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ふたりの“愛”の行方は!? 
劇団☆新感線『シレンとラギ』、上演中!

劇団☆新感線が、ドラマ性を重視して描くケレン味あふれる時代活劇“いのうえ歌舞伎”シリーズ。その最新作『シレンとラギ』が、4月24日、大阪・梅田芸術劇場で幕を開けた。本作は、新感線初参加の藤原竜也と、19年ぶりの出演となる永作博美のダブル主演。新感線の舞台には珍しく、ふたりの恋愛を軸としたドラマが描かれている。

南北朝をモチーフとした時代背景。若く愚かなギセン将軍(三宅弘城)を王とする北の王国に、伝説の暗殺者で毒使いのシレン(永作)が、キョウゴク(古田新太)に呼び戻された。20年前、南の王国の独裁者・ゴダイ大師(高橋克実)を自然死に見せかけて暗殺したシレン。ラギ(藤原)は伝説と呼ばれるシレンと出会い、その想像以上の美しさと彼女が持つ影に惹かれていく。呼び戻されたシレンの任務は、20年ぶりに仮死状態から目覚めたゴダイの暗殺。そしてシレンとラギは南の王国へと向かうが……。

長い年月をかけた、ふたつの王国の陰謀と因果に翻弄され、思わぬ方向に向かっていく“愛”。そんな壮大な設定の中で、私利私欲の野心や愛憎が渦巻く世界が繊細に描かれている。一方で、いのうえ歌舞伎ならではの痛快なアクションシーンもたっぷり。暗殺者としての運命を背負う永作は、女性ならではのしなやかな動きを見せ、藤原も、スピーディーで力強い刀さばきを見せている。かわいらしさと母性を併せ持つ永作、どこか少年性を残す藤原。ふたりはそのイメージを生かしながら、逞しくも脆い人間を生きる。

初参加の高橋克実はゾクッとするほどの絶対的な教祖の恐さを醸し出し、ミサギ役の石橋杏奈は、私利私欲にまみれた大人たちの中でひとり、純で清廉な佇まいを見せる。さらには『鋼鉄番長』での活躍も記憶に新しい三宅弘城、『メタルマクベス』以来の登場となる北村有起哉と、安定した、力のある役者陣が物語に厚みを持たせていく。登場人物たちがそれぞれに“顔”を変える瞬間が恐ろしい。もちろん、1年半ぶりの登場となる看板俳優の古田新太に、粟根まこと、高田聖子、橋本じゅんほか、久々に勢ぞろいした劇団員の活躍ぶりは言うまでもない。剛柔効かせた「さすが!」の演技で、笑いのシーンも全力投球。シリアスな空気に絶妙な間合いで笑いを巻き起こしていく。

“今”を象徴したようなラストシーン。それまでのドロドロとしたものを解き放つようにシレンが語る言葉が胸に深く響く。悲恋を軸にした物語は、皮肉や毒もたっぷりと含んだより濃厚な人間ドラマに仕上がっている。

大阪公演は5月14日(月)まで。

(取材・文/黒石悦子)




(2012年5月 8日更新)


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●公演情報

劇団☆新感線2012年春興行
いのうえ歌舞伎
「シレンとラギ」

発売中
Pコード:417-128

開催中

▼5月9日(水)13:00
▼5月10日(木)13:00/18:30
▼5月11日(金)18:30
▼5月12日(土)13:00/18:30
▼5月13日(日)13:00
▼5月14日(月)13:00

梅田芸術劇場 メインホール

S席-13500円

A席-10500円

B席-7500円

[作]中島かずき

[演出]いのうえひでのり

[出演]
藤原竜也
永作博美

高橋克実

三宅弘城
北村有起哉
石橋杏奈

橋本じゅん
高田聖子
粟根まこと

古田新太

右近健一 逆木圭一郎 河野まさと
村木よし子 インディ高橋 山本カナコ
礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ
保坂エマ 村木仁 川原正嗣 他

[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888

劇団☆新感線オフィシャルサイト
http://www.vi-shinkansen.co.jp/

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撮影:田中亜紀