インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 2024.3.1@なんばHatch 大橋卓弥(スキマスイッチ)×阿部真央 『ZUTTOMOTTO2』大阪公演ライブレポート


2024.3.1@なんばHatch
大橋卓弥(スキマスイッチ)×阿部真央
『ZUTTOMOTTO2』大阪公演ライブレポート

2023年2月に東京・大阪で開催されたアコースティック・イベント『ZUTTOMOTTO』。スキマスイッチの大橋卓弥と、シンガーソングライターの阿部真央という互いをリスペクトし合う2組によるスペシャルな一夜で、歌心いっぱいのメッセージを届けてくれたのも記憶に新しい。その第2回大阪公演が去る3月1日に開催! 満杯のなんばHatchを舞台にカムバックを果たした、マジカルな時間をお届けしよう。

そもそもこの組み合わせは、スキマスイッチのライブを担当するイベンター・GREENSの大野氏と、大橋との会話から始まった。「誰かと二人でライブをやるなら誰がいい?」という大野氏からの投げかけに、大橋が即答で「阿部真央!」と答えたことから実現したのだ。そんな何気ないきっかけで始まったイベントも、好評を得て第2回目を迎えることに。

zuttomotto240321-1.jpg

冒頭から、そろってステージに登場した二人。大橋は、会場全体をぐるりと見渡しながら「第1回が楽しかったからもう一度やろうということになりまして。家でテレビを見ているような、リラックスした感覚で楽しんでください」と、幕開けに据えたのは「木綿のハンカチーフ」のカバーだ。前回に続いてオープニングを飾ったこの曲は、イベントの発起人である大野氏のリクエスト。交互に男女パートがあることと、漂う春のムードが二人の共演にぴったりだ。うららかな歌声の大橋に、どこかセンチメンタルな阿部の表情が重なり、たくさんのクラップに包まれていった。

早くもイベントの成功を示すような豊潤なハーモニーのあとは、阿部のソロステージに。セッティングしながら、さりげなく「来年もできるといいですよね」なんてうれしい言葉も飛び出しつつ、まずは「貴方の恋人になりたいのです」を披露。一つ一つの言葉を丁寧に積み上げていき、続くは「for ロンリー」を。彼女のピュアネスを結晶化したようなボーカルは、天まで届きそうなほど美しい。曲間では、昨年独立を果たし、プライベートレーベル設立といった転機を迎えたことについての話に。
「昨年は本当に人生の転換期で。悲しいこともたくさんあって、キャリアがストップするかもと思ったこともありましたが、たくさんの人に助けられて今日参加することができました。すごく辛かった時も、あきらめなくてよかったなと思うんです。心の中の情熱をあきらめずに燃やし続ければ、きっといい方向に導かれていくんだと思います」

zuttomotto240321-3.jpg

そんなメッセージを込めた「Keep Your Fire Burning」では、柔らかなオレンジの照明に照らされ、ふつふつとしたエモーションを惜しみなく放出していく。ゆったりとしたバラードにのせた強い意志に、阿部真央の新章を見る思いだ。そんな彼女の歌声に浄化されたなんばHatchへ最後に投下したのは「ロンリー」! 躍動感たっぷりにつづったアンセムで、フロアに満開の笑顔を咲かせてくれた阿部真央のステージとなった。

zuttomotto240321-4.jpg

その様子に「素晴らしい!」と拍手しながら大橋が姿を見せ、阿部とバトンタッチ。「次はオジサンの番ということで(笑)。ゆるくはやりますが、しっかり演奏しますよ」との言葉を証明するように、「塊」からぐいぐい場を牽引していく大橋。今宵への思いは曲以外にもあふれ、MCではこんな話に。

zuttomotto240321-6.jpg

「弾き語りができるアーティストって好きなんですよ。すごくミュージシャンっぽくない(笑)? 一人で闘っていて。真央ちゃんもシンガーソングライターで(一人で闘っている)。これだけの才能があるんだから、ずっと音楽を続けてほしいし、刺激を受け合いたいから。たまにこうやって一人でステージに上がったりもしています。音楽が好きで、どんな状況でも歌いたい、演奏したいって気持ちがあればお客さんにも伝わるんじゃないかなと。これだけの人たちが観に来てくれたりするなんて、本当にありがたい。こういう場所をどんどんつくって、いろんな人ともライブをやってみたいですね」

zuttomotto240321-7.jpg

そう熱い心情を吐露しながら、「ソングライアー」へ。ヒリヒリとした旋律にのせ絶唱する大橋に、ライブという場所が一期一会であることを強く感じる。さらに、続いては竹内まりやのカバー「いのちの歌」を。会場にいる全員が魅入られたように釘付けになるなか、最後は「風がめくるページ」へ。ストンプボックス(足で刻むリズム音を増幅させるエフェクター)をレミオロメンの藤巻亮太(Vo&G)に教わったというエピソードも交えつつ、エヴァーグリーンな歌世界をもたらしてくれた。

zuttomotto240321-8.jpg

それぞれのソロ・パートを経て、再び阿部真央がステージへ舞い戻り、前回も好評だったトークコーナーへ。まずは、当日来場者から募った質問に答えていく二人。衣装のこだわりについて話が及ぶと、大橋は「動きやすさがポイント」だと言い、ツアー時にはオーダーメイドの衣装で、腕にゴムを入れてもらうといった裏話も。阿部は、パーソナルカラー(各々の髪・肌・瞳などの持って生まれたパーツの色と調和する色のこと)なども参考にすることから、「イエベ、ブルベ」という言葉を大橋に伝授。「知らなかった! イエベのスプリングって言いたい」(大橋)などと、茶目っ気いっぱいにトークする。続いてはアコースティックギターの演奏を頑張っているという方から、コードチェンジやアルペジオのコツを尋ねられた二人。両者とも「練習するのみ!」と結論づけるも、即席ギター講座となるほど大橋の音楽愛が炸裂! 初ライブを目指し、音楽活動を始めた方からの緊張を和らげる方法について問われると、「僕も緊張しぃなんだけど、例え調子が悪い日でも、デビューできたんだから歌がうまいはずなんだと言い聞かせる」(大橋)、「受験のように、これまでやってきたステージを思い出して大丈夫だと思い込む」(阿部)という回答に、普段は堂々たるパフォーマンスの二人だがその内面に親近感を覚えた人も多いことだろう。「ライブは失敗するもの。うまく歌うこと、うまく弾くことがいいライブじゃないんじゃないかな。一生懸命やっている人の歌は聴きたくなるから」(阿部)、「僕の初ライブはめっちゃ間違えたり、うまくできなかったけど楽しかったな」(大橋)という二人からの激励も。他にもたくさんの質問にざっくばらんに答えた、ハートウォームなひとときとなった。

zuttomotto240321-5.jpg

zuttomotto240321-9.jpg

続いては、『テーマでソング』のコーナーへ。テーマが書かれた札を箱から引き、そのお題に沿った楽曲をワンコーラス歌うというものだ。まずは「初めて人前で歌った曲」というテーマに、当時18歳でバンドのギターボーカルだった大橋は、Mr.Childrenの「Everything(It's you)」を歌い上げる。このテーマに「私これが一番自信なくて〜!」とひるんでいた阿部は、何と3歳で親戚の前で披露したという長山洋子の「たてがみ」を披露。アコギの音色も鮮やかで、コブシの効いた圧巻の歌力で魅せてくれた。他にも互いのルーツや思い出話に花を咲かせながら、最後はオーディエンスからの「2曲混ぜて!」という難題に大橋が応え、サザンオールスターズ「逢いたくなった時に君はここにいない」から郷ひろみ「言えないよ」へと歌いつなぎ、てんこ盛りのトークコーナーは幕を閉じた。

zuttomotto240321-10.jpg

ここからは『ZUTTOMOTTO』の大きなハイライト、セッションへと突入! まずは大橋が好きだという阿部の楽曲「天使はいたんだ」を。阿部の芯のあるハイトーンボイスに、大橋の包容力ある歌声が重なり、曲が持つ力を何倍、何十倍にも増幅させていく。さらに、「大名曲!」と阿部がリクエストしたという「藍」をみずみずしくセッション。歌に、音に人肌の温かさを感じさせる分厚いハーモニーで大きな感動を巻き起こし、本編は幕を閉じた。

zuttomotto240321-2.jpg

アンコールでは、昨年も大盛況となったジャンケン大会に。二人のサイン入りステッカーを賭けての勝負の様子は、実に和気あいあいとし、会場の距離感をグッと縮めてくれたよう。そして正真正銘のラストを飾るのはKANのカバー「よければ一緒に」だ。昨年11月、惜しまれながら逝去した偉大にしてユーモアに富んだ音楽家のこの曲は、2010年に観客との触れ合いを目指して制作されたもの。KANと親交の深かった大橋は「悲しみはあるけど、素晴らしい楽曲はずっと残っていく。いろんな人が歌い継いで、いい音楽は永遠に残っていくというのが音楽の素晴らしいところ」と語る。コロナ禍以降、改めてライブでしか得られないパワーについて思い知る場面が多かったなか、全員でシンガロングできることに、全身がじんわりと多幸感に包まれていく心地だ。"歌詞がなければラララララララで歌えばいい"とのリリックが導くラララの大合唱で、今宵イチの一体感をもたらし『ZUTTOMOTTO 2』は大団円を迎えた。

大橋卓弥、阿部真央という、二人の温かな人柄を凝縮した宝物のようなステージ。いい音楽、いい歌だけがあったこの場に、ライブの根源的な歓喜をみた2時間半となった。

zuttomotto240321-11.jpg

Text by 後藤愛
Photo by ハヤシマコ




(2024年3月22日更新)


Check

Set List

『ZUTTOMOTTO2』
大橋卓弥(スキマスイッチ)×阿部真央
2024.3.1 Fri at なんばHatch

01. 木綿のハンカチーフ (2人で)
02. 阿部真央「貴方の恋人になりたいのです」 (阿部ソロ)
03. 阿部真央「for ロンリー」 (阿部ソロ)
04. 阿部真央「Keep Your Fire Burning」 (阿部ソロ)
05. 阿部真央「ロンリー」 (阿部ソロ)
06. 大橋卓弥「魂」(大橋ソロ)
07. スキマスイッチ「ソングライアー」(大橋ソロ)
08. 竹内まりや「いのちの歌」(大橋ソロ)
09. スキマスイッチ「風がめくるページ」(大橋ソロ)
10. 【初めて人前で歌った曲】
Mr.Children「Everything(It's you)」(大橋)
長山洋子「たてがみ」(阿部)
11. 【大阪っぽい曲】
SUPER EIGHT「無責任ヒーロー」(阿部)
有山じゅんじ/上田正樹「梅田からナンバまで」(大橋)
12. 【初めてのデートの時に聴く曲】
ウルフルズ「かわいいひと」(大橋)
aiko「キラキラ」(阿部)
13. 【失恋ソング】
スピッツ「楓」(阿部)
サザンオールスターズ「逢いたくなった時に君はここにいない」&郷ひろみ「言えないよ」(大橋)
14. 阿部真央「天使はいたんだ」 (2人で)
15. スキマスイッチ「藍」 (2人で)
EN. KAN「よければ一緒に」(みんなで)

Live

スキマスイッチ

「Augusta Camp in U-NEXT ~Favorite Songs~」Vol.9
“スキマスイッチ THE PLAYLIST Premium selection”
▼3月26日(火)
ビルボードライブ東京

『HAKUBA ヤッホー! FESTIVAL 2024』
▼5月26日(日)
白馬岩岳マウンテンリゾート山頂 特設ステージ

『スキマフェス』
▼7月13日(土)・14日(日)
Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場) 多目的利用地A・野外

チケット情報はこちら


阿部真央

「15th Anniversary Abe Mao Solo Live Tour 2024」

Pick Up!!

【京都公演】

▼8月25日(日) 17:00
先斗町歌舞練場
指定席-5500円 桟敷席(1名)-5500円
桟敷席(2名)-5500円(1名5500円。2枚単位(合計11000円)での販売)
桟敷席(3名)-5500円(1名5500円。3枚単位(合計16500円)での販売)
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。<桟敷席>靴を脱いでお座り頂く2Fの指定エリアでの観覧となります。椅子はございません。1名~3名でのグループ販売となります。
[問]GREENS■06-6882-1224

【東京公演】
▼8月30日(金) I’M A SHOW
【愛知公演】
▼9月13日(金) 千種文化小劇場
【福岡公演】
▼9月15日(日) 大濠公園能楽堂
【東京公演】
▼10月4日(金) Zepp DiverCity(TOKYO)
【北海道公演】
▼10月10日(木) Zepp Sapporo
【福岡公演】
▼10月17日(木) Zepp Fukuoka
【愛知公演】
▼10月24日(木) Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

▼10月25日(金) 19:00
Zepp Namba(OSAKA)
1F全自由-6800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
2F指定席-6800円(ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

チケット情報はこちら