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「2012年の日本で上演するとなった時、
舞台に立つ人間にどれだけ出せるか」
2012年のへドウィグに挑む森山未來にインタビュー

1997年、オフ・ブロードウェイで初上演されロングランを記録。その後は、イギリス、カナダ、ドイツなど世界各地で上演、また2001年には映画化もされた舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(日本では2002年に公開)。日本語版公演ではこれまで、ヘドウィグ役に三上博史(2004年、2005年)、山本耕史(2007~2009年)を起用し、上演。舞台でも映画でも、世界中で一大ブームを巻き起こしただけに、日本にもまた熱狂的なファンが数多く存在する人気作だ。
そして2012年、舞台に映画、ドラマと大活躍、抜群の身体能力も併せ持つ森山未來をヘドウィグに起用し、若者のリアルな日常を描き出し、ヒット作を生み出している大根仁の演出のもと、舞台を近未来・日本に変え、新たなるヘドウィグ・ワールドを構築する。
また、男装をし、ヘドウィグに恋をして“夫”となるイツァーク役には舞台初出演となる後藤まりこが登場、同じく舞台初挑戦、スガシカオが日本語詞訳を手がけるなど話題満載の本作について、主演の森山未來が語った。

原作では、共産主義体制崩壊以前の東ドイツに生まれたヘドウィグ、彼がまだハンセルと名乗り“男の子”だった頃、母親に性転換手術を受けさせられるも手術は失敗。彼の股間には「怒りの1インチ(アングリー・インチ)」が残されていた。そしてアメリカに渡り、ロックスターの夢を思い起こしてバンドを結成。失恋や裏切りなど様々な経験を経て、自分のバンド「アングリー・インチ」を引き連れて元恋人のバンドを追いかけ全米を巡り、自分のカタワレ=愛を捜し求めていく…という物語になっているが――

森山未來(以下、森山):『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、20歳ぐらいの時に映画版を観たのが最初でした。舞台では、山本耕史さんの主演作を拝見しました。この舞台はいわゆるミュージカルというものとはあり方がちょっと違うので、パフォーマンス云々ではなくて、“俺だったらどう表現するかな”と思いながら観ていました。舞台とお客さんの距離感が普通の舞台の線引きとはちょっと違うので、そこに興味がありましたね。

そして2012年、新たなるヘドウィグ役に選ばれた。かつて“自分だったらどうするか”と考えていた森山、本作ではどのように向き合うのだろう。

森山:2012年の日本で上演するとなった時、舞台に立つ人間にどれだけ出せるか。ヘドウィグというキャラクターをまとってはいるけれども、森山未來であって。そこはしっかり日本人であることを伝えていくべきというか。ヘドウィグは東ドイツで生まれて、アメリカに渡りますが、渡った直後にベルリンの壁が崩壊して。結局、東西の間に立たされたまま、どこにも行けなくなっているところが象徴的だと思うんです。どっちにも引っ張られながら、壊れた壁の上に立っているような感覚。自分はどっち側なんだろうとか、自分が元々持っているバックボーンなど併せて、存在として屹立していると思うんです。作品の中では”カタワレ”を探して旅をしていますが、それは結局、自分の中の神を探しているとも思えるんですよね。神というと宗教的に聞こえるかもしれないけど、僕の中での神とは“自分自身を救ってあげられる存在”で、それは自分の中から発見することができるはずだと思ったので、ヘドウィグがそれを探しながら回想したり、壊れたりする感じは何となく共有できますね。

演出を担うのは『モテキ』でも抜群のコンビネーションを見せた大根仁。

森山:『ヘドウィグ』はこんなに面白い楽曲があって、ラインがあるから、舞台を客観的に監査している人がいいな、と思ったんです。マルバツの札を持って“今のパフォーマンスがよかった”か、“悪かった”とか判断だけしてくれる目線が欲しくて。それはどういう目線なのかなと考えた時、舞台としてのライブではなく、音楽としてのライブというものをしっかり知っている方にお願いしたかったんです。そして、今の2012年という音楽シーンやあり方を体で感じている人がいいな、と思ったんです。大根さんは、ライブに行く感覚、音楽をちゃんと流れで見る感覚を大事にしている方なので、ステージの見方は信頼が置けるんじゃないかなと思ったんです。

また、日本語詞訳を手がけるスガシカオも、森山からのオファーだ。

森山:スガさんはミュージシャンとしても大好きで。以前、スガさんのライブを観に行って、そのまま打ち上げに参加させてもらったんです。その時にたまたまミュージカルの話題になって。いわゆる日本での輸入もののミュージカルの訳詞について二人で盛り上がったんです。ミュージカルの訳詞は、英語から日本語に訳して同じ譜割りで言葉を埋めていこうとしても、そんなに埋められないので言葉を省略する場合があるんですよね。結果的に情報が少なくなって、入ってくるものも少なくなる。日本語にもいろんな取り方があるし、「ありがとう」という言葉一つでもいろんな意味の取り方があるので、そういう意訳ができないのかなというお話をしました。今回はその流れでお願いしました。

森山未來×後藤まりこという異色ペアに、大根仁、スガシカオと森山が信頼を寄せるクリエイターたちが見せる『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。生粋の作品ファンに対しても「サントラとか輸入して取り寄せている人も絶対多いから、そこをどう壊すか、慎重かつ大胆にできたらなと思ってます」と意気込む森山。2012年、森山版『ヘドウィグ』が間もなく、Zepp Nambaで幕を開ける。




(2012年9月11日更新)


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森山未來
もりやまみらい●1999年『ボーイズ・タイム』(パルコ劇場他)で本格的舞台デビュー。舞台・ドラマと活躍する中、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)で、ブルーリボン賞・新人賞、日本アカデミー賞・優秀助演男優賞、新人賞を受賞。映画『その街のこども』(11/井上剛監督)、『モテキ』(11/大根仁監督)、舞台『ネジと紙幣』(09)、『変身』(10)、『TANGO』(10)、劇団☆新感線『髑髏城の七人』(11)など。また、『ALWAYS三丁目の夕日'64』(山崎貴監督)、『セイジ-陸の魚-』(伊勢谷友介監督)、コンテンポラリーを主とする舞台『テ ヅカ TeZukA』 (振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ/制作協力:手塚プロダクション)などがある。近年では、自身が主演するダンスライブの演出も自ら手がけるなど、俳優業だけでなく、活躍の場を拡げている。今後の待機作に、映画『北のカナリアたち』(阪本順治監督/11月3日公開)がある。

●公演情報

ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

発売中
Pコード:420-177(各公演日3日前まで販売)

▼9月14日(金)19:00
▼9月15日(土)13:00/17:00
▼9月16日(日)13:00
▼9月17日(月・祝)13:00

Zepp Namba(OSAKA)

指定席-7800円(ドリンク代別途要)

[作]ジョン・キャメロン・ミッチェル
[演出]大根仁
[訳詞]スガシカオ
[作詞][作曲]スティーヴン・トラスク

[出演]森山未來/後藤まりこ
岩崎太整(key)/MAKO-T(p)/木島“MAX”靖夫(g)/フルタナオキ(b)/阿部徹a.k.a.SANTA(ds)/永友聖也(g)

※未就学児童は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』公式サイト
http://www.hedwig2012.jp/

前売チケットは公演日3日前まで販売。
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森山未來、後藤まりこによる
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