ホーム > インタビュー&レポート > 梅田サイファー、フレンズ、SUSHIBOYS、betcover!!が集結 個性際立つ濃密アクトをつないだ3時間半のクロスオーバー
●betcover!!
今宵のトップバッターは昭和のヒット曲をSEに姿を現すと、フロントマンの柳瀬がメンバーを手早く紹介してシームレスに「幽霊」などの3曲を連ねる。粘度もある歌声はいきなりの高熱を放ち、自由度高いアンサンブルと会場の雰囲気があいまって時空をゆがませるよう。吐き出すように発する言葉や名画を彩ったギターの旋律、ノイジーに鳴らされる5人の音や"バカヤロウ"のシャウトetc.。ハウリングさえも一体となってできた奔流は観客を飲み込み、唖然として動きを止める人もいれば、両腕を高く掲げる人も。音がやめばハッと我に返るようにして歓声と拍手が沸く。するとここからは詞でも聴く者を深淵へ。つややかかつメロディアスに歌心を広げる「不滅の国」に、気だるさもはらむ美しいメロディの「フラメンコ」。時に語るようなシーンも見せる柳瀬のボーカルと、しなやかで厚みのある音像がまじる。また「あいどる」ではソフトな響きからドラマチックに上昇して"ユメでよかった"の繰り返しが耳に。そしてフォーキーに弾き語りで始まる「炎天の日」では、ドラムとピアノを合図にして声でも畳み掛け、5つのサウンドが絶妙にぶつかり合い絡み合い、柳瀬も劇的に歌い上げて叫べば、ヒリッとする緊張感も。加えて「卵」でも静寂を用いて緩急をつけながら私小説にも似た世界へ引きずり込み、最終は存分に暴れて獰猛な一面。MCなしで約30分間をいっきに駆け抜け、その存在をこれでもかと脳裏に焼きつけていった。
●フレンズ
えみそん(Vo)が"アケオメ!"の声を上げる「ヤッチマイナ!」で威勢よくライブはスタート。アッパーなY2Kのムードに1曲目からクラップもワイパーも発生し、次の「good time」ではより気分よく。グッドグルーヴと、えみそんと三浦(G&Vo)のハーモニーに、ピンクの照明を足して幸せ色の空間が完成する。そんな景色に投下するのは新旧二つのラブソング。生々しくせつなく、甘酸っぱく温かく恋愛を描き、ロマンチックだがタイトにも軽やかにもプレイしてオーディエンスを揺らす。またMCでは普段と異なる対バンの顔ぶれに少し戸惑いを見せつつも、"己を解放する日でしょ!"(えみそん)と、みんなで"エイエイオー!"の掛け声から「塩と砂糖」と「Love,ya!」でパーティタイムへ。キャッチーなサビに息ぴったりの手拍子、"いいね!"&"ダメ!"のコールにケチャ的ダンス。観客が弾めば三浦のご機嫌な「SHAKE」限定ラップも飛び出してお楽しみが満載。自然と歓声も大きくなる。そして長島(B)のベースがリードしてくすぐるファンク「愛をやめない」では、えみそんのボーカルもソウルフルに。メンバーと一緒にファンもコールでたかぶるが、最後に待ち受けるのは、なんと梅田サイファーとの豪華共演。テークエムがマイクを握る「夜にダンス」と「4:15(Four Fifteen)feat.おかもとえみ」のマッシュアップは今日だけのスペシャルバージョンとくれば、もちろん会場全体が大沸騰。まさに"溶け合う"、「SHAKE」らしいラストシーンとなった。
●SUSHIBOYS
前傾姿勢で登場するやいなや、「死んだら骨」で即着火。初っ端から"Oi、Oi!"のコールも引き出し、ポップでプレイフルに芯を食って早くも真骨頂だ。さらにハイカロリーなアクトは続き、「木にしない」ではそろいのステップも。エレクトロなビートに反応して観客は跳ね、解放されたように歓声も聞こえる。そして「LOUD」のメロディックなトラックと勢いを増すラップで人々を揺らしたあとは、サンテナの悲話を笑いに変換して父の名のコールを伝授するというMCから、昇天必至の"乗り物祭り"へ。リラックスしたユニゾンで脱力させたり、"ダンボール"を連呼させたり、3人が並ぶランニングのダンスでハートをくすぐったりと、連続する3曲で脳内を無に。だが追い打ちをかけるがごとく、フォークダンスでおなじみのメロディと、声を合わせる"OMG!"で楽しさを更新。加えて大定番ナンバーが鳴り出せば歓喜の声も響いて全員が踊って歌い、しかもお待ちかねのアヒルボートを投げ込むのはKZ(梅⽥サイファー)で、またも今夜だけの光景に。曲後にはFARMHOUSEからも"最高だ"の声が漏れる。すると今度はサンテナが体操チックなダンスを実演でレクチャーし、浮遊感を隠し味にして"ヤミー、ヤミー"のリフレインを体と耳に記憶させたら、ホーンも晴れやかに「DRUG」でゴールへ。クラップにジャンプにハンズアップと、一人残さず健やかにハイにしてついに終演。大満足の全10曲に、3人が去ったあとも笑顔があふれ続けたのは言うまでもない。
● 梅⽥サイファー
2回連続でイベントのトリを務める大所帯は、のっけから全速力で「BE THE MONSTER」、さらにヘビーに「HEADSHOT」とつなげ、彼らならではの迫力と華麗なマイクリレーでボルテージを上げる。しかも続くのは「アマタノオロチ」で、パワーとスキル、そしてアイデンティティを見せつけ、会場には"アマタ!"のコールが。体感温度も上昇するなか、ラップもビートも軽快な「VIBE SHAKE」で中盤に突入すると、フロウも耳心地よく、全員参加の大跳躍もきまり、次はイントロから沸き立つ「トラボルタカスタム」で一体感と達成感を。観衆の手が上下し、そこにプラス「PARTY」で一層のパーティモードとなるが、リリックよろしく今日はpekoの誕生日で、Cosaquも"欲しいもん何でも買うたるわ" とぶち込み、みんなで祝杯も。残念ながらpekoは禁酒中でNOアルコールだが、グラスが掲げられたなら、続くのは「Glass」で、どこかほろ酔いの空気が漂う。しかし終了時間も迫り、「Show Must Go On」で再加熱。前進を誓うようにして多くの人が天を指させば思いは一つになり、ダンサブルに「KILLING TIME」で全開の締めくくりへ。観客が弾んで大地を揺らし、今年も「SHAKE」は大団円で幕!......と思われたが予定外のもう一曲が。セレクトするのは「梅田ナイトフィーバー19'」でバースディケーキ付き"。そのキャッチーさに呼応してたくさんの手が左右に振られるうえ、本日の主役のラップも、誕生日のコール&レスポンスも。今夜だからこその飛び切りハッピーなフィナーレは、メンバーにもファンにも忘れられない思い出になったことだろう。
Text by 服田昌子
(2024年2月15日更新)
●betcover!!
M1. 幽霊
M2. 壁
M3. バーチャルセックス
M4. 不滅の国
M5. フラメンコ
M6. あいどる
M7. 炎天の日
M8. 卵
●フレンズ
M1. ヤッチマイナ !
M2. good time
M3. 煙のジャンクション
M4. NIGHT TOWN
M5. 塩と砂糖
M6. Love,ya!
M7. 愛をやめない
M8. 夜にダンス
●SUSHIBOYS
M1. 死んだら骨
M2. 木にしない
M3. LOUD
M4. 軽自動車
M5. ダンボルギーニ
M6. 高速道路
M7. OMG
M8. アヒルボート
M9. パンライススパゲティうどんそば
M10. DRUG
● 梅田サイファー
M1. BE THE MONSTER
M2. HEADSHOT
M3. アマタノオロチ
M4. VIBE SHAKE
M5. トラボルタカスタム
M6. PARTY
M7. Glass
M8. Show Must Go On
M9. KILLING TIME
EN1. 梅田ナイトフィーバー19’
『finonds -ニュー友FIESTA-』
【大阪公演】
▼2月28日(水) 19:00
Yogibo META VALLEY
[出演]FIVE NEW OLD/フレンズ
[オープニングアクト]UEBO
『フレンズ 3rd Full Album「ユートピアン」Release TOUR「Pair」』
【大阪公演】
▼5月31日(金) 19:00
Yogibo META VALLEY
『梅田サイファーとchelmico』supported by FLEEKLOUNGE
【大阪公演】
▼4月6日(土) 18:00
心斎橋JANUS
[DJ][司会]板東さえか
[出演]梅田サイファー/chelmico
『キュウソネコカミ ヒッサツマエバ -BAKASAWAGI- WEST / 2024』
【大阪公演】
▼2月15日(木) 19:00
GORILLA HALL OSAKA
[共演]梅田サイファー
『ARIFUJI WEEKENDERS』
【滋賀公演】
▼5月18日(土) 10:00
有馬富士公園
[出演]RIP SLYME/水曜日のカンパネラ/神聖かまってちゃん/梅田サイファー/他
『僕たちの大熱波2024inKOBE』
【兵庫公演】
▼4月20日(土)・21日(日)
エスペランサ神戸フットサルパーク
[20日出演]梅田サイファー/韻マン/Lil KING/ミステリオ/HARDY/nobodyknows+/般若/GADORO/空音/775/WARSAN/RINKO/Mifa
[21日出演]愛内里菜/AYA(PINK SAPPHIRE)/SEAMO/チャラン・ポ・ランタン/Tarkiee
『KEEN presents TVO ROCK HEAT 2024』
【大阪公演】
▼4月27日(土) 13:45
大阪城音楽堂
[司会]大抜卓人
[出演]キュウソネコカミ/KEYTALK/梅田サイファー/ポルカドットスティングレイ/SHE’S/Hakubi
[オープニングアクト]カラノア