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平野綾は11年前からなにが変わったのか、
自身の過去と現在を振り返る
「結局なにをやっても今の自分の生き方になる」

舞台俳優、ミュージシャンとして活躍する平野綾が、音楽面で原点回帰を試みるライブツアー『AYA HIRANO LIVE TOUR 2024~RE:BOOT~』を全国5都市で開催する。これまでもミュージカルに関連したライブや、クラシックコンサートのゲストボーカルなどは出演していたが、自身の楽曲を提げてツアーを回るのは約11年ぶり。ツアービジュアルも初期の平野を彷彿とさせるパンキッシュなものとなっている。そこで今回は平野に、“あのとき”から“現在”までどのように進化しているかについて話を聞いた。

焦りと痛みのなかで初めて作詞した「LOVE★GUN」のエピソード


――『RE:BOOT』というタイトルですが、2023年も大阪と横浜でビルボードライブツアーをおこなうなど、音楽活動自体は止まっていませんでしたよね。

新曲をしばらくリリースしていなかったり、あと2022年に事務所から独立して「新しいスタートを切ろう」という気持ちもあったりして、それを今回、タイトルとしてあらわしました。あと原点回帰の意味も込めています。歌手デビューしてから、声優としてお仕事させていただいたアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズをきっかけに素敵な楽曲にたくさん出会うことができました。特に「God knows...」(2009年)、「Lost my music」(2006年)は「私にはこの路線が合うんじゃないか」と音楽活動の方向性を決めてくれました。それから自分で歌詞も書くようになり、そのときの衝動を乗せて物事が表現できるようになりました。10代や20代前半のときの良さを今、再現しようと思ってもそれはできないこと。だけど「あのときの作品の数々を今の自分だったらどのように表現できるのか」というところに興味を持ちました。

――初期衝動はそのときにしか出せない、ということですよね。

今だから話せることなのですが、実は初めて作詞した「LOVE★GUN」(2008年)は「歌詞を書いてほしい」とお願いされたのが締切前日で(笑)。だからすごく一生懸命書いたんですけど、途中でお腹が痛くなってきて。救急車で運ばれて、盲腸だったんです。つまりあの曲は、締切前の焦りと痛みを耐えているときの気持ちが乗った歌詞で(笑)。それこそ、そのときにしか出せない衝動で押し切りましたね。

――たしかに「LOVE★GUN」には<ぶっ飛ばす><蹴散らして>といったワードもありましたけど、今のエピソードを聞くとなんだか納得できます(笑)。

あと当時の自分は、そういう強い言葉を求めていた部分もあります。たとえばアニメ作品では活発な役を演じて、ファンの皆さんからもそういう姿を求められることがあって。だけど実際の自分は決して明るい方ではなかったので、「どうしよう」とギャップに悩んでいたんです。だから奮い立たせる意味でも、強い言葉を歌詞として書いて「こうすれば前に進めるんじゃないか」と自分の背中を押していました。ずっと「自分のパーソナリティってどこにあるんだろう」と考えながら走っていました。

――ただ、平野さんが舞台上で役者としていろんな人物になりきる姿を見ていると、良い意味で"本当の自分"との折り合いがつけられるようになったのかなと思います。

もともと舞台役者を目指してこの世界に入って、自分以外の人間になりきることの魅力を感じていたから、折り合いがつけられたのかもしれません。あと性格的に一つの作品に集中したいタイプなんです。何本も仕事を詰めたりせずに、その期間中は役としてその人の人生を歩みたい。舞台に軸足を移してからは集中して一つの作品に取り組めている気がします。

――舞台、アニメなどでいろんなキャラクターの人生を演じてきて、「こういう生き方に憧れる」と感じたことはありますか。

憧れを持ったとしても、結局なにをやっても今の自分の生き方になると思うんです。それこそ生まれ変わるくらいじゃないと。その点で今回のツアータイトルも「RE:BORN」ではなく、「RE:BOOT」なのかなって。私は欲張りで、なんでもやりたいし、そういう自分に抗えない。生まれ変わるとなるとそんな自分を否定しているみたいに感じちゃって。どんなことがあったとしても人生には悔いがないし、一生懸命やってきたし、だからこそなにごとも地続きでやっていきたいんです。

――「平野綾は、平野綾以外、考えられない」ということですね。

あと、自分だけではなく私以外の人をどれだけ幸せにできるかが大事。「じゃあ、こうしていこう」ということを、スピード感を持って導き出していきたい。やりたいことがたくさんあって、どんどん形にしていきたいから、とにかくスピード感を重視しているんです。だからよく「生き急いでいる」と言われます。

――それこそ2023年12月6日放送のバラエティ番組『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)に出演されて、「おひとりさまを満喫している」というエピソードを披露した1か月後、1月3日に結婚発表をされたのはスピード感がありすぎですよ!

ハハハ(笑)。番組収録はずいぶん前におこなわれて、そのときは結婚する時期が決まってなかったんです! あと趣旨的には「一人で旅行へ行ったり、食事ができたりする楽しさが感じられる人」として出ていて、「独身」を打ち出していたわけではなかったんです。だけどやっぱりちょっと叩かれちゃいました(苦笑)。

――でしょうね(笑)。いや、その流れがめちゃくちゃおもしろかったです。あとおっしゃるように「一人でなにかを楽しむ人」という番組内容でしたし、決して「独身でずっと生きていく」みたいなことではなかったですから。

やっぱり「一人でなにかを楽しむというのは、独身がやること」という考え方が根強いんだなって思いました。ちょうど番組がオンエアされた頃に結婚発表のタイミングを決めたのですが、お互いの両親へ挨拶へ行ったとき「テレビであんなことを言っていたけど大丈夫?」と心配されましたから(笑)。

――「おひとりさまを宣言してたのに!」って。

番組のなかで話していた「におわせ写真を撮る」というのも、近年ファンに「結婚しないんですか」と聞かれたり、それこそ心配されたりすることが多かったから、安心させるためにやっていたんです。恋人としてのにおわせだけじゃなく、「ちゃんと友だちがいるよ」みたいな意味でもあったんですけど。だけどその受け取り方は人それぞれですし、なによりそれくらいみなさんが番組を楽しんでご覧になってくれたんだなって。

――その点で今回のツアーは新しい人生の門出を祝うものになるはず。約11年前の『FRAGMENTS LIVE TOUR 2012』とは違う「平野綾」が間違いなく見られそうですね。

ただ、あのときのツアーが今の自分につながっていると思います。当時リリースしたアルバム『FRAGMENTS』は、いろんな作家のみなさんに"平野綾"をイメージした曲を作っていただきました。そこには私個人ではたどりつけない発想がたくさんあって、それを受け取ったとき、また新しい"平野綾"が作られたように感じました。先ほどのテレビ番組や結婚発表の話もそうですが、『FRAGMENTS』のときも「自分はこうだ」と思っていても人によって受け取り方が違うことに気付かされました。11年前「自分ってなんなんだろう」ということを探しながらツアーをしていろんな破片"FRAGMENTS"を拾い集めていたけど、それが今になって活かされている気がします。

――それこそ事務所から独立して一人で活動するときにも活かされているのかなと思います。

逆にこれまで事務所の方たちがどれだけサポートしてくださっていたか、それも分かりました。それこそ「経理ってこんなに大変なんだ」とか(笑)。そしてその分、勉強することが増えました。だからこそ今回のツアーではまた進化した自分を出せるはず。なによりライブハウスを回るので、そこでしか味わえない熱量を感じてもらえると思います。体力的にハードな分、充実感があるものをお見せしたいです。

取材・文:田辺ユウキ




(2024年2月16日更新)


Check

Live

AYA HIRANO LIVE TOUR 2024 ~RE:BOOT~

【愛知公演】
▼2月17日(土) JAMMIN’

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:255-711
▼2月18日(日) 17:00
Yogibo META VALLEY
オールスタンディング-8800円
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は2/11(月)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【東京公演】※SOLD OUT!!
▼2月23日(金・祝) UNIT

Pick Up!!

【京都公演】

チケット発売中 Pコード:255-711
▼2月24日(土) 17:00
京都FANJ
オールスタンディング-8800円(ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は2/17(土)10:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【福岡公演】
▼2月25日(日) DRUM Be-1

【東京公演】※追加公演
▼3月3日(日) KANDA SQUARE HALL

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