インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 英国の若手演出家、ジョナサン・マンビィが手掛ける 作品としても話題の『ロミオ&ジュリエット』について 初舞台にして初主演となる佐藤健にインタビュー!

英国の若手演出家、ジョナサン・マンビィが手掛ける
作品としても話題の『ロミオ&ジュリエット』について
初舞台にして初主演となる佐藤健にインタビュー!

運命の出会いから5日間、悲しい結末が待ち受ける若い二人の恋物語を描いたシェイクスピアの傑作戯曲『ロミオ&ジュリエット』。これまでに数えきれないほど上演され続けてきた恋愛悲劇の最高傑作が間もなく、大阪のシアターBRAVA!で幕を開ける。
ロミオ役を務めるのは、本作で初舞台・初主演となる佐藤健。そして、ヒロインのジュリエット役には石原さとみ。演出はイギリス演劇界の名門、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身の若手舞台演出家、ジョナサン・マンビィ。彼にとって『ロミオ&ジュリエット』は、日本での初演出作品だ。そんな多くの演劇ファンが注目している本作について、東京公演開幕前に主演を務める佐藤健に話を聞いた。

『ロミオ&ジュリエット』が初の舞台作品となる佐藤。まずは、舞台初出演についての感想を尋ねると…。

佐藤健(以下、佐藤)「この世界に入る前から舞台は好きで、野田秀樹さんの作品や劇団☆新感線など観に行っていましたね。そして、ドラマとか映画に出始めた頃から、いつか舞台をやりたいという気持ちがありました。初めてのことをするには勇気がいるじゃないですか。これまで、舞台作品に対して、“いつかやらなきゃいけない”“いつかその一歩を踏み出さなきゃいけない”という不安もありつつ、出てみたい気持ちもあって。なので、“遂にその時が来てしまった”という感じですね」

出演が決まった後、日本での稽古の前に本公演で演出を手がけるジョナサン・マンビィによるワークショップに参加した佐藤。ワークショップはロンドンで5日間、行われた。ここでの手ごたえについては?

佐藤「僕にとって初めての舞台ということで不安もあったんですが、ジョナサンがその不安を少しでも解消しようと“深く考え過ぎないで来てくれ”とおっしゃってくれたこともあって、とても楽しい5日間になりました。内容もとても充実していました。例えば、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで『ハムレット』を演じられた俳優のサミュエル・ウェストさんに来ていただいて、『ハムレット』の独白シーンを演じてもらったことが印象的でした。シェイクスピア作品は一人で台本何ページ分も喋るシーンが特徴的で、そこが見せ場だったりすると思うのです。僕はそんな台詞をどう言っていいのか見当がつかなかったのですが、サミュエルさんは具体的な方法論を教えてくれました。それは今まで全く光が見えなかったところにちょっとだけ光が見えた瞬間でした」

続いて、『ロミオとジュリエット』というシェイクスピア作品に抱いているイメージを聞いた。

佐藤「小さい頃から知っていた話ではあるのですが、今回、改めて深く理解していこうという中で、舞台についてもロミオについても印象がどんどん変わっていきました。出会ってから恋をして死を迎えるまでものすごくスピーディーで、語弊があるかもしれませんが、極端と言うかすごくぶっ飛んだ作品という印象がありました。でも、自分が演じるとなって物語を読んでいくうちに、5日間の出来事の中にすべてを凝縮せねばならない、すべてのエネルギーをそこに凝縮させたからこそ、オーバーな感じがするんだなという印象に変わりましたね」

では、ロミオという男性に対してはどう見ているのだろう。

佐藤「ジョナサンも言っていたのですが、ロミオは物事を客観的に見て冷静に判断する部分と、心が先に動いてしまう感情的な部分という、両極端なものを持っている人だなと思います」

そんなロミオとの共通点については…。

佐藤「何だろうなぁ…。ジョナサンは、その頭で考える部分と心で感じる部分の二つを持っているところがロミオと僕の共通点だとおっしゃったのですが、自分自身ではよくわかりません(笑)」

では、ロミオの恋愛観に対しては共感を覚える点はあるのだろうか?

佐藤「そこまで人を好きになれることがうらやましいですね。なかなかできることじゃないと思います。僕の悲しい別れの経験ですか? うーん…プライベートはそういったエピソードは乏しいですね(笑)。何なら『ロミオ&ジュリエット』のような経験は初めてです。せっかくだから楽しみたいと思います」

そんな“未知なる恋愛悲劇”をともに描く相手が石原さとみだ。今回、石原とも初共演を果たす佐藤。二人で『ロミオ&ジュリエット』を演じることについては…。

佐藤「原作の二人はすごく若いんですよね。ジュリエットが14歳とかで。この舞台でももちろん若いのですが、ジョナサンは“そこまで若く見せようとも思っていない”と。石原さんが24歳で、僕が今、22歳で。そんな二人がやる意味というか、ちょっと大人のロミオとジュリエットになるんじゃないかなと思います」

これまでストレートプレイやミュージカルと、様々な形で上演されてきた『ロミオとジュリエット』。「変な先入観を持たないで現場に入りたい」と語る佐藤は、既存の作品には触れずに舞台に挑むという。それは、ワークショップや多くの対話を通じて育んだジョナサン・マンビィとの信頼関係があるからこそなのだろう。そして、「すべての公演に万全の状態で挑みたいです。舞台だと本番でのNGができないので、台詞を噛まないようにしたいです」と意気込む。

また、若い男女が命を賭けて遂げようとする恋愛物語だからこそ、「今、恋をしていない、恋ができないと思っている人は恋をしたくなると思いますし、恋人や配偶者など、大切な人がいる方は、その人のことがより愛おしくなると思います」とも。やがて悲劇の結末が待ち受けると知りつつも、前向きに人を愛することを考えさせられるに違いない本作。佐藤と石原が全身全霊で魅せる2012年の『ロミオ&ジュリエット』に、大いに期待したい。
 




【あらすじ】

14世紀イタリアの都市ヴェローナ。
この都には、モンタギュー家とキャピュレット家という二つの敵対する名家があり、その争いはしばしば街の平穏を破っていた。

モンタギュー家の一人息子ロミオはある夜、友人たちに誘われ、キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込む。そこでロミオは可憐な少女ジュリエットに出逢い、二人は運命に導かれるかのように瞬く間に恋に落ちる。
だがジュリエットは、仇敵キャピュレット家の一人娘だった……。

互いが仇同士であることを知った二人は、彼らの恋が暗い闇に覆われていることを察しながらも、その燃え上がる想いを止めることができない。ロレンス神父の助けを得た二人は密かに結婚の誓いを交わし、ロレンスは彼らの純粋な心が両家の争いに終止符を打つことを期待する。

しかし、その直後、ロミオは街頭での争いに巻き込まれ、友人マキューシオを殺された慟哭ゆえ、ジュリエットの従兄弟であるキャピュレット家のティボルトを刺し殺してしまう。憎しみの連鎖が生んだ暗い渦の中に巻き込まれていくロミオとジュリエットの運命はやがて──。

(『ロミオ&ジュリエット』公式サイトより)

(2012年5月11日更新)


Check

●公演情報

『ロミオ&ジュリエット』

▼5月31日(木)~6月10日(日)
※6/4(火)は休演。

火木金19:00
水14:00/19:00
土日13:00/18:00
※6/10(日)13:00。

<追加公演>
▼6月7日(木) 14:00

シアターBRAVA!

S席-11000円
A席-9000円

[原作]ウィリアム・シェイクスピア
[翻訳]松岡和子
[演出]ジョナサン・マンビィ
[美術][衣裳]マイク・ブリットン
[上演台本]青木豪
[出演]佐藤健 石原さとみ/
賀来賢人 菅田将暉 尾上寛之/姜暢雄/
コング桑田 楠見薫 原康義 玉置玲央 平間壮一 平埜生成 玉置孝匡 石倉良信 大村学 多和田えみ 六本木康弘 向野章太郎 加藤潤一 高橋秀行 桜乃まゆこ 清家悠圭 正井雪香/
石野真子 長谷川初範/キムラ緑子 橋本さとし

※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
(10:00~19:00)

『ロミオ&ジュリエット』
公式サイト
http://www.rj-2012.com/


●プロフィール

佐藤健

佐藤健
さとうたける/1989年生まれ、埼玉県出身。2007年に『仮面ライダー電王』で主役デビュー。ほか、『ROOKIES』(TBS・2008)『ブラッディ・マンデイ』(TBS・2008、2010)『メイちゃんの執事』(CX・2009)に出演。また、2010年にはNHK大河ドラマ『龍馬伝』で岡田以蔵役を好演し、幅広い層の人気を獲得した。2009年に『ROOKIES─卒業─』、2010年に『BECK』と映画に出演、最新作『るろうに剣心』が8/25より公開 。本作が待望の初舞台にして初主演となる。