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3月1日にデジタルシングル曲「アイライ」を
リリース、2nd Tour「Mountain&Forest
“愛来(アイ ライ)”」を開催
森 大翔インタビュー

16歳のとき、エレキギターの世界大会『Young Guitarist of the Year 2019 powered by Ernie Ball』(16歳以下が出場対象)で優勝した経験を持つ、森 大翔。十代でミュージシャンとしてデビューし、1stアルバム『69 Jewel Beetle』をリリースするなど、早くから“外の世界”に飛び出して才能を見せている。ただ、森は「自分は基本的には“内側”にいる人間」と話す。その真意はどういうものなのか。3月1日にデジタルリリースされるシングル曲「アイライ」の内容にひもづけながら、話を訊いた。

――今回の「アイライ」は、森さんの楽曲のなかでも特にポジティブな印象を受けました。

たしかにポジティブなマインドを曲に落とし込むことを意識して作りました。キラキラではなく、ピカピカとした眩しさがある気がします。色でたとえると、黄色っぽい。ライブのとき、ステージの上でもっと踊りたい、ステップを踏みたいという気持ちがあって、それに相応しい曲を作りたかったんです。体を動かすことって前向きになれますから。自分自身、行き詰まったときはランニングをするようにしていますし、あとダンスも始めてみたんですけどすごく楽しくて。そうやって体を動かすことで自分自身を肯定し、前へ進んでいける。あと、自分に対しても、他の人に対しても「責めない」というテーマを持って最近やっているので、その一曲でもあります。

――フィジカルも、メンタルも非常に健康的な状態で音楽を作っていらっしゃるんですね

今、ハタチなんですけど、ランニングは高校1年か2年のときからずっとやっていて。北海道出身なので寒すぎて走れない時期もありますが、わりと継続してやっています。だいたい、45キロは走りますね。

――森さんのこれまでの楽曲は情景的なものが多かった印象なのですが、「アイライ」は「愛」というかなりダイレクトかつシンプルなワードが押し出されていて、そこが意外に感じました。

自然と出てきたワードではあるんです。もともと、身の回りにはいろんな愛が溢れていると思っていて、僕のなかにもそういうものが見つかったのが始まりです。愛を書いてみようという感じではなく、タイミング的に今、それが繋がったんです。ダンスをすることによって心が前向きになったこともあるでしょうし、本格的にライブ活動するようになってお客さんとの繋がりを感じられたことも、影響としてあります。

――なるほど。

今までは自分自身のことを歌う曲が多かったし、だからもちろん暗めの内容もありました。たとえば、そういう昔書いた暗めの曲をライブのアンコールでやるのって、自分のなかで心の違和感があって。というのも、もがいていた当時の自分はもう救われている気がするんです。現在は「次のステップでどういうメッセージを伝えていけるのか」を自問自答しているので。

――ライブで演奏することを念頭に置いて、曲作りが進んでいるんですね。

そうなんです。今は「ライブで格好良く見える曲を作りたい」という気持ちで曲を作っています。どういう曲にすれば、体の動き、表情が良く見えるかとか、「ここでこういうギターが鳴ったら格好良いだろうな」とか。その点では"外向き"のモードでやっているんですけど、でもスタート地点は"内側"かもしれません。自分は絶対的にポジティブな人間かと言われたら、そうではないんです、まずネガティブな自分がいて、そいつをボコボコにしてやろうという感じで生きています。

――"ポジティブ森 大翔"と"ネガティブ森 大翔"がバトルしているんですね。

そのせめぎ合いの果てに今の形になっている気がします。だから無性に悲しくなるときも、よくあります。僕の生き方のテーマに「ノスタルジー」があるんです。過去への憧れとか、切なさとか。僕は一人っ子だったこともあって、小さいときは特に寂しいという感情がありました。友だちのところへ遊びに行ったら「帰りたくない」となるし、遊んだ後の一人の時間は、寂しさ、虚しさに襲われていました。今でも基本は孤独を感じて生活しています。ただ、それでもそういうネガティブをボコボコにする、前向きな森 大翔の存在がすごく大きいです。孤独をエネルギーやパッションに変えています。

――"外向き"という部分でいうと、2023年は『FUJI ROCK FESTIVAL』など大型フェスにもたくさん出ていらっしゃいましたね。フェスはまさに"外向き"の象徴だと思います。

確かにそうですよね。森 大翔のことを知らない人が音楽を聴いてどう思うか、という機会が増えました。そのなかで「ギターをこういう風に弾けば楽しんでもらえるかな」とか、いろんな貪欲さがそこで培われました。そういう場所で自分の曲を伝えるのは難しいことですけど、そういう難しさをあえて感じないように生きているというか、気にしていないんです。なにかに対して「難しい」と考え込んでいる自分が嫌で。なにかに屈しているのは自分自身なんだし、だったら乗り越えなきゃなって。

――それこそ「アイライ」で歌われていますけど、外に出ることで、失敗したり、恥をかいたりする機会も増えますよね。

本来の自分はそういうことを気にしちゃうタイプなんです。繊細とまではいかないけど、ちょっと引きずる傾向もあります。そういえば母親に以前、言われたことがあるんです。「お前は挫折が足りない」って。そのときは「知らねえよ」って思ったんですけど(笑)、確かに気持ちの面で大きな挫折がないんです。だからこそ、外に出ていろんな失敗をすることって貴重なのかもしれません。

――森さんの楽曲にはそういう「経験」について歌っているものが多いですよね。「アイライ」もそうですけど、「いつか僕らは〜I Left My Heart in Rausu〜」(2023年)、「明日で待ってて」(2023年)、「すれ違ってしまった人達へ」(2022年)、「日日」(2021年)などは、いずれも過ぎていった日常や人々を想う曲ですね。

それこそまさに、先ほどお話したノスタルジーという言葉に繋がります。電車に乗っていても景色を見たら昔を思い出すし、日々が過ぎていくことに寂しさを抱いたりします。ただ、これまでの曲と「アイライ」には違いがあるんです。これまでの曲は、北海道の知床半島で経験したことを想っているものでした。北海道に対する郷愁って、どこか暴力的な気がするんです。北海道は場所的にも、相当打ちのめされるくらい美しい。だから幼少期の思い出も尊いものになるし、なんならそこにすがるような気持ちもあります。

――「アイライ」はまた違うんですね。

「アイライ」は東京で暮らし始めて、東京での生活で経験した過去のことを歌っています。僕は、自分なりに覚悟を持って、戦うために東京へ来ました。過去を受け入れた上で、ちゃんと折り合いをつけて東京で暮らしています。そういう意味で「アイライ」は戦いの歌でもあると思っています。

――そんな「アイライ」を提げて、3月からは東京・大阪・名古屋・札幌の4カ所をまわる2ndツアー「Mountain&Forest"愛来"」もスタートします。

ライブをやるたびに次のステップへ進んでいる実感があって、だからこそ「アイライ」で「踊れる曲」「見せる曲」という風に、全身を使うこと、視覚でも入ってくるエネルギーを表現することができました。「MountainForest"愛来"」では今まで以上にそれが実現するはず。これまでの大切なものは生かしつつ、また違う森 大翔を見せたいです。

――3月20日(水・祝)には大阪公演(Music Club JANUS)もありますね。

自分はこれまで、北海道、東京で暮らしてきましたが、大阪は第二の故郷と言えるくらい思い入れが強い場所なんです。前回のツアー(202311月)でも心を軽くして演奏できましたし、なにより熱量を強く感じます。大阪は赤色のイメージというか、そんな熱くて温かい大阪でライブができることを楽しみにしています。

取材・文:田辺ユウキ




(2024年3月 1日更新)


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「アイライ」
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森 大翔 2nd Tour「Mountain&Forest“愛来(アイ ライ)”」

【名古屋公演】
▼3月3日(日) スペードボックス
【札幌公演】
▼3月15日(金) cube garden

PICK UP!!

【大阪公演】

▼3月20日(水・祝) 18:00
心斎橋JANUS
Pコード:262-106
スタンディング-3900円(ドリンク代別途要)
※未就学児入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】
▼3月24日(日) 渋谷CLUB QUATTRO

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