若き才能を多く擁するセレッソ大阪から
キーマンの1人が登場!
日本代表に名を連ねる香川真司、乾貴士、清武弘嗣ら若きタレントを輩出し、海外からも注目を集めているセレッソ大阪。現在も天才的なテクニックでサポーターを魅了する柿谷曜一朗をはじめ、ロンドンオリンピックを戦った扇原貴宏、山口螢、杉本健勇、J1リーグ再開戦となった7月6日のジュビロ磐田戦でチーム史上最年少弾を決めた18歳の南野拓実ら若き才能を擁し、悲願のタイトル獲得へ向けて今シーズンを戦っている。そのセレッソから、今回はサイドハーフやボランチで活躍する山口螢を直撃。自身のこと、今シーズンのセレッソ、さらには代表への想いなどについて訊いた。

――セレッソは13戦6勝5分2敗、勝点23で18チーム中6位でリーグ中断を迎えました。そこまでの感想を教えてください。
「中断前まではすごく良い流れで終わったとは思いますけど、3ヵ月やった中でまずは良い1ヵ月を過ごして、全く勝てない1ヵ月があって、また持ち直してきたという感じで……少し波があったと思うから、今年タイトルを目指しているので、そういう波を少しでも少なくしていけたらいいなと」
※3月は3勝1分無敗、4月は0勝2分2敗、5月は3勝2分無敗
――6位という順位については、どう捉えていました?
「そんなに悪くはないとは思います。自分たちが目指していた順位より下になりますけど、上位3位くらいまでとはそんなに離されていないので、めっちゃ良くはないけど、まぁまぁ良いほうじゃないかなと思います」
――序盤の戦いに関しては、負けないもののあまり良くなかった印象があるのですが…。
「そうですね。最初は良くはないけど、若さだったり、勢いで勝てているっていうのがあって。ただ、相手に研究されたり、ちょっと失点したりとかで自分たちのリズムを取り戻せなかったときになかなか勝てなかったので、その時期はみんなで話し合いをしたり、ご飯を食べに行って仲を深めていったりとかしたので、こうやって中断前を良い形で終われたと思います」
――なるほど。では、ここで改めて今シーズンのセレッソの特徴を教えてもらってもいいですか?
「今までみたいに1トップ3シャドーでスタートしたわけじゃないから、けっこうバランス重視になっているとは思いますけど、ただ攻撃には特徴があるとは思います。いつの時代をみても攻撃で必ず1人は絶対的な違いを作りだせる選手がいるし。それがセレッソかなと」
――絶対的な違いを作り出せるといえば、今シーズンだと柿谷選手だと思います。彼は今シーズンからセレッソのエースナンバー8番を背負っていますが、山口選手から見て何か柿谷選手の変化は感じますか?
「重い番号なので、多分、責任感を強く持ってやっていると思います。プレーもそうですけど、セレッソのためにっていう思いが強くなっているとは思います。森島さん(森島寛晃アンバサダー)がずっとつけてきた番号やから、想いはすごく分かっていると思いますし、ちっちゃい頃からつけたかったって言っていたんで、ずっとつけていかなダメやと思っていると思います」
――その重さはユース育ちだからこそ、より感じるものがあるでしょうね。
「そうですね。シンジくん(香川真司)、キヨくん(清武弘嗣)もつけるに値するとは思いますけど、曜一朗くん(柿谷)は幼稚園くらいからずっとセレッソでやっているから、そういう人がつけるのがベストじゃないかなと。去年、キヨくんがいなくなってから、次は曜一朗くんしかおらんやろうなとは思っていました」
――そうなのですね。柿谷選手はカバンなども8番がデザインされたものを持つなど、すごくこだわっていますよね。
「オレも『6』のものをつけていますよ。カバンとか服とかはないんですけど、ネックレスとかそういう小物は『6』やし」
――そうなんだ!

「6番は、8番みたいに偉大な……っていうのは、あまり自分は昔のことを知らないからあれですけど、後に『ホタルがつけていた6番やから……』って言われるようになりたいです。自分が新しく道を作っていけたらいいなって思います」
――8番と並ぶ名物番号の誕生に期待ですね! さて、セレッソといえば、西澤選手には森島選手、香川選手には乾選手……というように名パートナーがいたと思うのですが、柿谷選手のパートナーに……というような想いはありますか?
「いや、曜一朗くんのパートナーとしては力不足なので。今やったら拓実(南野)とか。これから多分、試合をやるにつれ良くなってくると思うので、2人が攻撃を引っ張っていってくれたらいいなぁと思います。自分は後ろからしっかりサポートできればいいかなと」
――そうなのですね。ポジションもサイドハーフからボランチに戻りそうですし。
「今はボランチをやっているんで、より後ろからサポートする側になりますし、攻撃は任せているわけじゃないですけど、ボランチに入って、より守備は意識してやらないといけないなと思います」
――山口選手としては、サイドハーフとボランチどっちのが好きとかありますか? ユース時代も前でプレーすることがあったと思いますが。
「トップに入りたての2、3年目くらいだったら前も嬉しいなと思いますけど、ユースのときとはちょっとプレースタイルが変わってきているからボランチの方がやりたいですね。いまはプレースタイル的にもボランチの方が合っているのかなぁって。しっかりと上下動して、運動量多くやれるのがいちばん性にあっていると思うので」
――なるほど。そして、ユースといえば、近年のセレッソは主力にユース出身者が増えましたよね?
「僕らがユースの時に『ハナサカクラブ』っていうのが出来て。けっこうユースのときに海外遠征を支援してくれていたので、そういうのが生きているとは思います」
※『ハナサカクラブ』……セレッソ大阪の育成組織のサポートを目的に設立された育成サポートクラブ。
――ありがたいですよね。山口選手といえば、2009年にトップに昇格してレギュラーを掴んだのは2012年だったと思います。これに関してはどう捉えていますか? 早かった? それとも、遅かった?
「プロに入ったときのイメージはもっと早くレギュラーを取って…っていうのはありましたけど、周りにすごい選手がたくさんいて。自分はゆっくり進んでいくタイプなんかなと思うし、少しずつステップアップはしていっているのかなとは思うので、このままゆっくりと進んでいければいいなと」
――ゆっくり進む中で、レギュラーを掴むまでに飛躍したきっかけはどこだと考えていますか?
「多分、(五輪)代表ですかね。関さん(関塚監督/現ジュビロ磐田監督)がオレを呼んでくれたことから、始まったと思います。代表でずっと試合に出してくれていたから成長できたと思いますし、セレッソで試合に出ていない時も向こうでずっと出ていたんで。そういう意味ではすごくありがたかったです」
――代表といえば、フル代表に関してはどうでしょう? 東アジア選手権は国内組中心で……といような話もありますが。

「狙ってなくもないですけど、ただ今はセレッソのことしか……セレッソでいっぱいいっぱいなんで。選ばれたら選ばれたで考えますけど、とりあえず今はセレッソがタイトルを獲るっていうのを目指してやっているからそれで精一杯。自分の出来ることを必死にやるだけです」
――分かりました。それでは、中断明けからの戦いに向けてのメッセージを頂けますか?
「セレッソを観に来てください……としか(苦笑)。1回、練習や試合を観に来てくれたら嬉しいです」
――試合の見どころは?
「試合であれば攻撃的なセレッソを見せられると思いますし、練習だとみんなの仲の良さがわかると思います」
――練習では終わっても居残って楽しそうにやっていますしね。では、最後に試合での山口選手の注目プレーを教えてください。
「どれだけ走っているのかを見て欲しいなと思います。ボールタッチとかは全部、曜一朗くんを見てくれたらいいので。どれだけ良いところに戻っていたりとか、顔を出していたりとか、ゴール前に飛び込んでいたりとか。そういうところを見てくれたらいいかなと。オレもそうやって見られている方がサボれへんし、走らなアカンと思うので。得点よりもそういうところを見て欲しいです」
取材・文 金子裕希
山口選手に訊くセレッソ裏話
――ここまでのセレッソの今シーズン最大のニュースは?
「このクラブハウスが出来たことが一番大きいですね。お風呂もサウナもすごくリラックスできるんで嬉しいです」
――ロッカールームもすごく豪華ですよね。
「最初はあまり物を置くところがないなぁと思ったんですけど、オレと曜一朗くんだけ自分たちで棚とか置いてるので快適に過ごせています(笑)」
――そうなんだ(笑)。ちなみに、チームでいちばんロッカーがきれいな選手、汚い選手は?
「いちばんきれいなのはシャケさん(酒本憲幸)。キレイにしています。いちばん汚いのは、最近はやっぱり拓実とか。けっこう人気が出てくると汚くなる傾向がありますね(笑)。タカ(扇原貴宏)も汚いし、曜一朗くんも汚いです。モノがいっぱいあるから。まぁ、オレも汚いんですけど(笑)。でも今は拓実がいちばん汚いです(笑)」
――セレッソといえば、私服がおしゃれな選手が多いイメージがありますが、チームでいちばんおしゃれな人を教えてください。
「ファッションセンスがあるのは、健勇(杉本)か山下くん。いちばんないのは……誰やろうなぁ。順平くん(楠神)とか。ないっていうか、順平くんなりのファッションやとは思うけど、オレはそんなん着いひんなって。地味な色とか、あんまりダボってしているのが好きじゃないんで(笑)」
――チームで一番のボケは?
「マル(丸橋)じゃないですか。でも、みんなツッコんでボケたりって感じですね」
――新加入選手発表会で見事なオチを披露した椋原選手はどうでしょう?
「オレらが言ってもボケてくれないです。多分、もっと仲の良い奴が言えばいけるかもしれないけど、みんなの前とかだと全然やらないと思います」
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↑ ビブスを丸橋選手(金髪・写真右)に着させてもらっていた柿谷選手(金髪・同左)。
仲の良さが伺えます。 |
(2013年7月10日更新)
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