aiko、Saucy Dog石原慎也が共演！
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』
12月27日(火)L-STAGE 東京スカパラダイスオーケストラ
ライブレポート

SEが流れ、メンバーが楽器を手にステージに登場。バシッとスーツを着こなしたスタイリッシュな9人のguysが並ぶ迫力はピカイチだ。フロアも歓声をあげてクラップで盛り上げる。そして早くも高まった会場に『TONGUES OF FIRE』を投下！ 大森はじめ(Per.)が前に出てモンキーダンスを踊ると、会場も一斉にダンス！ フロントマンの6人が入れ替わり立ち替わりお立ち台に登り、キレのあるパワフルなプレイを次々とキメていく。そして谷中敦(B.sax)が「We are 東京スカパラダイスオーケストラ！ いくぜー！ Boy meets Girl！！」と叫び、定番の『DOWN BEAT STOMP』を演奏する。イントロ時点から体の中を楽しさが駆け巡り、ご機嫌なスカのリズムにフロアはお祭り騒ぎ。メンバー全員がステージを自由度高く使ってオーディエンスを問答無用に踊らせる。視界に広がる怒涛の展開に、どこを見ればいいのかわからなくなるほど目が忙しい。

「今年のレディクレヤバいね、盛り上がってるね！ 最高だね！ もっと楽しんでもらうよ！」と谷中。そして「今日のスカパラ、フェスの中のフェスの勢いでいくからね！ 思いっきりドッカンドッカンいくよ！ カモン欣ちゃん！」と茂木欣一(Dr.)にバトンを渡すと、茂木がメインボーカルをとる長谷川白紙とのコラボ曲『会いたいね｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡』を披露。茂木は軽快にビートを叩き込みながらキャッチーなメロディを歌ってゆく。サビでは綺麗に手が挙がり、会場がひとつに。間奏ではNARGO(Tp.)のトランペットが冴え渡る。それぞれのソロの見せ場もあり、さすがの貫禄を見せつけた。スカパラは本当に老若男女全員を巻き込む、生粋のエンターテイナーだ。曲を終えた茂木は「やっと、やっと会えたよねー！」と喜びを爆発させた。

立て続けに加藤が「皆でジャンプしようぜ！ 次は皆知ってるこの曲です！」と『Can't Take My Eyes Off You～君の瞳に恋してる～』を勢いよく演奏。GAMO(T.sax)が手でハートマークを作る姿がキュートだ。V字腹筋をしながらトランペットを吹くNARGOと、その横にひざまづいて決めポーズを取る北原雅彦(Tr.)のお馴染みの展開にも大喝采！ さらに『Glorious』で勢いを加速。休む間もなく「次はタオル回してみようか！」との加藤の言葉で会場はタオルの花が咲く。「踊れ踊れ〜！」と煽り続けて熱量がぐんぐんアップし、歌えや踊れやの大騒ぎ。谷中は闘牛士のようにタオルをたなびかせて派手に会場を盛り上げた。

ここで「いくぜスペシャルゲスト！ 石原慎也！」と、Saucy Dogの石原が呼び込まれる。メンバーとお揃いのピンストライプのスーツを着こなして、やや緊張した面持ちで走りこんだ石原。沖祐市(Key.)のピアノが美しく鳴り響き、11月にリリースされたばかりの『紋白蝶 feat.石原慎也』が披露される。集中するように目を閉じてスッと息を吸い、情緒的に歌声を響かせる。ものすごい声量を全力でぶつける様子からは気合いが伝わる。スカパラの面々はゲストボーカルを引き立てる側に回り、温かい眼差しで石原を見守っているようだった。前半はハンドマイクで歌っていた石原が袖に引っ込み、巨大なチューバを抱えて戻ってくるとフロアからは大歓声が起こる。チューバで演奏に加わった石原をセンターに据え、脇をホーン隊がガッチリと固める。その堂々としたパフォーマンスは最高にカッコ良かった。石原は元々学生時代にチューバの経験があったそうだが、全力での歌唱に加えてチューバ演奏とは、ものすごい肺活量で舌を巻いた。最後は石原が台の上からチューバを抱えて大きくジャンプ！ 気持ち良さそうに笑顔を見せて一旦ステージを後にした。

沖のノスタルジックなピアノソロから始まった『水琴窟　-SUIKINKUTSU-』では、言葉で煽らず、楽器の演奏だけで音のうねりを作り上げる。フロントマンが全員一列に並んで演奏する様子はとにかく圧巻だった。ボトムを支える川上つよし(Ba.)と茂木のグルーヴは安定感バッチリ。中盤から後半にかけては沖の超絶テクも見事に光り、楽曲全体のメリハリある展開を際立たせた。

さらにここで、Z-STAGEで渾身のライブを終えたばかりのaikoが登場し、2020年3月にリリースされたベスト・アルバム『TOKYO SKA TREASURES ～ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ～』に収録の『Good morning～ブルー・デイジー feat.aiko』を披露。MVでも着用していたストライプのスーツに身を包み、笑顔でステージに現れたaiko。幸せそうな表情で、伸びやかな歌声を丁寧に響かせる。1番はしっとりと歌い上げ、2番はホーン隊が激しさを増し、その歌声にも力強さが宿る。サビは言わずもがな手が挙がり、夢のような空間を堪能する。パワフルなサウンドに牽引されるかのように、長く美しいビブラートで圧倒すると、オーディエンスからは大歓声が送られた。ラストはさらに声を張り上げて全力で歌唱。最高潮の盛り上がりに、谷中は「嬉しいね、やっとお客さんの前でできたね。発売してすぐコロナになっちゃって、こういう場所で披露する機会がなかったから。初コラボだよね」と優しい瞳でaikoに語りかける。フェスでのコラボはこの日が初めてだったようだ。aikoは「良かったです！ めっちゃ緊張した〜！」とホッとしたように笑顔を浮かべていた。

ラストチューンは『Paradise Has No Border』。GAMOが「体を使って思いっきり楽しさをアピールしてくれ〜！」と叫ぶと、フロアはタオルを掲げたりジャンプしたりと全力アピール。「Hey！」では大きくジャンプする。「最高だぜ！ さすがレディクレだな！ ここでいつものやつをやっちゃうけれども、今日はせっかくだ、もう一度最強の2人を呼びたいと思います！ 石原慎也！ そしてaiko〜！(GAMO)」と2人を呼び込む。石原は再びチューバを携えて登場。これで役者は揃った。「どこが一番盛り上がってるんだ〜！？(GAMO)」「もっと盛り上がっていこうぜー！(石原)」「皆足りひん。足りんで。もっともっとくださーい！(aiko)」と煽ると、さらにテンションがアップ。下手側、上手側と、熱狂したフロアに向けて全力で演奏を届ける。aikoも楽器の代わりに贅沢なコーラスを響かせた。とんでもない熱量とダイナミックな演奏で、すっかりステージを魅了した11人。aikoは満面の笑顔を、石原はやりきったような安堵の表情を浮かべ、スカパラのメンバーも清々しい表情で充実感を滲ませていた。

こうして今年のスカパラのステージは大団円を迎えた。最後は谷中が「写真撮らせてください！」と自らのスマホでメンバーとフロアを自撮り。この写真は谷中のツイッターに投稿されているのでぜひ見てほしい。雰囲気が伝わるとても良い写真だった。ステージを去り際、谷中に「お誕生日おめでとうございます！」とaikoが祝福すると、「優しい！」と笑顔で答える。人と人の繋がりの素晴らしさや、生演奏で生まれるグルーヴの尊さを教えてくれた、最高にハッピーなステージだった。

なお、2023年1月9日(月・祝)には、FM802で14:00から夜中3:00までの13時間にわたり、『FM802 RADIO CRAZY RADIO de LIVE CRAZY』として『RADIO CRAZY』のライブ音源がオンエアされる。こちらも要チェックだ。

Text by ERI KUBOTA

（2023年1月 6日更新）