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「世界が真夜中のように感じる時も必ず太陽が昇ってくる。
『Midnight Sun』に込めた思いを届けたい」
Kenta Dedachiインタビュー

今年4月にメジャー第一弾となるシングル『Fire and Gold』をリリースして、Dedachi Kentaあらため、Kenta Dedachi名義での活動をスタートした22歳のシンガーソングライター。2018年に渡米し、LAと日本を往復しながら音楽活動を行ってきた。英語と日本語がスムーズに混ざり合う次世代ポップが注目されるなか、待望のメジャー1stアルバム『Midnight Sun』を7月27日に配信リリース(8月24日には完全生産限定盤CDを発売)、8月にはワンマンライブ “Set off Jam”が控えている。ぴあ関西版WEB初登場となる今回はボーダレスな彼のバックボーンから、アルバム『Midnight Sun』に込めた想い、そしてバンド編成でのワンマンライブの構想まで、たっぷりと話してもらった。

伝えたいことはずっと変わらない
ハッピーで、ピースフルな気持ちにしたい

 
――Kentaさんは帰国子女ではなく、日本国内のインターナショナルスクールに通っていたそうですね。
 
「はい、小学1年生から高校3年生までインターナショナルスクールに行ってました。全校で50人ぐらいの小さな学校だったので、ちょっと大きいファミリーみたいな感じでしたね」
 
――幼い頃から日常的に英語と日本語を話してたんですか。
 
「そうですね。6年生以降は日本語を話す先生がいなくなり、中学1年生から高校3年生までは全部英語で勉強してました。だから、歌詞を書く時も英語の方が書きやすいっていうのはありますね。本も英語で読んでたし」
 
――音楽もJ-POPより洋楽の方を好んで聴いてたんですか。
 
「そうですね。学校の友達とかもみんな洋楽を聴いていたので、J-POPにはほぼ触れてないんですよね。英語で歌う人の方が歌詞も聞きやすかったし、英語の曲は結構何でも聴いてましたね。特にエド・シーランとかテイラー・スウィフトとか、アデルなんかをよく聴いてました」
 
――Kentaさんが曲を作る時もその影響が大きい?
 
「多分そうですね、自分の中から出てくるメロディーもアメリカンポップとか、UKポップの影響はかなりあるかなと思います。日本のリスナーの方も聴きやすいように、日本語を歌詞に入れたりもしてますが、最初に曲を作る時は全て英語です。僕は14歳ぐらいからYouTubeに弾き語りの動画とかを出していて、その時はカバーばかりだったんですけど。KOSEN (Colorful Mannings) さんというサウンドプロデューサーの方に出会ってから、オリジナルを作るようになりました。そこから自分の曲を作ることの楽しさがわかってきたっていうか…、それが17歳頃からですね。KOSENさんもアメリカのサンディエゴの大学に行ってたので、アメリカのセンスもあるし、J-POPもわかってる方なので。彼と音楽作ると、J-POPとアメリカンポップが良い塩梅で混ざり合った感じがするんですよね」
 
――オリジナル曲を作る時にテーマにしていることは?
 
「歌詞で伝えたいと思ってることはずっと変わらなくて。人をハッピーにしたいとか、ピースフルな気持ちにしたいというのがいつも曲を作る時にあるテーマですね。僕の音楽を聴いてそういうハッピーな体験をしてくれたらいいなと思ってます。父親が教会の牧師で、クリスチャンホームで育ったので、平和とか愛とか喜びが人間の中心にあるということを小さい頃から教わってきたんです。だから、音楽でもそういうものを表していきたいなって思ってます」
 
――“愛と平和”というのはアーティストにとって永遠のテーマじゃないかなと思います。でも、それがきれいごとのように感じる人もいるかもしれません。そういう人にも届くように意識していることは何かありますか。
 
「歌詞の中にコントラストを作るようにしてます。人はハッピーなだけじゃなくて、落ち込んだ気分の時もあるし、傷つくこともあるから…。ただハッピーなことを歌うっていうのは、やっぱりちょっと届かないこともあるかなと思うので。落ちこむことがあっても、その後にハッピーに生きるのを選ぶという感じで、僕は歌詞を書いてますね」
 
――なるほどね。
 
「でも、今まではそういう感じでしたが、また最近学んだことがあって。アメリカンポップってそういうコントラストがある曲もたくさんあるんですけど、逆にストレートな曲もかなり多いと思うんですよね。僕もそういうことを色々感じるようになってきたから…、ストレートにハッピーな曲も作りたいなと思うし、ハッピーじゃない曲も作りたいなって思ってトライしています」
 
――そうやって新たにトライした楽曲が、今回のメジャーデビューアルバム『Midnight Sun』に収録されているんですか。
 
「そうですね。例えば、『Better days』(M-6)とかはアルバムの中でも一番エモーショナルな曲になったと思っていて。これは過去の良かった日々のことを思い出して、ある意味、救いがないぐらい落ち続けてる…。そんな極端に暗い方の気持ちを描いた曲を作ってみようかなと思ったんです。音のほうでは曲の最後にメリーゴランドのサンプリング音とか、ちょっと可愛らしいおもちゃのピアノみたいな音も入ってたりして。少し気持ちを楽にさせてくれるエレメントも入ってるんですけどね」
 
――この曲で、“We burn out. And go back down.と歌っているフレーズの、“~downは、ロングトーンで強調されてますよね。すごく引きこまれます。
 
「 はい、そこが一番、どうしようもなくどこまでも落ちていくのをイメージしたところです。あれはかなり最近チャレンジし始めたタイプの曲です」
 

 
 
コロナ時代に自分自身が感じた
孤独とか絶望的な感じを曲で表現した
 
 
――このアルバムの歌詞を書く上で、テーマにしたことありますか?
 
「やっぱり、コロナが始まってから書き始めた曲が多いので。自分自身がコロナ時代を歩んでる時のアップダウンとシンクロしてる感じがしますね。僕はLAの大学に行ってるんですけど、2019年の春に日本に帰ってこないといけなくなって。1年間ぐらいLAに戻れない時期があったんですけど。その時に感じていた孤独とか、絶望的な感情を曲で表したりしてます。一方で、前向きに行こうよ!みたいな、そういうメッセージも入っています。例えば中盤の『Green Eyed Monster』(M-7)とか、『Better days』とかは、アルバムの中でもかなり落ち込むところで、『New Beginning』(M-2)や『Dandy Lion』(M-12)は、たとえ落ち込んでも、その時に感じた痛みを昇華して、逆に周りで傷ついている人を助けて、そしてこの世界に愛を広めようよっていう曲だったりします」
 
――このアルバムは表題曲の『Midnight Sun』(M-1)という曲から始まります。これはまるで讃美歌のような雰囲気ですね。
 
「『Midnight Sun』っていうタイトルにもピースを願うメッセージが入ってます。アルバムの最初の曲は讃美歌のようなアカペラにして、みんなで歌ってる感じを出したかったんですよね。(歌詞の中に)“Make us one”というフレーズは“ひとつにしてください”みたいな、そういう曲です」
 
――この曲のアカペラはご自身の声を重ねているんですか。
 
「はい、自分の声を重ねました。この曲はアルバムのタイトル“Midnight Sun”という言葉をふと思いついて、その日のうちに自分の部屋で作った曲です。お風呂につかってる時にメロディーが浮かんできたので。あ、これヤバい!録音しないと!って思って。そのデータを、レナート・イワイさんっていうブラジル人のプロデューサーに送りました。レナートさんは、シングルの『Fire and Gold』(M-5)を一緒につくったり、『Strawberry Psycho』(M-9)や『Stay with me』にはエンジニアとしても関わってくれている素晴らしい方なんです。『Midnight Sun』も彼のミックスで、すごく讃美歌的でかっこいいサウンドになりました」
 
――かと思えば、リード曲の『Sparking Lemonade』(M-3)は軽快なサマーソングっていう印象です。
 
「そうですね。シュワシュワっとしてる感じっていうか(笑)、夏っぽい感じの曲ですね。これは最近出会ったプロデューサーのRounoさんと一緒に作った中の一曲です。すごくポップな曲を目指しました。今回のアルバムは夏に出ることが決まっていたので、リード曲には思いっきりサマーな曲が欲しいよねってことで。夏って言ったら何かなって色々話してた時にレモネードを思い出したんですよ。僕はレモネードが大好きなんです。LAの好きなカフェに行った時にいつも頼むのが、このスパークリングレモネードだったので、それをタイトルにしました」
 

 
――この曲はラブソングのようにも聞こえます。
 
「はい、夏の青春ソングって感じですね。酸っぱさと甘さと、そういうふたつのものを対比させるような歌詞になっています。ふたりでひとつみたいな感じで…」
 
――個人的には『Stay with me』(M-11)も耳に残りました。今作の中で唯一、日本語がメインの歌詞で、四季を感じさせるワードも出てきます。
 
「実はこれも最初は英語で作ってたんですが。メロディーが日本語で歌うのに合ってるかもって思って…」
 
――これは、どんな思いから生まれた曲ですか。
 
「コロナ禍になってから、世界がちょっとカオスっぽくなったけど…、諦めないように、みんなで力合わせていかないと、と思って。そういう自分の思いを伝えたかったんです。英語バージョンもリリースしましたけど、ライブでこの曲を日本語バージョンで最後に歌うと、すごく一体感が生まれるんですよね。やっぱり日本語で歌うと、こういう現象が起こるんだなと感じますね」
 
――アルバムの後半の『Stay with me』以降は、よりアコースティックな感触ですね。
 
「そうですね。『Dandy Lion』は、このアルバムのレコーディングがほぼ全部終わった後に、追加して録った曲なんです。僕の原点は弾き語りなので、シンプルな曲も入れたいなと思って。スタジオに入る二日くらい前に自分の部屋でポロポロってアコギを弾きながらできた曲です」
 
――ラストの『Rewind』(M-13)は素朴で温かみがある余韻が残ります。
 
「この曲を作ったのはコロナ前だったかな…、アルバムの中で一番古い曲なんです。タイトルは“巻き戻し”っていう意味で。落ち込んでる時とか、もうこれ以上前に進めないと思った時には、ちょっと(立ち止まって自分のこれまでの人生を)巻き戻してみて…というテーマで作りました。今まで自分がどれだけいろんなものを越えてきたか。ひとりじゃなくて、どれだけ人に助けられてこまで来れたかとか…、そういうことを思い出して前に進もうよっていう歌なんです。メッセージもこのアルバムにはすごく合うなと思ったので。あと、アルバムの一番最後にしたのは、(最後まで聴いたら)巻き戻して、また最初から聴いてね!みたいな…意味もあります(笑)」
 
――なるほどね。このメジャーデビューアルバムが完成してご自身ではどんな気持ちですか。
 
「とにかく嬉しいですね!アルバムができるって…。レコーディングする時もめちゃくちゃ楽しかったし、曲を作る時もほんとに楽しかったので。今作では4人のプロデューサーと一緒に作ったことも良い経験でした。やはり違うプロデューサーの方と作ると、また新しい刺激があるんですよね。それで、自分も新しいことを吸収できて、新しいものが生まれるので。みなさんに聴いてもらって、僕以上にこのアルバムを愛してもらいたいなって思いますね」

 
 
バンドでのワンマンライブが開催
Michael Kanekoもゲスト出演!
 
 
――8月に東京と大阪で開催されるワンマンライブ、 "Set off Jam"はどのようなステージになりますか。
 
「バンドでのライブになります。今回はドラマーがいないので、その変わりにドラムパットを使ったデジタルな音をうまくミックスさせたいと思っていて。そのほうがCD音源に近い音を出せるかなと」
 
――バンドメンバーは?
 
「僕のアルバムでたくさんの曲に参加してもらったレナート・イワイさん、それからKOSENさん。レナートはベースもできるし、 打ち込み系のこともできます。KOSENさんはギターとバックグラウンドシンガーもできるし、いろいろと堪能な方です。それから、ギタリストのエリアス・チアゴさん。彼とはレナートさんと曲を作り始めてから出会いました。今年の3月のワンマンライブでも、レナートとチアゴさんにはサポートしてもらいました。そして、キーボーディストはSANABAGUN.の大樋祐大さんです」
 
――すごく頼もしいメンバーが揃っていますね!その中で、Kentaさんもギターを演奏されるんですね。
 
「はい、僕はギターをメインに。それから、今回は、『Better days』でギターを弾いてくれたMichael Kanekoさんがゲストで出演してくれます。Michaelさんセクションを作りたいなと思って。『Better days』はもちろん、マイケルさんの曲も一緒にやれたらいいですね」
 
――スペシャルな共演がすごく楽しみです! では最後に、ファンの方に一言お願いします!
 
「コロナは何年経ってもなかなか終息しない状況ですが、世界が真夜中のように感じる時も必ず太陽が昇ってくるっていう、僕が『Midnight Sun』というアルバムに込めた思いがみなさんに届けばいいなと思っています。そして、みんなで“Stay with me”しながら一緒に助け合って、これを乗り越えていければいいですね。8月のワンマンライブではMichael Kanekoさんも来るし、アルバム『Midnight Sun』はいろんなジャルの曲が入ってるので、すごく盛りだくさんなライブになると思います。僕もめちゃくちゃ楽しみですし、絶対楽しめると思うんで。みなさん、ライブに来てください!」

 

Text by エイミー野中



(2022年8月 8日更新)


Check

Movie

Release

Major 1st Album『Midnight Sun』
配信中

《収録曲》
01. Midnight Sun
02. New Beginning
03. Sparkling Lemonade
04. Tattooed Hollywood
05. Fire and Gold
06. Better days
07. Green Eyed Monster
08. Beau
09. Strawberry Psycho
10. Jasmine
11. Stay with me
12. Dandy Lion
13. Rewind

https://kentadedachi.lnk.to/TiGGnR

『Midnight Sun』
【完全生産限定盤(2CD+豪華特典付き)】
2022年8月24日(水)発売
5500円(税込)
ESCL 5428~9

《収録曲》
[Disc 1]
01. Midnight Sun
02. New Beginning
03. Sparkling Lemonade
04. Tattooed Hollywood
05. Fire and Gold
06. Better days
07. Green Eyed Monster
08. Beau
09. Strawberry Psycho
10. Jasmine
11. Stay with me
12. Dandy Lion
13. Rewind

[Bonus Disc]
01. Strawberry Psycho (Eng Ver.)
02. Stay with me (Eng Ver.)
03. Fire and Gold (Eng Ver.)
04. Beau (Eng Ver.)
05. Sparkling Lemonade (Eng Ver.)
06. New Beginning (Eng Ver.)
07. more feat. DedachiKenta & FUNTYME / AmPm
08. Unbreakable / FAITH × DedachiKenta
09. Walking In The Rain (Alright)
10. No Other Way feat. DedachiKenta & Sincere / The Burning Deadwoods
11. Jasmine (Jpn Ver.)
12. アイ・キャン・オンリー・イマジン feat.小坂忠
13. Where We Started (Acapella Ver.)

Profile

けんた・でだち…シンガーソングライター。ロサンゼルスの現役大学生、22歳のシンガーソングライター。YouTubeのカバー動画が世界中の音楽ファンの間で話題を呼び、2018年、18歳の夏に渡米。同年11月「This is how I feel / Memories」でインディーズデビュー。その後、LAと日本とを往復しながら制作を続け、2019年10月に発表した1stアルバム『Rocket Science』 (2019年10月リリース)はZ世代のボーダレスなポップスとして高い評価を得る。今年4月リリースのメジャー第一弾シングル「Fire and Gold」(EPICレコードジャパン)よりDedachi KentaあらためKenta Dedachi名義での活動をスタート。映画「20歳のソウル」の主題歌となった第二弾シングル「Jasmine」、第三弾シングル「Beau」と3ヶ月連続で新曲を発表。7月20日に第四弾シングル「Sparkling Lemonade」、7月27日には待望のメジャー1stアルバム『Midnight Sun』をリリースした。8月に東京と大阪でワンマンライブ "Set off Jam"を行った後に再渡米し、復学の予定。

Kenta Dedachi オフィシャルサイト
https://www.kentadedachi.com/


Live

メジャー1st AL『Midnight Sun』リリース記念ワンマンライブ “Set off Jam”

【東京公演】
チケット発売中 Pコード:218-833
▼8月17日(水) 19:00
WWW X
全自由-4500円(ドリンク代別途必要)
※5歳以上はチケット必要。車椅子での来場はチケット購入後問合せ先まで要連絡。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。
[問]ソーゴー東京■03-3405-9999

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:220-871
▼8月23日(火) 19:00
umeda TRAD
全自由-4500円(ドリンク代別途必要)
※5歳以上はチケットが必要。4歳以下はチケット不要。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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『TIMELESS SESSIONS in 山形 2022』
チケット発売中 Pコード:221-947
▼8月13日(土) 17:00
やまぎん県民ホール
S席-8500円 U25席-3000円(25歳以下、公演当日要身分証)
[出演]岸谷香/miwa/川崎鷹也/Kenta Dedachi
※未就学児童は入場不可。U25席に関しましては同行者の方がS席の場合はお席が隣同士にならない可能性がございます。連番を希望されるお客さまは必ず同じ席種にてご購入下さい。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。
[問]G.Ⅰ.P■0570-01-9999

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