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ドミコ x NIKO NIKO TAN TAN x YUGO.
親交の深い3組が生んだ、クレイジーで最高の夜
『DMC&NNTT』ライブレポート

8月18日(金)心斎橋Music Club JANUSで、ドミコとNIKO NIKO TAN TANのツーマンライブイベント『DMC&NNTT』が行われた。DJにはイラストレーターのYUGO.が出演。YUGO.が手がけたキービジュアルの中に「It's going to be the craziest night……=最もクレイジーな夜になるだろう」というセリフが描かれていたが、その言葉通り、最高にクールで熱い空間となった。ぴあ関西版WEBではその模様をレポートする。

「どんな組み合わせのツーマンならお客さん、演者の皆さんに面白いと思ってもらえるかなぁと考えながらブッキングさせてもらっている」というJANUSの企画「◯◯と◯◯」シリーズで実現した今回の最高の対バン。ドミコとNIKO NIKO TAN TANは、どちらも独自の音楽性とクリエイティビティを持ち、ひとたびライブを見た者を虜にさせる中毒性のあるバンドだ。

そしてイラストレーターのYUGO.は普段から両バンドと親交が深く、お互いをリスペクトし合っている。YUGO.は本イベントを終えた後、活動拠点を東京に移すことになっていて、大阪在住でのDJはこの日が最後だった。またJANUSの屋上には彼が描いた8枚にわたる巨大なウォールもあり、一緒にグッズを制作するなど、JANUSとの関わりも密。YUGO.にとってもこの日は嬉しく、特別で大切な夜になったのではないだろうか。

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会場がオープンし、フロア後方に設けられたDJブースでYUGO.がハイネケン片手にロックナンバーを繋いでゆく。The StrokesやKlaxons、THE 1975、BENEE、MURA MASA、oasis、Blurなど、彼が好きなアーティストの楽曲を投下して、フロアをじわじわと高めていった。バーカウンターではキービジュアルの絵柄のポスターとステッカーが販売され、買い求める人が続々と足を運んでいた。(YUGO.が描いた似顔絵とオシャレなデザインがとても素敵だった)

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先攻はNIKO NIKO TAN TAN(以下、ニコタン)。SEが流れ、ステージにバンドロゴのネオンが光る。OCHAN(vo&syn&etc)とAnabebe(dr)が勢いよく飛び出すと、熱気たっぷりのフロアから大歓迎の声があがる。その空気を感じて嬉しそうにOCHANが「大阪よろしくー!」と叫び、『胸騒ぎ』から絶好調で幕を開けた。この日はオーディエンスの反応がとても良く、ステージとの距離の近さも相まって、ぐんぐん会場の一体感が高まっていく。

Anabebeのダイナミックなドラムソロでフロアを湧かせた『WONDER』、ノイジーかつグルーヴィで妖艶な『ヨルガオ』を続けて披露した後、OCHANが「ようこそお越しくださいました!」と一言。

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そこからAnabebeのタム〜シンバルのリズムにOCHANのシンセが絡みついた『夜を彷徨う、僕の衝動』をメロウに聞かせ、オレンジのライトに輝くミラーボールが美しかった『琥珀』を経て『水槽』へ。アンダーグラウンドなパートから希望を携えて浮上するような展開が最高に気持ち良い。<大阪に溶けてく!>と歌詞を変えてOCHANが歌うと、フロアのテンションがまたひとつ上昇した。さらに間髪入れず『生まれゆく鮮明脳内』を披露。少し抑えたOCHANのボーカルや乾いたAnabebeのビートに体が揺れる。

MCでは2人とも「最高っすね〜」と笑顔で喜びを表し、ドミコとのエピソードを語り始める。「ドミコと大阪でツーマン嬉しいな(OCHAN)」「めっちゃ好きやもんな(Anabebe)」とラブラブぶりを披露。Anabebeは長谷川啓太(dr)と塚田農場に飲みに行ったと話し、OCHANは「(さかした)ひかる(vo&gt)と15時から待ち合わせして25時ぐらいに解散してんけど、5軒ぐらい行った」と、飲み仲間であることを明かす。

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そして「ハイライト作っていきたいんで、この曲やります」と、7月にリリースされたばかりで早くもライブアンセムとの呼び声高い『Jurassic』を投下。<ドンドンパン!>とQueenの『We Will Rock You』を想起させるストンプ&クラップを会場全員で力強く叩き込み、漲るエネルギーで心の底から踊らせた。

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ライブも残り3曲に。『同級生』では、音楽がこんなにも自由で美しくて楽しいのだと思わされる瞬間が何度も訪れる。アウトロでAnabebeは立ち上がり、2人同時にシャウト、最高潮の盛り上がりで突入した『パラサイト』では、クセになるメロディーやリフ、口ずさみたくなる歌詞、抑揚のあるリズムの波を一気に集約させる。ラストは『ハナノヨウ』。何層にも重なるサウンドで、ゆらゆら心地良くステージを締め括った。楽曲の幅広さと表現力の高さはさることながら、フロアも一体となって濃厚な時間を作り出したNIKO NIKO TAN TANだった。

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転換中はYUGO.が、Blood Red ShoesやThe Vines、The White Stripesなど、ガレージ風味のあるDJでドミコへとバトンを繋ぐ。

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キング・クリムゾンの『Easy Money』がSEで流れ、真っ赤に染まるステージとバンドロゴのネオン。「バーン!」と爆発力を持って2人で音を弾き出すと、さかしたは長谷川の方へダッシュし「大阪よろしくー!」と叫ぶ。のっけから高まる気合いにフロアもテンションアップ! ライブアレンジを存分に盛り込んだ『まどろまない』からスタートした50分のライブは変幻自在で、ニコタンから引き継いだ熱気を増幅させた。語尾を強めるさかしたのボーカルとキレキレの長谷川の一打。何度見ても2人で出しているとは思えない音圧に、本能を刺激される。

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domico230908-2.jpg続いては『びりびりしびれる』。短いギターフレーズとドラムのビートがぴったり重なっては、サイケなギターリフに並走するビートに形を変える。そこに気怠く絡みつくボーカル。2人の技の妙が際立つパフォーマンスから目が離せない。さかしたのギターがルーパーによって何重にも重ねられ、音の鋭さと分厚さで圧倒した『なんて日々だっけ?』を経て、『くじらの巣』へ。軽快で小気味良いリフがループする気持ち良さと、うねうねと宙を舞うエフェクティブなギターに没入する感覚を体験する。

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そして、さかしたの弾き語りから始まった『あたしぐらいは』。ドミコにしてはゆったりとした歌モノだが、ピアノのような音色や、後半の情緒的なサウンドをギター1本で表現していると思うと、良い意味でのわけのわからなさに脱帽する(褒め言葉です)。

ドミコのライブはMCがなく、楽曲をどんどん続けてプレイするスタイルだ。後半戦は『ばける』『化けよ』を連投。ボトムで鳴り続ける引っ掻いたようなギターサウンド。
さかしたが叫ぶように歌声を強めるとフロアは湧きに湧き、一心不乱に踊る観客を見たさかしたがグッドポーズを贈る。アウトロで徐々に激しくなるギターとビート。2人が向き合って奏でる様子は野性的で、ヒリヒリドキドキする。

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『united pancake』を経て、さかしたが「ラスト1曲ありがとう! ドミコでした! 大阪あ!」と叫び、ラストチューン『ペーパーロールスター』へ。ダイナミックな跳ねるリズムがフロアを揺らす! そして2人のセッションタイム。さかしたが煽るように長谷川に近寄り、しばし向き合って音をぶつけ合う。あらゆる音階のギターフレーズを華麗に操るさかしたと、50分叩きっぱなしにも関わらず全くキレを落とさない長谷川のビートの応酬は最高にエキサイティング。とにかくはちゃめちゃにカッコ良い。雷のように激しくステージを照らすライトの元で飽和するギターの重なり、そこに喰らいつく身体的なドラム。もう最高だ。オーディエンスも「フー!」と歓声を送り、生音を浴びる喜びに没入する。そして5〜6分ほど経っただろうか、再び楽曲に戻り力強くフィニッシュ。フロアは拳を掲げ、最高潮の盛り上がりでドミコのライブは終了した。いつまでも鳴り止まぬアンコールを求めるクラップの大きさが、ライブの素晴らしさを物語っていた。

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この後は余韻冷めやらぬまま、YUGO.のクロージングDJをフロアで楽しんだ。ボーカルとドラムのツーピースがステージに立つ、という点が両バンドの共通項だが、それぞれのライブへの向き合い方は異なるように思えた。ニコタンは横並びで、ドミコは向き合って高め合うようなイメージだ。シンプルに音楽でのコミュニケーションの楽しみを与えてくれる、最高の対バンライブだった。YUGO.は東京に引っ越したが、また大阪でこのメンバーでのイベントをやってほしいと願うばかり。3者の活躍をこれからも楽しみにしていたい。

Text by ERI KUBOTA
Photo by ヨシモリユウナ




(2023年9月11日更新)


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Set List

ジャニスの○○と○○シリーズ
『DMC&NNTT』
2023.8.18 Fri at 心斎橋JANUS
[LIVE]ドミコ/NIKO NIKO TAN TAN
[DJ]YUGO.

NIKO NIKO TAN TAN
01. 胸騒ぎ
02. WONDER
03. ヨルガオ
04. 夜を彷徨う、僕の衝動
05. 琥珀
06. 水槽
07. 生まれゆく鮮明脳内
08. Jurassic
09. 同級生
10. パラサイト
11. ハナノヨウ

ドミコ
01. まどろまない
02. びりびりしびれる
03. なんて日々だっけ?
04. くじらの巣
05. あたしぐらいは
06. ばける
07. 化けよ
08. united pancake
09. ペーパーロールスター

Live

●ドミコ

DMBQ presents 「DMBQ と ドミコ 」
チケット発売中 Pコード:248-820
▼10月5日(木) 19:30
梅田クラブクアトロ
スタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[LIVE]DMBQ/ドミコ
※小学生以下は入場不可。中学生以上は有料。
※販売期間中は1IDで1回のみ4枚まで購入可。
[問]梅田クラブクアトロ■06-6311-8111

夜の本気ダンス
『15th Anniversary TOUR ~1 GO ! 1 A! O-BAN-DOSS~』

▼10月20日(金) 19:00
KYOTO MUSE
▼10月21日(土) 18:00
神戸 Harbor Studio
一般前売-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
学割前売-4000円(当日要学生証、整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]ドミコ
※未就学児童は入場不可。
※写真撮影、録音・録画禁止。
※学割は入場時に学生証(中学・高校・大学・専門 可)を提示。小学生は年齢がわかる身分証を提示。
[問]清水音泉■06-6357-3666

ドミコワンマンツアー2023、その2“肴”(あて)
チケット発売中 Pコード:248-749
▼12月8日(金) 19:00
味園 ユニバース
オールスタンディング-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。飲食物持ち込み不可。飲酒される方は年齢の分かる身分証を必ずご持参下さい。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

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●NIKO NIKO TAN TAN

2ND ONE-MAN TOUR[ lol ]
チケット発売中 Pコード:250-911
▼9月24日(日) 18:00
club JOULE
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可、小学生以上はチケットが必要となります。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。チケットの発券は、9/17(日)昼12:00以降となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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