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新日本プロレスの“荒武者”が
@ぴあ関西に初登場!

現在、2月シリーズ真っ最中の新日本プロレス。2月10日(水)に今年最初の大阪大会を控えるなか、3月14日(日)東・後楽園ホール大会からスタートする、春の最強戦士を決める無差別級トーナメント『NEW JAPAN CUP』で連覇を狙う“荒武者”こと後藤洋央紀選手が初登場! なかなか勝てない状況が続く荒武者に心境を語ってもらった。


――まずはご結婚おめでとうございます!(1月14日に公式サイトで結婚報告あり)
結婚されたことで、何か気持ちに変化などはありましたか?

「とくに何が変わったっていうのは具体的にはないんですけど、精神的なもので……1つの責任を背負うことになったというか。だから、もうちょっとしっかりしないといけないなっていう。それはプロレスだけじゃなくて、生活もそうですし。しっかり自覚を持たないといけないなって思うようになりました」

――結婚されたことで、プロレスをする上でプラスになったことはありますか?

「プラスにしたい……しなきゃダメだなって。自分がここで不甲斐ないことをしたら、嫁さんのせいにされるというか。結婚したからダメになったって観ている人に思われかねないというか。そう言われないようにするためにも、頑張らなきゃいけないなって。プレッシャーはかかりますけど、その分、力になると思います」

――なるほど。さて、後藤選手といえばニックネームが“荒武者”。この由来は?

「本来の始まりは、メキシコ修行から帰ってきたときの風貌が長髪にヒゲで荒武者っぽいっていうところから始まっているんですけど、すごく都合のいいニックネームで。例えば何か忘れ物をしても『すいません、荒武者なんで』とか、もともと大雑把な性格なんで出したら出しっぱなしとかなんですけど、『さすが荒武者ですね、そんなこと気にしないんですね』って(笑)。最近は変な使われ方をしています(笑)」

――“がむしゃらな者”や“勇敢な武士”といった本来の意味とは違う使われ方をしているんですね(笑)。そもそも後藤選手がプロレスラーになったきっかけはなんだったのですか?

「テレビを観て憧れたんです。ちょうど中学2年生でソフトテニスをやっていた時期ですね。その時までは全く格闘技とか知らなかったんですけど、テレビで観てハマッて。すぐにコレだ!と思って、みんなに『プロレスラーになるわ』って言っていました」

――プロレスに憧れた部分というか、魅力は何だったのでしょう?

10020313.jpg「感情をさらけ出している部分っていうか。……自分は中学の頃は内気で気持ちを押し殺して生活しているような奴だったんで(苦笑)」

――そうだったんですね。ちなみに、地元は三重県ですよね? 三重といえばそんなにプロレスの興行ってないような……

「ないッス、ないッス。初めて生で観たのが名古屋で夏祭りとかで無料でやっていた女子プロレスですもん。で、次が高校生のときに三重県四日市に来たときで、3回目が東京の大学でレスリングを始めたときに東京ドーム大会へ新崎人生とグレート・ムタを観に行きました。観るのは本当にテレビばっかりでしたね。会場に行くと面白いんですけど、盛り上がるんじゃなくて勉強の目線で見ちゃうというか。セコンドの動きとかを見て『あんな動きをするんだ』って」

――入団後の姿を想像しながら観ていたんですね。
そして、実際に新日本プロレスに入団されて、昨年は春の最強選手を決める無差別級トーナメント『NEW JAPAN CUP』で優勝と好調なスタートを切ったのですが……

「そう、スタートは良かったんですよね。でもそのあとが悪すぎて、ガタガタガタって崩れてきて。今はもうけっこうボロボロというか、どうやって這い上がっていこうかなって」

――昨年5月に棚橋選手の持つ『IWGPヘビー級王座』や、年明け1月4日の東京ドーム大会ではノアのGHCヘビー級王者・杉浦選手とのタイトルマッチに挑むなど、いい感じでタイトル戦線には絡んでいると思うんですが……

「絡んでいるんですけど、結果が出ていないんですよね。ちょっとしたことだと思うんですけど……」

――この勝てない状況に陥った原因はあったりするんでしょうか?

「2007年もそうだったんですけど、『IWGP』獲りに挑戦して負けたんですよ。負けて、そこがきっかけでガーッと落ちるんです。2008年は夏の『G1』を獲って調子を上げて、その直後に全日本プロレスの武藤敬司に奪われた『IWGP』に挑戦して、負けてガーッと落ちて。去年は『NEW JAPAN CUP』で優勝して、また5月の『IWGP』で負けてガーッと落ちて……って、浮き沈みが激しいんですよね。だから、そこをもっと安定させたいんですけどね。なかなか上手くいかなくて(苦笑)」

――なんだか、後藤選手にとって『IWGP』は鬼門になっているみたいですね。

「鬼門……ですよね。でも、挑戦しないと。獲ったことがないんで、何度でも挑戦したいですね」

――新日本プロレス最強の証ですもんね。今年も本来なら1月4日の東京ドーム大会でノアのGHCヘビー級王者の杉浦選手に勝って勢いを付けたかったと思うんですが……

「ねぇ。ノアのベルトですけど、タイトルマッチでベルトがかかっていたので獲りたかったですね……。ここでガッと落ちるのか、そこから這い上がるのかは自分次第なんで。
新日本プロレスに入団する前からどん底状態はありましたし……入団してすぐにケガで退団しなきゃいけない時期もあったので。ただ、そこを乗り越えたことで今があるし、這い上がることは出来ると自分は思っているので、むちゃくちゃ焦っているっていうことはないです。……多少の焦りはありますけどね(苦笑)。でも、そこで焦ってばかりだとダメだし、その焦りやプレッシャーを力に変えていきたいですね」

10020312.jpg――何度か経験していることで、ある意味、這い上がり方も十分に分かっているということですね。

「そう、分かっている。何回も落ちて、何回も這い上がっているんで(笑)」

――そして、その度に強くなる……とすれば今の状況は強くなる前の儀式のようなものかもしれませんね。

「今思うと、そうかもしれませんね」

――今回、這い上がるきっかけになるのは何になりそうですか?

「勝つことしかないんですけど、そういう1つのきっかけ……にしようかなって思っているのが、3月14日から始まる『NEW JAPAN CUP』ですね」

――連覇もかかっていますしね。その前にある2月10日の大阪大会でも、ぜひ復活した姿を見せて欲しいなって思います。

「そうですね。最近の大阪大会ではけっこうガッカリさせる試合をしちゃっているんで、挽回したいですね」

――この大阪大会では、田中将斗選手らとのスペシャル6人タッグマッチが決定しています。田中選手といえば、東京ドーム大会での杉浦戦後に『お前の腐った根性をもう1回鍛えなおしてやる』と言われたようですが。

「向こうがどういう方向でオレを鍛えなおそうと思っているのか知りませんけど、オレはエールの1つなんじゃないかって思っているんで。2月14日の両国大会でシングルで対戦しますけど、勝手にエールと捉えているんで、それに応えるためにも勝って。田中戦をきっかけに浮上して、もう1度ベルトを獲れるところまで行きたいですね」

――タッグマッチとはいえ、因縁の2人の対決に注目したいですね。
そして、このタッグマッチでは棚橋選手とも組まれるようで。最近は試合はもちろん、イベントなどでも組む機会が多いようですが、棚橋選手から刺激を受けることっていうのはありますか?

「……いや(笑)」

――えっ! いやって(笑)

「一緒にトークショーとかに出るんですけど、トークしないですからね(笑)。2人で会話をするっていう感じじゃないんですよ。司会の方が質問して、それにそれぞれが答えるっていう。だから、イベントとかでは不思議な空間になっています(笑)」

――それは意外な事実ですね(笑)。

「リング上では違いますけど、イベントとかだとお互いに遠慮している部分があるのかもしれません(笑)」

――その不思議な空間をぜひ大阪で観てみたいです(笑)。
ちょっと話が逸れましたが、2010年の目標を教えて頂けますか?

「2010年だから……っていう訳じゃないですけど、IWGPのベルトを獲りたいっていう目標は変わらずですね」

――それを目指しつつ、当面の目標は『NEW JAPAN CUP』の連覇になるんでしょうか?

「う~ん、まずは田中とのシングルが決まっているんで、そこに集中していますけどね。そこに負けて2連覇とはいえないんで、まずは田中とのシングルマッチでしっかり結果をだして……だから、これから一戦一戦が大事ですね。他団体の選手に負けまくっていますし、他団体の選手ってすぐにリベンジできるかっていったらできないですから。同じ団体なら可能性はありますけど、なかなか機会がないんで。1つ負けると借りを返すのが大変なんで、借りを返せるようにやるだけです」

――もちろん、杉浦選手とも?

「そうですね。もちろん、やりたいです」

――他団体の選手と対戦する時は、ある意味、新日本代表としてファンの方からも見られるのでプレッシャーもあるかと思いますが……

「新日本代表……というか、個人ですね。新日本を背負うとかっていう感じじゃないんで。そういうこともしなきゃいけないかなって考えたこともあったんですけど、オレじゃないなって。人をまとめるとか、人を引っ張るとか、リーダーシップを取る感じじゃないんですよ。昔からキャプテンとかやるのはイヤなんです。イヤっていうよりは、自分が個人プレイに走るので、周りからそうやって推す声が上がらなかっただけなんですけど(苦笑)」

――じゃあ、どちらかといえば1匹狼タイプ?

「ですね! もともとレスリングをする前はテニスとかをやっていたんですけど、成績は1番良かったですよ。テニス部のときも、レスリング部のときも。だけど、キャプテンにはならなかったっていう(笑)。人を引っ張ることとかをしなかったんで」

――それは面倒臭いからっていうわけではないんですよね?

「練習って個人、個人でしなきゃいけないことが違うと思うんですよ。能力もそれぞれ違うと思うし。それを自分で見つけて、自分でやるべきだと思うんですよ。だから、オレ、あまりみんなでやる練習って好きじゃないんですよ(笑)。みんなで同じことして何になる?って。みんなが見ていないところでやるのが練習だと思っているんで」

――なるほど。言われてみればそうですよね。個々それぞれで能力や課題は違うわけですし。
一匹狼タイプということも判明した後藤選手ですが、ご自身の魅力を教えてください。

「色々と苦労はしてきましたけど、いつもあきらめなかった。そのあきらめない姿で、観た人に勇気を与えられたらなって思っています」

――そんな後藤選手にとってプロレスとは?

「なんだろ……。プロレスとは、人生ですね。人生をかけて挑むことですね。それを早く、中学校の頃に見つけられたのが良かったですし、ずっと諦めずにやってきたから夢は叶ったと思う。1回肩を脱臼して手術した際にプロレスラーになる夢を諦めなきゃいけないのかなって思ったんですけど、今までの頑張りがあったんで簡単には諦めきれなかった。オレは何のために今までやってきたんだ?って思って諦めきれなくて、もう1度入団テストを受けて入ったんで。これにかけてやってきたんで、これからも変わりなく人生をかけて挑もうと思います」

――分かりました。ぜひ大阪大会では、強い“荒武者”の姿を見せてくださいね!

「はい。結婚して家庭に逃げることなく、攻めなきゃいけないんで。今年は攻めでいきます!」

“攻め”を宣言した“荒武者”がどんなファイトを見せてくれるのか。
そして、復活の兆しを見せてくれるのか。ぜひ会場で確かめて欲しい!

(取材・文 金子裕希)




(2010年2月 4日更新)


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プロフィール

後藤洋央紀(ごとう・ひろおき)●79年三重県出身。03年7月に岐阜産業会館でデビュー。デビュー当初はジュニアで戦っていたが、06年に無期限のメキシコ遠征へ。翌年8月に帰国し、ヘビー級転向を宣言。以降、ヘビー級戦線で活躍を見せ、08年8月に夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX』で初出場・初優勝を達成。翌年には春の最強決定戦『NEW JAPAN CUP』を制し、春夏連覇を成し遂げた。ケガを乗り越え夢を叶えた不屈の精神で、王座を目指す。


大会情報

新日本プロレス
『Circuit2010 NEW JAPAN ISM』

▼2月10日(水)18:30 
大阪市中央体育館・サブアリーナ

新日本プロレス大阪事務所
[TEL]06(6211)7801

『Circuit2010 NEW JAPAN CUP
~The Perfect Generalist~
シリーズ最終戦(準決勝・優勝決定戦開催)』

▼3月22日(月・祝)16:00
尼崎市記念公園総合体育館
新日企画[TEL]078(737)3142