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男子新体操にかける情熱を描いた青春ドラマ舞台「タンブリングvol.2」
主演・菅田将暉に、その見どころや舞台にかける思いをインタビュー!

2010年4月、男子新体操をテーマに据えた青春ドラマ『タンブリング』(山本裕典主演)が放映された。ひょんなことから男子新体操を始めることになった不良たちが、新体操を通じて一生懸命になることの素晴らしさや仲間との絆を学び、成長を遂げる。その姿が多くの視聴者に感動を与え、好評を博した。そして同年9月にテレビドラマの“5年後”を舞台化。東京、大阪で上演された舞台『タンブリング』のチケットは即日完売、連日超満員を記録した。本公演には、生の舞台で演じられる男子新体操団体やダンスシーンのダイナミックな動き、胸を熱くするストーリーに多数の反響が寄せられ、大成功を納めた。 その本公演にて、男子新体操に挑む仲間たちの傍らで、先天性の疾患を抱え、夢を諦めざるを得ないことに一人苦悩する平野雄貴役を演じた菅田将暉。舞台初出演ながら、シリアスなシーンも見事に演じ切り大きなインパクトを残した。 そして、間もなく始まる第2弾、舞台『タンブリングvol.2』では主演に大抜擢され、前作とはまた異なる、新たな物語で男子新体操にかける高校生役を演じることに。そこで、初主演ともなる本作にかける意気込みやその見どころなどを聞いた。

―― @ぴあ関西です。今日はよろしくお願いします。vol.2についてお伺いする前に、まず前作についてお伺いします。前回、初めての舞台作品でしたが、いかがでしたか?

菅田将暉(以下、菅田)「舞台には挑戦したいと思っていました。生のお芝居を経験したいなと思っていたので、(出演が決まって)純粋に嬉しかったです。ただ、僕は役の設定の中でケガをして新体操ができなかったので、あんなに大変な作品になると思ってなくて…。本当に、みんな血の滲む努力を重ねて、肉体的限界の中、命がけでやっていたので。男子新体操に挑戦する役柄ではなかったんですけど、タンブリングというひとつの作品をみんなで作る一体感みたいな、カンパニーのみんなでしか作れないものを体感しました。舞台をやるとやみつきになると言われていたんですけど、“こういうことか!”ってわかりましたね。本当に、もっと挑戦したいと思いました」

―― 前作はほとんどベッドの上で、菅田さんだけ演じる役柄が違いましたよね。

菅田「そうなんです。一人、ぽっと出て、またベッドの上に戻るっていう(笑)」

―― そういう役柄ではありましたが、稽古では他のメンバーの新体操シーンとか、ご覧になってたんですか?

菅田「当時あんまり稽古に行けてなくて。僕が稽古に行った日に僕の周りのシーンを中心に合わせてもらう環境を作っていただいたので、周りの方たちのシーンをあんまり見てなかったんですよ。だからやっと、ちゃんと見たのは本番でしたね」

―― 新体操のシーンとか、そうだったんですね。

菅田「はい。元々やっている方々の素晴らしい新体操にもめっちゃ感動して。みんなも泣いたって言ってて、それくらい感動して。でもそれ以上に、最初はできなかった共演者の新体操を見たとき、やばかったですね。なんか“男!”って感じで、かっこよかったです。いろいろ刺激になりました」

―― 今回のvol.2ではがっちりと新体操に挑戦されますね。

菅田「もう、必死に練習をしています。そんなに覚えがよくないんで、本番までには何とかするっていう気持ちでやってるんですけど、こればっかりはやらないとできないものなので、お芝居とかでごまかせないですし。ごまかしの効かない生の舞台で新体操をする。みんな、未経験ながらも必死に練習してますね」

―― 菅田さんのプロフィール拝見しましたら、特技に「ダンス」とありましたけど、新体操とダンスの違いは?

菅田「新体操の振り、いわゆるバック転とか、跳ねるようなものではない振りとかは、みんなさすがだなって。心配はないな、きれいだなって思います。でも体の動かし方が違うんですよね。新体操って音楽じゃないんですよ。舞台中は音楽が流れてますが、それに合わせているわけじゃないんです。みんなの空気感というか、皆で息を合わせて、「ふー」って吸う。その吸った一瞬、みんなが呼吸を合わすみたいな、その感じが独特で。それはもう6人で作っていくしかないんです。でも、その息が揃ったときに、すごいぐっときますね。ダンスって確かなものがあるんですけど、新体操はその“確かなもの”を自分たちで作らなきゃいけないので。そればっかりはもう、6人でひとつなんですよね。またそこで、一人が狂うとケガしちゃうし。難しいですけど、やりがいのある舞台です」

―― 舞台『タンブリングvol.2』では主役ですが、『タンブリング』という作品をどのように伝えていきたいですか?

菅田「vol.1とvol.2とでは、物語がまったく別なんですけど、最初、ドラマの放送があって、舞台になって。それでまた舞台作品ができるってことは、やっぱり前作がすごく評価されたってことだと思うんです。そこはつなげていきたいなと思うんですけど、伝えたいことは基本的には一緒で、熱く、クサくてもいいんじゃないかっていう。その、泥臭くても努力する意味であったりとかを、本当に伝えたいですね。震災もあって、本当に元気とか活力とか、そういうことも伝えたいことのひとつです」

―― ドラマの頃から引き継がれているであろう、いわゆる「タンブリング魂」という部分ではどうですか?

菅田「大東俊介さんは事務所の先輩でもあるんですけど、VOL.1では主役であり、座長だったんで、いろいろお話させてもらいました。その中で、大丈夫というか、「こればっかりは自分たちがやっていくものなので、恥ずかしがらずに思いっきりやってこい」と、おっしゃってもらって…。前回は中心に先生がいて、先生がいろんなことを教えるっていう。その先生役が大東さん。今回は生徒が中心になって動く物語なので、まさに自分たちが作っていくんです。今回のテーマは「今しかできない、人生は一度しかない」というものなんですが、最初から熱いものを持っている生徒たちが新体操をしたいと集まってくる。そこにもまた、いろいろドラマもありますが、そういう中で熱い舞台にして、“タンブリング魂”を伝えたいですね。自分自身、熱いものが好きなので。ただ、無理やり引っ張っていくのもダメなんですよね。僕、メンバーの中では年齢が下から2番目なので、タメ口で“お前らついてこい!”っていうのも違うんです。そうではあるんですが、最終的に6人で熱いもの舞台を作れると信じているので、みんなで頑張っていきたいです」

―― なるほど。舞台では新体操に打ち込む高校生役ですが、菅田さんご自身の青春時代はどんなものだったんですか?

菅田「中学までサッカーをやっていて、高校からアメフトを始めたですよ。サッカーとアメフトって何が違うんだろうと思っていて、その、熱さが全然違ったんですよ。アメフトはホンマに熱い。だって試合後に、男同士が裸で抱き合うんですよ。“今日、よかった!!”とか言って。今思うとほんとバカだなって思うんですけど(笑)、でもその熱さってやっぱりすっごくいい思い出なんですよ。特に今、上京してスポーツする機会もないですし、本当にあの頃は楽しかったなぁって。スポーツの熱さ、楽しさって唯一無二のもので。毎日部活しかしてなかったんです。でも、やっぱりよかったですね。先輩とかと縦のつながりもあって。あと、アメフットって専門職の球技なんですよ。投げるヤツは投げる練習ばっかりしてて、走るヤツはとことん走る。キャッチする役はキャッチばっかりして、相手を潰す、体で止めるヤツはそういう練習してっていう。その役割の部分でのつながりもあって。その辺もこの舞台で生かせれたらいいなと思いますね」

―― そういった、アメフトのご経験も含めて、今回の舞台にはどう反映していきたいです?

菅田「僕、高校2年の時に上京したんです。2年生の時期って、3年生が引退して新チームになりました、さあ俺らでやっていこう!っていう時期やったんです。僕はクォーターバックというポジションだったんですが、いわゆる司令塔のポジションなのに抜けちゃったんで、チームにすごい迷惑かけたんです。それこそ違うポジションのヤツが急遽やらなきゃいけなくなって。僕自身も、やりたいけどできなくなったので、途中で終わっちゃったんですね。なんか今、その分をできるんじゃないかって。あの時、不完全燃焼だったので、今回は完全燃焼したいなって思います」

―― じゃあ、このタンブリングの舞台のお話が来たときは…。

菅田「うれしかったですね。簡単にはできない新体操だからこそ、今、やるべきものだなってすごい思いました。5年後とかに絶対、あの舞台をやってよかったって思うでしょうし。やっぱりこれからは体も衰える一方ですし…」

―― まだ早いですよ! 18歳ですよ!

菅田「いや、でも、本当にそうなんですよ。週に何回か走ったり、ジムに行ったりするんですけど、“あの時はあれだけ走れたのに”とか、“動いてたのに”とか思います。全然違うんで、ちょっと悲しいんですよね。これが肉体の変化か…って」

―― いやいや、まだですよ!

菅田「僕も気持ち的にはまだのはずなんですけど、おかしいですよね(笑)」

―― 逆に、ここで一旦沈んだと見せかけて、ぐっと持ち上がってくるかもですよ。

菅田「そうですね、元々体格がいい方ではなくて、筋肉もあんまりなかったんですけど、新体操をやり始めたからなのか、また成長期に入ったのか、ここに来て筋肉もすごくついてきたんですよ。なので、今が現役なのかなっていう気がちょっとしてきましたね。僕、現役はまだやったんや!って(笑)」

―― これからです! では、お話を舞台に戻しまして、舞台『タンブリングvol.2』では、JOEY BENIさん、良知真次さんと引き続き共演して、あとは新メンバーが入るんですよね。チームワークはどうですか?

菅田「そうですね。ひとつの競技を一緒にやっているだけに、一人ができたら“おお!よかったやん!”ってなりつつ、でもその裏には悔しさもあったりして。今はみんなで切磋琢磨している時期ですね」

―― なるほど。最後に、@ぴあ関西の読者の皆さんにメッセージをお願いします。

菅田「スポーツって主に学生の頃しかできなくて。そのスポーツも、一生懸命やることに意味があると思うんですよね。それが今回の『タンブリングvol.2』のひとつの魅力、見せどころだと思います。僕ら自身、新体操をやったことがなくて、バック転だってやったことないですし、側転すらできなかった。その自分たちが新体操を実際にやる。半年くらいかけて今、練習しているので、本当に自分たちが積んできた経験を表現して、リアルに伝えたいなって思ってます。実際の新体操の選手がされる演技も本当に素晴らしいもので、見る価値がある。舞台でも本当に、彼らに助けられていて、そこも感動してもらえると思います。元々できなかった人たちの新体操のよさも見てもらいたいです。そこから元気であったり、情熱であったり、何かプラスになるものを感じられる舞台になっていると思います。今、この時期にこの舞台をするということは、皆さんに元気になってもらうっていう、そういう役割や使命感もあるからだと思いますし、ぜひ観に来てください!」


舞台の上で、俳優たちが実際に新体操を演じるシーンも必見の本作。新体操に青春を燃やし、熱く生きる若者の雄姿をぜひ、生の舞台で目撃して!




(2011年5月 6日更新)


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プロフィール

すだまさき●'93年2月21日生まれ、大阪府出身。'08年、第21回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」出身。'09年、テレビ朝日系ドラマ『仮面ライダーW』で史上最年少の主役となる。初舞台は'10年の舞台「タンブリング」。4月1日公開の映画『高校デビュー』にも出演している。『テレビぴあ』にて「スダダス」も好評連載中。

公演情報

舞台「タンブリングvol.2」

▼6月3日(金)~5日(日)
(金)19:00 (土)13:00/17:00 (日)13:00
シアターBRAVA!
全席指定7800円
[劇作・脚本]岡本貴也/江頭美智留
[演出][振付]増田哲治
[出演]菅田将暉/千葉雄大/鎌苅健太/平間壮一/水田航生/Joey Beni/鮎川太陽/上間美緒/鍵本輝/良知真次/植木豪

※この公演は終了しました。