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一般公募で選ばれた50人の合唱との
コラボレーションステージにも期待!
『京都音楽祭 2024』開催直前、クリス・ハートインタビュー

2023年、デビュー10周年を迎えたクリス・ハート。流暢という言葉で簡単に言ってしまうのが申し訳ないほど流暢な日本語で、心の機微も細やかに表現する力を兼ね備えた唯一無二のアーティストだ。そんな彼は、この3月3日(日)に京都の文化パルク城陽 プラムホールで開催される『京都音楽祭 2024』へ出演することが決まっている。この『京都音楽祭』は、文化庁の京都への移転を記念して音楽による文化体験をと昨年初開催された音楽フェスティバルだ。2回目となる今回はクリス・ハートをメインゲストに、新世代のジャズユニット・asobiyoshiやジャズのブラスバンド・Big Mouth Brass Band、そして700名にも及ぶシンガーグループ・human noteも顔を揃える。このイベントへの出演を前に、クリス・ハートが緊急来阪!昨年迎えた10周年について、開催目前の『京都音楽祭 2024』への想いについて話を聞いた。インタビューのキーワードは、「楽しむ」。ぜひ、記事も楽しんでもらえたらと思う。

10年の月日をかけて
やっとアーティストになれた

――少し遡ったところからお話を伺いたいのですが、2023年でデビュー10周年という節目を迎えられましたね。

「10年、あっという間でした。デビューしてから本当に嵐のようで。想像していなかったチャンスをたくさんいただいて、2018年に活動休止するまでは休みもなく走っていたんです。デビューしてすぐアルバムを出して、すぐ聖子さんとレコーディングすることになって、紅白にも出られて、その時その時は緊張したり壁にもぶつかっていたけど、気づいたら自然体で歌えるようになっていきました。今は考え込まずに楽しくやれるようになっています。活動を2年間休んで戻ってみたら、すごく自分の成長を感じたのも大きかったと思います」

――今はリラックスして活動ができている雰囲気も、お話ぶりから伝わります。

「そうですね。ただ、楽しいです。やっとそんな感じになれましたね。活動休止中にプロデュースや作曲の勉強もして、戻ってからはいいバランスで活動ができています。何かが起こっても自分でなんでもやれる自信がつきました。この10年をかけてやっとアーティストになれた感覚もあって、すごくリラックスしてやれています」

――アーティストとしての成長を自分自身で実感されている中で、昨年は映画『湯道』に出演されて俳優デビューも果たされました。

「演技をすることは想像していなかったことだったし、自分の新しい面を発見できましたね。オファーを受けた時は、間違いじゃないのかな? と思いましたけど。芸人のアントニーさん(マテンロウ)へのオファーじゃないの? って(笑)。そうしたら"映画の中でクリスに歌って欲しいんだよ"と言ってもらったんです。演技の経験もないし、いいの? と。銭湯がテーマの映画だから裸になるし、すぐにダイエットと演技のレッスンにも取り組んでそれもすごく楽しい経験でした」

――演技をするうえで、難しかったことはありましたか?

「いきなり裸で歌う、というのはね(笑)。本番で緊張するかなと思っていたけど、すごく自然にできて自分でもびっくりしました。どんなステージでも、力を抜いて楽しくできるようになったんだなと実感しました」

――音楽と演技は違うものですが、"表現する"という共通点もあると思います。演技の経験を音楽に活かせるかなと感じたことはありますか。

「自分の体と声を使って、どんな気持ちを伝えるか。それは同じだと思います。キャラクターになって、ある人のストーリーを表現するということは、曲を歌う時の表現方法と同じなんです。というのはクリス・ハートとして歌うというよりも、歌のストーリーに入り込んで演技をするように歌っているつもりなので、すごく似ていますよね」

――確かに。不思議な共通点ですね。昨年の10周年以降、次の10年へ向けて今はどんな日々を重ねられているのでしょうか。

「とにかく深く考えずにいろんなことにチャレンジをしています。なんでも楽しいならやる。楽しいか、楽しくないかを考えています。コロナ以降のここ数年、いつも通りのペースではなかったからこそ、ナレーション、ミキシング、プロデュース、作曲、ボーカルディレクション、演技など、あらゆるチャレンジが楽しいと実感しています。なんでも経験になるし、あらがわず流れに身を任せて楽しい方に進んでいく。そうやって進んでいけばまた自分が変わっていくから、それを大事にして毎日を過ごしています」



音楽はみんなのためのもの
だから「楽しもう!」


――3月3日には、文化パルク城陽 プラムホールで開催される『京都音楽祭 2024』への出演が控えています。これは、どういったイベントなのでしょうか。

「今回の音楽祭は、僕の中で"音楽を楽しめるイベント"だと解釈をしています。歌、コーラス、ブラスバンド...、僕もみなさんがよく知っている名曲を歌いたいと思っていますし、生でみんなと一緒に音楽を楽しめる、そんなイベントになればいいなと思っています」

――そもそもクリスさんと京都にご縁は?

「実は映画の撮影の際にずっと京都に滞在していたんです。長い時間京都で過ごす中で、とても綺麗な街だなと思っていました。その時はまだコロナ禍で、観光客も少ない時期だったこともあってゆっくりと景色を楽しむことができましたね。景色もいい、お店もいいし、人も優しい。海外の人の目から見る、これぞニッポンという風景がいろいろなところにありました」

――このイベントの目的として、音楽を通じた文化体験の機会を作るということが挙げられているのですが、クリスさん自身にとって音楽を通じた体験で一番大きかったものを伺いたいです。

「音楽を通じて人生が変わったこと、ですよね。...難しいな。僕はこれまで音楽をやっていない時期がないほどずっと音楽と一緒に歩んできたし、人生全て音楽の影響でここまで来ましたから。ひとつを選ぶとしたら、12歳で日本の音楽に出会って全てが変わったことでしょうか。日本語の勉強の一環で、日本人向けのテレビチャンネルを見ていたんです。そこで音楽番組が流れていて、初めて聞いたJ-POPに大きな衝撃を受けました。それがきっかけで日本にホームステイをして、戻ってからも日本人の友達とバンドを組んだりして。あまり知られていないことなんですけど、僕はアメリカにいる時からずーっと日本語で歌っていたんですよ」

――え、そうなんですか!?

「そう(笑)。歌を始めた時からずっと日本語で歌っていて、逆に日本に来てから洋楽を歌ってとリクエストされることが増えて、英語で歌い始めたのはそれからです。意外でしょう?」

――めちゃくちゃ意外です! じゃあ、12歳の時のそのテレビ番組を見ていなかったら...。

「今の自分はなかったかもしれないですね。あれを見て、日本語を勉強するパッションも、日本の歌へのパッションも全部熱くなったから。あれがなかったら、音楽もやらなかったかもしれないですね。本当にJ-POPの影響があったからこそ歌手になったと思っています」

――実際に当日、クリスさんのステージを見て同じような体験をされる方もいるかもしれませんよね。

「ね? そうなって欲しいですよね。何かにつながるきっかけになればいいなと思います。本当に何がきっかけになるかわからないですからね」

――ちなみに当日のステージはどんな内容を予定されていますか。

「今までカヴァーしたことがなかった曲を含めて、メドレーも取り入れて、曲をたくさんやりたいなと思っています。コラボレーションも予定しているので、"楽しんで聞いてもらえる曲"と"一緒に歌える曲"が詰まったステージをお届けします」

――クリスさんのステージのラスト2曲は、一般公募で選ばれた50名の合唱のみなさんとのコラボレーションになることもアナウンスされています。

「コラボレーションステージでは、ゴダイゴさんの「ビューティフル・ネーム」と絢香さんの「みんな空の下」を披露する予定です」

――当日までに歌を覚えていけば、一緒に楽しめますね。

「ぜひ練習してきてもらって、当日みんなで歌いたいですね。今は合唱のみなさんは、定期的に集まって練習会を重ねてくれているんです。こういうコラボレーションも久々なのでワクワクしています。みんな"音楽が好き"という気持ちでつながれるので、自由に楽しめたらいいなと思いますね。みんなの練習動画は見せてもらいましたけど、早く一緒に歌いたです」

――もうすぐですが、本番が待ち遠しいですね。

「そうですね。でも練習と本番は違ってきますよ。本番の会場の音の響きや、お客さんが入った時の雰囲気でガラリと変わるんです。お客さんのエネルギーを感じてこそ生のライブは成立するものなので、お客さんの顔を見ながらだとどんどん歌い方も変わっていきますよ。本番を迎えるまで、本当にどうなるかわからない。それが楽しみです」

――なるほど。合唱と共演するうえでクリスさんが意識されることはありますか?

「いや、特にはないですね。僕はみなさんのその時の声や雰囲気に合わせて、自分の歌い方を変えて合わせます。それが好きなんです」

――合唱の声のニュアンスやテンションを感じ取りながら、その場で合わせていく?

「はい」

――そうだとすると、リハーサルを入念にやったとしても...。

「リハがあってもなくても、本番が全てですからね(笑)。何があったとしても楽しむだけ! ここにしかない時間を、ステージを大切にしたいなと思います」

――今参加者の方にメッセージを送るとしたら、なんと言葉をかけますか?

「楽しもう! その一言ですね。世の中も大変なことが多いから、音楽を通して少しでも笑顔になってもらえたらと思います。そういうことがいい経験になるだろうし、誰かの何かのきっかけになるから。来ていただくお客さんにも楽しもう! と同じメッセージを送りたいですね。音楽はみんなのためのものだから、ありのままで楽しんでもらえたらうれしいです」

取材・文/桃井麻依子




(2024年2月29日更新)


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Profile

クリス・ハート…1984年、アメリカ・サンフランシスコ出身。中学生の頃テレビで見たJ-POPに大きな衝撃を受けてから日本への興味が深まり、日本へのホームステイを経て移住も果たした。その後投稿していたJ-POPのカヴァー動画が注目を浴び、2012年に出演した日本テレビ系列のテレビ番組『のどじまん ザ! ワールド』に出演し優勝。ハートフルな歌声と抜群の歌唱力と愛らしいキャラクターでも人気を集め、2013年に木山裕策の「home」をカヴァー曲でデビュー。2013年末には松田聖子とのデュエットで、翌年には単独で『NHK紅白歌合戦』に2年連続出場。2017年に日本国籍を取得し、2018年4月より活動休止へ。2020年4月からの全国ツアーで活動を再開すると、作品リリースやツアーイベントへの出演など精力的な活動を展開。2023年には、デビュー10周年を迎えた。

クリス・ハート オフィシャルサイト
https://chris-hart.jp/


Live

『京都音楽祭 2024』
チケット発売中 Pコード:263-270
▼3月3日(日) 16:00
文化パルク城陽 プラムホール
全席指定-2000円
[出演]クリス・ハート/human note/asobiyoshi/Big Mouth Brass Band/他
※3歳以上チケット必要。3歳未満の方でもお席が必要な場合はチケット必要。
[問] キョードーインフォメーション ■0570-200-888

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