ホーム > インタビュー&レポート > 2015年上半期の作品部門1位はMONOの『ぶた草の庭』 に決定! 観客が“本当に面白いと思う”作品と 役者を選出する恒例の「関西Best Act」を 演劇ライターの吉永美和子さんがレポート!
関西圏内で上演された芝居の中から「本当に面白かった芝居&役者」を、一般観客の投票&話し合いで決める「関西Best Act」。年々その結果への注目度が高まっているこの企画の、2015年上半期分の結果をお知らせいたします。
作品部門第一位は、現在の京都コメディシーンに大きな影響を与えた、土田英生率いる劇団・MONOの『ぶた草の庭』。不治の病に冒された人々の隔離施設で起こる、厳しくもおかしな人間模様を丹念に描いたコメディです。「MONOはいつもハイレベルだけど、今回はこれまで秘めてきた激情が見えた気がして、非常に突き動かされた。客演陣の良さも含めて、すべてがハマるべき所にハマった傑作」という声が上がりました。
第二位は、ヨーロッパ企画の上田誠が初めてダンスの演出に挑戦した、ダンスコメディ『呼び出さないで! アフタースクール』。特定の状況下にあると踊りだす女子高生たちが、その力を使って地球を守るというSF風コメディです。「ダンスに対してコメンタリー的なツッコミが入るので“今の動きはそういうことなのかー”と、振付の見方の幅が広がった。ダンスが苦手でも楽しめたし、新しい試みとしても面白い」とのコメントが。
役者部門の一位は、作品部門二位のTHE ROB CARLTONも含めて、今年だけで4本もの舞台に出演した関西の新たな客演王・大石英史。主演級の作品がないにも関わらず「すべて評価に値する仕事だった」という理由で(代表して劇団壱劇屋『Windows5000』でノミネート)、初ノミネートにして初の栄冠に輝きました。「これといった特徴も所在もないのに、なぜか強い存在感を残す類まれな役者。『Windows5000』での不思議な立ち位置の偽大家は、彼だからこそあの雰囲気が出せたのかも」などの賞賛の声が相次ぎました。
第二位は、スクエアの北村守。客演した浮遊許可証『君はあかつきの星』で演じた、暗い過去を持つ芝居小屋の下足番の役で、特に女性層からの熱い支持を得ての二位となりました。「スクエアでは挙動不審な役が多いけど、この舞台ではハンサムモードが全開。特に女優のおでこにキスをするシーンでは、女性客全員がバグを起こしたと思う」などの、萌え度高めな感想が集まりました。
第三位は「役者全員が良かったけど代表して」ということで、作品部門一位のMONO『ぶた草の庭』から、施設内での出来事を泰然として見つめる元職員役を好演した、劇団員の水沼健が選ばれました。「終末感濃厚な物語の中で、その世界観を最も体現していたと思う。生真面目に生きてきた人が、最後の最後に爆発するのがリアルだったし、それゆえに胸をしめつけられた」などの言葉が。
改めて振り返ると、役者部門二位の北村以外は、全員が京都拠点or京都になじみの深い集団&役者という結果に。現在の関西演劇界での京都勢の強さを、改めて実感させる結果となりました。今年後半以降は大阪、あるいはその他の地域の奮起にも期待したいと思います。
取材・文/吉永美和子
(2015年7月30日更新)
ヨーロッパ企画「遊星ブンボーグの接近」
[作][演出]上田誠
[音楽]HARCO
[出演]石田剛太/酒井善史/角田貴志/諏訪雅/土佐和成/中川晴樹/永野宗典/西村直子/本多力/岡嶋秀昭/中西ちさと/吉川莉早/川岡大次郎
栗東プレビュー公演
Pコード:445-414
▼9月5日(土) 15:00
栗東芸術文化会館さきら 中ホール
前売-2000円(指定)
※未就学児童は入場不可。
[問]栗東芸術文化会館さきら
[TEL]077-551-1414
Pコード:445-415
▼9月10日(木)~13日(日)
(木)(金)19:00 (土)(日)13:00
京都府立文化芸術会館
前売-3500円(指定)
Pコード:445-415
▼9月12日(土) 18:00
京都府立文化芸術会館
前売-3500円(指定)
※出演者による「おまけトークショー」あり。
Pコード:445-416
▼10月10日(土)~15日(木)
グランフロント大阪 北館4F ナレッジシアター
前売-4500円(指定)
※10/10(土)18:00公演は、出演者による「おまけトークショー」あり。
※10/12(月)18:00公演は、はビデオ撮影のため、客席にカメラが入ります
※学生シートは取り扱いなし。未就学児童は入場不可。
[問]サウンドクリエーター[TEL]06-6357-4400
THE ROB CARLTON
THE ROB CARLTON
SUMMER LIVE 2015
『The Beautiful Twilight』
大石英史出演
現代演劇レトロスペクティヴ
エイチエムピー・シアターカンパニー
エクスペリメンタル・パフォーマンス
『阿部定の犬』
維新派野外公演
『トワイライト』
・北村守出演
スクエア『湿原ラジオ』
水沼健作・演出公演
壁ノ花団『サイドカー』