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ホーム > インタビュー&レポート > 劇作家・後藤ひろひと&漫才師・矢野・兵動 兵動大樹 二大座長が贈る劇団ひろひょうの第2回公演が開幕! オールおっさんで繰り広げるおっさんたちの物語に ついて兵動大樹にインタビュー

劇作家・後藤ひろひと&漫才師・矢野・兵動 兵動大樹
二大座長が贈る劇団ひろひょうの第2回公演が開幕!
オールおっさんで繰り広げるおっさんたちの物語に
ついて兵動大樹にインタビュー

昨年一月に旗揚げした劇団ひろひょう。劇作家の後藤ひろひとと漫才師矢野・兵動の兵動大樹による二人座長の劇団ユニットだ。元々はお笑いイベントで一緒になった後藤ひろひとに兵動が若手芸人を紹介。彼らと一緒に演劇をしたいという提案ことから旗揚げされた。旗揚げ公演では、そんな若手芸人とともに“昼は漁師、夜は殺し屋”を主人公にした後藤作の『荒波次郎』を再演。それから約1年後、劇団ひろひょう第2回公演が決定した。二人座長のひとり、兵動大樹に最新作について話を聞いた。

--前回の劇団ひろひょう旗揚げ公演はいかがでした?
 
「以前公演された『荒波次郎』のDVDを後藤さんと一緒に観たんですよ。それで、“これやるの無理でしょう”と言うたら、後藤さんが“大丈夫、芝居で言うとやりやすいから。全員が熱く前に進んだら成立する内容だから”と言うてくれはったんですけど、さらにヒロイン役は、前回は元宝塚の方がやってはったんですけど、旗揚げ公演では堀川絵美(元バスガイドのぽっちゃりピン芸人)。ちょっとした出オチですやんと、しかも、いかにもヒロイン的な女性がいれば稽古場で男たちのテンションもあがりますけど、堀川やとモチベーションが上がらなさそうですやんと(笑)。顔合わせした時にちょっと本読みしたら、“もう大丈夫。堀川が歌って登場する瞬間は、え?彼女がヒロイン?みたいになるかもしれないけれど、歌い終わった らなんの違和感もなくなるよ”って言いはったんですよ、そしたら不思議なもんで僕らが麻痺してたのか、後藤さんの演出マジックにかかっていたのか堀川がヒロインとしてしか見えなくなってるんですよ(笑)。しかも初日から若手芸人が台本を一切持たずに稽古に臨むんですよ。特に主人公を演じたカバと爆ノ介の爆ノ介は、ただひとり和歌山弁の役やったんですけど、イントネーションを直しながらもガンガン自分の役にしていくんですね。もちろん他の芸人たちも台本からはずれて熱く熱く取り組んでいくのを目の当たりにして、再演というよりこれはこれで僕たちの作品になってきてるんやって感動して、泣きそうになりましたもん。もちろん自分もおちおちしてられへんぞってなりました。そして本番も、いわゆ る昇華したって感じでしょうか、若手も含めて全員の実力が発揮されてやって良かったなとぁって思いましたね。堀川もきっちりヒロインになってましたし、お客さんも少なくとも芝居の中ではヒロインに見えてたと思いますよ(笑)」

--二人座長のひとりとしてはいかがでした?
 
「座長らしいことは一切できてなかったですね。とりあえずテンパるし(笑)。それに僕の役で絶対セリフで噛むとこあったんですよ。“シール、毒、見切れ位置、確保”みたいなセリフなんですが、なんでか絶対噛むんですよ。オープニングの、大統領が暗殺された時に言う重要なセリフやから絶対噛んだらあかんのに…。初日も噛んだんですよ。2日目も噛んで、そしたら舞台袖に後藤さんが身長測るみたいに手を伸ばして立ってはって、“はい、はいこっち来て”って言われて。行ったらその身長測るみたいに伸ばした手でペシって頭叩かれて、”また噛んだね”って(笑)。自分でもなんで噛むんやろって凹んで、3日目の楽日は噛まなかったんです。そして舞台袖に戻ったら、待機してるみんなが“ついにやりました ね!”って喜んでくれたりして。僕が頼りないから若手たちがなんとか座長に見えるように盛り上げてくれたような感じでしたね」
 
--前回は周りが座長として盛り立ててくれましたけど、今回はそうはいかなそうなメンツですね(笑)。
 
「確かに(笑)。本当は昨年の秋にやりたくて、若手、ベテランと交互にできたらなって思ってたんです。けど、秋の公演が延期になって、今回です。やろうとしてた話も、最初は違うものやったんですけど、後藤さんから“こっちの方がいいかも”と言うていただいたのが、この『やすらぎの家』。実は2001年に吹田と能勢、貝塚だけでやった話で、観ている人はごっつい少ないそうです。ある意味、後藤さんの幻の作品なんですね。その時は間寛平師匠や山内圭哉さん、川下大洋さんらが出てはったんですが、台本はあっても映像など資料が残ってなくて。そういう部分では前回上演を意識せずにできるかなあと思ってます。一応、四人芝居なんですが、ある場所にホームレスたちを支援する家があり、そこが“やすらぎの家”って名前なんです。そこを舞台に、寮長と3人のホームレスが繰り広げる、やすらぎとは名ばかりの、ちっともやすらげない人間模様を描いてます。
 
--配役を教えてください。
 
「賢いホームレスに内場(勝則)さん、今風の若者やのになぜかホームレスになってる男にキングコングの西野(亮廣)。そして秘密を抱えたホームレスに僕。やすらぎの家寮長に(西川)のりお師匠と言うキャスティングです。キャスティングの打ち合わせをしてるとき、内場さんは後藤さんの芝居は何度も出てはるので盤石やし、西野は後藤さんを多大にリスペクトして、自称弟子やし(笑)。あと、役柄でいうと狂気の人が欲しいと。今、誰がおると煮詰まったんですね。そんな時、僕が“キレる人っていうと西川のりお師匠しか浮かびませんわ”って言うたら周りのスタッフが“そうだ!のりおさんだ!”となって、交渉していただいたんです。まさか引き受けていただけるとは 思わなかったので、のりお師匠に決まったという報告があった時は思わずガッツポーズしましましたね」
 
--稽古が始まっていかがですか?
 
「まだそんなにガッツリはしてないのですが、正直これだけのメンツが集まって大丈夫かなと顔合わせしたときに思いましたね。それぞれ一国一城の主、清洲会議みたいじゃないですか。新喜劇の座長である内場さん、漫才で一時代を築いて自らも小説書いたりしてはるのりお師匠、そして自分でも独自でイベントやったり舞台の脚本書いてる西野、一応は劇団ひろひょうの座長の一人である僕、そして後藤ひろひとさん。しかも全員オーバー30のオッサン(笑)。今さら僕が指示を出せるわけないですから、後藤さんにお任せです。そしたら一回軽く本読みをやったあと、“これは傑作になるかも。大阪だけじゃなく東京や名古屋でもやれる。もう見えた”って言いはったんですよ。そ れを聞いて自分も改めて俯瞰してみると、まぁまぁのドリームマッチ、今後ない組み合わせやなと。しかものりお師匠なんて存在自体が凄いし、なんてことないセリフを言うても“間”とかタイミングとか絶妙で、めっちゃ笑うときがあるんですよ。もう台本のセリフやなく、のりお師匠のセリフになってるんです。これは凄いなって思いましたね。それだけに稽古が続いていくうちに、さっきの後藤さんじゃないですけど、僕も芝居の完成形が見えてくる時がやってくると思います」
 
--最後に今回の舞台への意気込みを。
 
「ゴリゴリのおっさんばっかりですけど、それぞれが10出せば11、20出せば21というふうに一生懸命を競い合うと思います。それぐらい刺激的なぶつかり合いで楽しみです。僕自身、これまで芝居に何度か出していただいたり、番組で他の舞台の取材をさせていただいたりして、演劇で笑いを取れる人が多いことを改めて認識して、嫉妬してしまってたんで、自分もその演劇の世界に飛び込んで違う筋肉を鍛えて、また漫才の世界、矢野・兵動に戻った時に役立てたいなと思います。相方の矢野は純粋にボディに筋肉つけてますけど、僕は今回の舞台で芸に筋肉をつけたいと思います(笑)。ゴールデンウィークなので予定が詰まってる方も多いと思いますけどぜひ、このドリームマッチをナマで観ていただけたらと思います」
 
(取材・文/仲谷暢之)



(2015年4月20日更新)


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兵動大樹
ひょうどうだいき●1970年7月24日大阪市生まれ。NSC9期生。漫才師、矢野・兵動として活躍。2009年には上方漫才大賞を受賞。個人的には『人志松本のすべらない話』では4回MVSを獲得し、定期的に行なわれているライブ『兵動大樹のおしゃべり大好き』でも極上のひとりしゃべりを繰り広げている。

劇団ひろひょう
第2回公演「やすらぎの家」

発売中 Pコード:442-950

▼4月28日(火)19:00
▼4月29日(水)13:00/17:00
▼4月30日(木)15:00/19:00
▼5月1日(金)19:00
▼5月2日(土)13:00/17:00
▼5月3日(日・祝)13:00/17:00

大丸心斎橋劇場

前売指定-4000円

[出演]後藤ひろひと/兵動大樹/内場勝則/西野亮廣/西川のりお

※5歳以上は有料。4歳以下は膝上のみ無料。お席が必要な場合は有料。ビデオ・カメラまたは携帯電話での撮影禁止。出演者は変更になる場合がありますので予めご了承下さい。変更・払戻不可。

[問]チケットよしもと予約問合せダイヤル
[TEL]0570-550-100

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