット・イエティの新作公演『ヤだなコワいななんかヘンだな』が、6月16日より京都の元・立誠小学校で始まった。この京都公演を皮切りに、東京・大阪で上演。作・演出を手掛けるのは、同劇団の主宰・上田誠の助手を務めるほか、ラジオやテレビ番組などの構成、脚本を手掛ける大歳倫弘だ。彼が題材にするのは、インターネット、テレビ通販、コンビニ、SNSなど、あまり取り上げられることが少ない現代のジャンクカルチャー。今回は“幽霊”を題材にしたコメディを展開する。


「前回上演した『杉沢村のアポカリプティックサウンド』でホラーコメディに挑戦したんですが、予想以上に怖がらせすぎてしまい、小学生が途中で退席してしまったことがあって…。とにかく申し訳なくて、もっと幽霊をポップに扱って、その子の気持ちを変えてあげたいなと(笑)。それと、実は今回の作品には元ネタがあるんです。2014年にコントとして15分くらいの長さで書いて、結構自信があったんですけど、あまり手応えがなくて(笑)。だからそのリベンジをしたいという気持ちもあります」。

そうしたふたつの反省を踏まえた“幽霊コメディ”は、ホラーではなく「幽霊が出てくるドタバタの話」。ちょっと不幸なことが続く主人公と、「怪談話に採用されない」という悩みを抱えた幽霊との出会いと別れを描いた、ハートウォーミングな物語でもある。「最初から悩みを抱えた幽霊を出したら怖くないだろうと(笑)。“カジュアルホラー”という言葉がぴったりの、よりライトなコメディを目指しています。だから、資料として読んだ本も、前回は都市伝説とかホラーものだったんですが、今回はスピリチュアル的なアプローチがされている本。“守護霊とうまくコミュニケーションとることで人生が上向くよ”みたいなものです(笑)」。

毎回、大歳がイエティで描きたいことは「視点をズラす面白さ」。普段身近にあるものに対して別の視点を持った作品を提示することで、観る人の日常の楽しみを増やしたいという。その要素として今回使われるのは“怪談CD”だ。「怪談CDって、その話を聴いて怖がるという目的があると思うんですが、それとは別の聴き方ができればいいなと。別の視点で聴くとホラー以外にも使えるんだよということを提案することが最大の目標ですね。例えばレンタルビデオ店のホラーコーナーって怖いけど、別の視点で見ることができれば怖くなくなると思うんですよ。そうなるとまた新しい楽しみが生まれると思うので、視点をズラす楽しさをどんどん追求していきたいと思います」。

 

取材・文:黒石悦子




(2016年6月17日更新)


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ヨーロッパ企画 イエティ
「ヤだなコワいななんかヘンだな」

発売中

Pコード:451-225

▼6月18日(土)13:00/★18:00
▼6月19日(日)13:00/18:00
元・立誠小学校 音楽室
自由席-2500円(整理番号付)

▼7月7日(木)★19:30
▼7月8日(金)19:30
▼7月9日(土)13:00/★18:00
▼7月10日(日)13:00
in→dependent theatre 1st
ベンチ席(指定)-3000円
イス席(指定)-3000円

[作・演出]大歳倫弘

[出演]角田貴志/永野宗典/吉川莉早/他

★=出演者による「おまけトークショー」あり。

※未就学児童は入場不可。

[問]サウンドクリエーター
[TEL]06-6357-4400

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大歳倫弘(おおとし・ともひろ)

●1985年7月30日生まれ、兵庫県出身。劇作家、演出家、構成作家。同志社大学入学と同時に、2005年よりヨーロッパ企画に参加。ヨーロッパ企画では本公演の脚本・演出を担当する上田誠の助手を務めるほか、ヨーロッパ企画メンバーがパーソナリティを務める「ヨーロッパ企画のブロードウェイラジオ!」(KBS京都ラジオ)の構成、映画やドラマの脚本を手掛ける。ヨーロッパ企画メンバーをゲストに迎えるスタイルで、2009年にイエティをスタート。今回が12作目となる。NHKEテレ『カテイカ』(毎水曜9:55~10:05)の脚本、9月10日(土)公開の映画『にがくてあまい』の脚本を担当。