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セレッソ大阪の好調を支える
背番号13が登場!

後半戦に入った『J1リーグ戦』で台風の目となっているセレッソ大阪。J1復帰1年目のシーズン、そしてエース・香川真司のドイツ移籍などがあったにも関わらず、第21節終了時点で2位をキープ。好調ぶりを見せている。それを支えるのは、リーグ最少失点という高い守備力と、FWの後ろから飛び出し相手ゴールを脅かす“3シャドー”、乾貴士、家長昭博、清武弘嗣の存在が大きい。そこで今回、監督直々に“ポスト香川は清武”と指名した加入1年目の清武弘嗣を直撃。色々な話を聞いてきた。

――今季、大分から移籍してきたわけですけど、大阪の生活は慣れましたか?

「はい。8~9ヶ月くらいですけど、けっこう慣れました」

――ホームシックにかかったりとかは?

「いや~、そこまでホームシックになることはなかったですけど、全然話す人がいなくて。僕、寮に住んでいるんですけど、寮にも知り合いはいなかったし、ひとりっちゃひとりだったんで……ホームシックにはかからなかったですけど、精神的にちょっとキツかったです。でも、真司くん(現ドルトムントの香川選手)が話しかけてくれたり、初めてグラウンドに行ったときに乾くんも初対面だったのに喋ってくれて良かったです」

――そうなんですね~。でも、家長選手や上本選手、高橋選手といった大分勢と一緒に移籍してきたから、心細さはあまりなかったのでは?

「そうですね、その部分では全然なかったですね。寮とかだとやっぱり寂しいですけど、グラウンドに来たらみんないるし、真司くんも乾くんもいたから」

――同世代の選手がいると心強いでしょうね。
さて、今年セレッソに移籍してきたわけなんですけど、移籍前のセレッソの印象っていうのはどうでしたか?

「いや、もう……乾、香川っていうのしか知らなかったです。あのコンビがめっちゃ注目されていたから、この中で一緒にするんやーって。超うまいんやろうなぁって思っていました」

――2008年に清武選手が大分でデビューした頃、セレッソはJ2にいたんで実際に対戦したことはないですもんね?

「そうですね。なかったんですけど、けっこうスポーツ番組とかで取り上げられていて有名だったので、2人のことは知っていました」

――実際にチームに加わって一緒にプレイした印象はいかがでした?

「いやもう、めっちゃうまいですね! めちゃうま! マジで! だって、来た時に焦りましたもん。こんなうまい人がいるんや~って。真司くんは高校の時に試合をしたことがあるし、代表でも1、2回一緒にやったことがあるんで高校の時から知っていたんですけど、そんなに長い時間一緒にプレイしたことはなくて。で、初めて真司くんと乾くんと長いこと一緒にやって……めっちゃうまかったッスね~(小声)。焦りました、マジで。ついていかな、と思って必死でした」

――焦りつつ、さらに今季は2度の負傷離脱があったものの、チームにはスムーズに溶け込めた印象があります。

「そうですね……、でも、今でも3シャドーの2人(乾選手と家長選手)について行くのがやっとですけど。それでも自分ができることを精一杯やろうと思ってやっているから、スーッて溶け込めたと思います」

――同年代の選手が多いのも良かったとか?

「そうですね、年がみんな近いし、1人、1人のタイプは違いますけど、みんなやりたいことは一緒だと思うんで……合います。やりやすいです、とっても(笑)」

――ちょっと間が空きましたけど(笑)。ちなみに、やりたいことが一緒っていうのは?

「オレら3人が絡むとゴール前まで行くシーンが多いので、そういう自分たちの距離を保ったり、3人でフィニッシュまで持っていくっていうのを常に考えているんですね。それがムリだったら外も使えるし、FWもいるしっていう。あとは、個人技でいけるところは行くっていう感じです」

――みんな同じ考えを持っていると。実際、家長選手とは大分で一緒にプレイしていたのでそのスタイルは把握していると思うんですけど、乾選手に関しての把握具合はどうですか?

「この9ヶ月間、ずっと一緒に練習してきたんで特徴はだいぶ分かります。……だいたいは。あの2人は基本トリッキーなプレイをしますからねぇ」

――清武選手もやっていると思うんですけど?

「いや、オレは全然ですよ。多分……。単純に、あの2人にボールを預ければ取られんやろ~って考えです。実際に取られないじゃないですか。うまいし、強いし。家長くんは強いし、乾くんはボール捌くのが上手いし。だから預けて、走ろうみたいな」

――預けて走る派ですか(笑)。でも、試合を見ていると3人の連係でうまく崩していると思いますよ。試合によっては清武選手がボールを要求しても来ないときがあったりするので、完成度としてはまだまだなのかなぁとも思っているのですが。

「そうですねぇ。まあでも、ボールが来なかったら来なかったでまた動きなおせばいいですし、そこはあんまり何も考えていないです」

――なるほど。ちなみにこの3シャドーの完成度はどれくらいでしょう?

「70%くらいです」

――なぜ70%??

「いや……ひとり10点ずつくらい取れたら100%になると思います」

――1人10点ずつ……3人共、まだまだ遠いですねぇ(笑)。

「そうですねぇ(笑)。乾くんが3点、家長くんが2点、オレが2点なんで。いや……がんばります」

――(笑)。では、ひとり10点ずつを目指すとして、ゴールに対する意識はどうなんでしょう?

「監督からもけっこう言われていますし、真司くんがドイツに行く前に7点も取っているんでそういう得点を求められると思うんですけど、なかなか難しいです。けど、そんなん言っていたらダメなんで、とりあえずゴールに結びつくプレーを心がけて。シュートを打てるときは打つし、得点チャンスに近い人がいるとそっちに出すっていう意識はあります」

――清武選手個人としては、攻撃と守備、どっちに重点を置いていますか?

「攻撃に置きたいですけど、とりあえずチーム自体が守備から入るっていう考えなんで、守備をしっかりしてカウンター攻撃っていうのは良いと思います。だから、まずは守備をして、相手からボールを奪って。自分たちはキツイですけどね。得点を求められているから攻めないといけないですし。守備してそのまま攻撃に行くっていう。第1は守備、そのあとに攻撃っていう感じですね」

――その中でご自身の特徴は出せていますか?

「自分は身体もそんなに強くないから止まってプレーしたら吹っ飛ばされると思うんで、とりあえず走って。コーチからも言われたんですけど、とりあえず自分のいいところに動いて、どんどん動きなおして、動きなおして、ボールを触って、どんどんリズムを作ってっていうのが自分の特徴だと思うんで、まあそういうのを考えながら、無駄な動きでもいいんで、動いて、動いて、ボールをもらって、っていうのが出来ていると思います、今は。あとはゴールですね」

――そうですね、ゴールは重要です。これからマークはきつくなってくると思うんですけど……

「いや、オレはけっこう自由っすよ。あの2人にマークが行くんで、気付けばオレはフリーみたいな」

――じゃあ、余計にゴールを決めないと!

「それがなかなか難しいんですよ……(苦笑)」

――まぁ、相手あってのことなんでそんなに簡単にはいかないでしょうけど、そこは狙ってもらって。

「そうっすねぇ(小声)」

――あと、監督直々に“ポスト香川は清武”と仰っていたんですが、これに関してはいかがですか?

「最初はめっちゃプレッシャーを勝手に感じて。京都戦(※)のときにけっこう言われて、それで前半ケガしたんで。あの京都戦は緊張して何も出来なかったですし、ガチガチで。何しようんやろ……って思って。で、ちょうど10日間オフがあったんでいろんな人に相談して。自分は真司くんの後釜って思って、真司くんよりいいプレイをしないといけないっていうのが強かったんですけど……それはそうなるじゃないですか。真司くんは7点も取っているし、真司くん以上のプレイをせな認められんって思っていましたし。でも…さっきも言ったように自分ができるプレイをするのがチームにとってプラスにいくのかな~って、その10日間のオフのときに色んな人に相談して、自分が出来ることを精一杯やればいいっていうことを教えてもらったんで、その時に吹っ切れました。だから今そういわれても何も問題はないです」
※京都戦……
5月22日に西京極で行われたナビスコ杯予選。移籍加入後初先発するも前半終了間際に足首を痛めて負傷交代に。

――じゃあ、うまく切り替えられたというか、そのプレッシャーに耐えうるメンタルになったというか。

「うーん……どうなんスかね? でも、うまく気持ちを切り替えられました、そのオフで。その前とか、言われたら言われた分だけプレッシャーになっていたんで。監督は多分プレッシャーをかけていたと思いますけど、サポーターの方とかに期待されているのもあって、そういうのを勝手に自分がプレッシャーっていう風に思いこんでいたというか……」

――でも、香川選手が抜けて、清武選手が入ってからチームに結果が伴わなかったら……って思いますもんね?

「そうです。それをめっちゃ思って。自分でも、真司くんよりいいプレーができなかったら全然ダメなんやろうなぁ~って思っていたんです。でも、それは違うなって思って」

――ケガと中断期間でうまく……

「そうですね、うまく出来たと思います、その10日間で」

――吹っ切れたということで。その香川選手と試合でプレイすることはほとんどなかったと思うんですけど、練習とかで一緒にやって、「めっちゃうまい」以外にも感じたことはありますか?

「いや、めっちゃうまいっす(笑)」

――いやいや(笑)。例えばどういう部分が?

「ボールを奪われないですし、ドリブルでスラスラと相手を抜けるし、パスも出せる。シュートも絶対決めるじゃないですか。全て……すごいと思います。その中でも1番すごかったのは得点能力じゃないですかね? 監督も言っていたけど」

――そうですね。得点に関して、香川選手は貪欲だと思います。

「そうならないといけないんですけどねぇ……」

――まだちょっと遠慮しているとかでは……

「じゃないっす」

――ならいいのですが(笑)。そんな香川選手はドイツで活躍をしていますけど、やはり刺激を受けますか?

「そうですね~、すごいと思いますし、真司くんががんばっているんで、自分たちも真司くんがいなくなって弱くなったって言われないように。それはみんな嫌だと思うので、必死にがんばっていると思います」

――それはあるでしょうね。さて、香川選手もセレッソの動向はチェックしていると思うんですけど、香川選手に何かを言うとしたら?

「とりあえず、真司くんの7点は越します!」

――おっ、香川選手越えが出ました! そこは期待したいですね。
あと、身近なところで言うと乾選手が代表に選ばれて。

「そうっすね、嬉しいっす(笑)。セレッソから代表に入る人がいて」

――その辺の欲っていうのはどうなんでしょう??

「今けっこう注目されているんで、代表に入りたい気持ちは強くはなっていますけど、まだ入れるレベルじゃないんで。セレッソで結果を残して、自分も結果を残さないといけないなって思います」

――どういう部分を強化したら選ばれると思います?

「やっぱり点じゃないですか? 点を取ったら注目されますし」

――すべてはゴールすることが大事だと?

「そうですね。監督もそう言っていますし」

――じゃあ、清武選手の今後の夢や目標は?

「ロンドン五輪世代なんで、それを目指してがんばっていきたいですし、それに選ばれて世界大会までいけたら日本代表っていう道も開けると思うんで」

――4年後のブラジルW杯でプレイしたい?

「そうですね、その時は24歳なんで。だから、W杯には行きたいです」

――そうなると非常に楽しみですね。ちなみに海外への憧れは?

「いや、それはないです……」

――理由は?

「とりあえず、寂しいッス(笑)」

――そこですか!

「そこなんです(笑)」

――じゃあ、セレッソに来たのも大きな決断だったのでは?

「うん……寂しかったです。いや、大分から出たことがなかったから、しかも移籍とか。オレ、けっこう人見知りなんですよ。めっちゃ。オレ、ヤバイっすよ、人見知り。取材とかは普通ですけど、あまり良く知らない選手とかと会うと小声で「こんにちは……」とかなんで、代表にいったらオレ、ひとりぼっちッすよ(苦笑)。知り合いがいたら話せますけど、代表とかだと最初、2~3日くらいはショボーンって口数少なく。だから、新しいチームに行って、一から知り合うのが苦手なんですよ。人見知りだし。それがなおさら海外に行くと喋れないじゃないですか」

――そこは語学を学べばある程度はクリアになるかと……

「そこはそうなんですけど!(笑) なので、セレッソでがんばります」

――(笑)。そうですね、まずはセレッソでがんばってもらわないと。では、セレッソが優勝するために必要なことは?

「今は失点が少ないんで、そのまま守備をがんばって失点をされないことですね。それに、前の4人がもっともっと点を決めるようになったら、チームはどんどん上に行くと思いますし。ただ、これからの試合は1つでも落としたらガクーンと下まで行くと思うので、最低引き分けで。負けずに上に残っていければなぁって思います。失点せず、自分たちが点を決めていけたら必ず勝利に繋がると思うんで」

――そうですね。清武選手を含め、前線の選手の活躍がより大切になりますから。では残り少なくなったシーズン終盤に向けての意気込みをお願いします。

「とりあえず……10点決めます。個人はそれを目標にがんばります。で、チームは優勝を目指せるように、一戦一戦大事にして。全試合勝てるようにがんばります」

――分かりました。ちなみに目標ゴール数なんですけど、背番号分狙うっていうのはどうでしょう?

「そうですねぇ、多分……ムリです(笑)」

――いや、そこはやってみないと分からないじゃないですか(笑)

「いやー……はい。自分の背番号分の点を取りたいって、いま思いました(笑)。13番やったなと」

――背番号が若い番号だったら良かったんですけどねぇ(笑)

「そうですね~、これが2番とかだったらすでに達成しているんですけど」

――残念ながら13番ですからね(笑)

「はい(笑)。まぁ、でもその近くくらいまでいければいいかなって」

――そうですね(笑)。それに、キンチョウスタジアムになってゴール裏の席が近くなったんで、余計に外せなくなりましたしね?

「そうですね、外すとサポーターに当たっちゃいますからね。ゴールに突き刺したいと思います。ちゃんと枠に飛ばします(笑)」


(取材・文 金子裕希)




(2010年9月 9日更新)


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プロフィール

清武弘嗣(きよたけ・ひろし)●’89年、大分県出身。背番号13/ポジションMF。大分トリニータ・ユースから、2008年に18歳でトップに昇格。ルーキーイヤー1年目から出場機会を掴む。その後も主力として活躍し、今季、セレッソ大阪に完全移籍。ケガで出遅れるも、巧みなパスやドリブル、ピッチを縦横無尽に駆け回る運動量で定位置を獲得。“3シャドー”の一角として、期待を集めている。

セレッソ大阪・オフィシャルサイト 
http://www.cerezo.co.jp/

試合情報

【セレッソ大阪 ホームゲーム】
『J1リーグ戦』
▼9月11日(土)15:00〈vs サンフレッチェ広島〉
大阪長居スタジアム ※今季最後の長居スタジアム!
▼10月2日(土)16:00〈vs アルビレックス新潟〉
▼10月23日(土)17:00〈vs ベガルタ仙台〉
キンチョウスタジアム(長居球技場)

▼11月6日(土)14:00〈vs 清水エスパルス〉
▼11月20日(土)17:00〈vs 横浜F・マリノス〉
キンチョウスタジアム(長居球技場)

セレッソ大阪チケットセンター[TEL]06-6609-3750

【アウェイゲーム】
▼9月18日(土)19:00〈vs ガンバ大阪〉
万博記念競技場

▼9月25日(土)15:00〈vs ヴィッセル神戸〉
ホームズスタジアム神戸

↑9月9日売号掲載のオフショット写真。軽く走ってもらいながらの撮影でした。


↑写真撮影を終えてホッと一息?


↑撮影中と試合中の表情の違いに注目を!