ホーム > インタビュー&レポート > 最強のアンサンブルでどんな化学反応が起きるか!? 安蘭けいに訊く日本初上陸のステージ『CHESS』の魅力
――ミュージカル『CHESS』自体はもともとご存知でしたか?
「タカラヅカ時代に一路真輝さんがショーで『I know him so well』という曲を歌ってらっしゃって、それが『CHESS』という作品を知るきっかけでした。でも出演のお話をいただくまでは、詳しくは知りませんでしたね」
――当時、一路さんが歌ってらっしゃるのを聴いて、どのように感じられたのですか?
「本当に良い曲で、気持ちよさそうに歌っているのがすごく印象に残っています」
――まさか作品に出演するとは…。
「今回歌えるのがすごい巡り合わせというか、その曲との縁を感じます。最初に、ほかの曲も聴かせていただきまして、素晴らしい曲ばかりでぜひ歌ってみたいと思いましたし、日本初演で出させていただくのは本当に光栄に思いました」
――コンサートとしても成り立つ作品ということで、音楽の魅力がとても強いんでしょうね。
「そうですね。曲調もオペラ風だったり、ロックやポピュラー風だったり。バリエーションに富んでいて、今聴いても新しい印象を受けるんです。でもそれが、『ファントム』や『レ・ミゼラブル』と同時代のミュージカルということを知って、驚きましたね」
――難しく感じられているところはありますか?
「どんな歌でも歌いこなすには時間がかかるので同じように難しいんですが、コンサート形式なので、ストーリーをお客さんにどう伝えていくか、その加減が難しいのかなと。でも、ストーリーがなくても本当に1曲1曲のメロディーラインが素晴らしいので、全然飽きずに観ていただけるはずです」
――共演者も頼もしい方々ばかりですね。
「石井さんと中川さんは初めて共演させていただきます。今まで一観客として観ていた方々で、中川さんの歌には惚れこんでいて、CDを何回も何回も聴いていたときがあるんです。中川さん演じるフレディ側のセコンドであり、マネージャーという役どころなので、もちろんデュエットもありますし、中川さんの歌に自分の声を乗せることができるので、とても楽しみです」
――ミュージカルファンの方もきっと楽しみにされていると思います。
「そうだと嬉しいですね。でも私ほどではないと思いますよ!それくらい楽しみなんです(笑)」
――そこまで中川さんに惚れこまれたのは…?
「『モーツァルト!』を観たときに、衝撃を受けました!こんな歌が歌える日本の男性がいたんだ!って。今もお稽古場で聴いていて、和製マイケル・ジャクソンのように感じます。つい拍手を送りたくなる感じで(笑)。『One Night in Bangkok』という曲を原曲で歌われるんですが、めちゃくちゃかっこいいですよ!」
――すごく楽しみです(笑)。今回はコンサート形式で見せる形になりますが、ミュージカルとは感情の入り方が変わるんですか?
「ストーリーを追っていくような形になると思いますし、フローレンスとして歌うのでそこはあまり変わらないですね。ミュージカルほどに深く役作りをするわけではないかもしれないですが、やはりコンサートバージョンでも役としてしっかり歌いたいと思っています」
――ではフローレンスという女性をどのように捉えられていますか?
「フレディのセコンドでありマネージャーであり、ちょっと恋仲でもある彼女が、敵の石井さん扮するアナトリーに恋するという、三角関係の中の女性で。暗い過去を持っている女性ですが、それが彼女の強さになっているというか、しっかりと芯を持った女性なんだろうなって思います」
――この作品で安蘭さんが興味深く感じたところはどこでしょう?
「ゲーム自体は詳しくは知らないのですが、この作品はチェスゲームのように何が起こるかわからない。ただ白黒つけるわけではなく、それぞれがいろんな状況でそれぞれの人生を生きていて、チェスの駒のように動いている。そんな人間模様の面白さや、それがどう音楽で表現されているのかというところが見どころではないかと思います。例えば、フレディが歌う曲はロック調のもので、曲調で国々の色が出ていたりするので、そんな部分にも注目してほしいですね。めちゃくちゃミュージカルらしい曲からポップス、オペラまで、ひとつの作品の中でそれだけ幅広い要素があるなんて、あまりないと思うんですよ。何回聴いても楽しくて、飽きないですね!」
――そんな曲の数々を皆さんのアンサンブルで聴けるのが楽しみです。
「私も、それぞれの方とのデュエットを楽しみにしていますが、自分が歌っていないときに聴くのもすごく楽しみなんです。本当に曲が素晴らしいので、それを皆さんの美声で聴けるのが嬉しい。ぜひ劇場で聴いていただきたいです!」
(取材・文/黒石悦子)
(2012年1月25日更新)
発売中
Pコード:415-878
▼2月10日(金)18:30
▼2月11日(土・祝)13:00/18:00
▼2月12日(日)13:30
梅田芸術劇場 メインホール
S席-11000円 A席-8000円 B席-4000円
[原案・原作][作詞]ティム・ライス
[翻訳]荻田浩一(演出・訳詞)
[演出]荻田浩一(演出・訳詞)
[作曲]ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース
[音楽]島健(音楽監督)
[出演]安蘭けい/石井一孝/浦井健治/中川晃教
AKANE LIV/池谷京子/大野幸人/角川裕明/田村雄一/ひのあらた/横関咲栄
※未就学児童は入場不可。
★2/10(金)公演終了後、オールキャストによるスペシャルイベントあり。
また、ご観劇いただいたお客様全員に非売品ポストカードプレゼント!
★2/11(土・祝)18:00はアフタートークショーあり(〔出演〕安蘭けい/石井一孝/浦井健治/中川晃教)。
[問] 梅田芸術劇場[TEL]06-6377-3800
『CHESS in Concert』公式サイト
http://www.umegei.com/schedule/109/
スーパーポップグループABBA作曲、「エビータ」「ジーザス・クライスト・スーパースター」のティム・ライス原案・作詞の伝説の人気ミュージカル『チェス』。
2人のチェス世界チャンピアオンプレーヤーと、敵側の男性と恋に落ちるセコンドの女性。東西冷戦の時代、公正なチェスゲームが、アメリカとソビエト連邦、西と東の国家の思惑をはらんで展開する・・・。ほとばしる情熱と戦い、疑惑と秘密、その先の決意。
(公式サイトより)
あらん・けい●滋賀県出身。1991年宝塚歌劇団に首席で入団。『王家に捧ぐ歌』で2003年度芸術祭優秀賞、現役の歌劇団生として初の松尾芸能賞演劇新人賞を受賞。2006年星組男役トップスターに就任。2008年『スカーレット・ピンパーネル』で新東京宝塚劇場開場以来、史上最高の動員記録を樹立し、第34回菊田一夫演劇賞演劇大賞を受賞。2009年に退団。2010年に第1回岩谷時子賞奨励賞受賞。退団後の主な作品に『The Musical AIDA 』『ワンダフルタウン』『エディット・ピアフ』『MITSUKO - 愛は国境を越えて- 』、ソロコンサート『UNO 』『箱舟 2010 』など。2011年には蜷川幸雄演出の『アントニーとクレオパトラ』でクレオパトラを演じ、初の韓国公演を果たした。著書「Aran」(講談社刊)も発売中。6月には、ミュージカル『サンセット大通り』に主演。