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アガサ・クリスティーの傑作法廷ミステリーを
若手俳優集団D-BOYSがいかにして見せるのか!?
弁護士役に挑む五十嵐隼士にインタビュー!

 若手俳優集団D-BOYSの舞台公演D-BOYS STAGE 9th 『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』が間もなく大阪で上演される。本プロジェクト5年目を迎えたこの秋は、アガサ・クリスティーの傑作『検察側の証人』を大胆に翻訳して上演、初のミステリーに挑む。しかも、原作の主人公ウィルフリッド・ロバーツを2人のキャラクターに分け、秀才だが堅物で融通の利かない人格の越方行長役を瀬戸康史が、いい加減な性格だが弁が立つ星野太吉役を五十嵐隼士が演じる。

 昭和初期の日本を舞台に、2人の若手弁護士が奮闘し、成長する様を描いた本作。越方と星野という正反対のキャラクターである2人が営む弁護士事務所に、未亡人殺害の疑いをかけられた立花(柳下大)が助けを求めにやってくる。立花は間もなく逮捕されるのだが、そのアリバイを証明できるのは立花の妻・志摩子(馬渕英俚可)だけ。圧倒的に不利な状況を覆そうとする2人は、先輩でありライバルでもあるエリート検察官・藤堂(荒木宏文)との対決に挑むのだった…。

 「D-BOYS STAGE」においても、初の本格ミステリーとなる本公演。この作品にどんな気持ちで挑んでゆくのか、主演を務める五十嵐隼士に話を聞いた。

「普段、小説を読むのが苦手で割と避けてきたんですけど、この作品は初めて一度も止まることなく読み上げて、すごく引き込まれました。それがアガサ・クリスティーとの初めての出会いでした」

そう語るのは、いい加減だが弁の立つ弁護士・星野太吉を演じる五十嵐隼士。原作では、弁護士はウィルフリッド・ロバーツという一人の人間のみ出てくるのだが、本公演では「まじめ」と「いい加減」という正反対のキャラクターに分け、描いてゆく。そのうち五十嵐は「まじめ」じゃない方、の役。

五十嵐隼士(以下、五十嵐)「星野は自分に近いと思います。台本ができる前に、演出家の鈴木裕美さんとお話しする時間があったんですが、そのときに『ここで話したことを基本に、役を決めます』とおっしゃったんです。そして、いい加減なキャラクターの星野になりました(笑)」

では実際、そんな星野と合致する部分はあるのだろうか?

五十嵐「星野は毎回、法廷に遅刻してくるんです。その理由がいつも、朝まで飲んで寝てたって。でも僕は、実は裏で丁寧に調査とかしてるヤツなんじゃないかと思ったんですけど、そのバックボーンは全く出てこなくて、本当にただの遊び人でした(笑)。僕は、たとえ朝まで起きてても寝坊して仕事に遅刻することはないですね」

とは言え、やはり似ているところはあるようで、星野を演じるのも気が楽だという。それは特におしゃべりなところだそう。

五十嵐「D-BOYSの中でもおしゃべりですね~。3番目におしゃべりです。ちなみに1番はメンバーの和田正人ですね!」

法廷シーンでは、その「話術」が重要になるのだが、その点についてはどう構えているのだろう。

五十嵐「これまで出していただいた舞台でも台詞をかんで失敗したことはないので、今回もそうしないよう努力します。ただ、いつも何かやらかすんですよ、絶対。舞台中、殺陣のシーンでテンションが上がり過ぎて、ジャンプし過ぎて客席に落ちたりとか、やくざの役で博打で負けて、『どすで腹切って死んでやるー!』っていうシーンなのに、舞台にどすを持っていくのを忘れて死ねなくなっちゃたりとか(笑)。そういう何かはやらかすけど、台詞をかんだことはないので大丈夫です!」

また、生真面目な役どころの瀬戸とのやり取りも見どころだ。

五十嵐「瀬戸が扮する越方とは性格が違うけど、そういう人間が一つになったときは強いですよね。ただ普段は喧嘩をよくして、その理由がどうしようもないんですよ。越方は星野に好きな人を寝取られたことを引きずっていて、それで喧嘩を始めたり。そういうところも面白いと思います」

劇中ではまったく異なる性格の越方と星野。では、実際のところはどうなのだろうか。

五十嵐「まったく違いますね。瀬戸はとにかくシャイでしゃべらない。仕事が終わっても、すぐ家に帰って。僕、何しているんだろうと思って聞いたら『DVD観たり』とかって言うんですよ。そんなDVD観ないでしょ~っていう、怪しい部分があるんですよね(笑)。ただ、彼は天然なところがあって、『僕、最近、アウトドアなんですよ~。自転車買って、仕事場に自転車で来るんです』と。それがアウトドアだと言ってました(笑)。瀬戸はあんまり外に遊びに行かない。僕はフットワーク軽くて、どこにでも行くタイプ。プライベートじゃきっと同じ友達のグループじゃないかも(笑)」

「D-BOYS STAGE」は今回で9回目。メンバー同士切磋琢磨し、舞台を作り上げることに対して何を思うのだろう。

五十嵐「メンバーからお芝居を盗もうとは思わないけど、こいつらに負けたくないっていう気持ちがすごくあります。ましてや今回は、同期は荒木だけであとは後輩なので、負けてられないですよね」

と、さらりとライバル心を見せる五十嵐。では、舞台そのものの魅力 はどう感じているのだろう。

五十嵐「終わったあとにすぐ、お客さんからリアクションが返ってくるところがすばらしいと思います。気持ちが高ぶりますね。僕、稽古があんまり好きじゃないんですけど(笑)、でも本番を迎えてお芝居をすると、舞台ってすごく楽しいな、好きだな!って思います」

では最後に、本公演『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』を楽しみにされている方へメッセージを。

五十嵐「本を読んだとき、とにかく犯人を見つけてやろうという気持ちで読んだのですが、どんどん引き込まれていきましたね。面白いなと思ったのは、小説を開いたとき、アガサ自身が舞台化のイメージ図とか、配役に関する説明書きをした箇所があるんですね。それだけで舞台のイメージがしやすくて。そして原作では弁護士は一人なんですが、この舞台では僕と瀬戸の2人に分かれています。原作と本公演とでは、また違ってきますので、その違いも楽しんでいただければと思います!」

D-BOYS STAGE 9th『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』は11月3日(木・祝)~6日(日)、大阪・京橋のシアターBRAVA!で上演。原作を既読の方はその違いをお楽しみに。未読の方は前に読むか、後で読むか、お好きなように予習、復習を。そして、D-BOYSのメンバーが傑作法廷ミステリーと名高い本作にいかにして挑むのか、その勇姿をぜひ劇場でご覧ください!

 




(2011年10月24日更新)


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五十嵐隼士

●公演情報

D-BOYS STAGE 9th
「検察側の証人
~麻布広尾町殺人事件~」

発売中
Pコード:413-819

11月3日(木・祝)~6日(日)

●11月3日(木・祝)17:00

●11月4日(金)19:00

●11月5日(土)12:00/17:00

●11月6日(日)12:00

シアターBRAVA!

S席7000円

A席6000円

[原作]アガサ・クリスティー

[脚本]鈴木哲也/飯島早苗

[演出]鈴木裕美

[出演]瀬戸康史/五十嵐隼士/柳下大/荒木宏文/橋本汰斗/堀井新太/平田敦子/有福正志/若杉宏二/高橋愛美/馬渕英俚可

※未就学児童は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション[TEL]06-7732-8888

完売必至! 残りわずかです!
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●プロフィール

五十嵐隼士

いがらししゅんじ/'86年8月7日生まれ、長野県出身。'04年、『第1回D-BOYSオーディション』で準グランプリを獲得し、D-BOYSに加入。'06年、『ウルトラマンメビウス』では主演を務め、'08年にドラマ『ROOKIES』に出演し人気を集めた。その後もドラマ『任侠ヘルパー』『泣かないと決めた日』や映画『君が踊る、夏』などで幅広く活躍中。'11年は映画『パラダイス・キス』、ドラマ『名前をなくした女神』に出演し、12月には牧野少尉役を熱演した映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』の公開が控えている。俳優活動の一方で、'10年にはD-BOYSスペシャルユニットD☆DATEとしてCDデビューを果たし、今夏はD☆DATE初のライブツアーも成功裏に終わった。