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「俺はまだ夢が見られるし、誰かの夢であり続けられる」
運命は自分で作るもの――
ソロからバンドへ、ASH DA HEROの第2章『Genesis』!
音楽人生を突き動かす情熱と信念を語るメンバー全員インタビュー

 昨年9月、かつてVAMPSのオープニングアクトとしてステージに立ち、「必ず自力でここに戻ってくる」と宣言したZepp Tokyoでついに実現したワンマンライブをもって、ソロプロジェクトを完結。ASH(vo)のサポートメンバーとして活動を共にしていたNarukaze(g)、Sato(b)、WANI(ds)にDhalsim(DJ)を加え、新たにバンドとして動き出したASH DA HEROが、8月31日(水)にメジャー1stアルバム『Genesis』をリリースする。“創世記”を意味する壮大なタイトル曲で幕を開け、地鳴りするようなラウドでヘヴィなバンドサウンドとソリッドなスクラッチ、時にエモーショナルに、時にメロウに轟音を乗りこなすボーカル/ラップ…キャリアを重ねた男たちが今、もう一度バンドという夢を見る衝動もロマンも、意地も覚悟もブチ込んだ全12曲は、まさにASH DA HEROの第2章を告げるにふさわしい。9月より新体制初の全国ワンマンツアー『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"』も控える5人が、結成のドラマから現在に至るまでの濃厚な日々、ソロ→バンドでもたらされた変化、人生を突き動かす情熱と信念を語るインタビュー。とある大阪でのライブのMCで、ASHはこう言った。「今からでも、何歳からでも、人は変われる。俺の人生がそうだったし、今もそうだよ」。ASH DA HEROの怒濤のリベンジマッチ、ここに開幕!

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これまで歩んできた経験はとても大事な宝物だけど
俺たちはチャレンジャーで新人バンド
 
 
――昨年9月にバンド編成になり、この5人がそろって初めて人前に立ったライブが、11月の東京・TSUTAYA O-WESTでの3DAYS公演『ASH DA HERO THREE DAYS LIVE 2021 “NEW STARTING OVER”』でした。今、改めて振り返ってみてどうですか?
 
ASH(vo)「新鮮な気持ちでしたし、一番最初にメンバー5人だけでリハに入った日は、かなりドキドキというか…正直、ちょっと緊張しました。でも、ギターのナルくん(=Narukaze)と2人きりになるタイミングがあって、“俺、今日ここに来るとき、すごく緊張したんよ”、“え、俺もなんよ!”という話をして。“うぉー! バンドが始まるなぁ~”という感覚がすごくあった。そのリハは本当に手探りで、ソロ時代の曲をバンドで演奏してみたりしながら、同時に曲作りも始めて。そこからライブに向けてリハーサルを重ねて、初日は本当に独特な緊張感と焦燥感、ヒリヒリ、ジリジリした夜になりましたね。これはすごくメモリアルな3日間になると思ったので、毎日家に帰ってもよかったんですけどわざわざライブハウスの近くにホテルを取って、泊まり込んでやりたいなと思って(笑)」
 
――今、話を聞いていてもワクワクが伝わってきますね。
 
ASH「初日が終わって楽屋に戻ってきたときも開口一番、“3曲目のあそこが”とか、“4曲目の間をもっと”とかいう会話がぶわぁ〜っと生まれたから、“OK! すぐそこに部屋を取ってるから、そこで明日の作戦を立て直そう”って。“この5人でここから戦っていくんだ”という期待感やうれしさ、楽しさだけじゃなくて、いざ戦場に出て“いや、これじゃダメでしょ”、“もっとこうしなきゃ”という意見が各々から自然と出た初日の夜だったので、戦いの火ぶたが切られた始動ライブというよりは、もう始まっているという感覚を抱いたんですよね」
 
――ライブ初日にして、もうバンドですね。
 
ASH「そこがすごく不思議でしたし、それまでに築き上げてきた時間がそうさせたのもあるとは思うんですけど、この5人でバンドになったのは必然だったんじゃないかと、運命めいたものを信じざるを得なかったですね」
 
Narukaze「Dhalsim(DJ)以外は先にサポートメンバーとして一緒にライブはやってきたんですけど、やっぱりバンドのメンバーとなると各々の責任感が全然違うんで。例えば、アーティストが死んでもサポートミュージシャンは生きていけるけど、バンドは誰か死んだら自分も一緒に死ぬ感覚だから」
 
――長年、このメンバーで同じ曲をやっていても、事実婚と籍を入れた違いというか(笑)。
 
ASH「確かに、名字が一緒になった感じはありますね(笑)」
 
WANI(ds)「分かる分かる。やっぱりサポートをしていたときとは責任感が全然変わってくるんで、めちゃくちゃ緊張して…だから正直、最初の3DAYSは、そんなに楽しめてはいない(笑)。もう本当に一日一日が反省の連続で、次につなげようとひたすら考えていた感じでした」
 
Dhalsim「今、考えたら初日はちょっと考え過ぎてたというか、その日の夜にみんなで、“明日はめちゃくちゃにはっちゃけようぜ!”となってようやく吹っ切れたりもして。久しぶりに、“本当にバンドっていいな”と思いましたよ」
 
――ただ、その後の今年2~4月の対バンの3連発『ASH DA HERO presents “GACHINKO”』でも、a flood of circle、The BONEZ、ROTTENGRAFFTYと強烈な対戦相手ばかり選ぶから、ドMなのかなと思いましたけど(笑)。
 
Dhalsim「アハハハハ!(笑)」
 
ASH「『GACHINKO』は相当刺激的でした。ゲストアクトも含めて全バンドが格上という感じだったので。もちろん、これまで歩んできた経験はとても大事な宝物だけど、俺たちはチャレンジャーで新人バンドのつもりだし、そういう強敵と全然名前も知られてないバンドが対等にやりあっているとワクワクするじゃないですか。出来たてのバンドだからこその初期衝動をまんまぶつけようぜと。とにかくギラついて、全員フォワードでとにかく点を取ることだけ、勝つことだけを考えた。そういう意味でも、バンドがソリッドになったと思うし、あの対バンで強くなった気がします。プチ道場破りみたいな感じでしたから(笑)」
 
――しかも、ASH DA HEROの道筋的にドラマのある相手がラブコールを受けてくれたのもうれしいですよね。ASHさんがいちファンとしてもライブを見に行っていたThe BONEZやROTTENGRAFFTYはもとより、a flood of circleはバンド結成の引き金にもなったぐらい重要な役割を担っていたそうで。
 
ASH「あの日、フラッド(=a flood of circle)のライブをナルくんに誘ってもらって見に行かなかったら、こうはなってないと思います。それだけ重要なバンドが俺たちの初の対バン相手になったのも、縁を感じるというか」
 
――そのときのASHさんとナルさんのエピソードが、もはや恋愛のようで。a flood of circleのライブの帰り道、駅のホームでASHさんが“やっぱりバンドっていいよね…”と切り出して。ナルさんはナルさんで“楽曲提供とかサポートとかいろいろやっているけど、やっぱり俺は…”みたいな話が始まると思いきや、電車が到着して。
 
ASH「あれはもうドラマになるわ(笑)。お互い違う方向の電車に乗らなきゃいけなかったから、それぞれ秘めた思いがあったけど言えずにホームで別れた、ドラマチックなシーンでしたね」
 
――最終的にちゃんと付き合うことになってよかったですね(笑)。
 
(一同爆笑)

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こういう状況だからこそ、絶対に音楽や歌の力が必要になる
我々は音楽を信じている人たちの力になれる
 
 
――ASHさんは元々バンド志向であったとは言え、ここまでキャリアを重ねてよく一からやろうと思いましたね。
 
ASH「現状を嘆くこと、今を憂うことは簡単なんですけど、残念ながら時は一切止まらずに進んでいく。立ち止まって頭を抱えているだけだと、過ぎ去っていく時を永遠に見逃していくだけになっちゃうから。“いつかバンドになったら絶対に面白い”というASH DA HEROのフェーズ2に移行するタイミングがどこかにあると思いながらずっと活動をしてきて、コロナが世界を襲ったとき、“うわ、マジか!”となったと同時に、“そうか、ここだ!”みたいに見えざる力が働いたというか。こういう状況だからこそ、絶対に音楽や歌の力が必要になる。我々は音楽を信じている人たちの力になれる。そう思ったらもう、早かったですよね。ガンガン動いて、1回振られて、みたいな(笑)」
 
――“これからは気合いを入れてサポートミュージシャンとして生きていくぞ”と、ようやく腹をくくったばかりのメンバーにアタックして、一度は断られ(笑)。
 
ASH「なのに数日後、“今、何してます? 家の外にいるんで出てきてください”って。しつこい男ですよね(笑)」
 
WANI「1回断ったのにまた電話が来て、集合場所の近くの公園に着くまでは、“絶対に断る!”と思ってたんですけど、熱い言葉がバンバン心に響いちゃって…気付いたら“やろうか”って言ってました(笑)」
 
ASH「最初はかたくなだったもんなぁ…(笑)」
 
――Dhalsimさんも、音楽をやめて田舎に帰ろうというタイミングだったと。
 
Dhalsim「本当にもう100%諦めてました。地元の友達に“俺、もう帰るわ”と言った1週間後とかにバンドに誘われて、泣きました。“音楽がまだできるんだ…”と思って」
 
――しかもDhalsimさんは、ナルさんやSato(b)さん、WANIさんのようにASHさんのサポートをしてきたわけでもない。でも、いますよね。その場にいないのに飲んでると話題に挙がるヤツって。その時点でもう勝ちですけど、Dhalsimさんはまさにそれですね(笑)。
 
ASH「いろいろと話していくと、“え? そこと友達なの!?”ということばっかりで、そりゃ俺の周りにDhalsimという名前がつきまとうわけだなと。だから、今まではたまたま会ってなかっただけで、絶対にいずれどこかで会ってただろうなって。LINEとかFacebookで“友達かも?”って出てたんじゃない?(笑)」
 
――だからこそ、ナルさんからバンドにDJを入れる提案があったときに真っ先にひらめいた。そうやって5人がそろったわけですが、それまではプロのミュージシャンとして活動しながらも、どこか煮え切らない思いを抱えて…。
 
Narukaze「やっぱり音楽を始めたきっかけというか、根本にバンドがあるから。サポート/スタジオミュージシャンをもちろん尊敬しているんですけど、“自分がどうなりたいか?”を大事にするとなると、バンドしかないですね」
 
――その場所を生み出したASHさんは何だか救世主っぽいというか、今回の音源を聴いてもそう思ったんですよね。
 
WANI「やっぱり“ヒーロー”ですから!」
 
ASH「“こんな時代だからこそバンドで世の中を華々しく元気づけるぜ!”と言うと聞こえはいいけど、はたから見たらそんなのただの絵空事で、“もっと現実を見ろよ”みたいな話でもあるじゃないですか。でも、そんなことは百も承知なんですよ。そもそも、みんなに声を掛けて“無理無理”となったら、それで終わりだった。みんなのおかげで俺はまだ夢が見られるし、誰かの夢であり続けられる。“俺はまだ歌っていいんだ”という自信にもなる。メンバー、スタッフの皆さん、ソロの頃からずっと応援してくださってるファンの方、そういう人たちに俺も救われてるんですよ。俺の描いた絵空事にいろんな色が加わって現実になっていく。それは自分一人の力では到底できないことだから」

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Dhalsimがいてくれるからこそ
いわゆるセオリー通りのロックバンドのアンサンブルにはならない
 
 
――今までは自分で書いて自分で歌うシンガーソングライターだったのが、バンドではASHさんとナルさんの2人で制作する新たなスタイルになって。
 


ASH「自分には全くない発想がナルくんの曲にはあって、それをいかに自分がぶち壊せるかというのもあるし、逆にナルくんの音符の運びが美しいから、それを生かすためにはどの言葉がハマるのかとか…本当に毎回刺激的です。一人で曲を書いていたときは、曲を作ろうと思ってコードを探しているうちにメロディと歌詞がほぼ同時に出てくる、みたいな感じだったので、もらったメロディに後から歌詞をハメるような作り方とは違いますから」
 
Narukaze「一応、ざっくりメロディは書いて渡すんですけど、俺はASHに好きに歌ってほしいので全然壊してもいいと思っているんです。歌詞に関してはもう何も言うことはないし」
 
――ASHさんのボーカルスタイルの特徴として、ラッパーによるラップじゃない、ボーカリストのラップというか。発声の明瞭さと、詰め込み過ぎない言葉の量が絶妙だと思うんですけど、その辺は意識しているのか、自然とそうなるのかは興味深いところだなと。
 
ASH「それはすごくうれしい質問ですね。どうしてもラップ=ヒップホップのイメージがあると思うんですけど、ラップというのはあくまで歌唱法の一つなんです。俺たちがやってることはヒップホップではなく、混じりっ気なしのロックなんですよね。俺にとってラップはどっちかと言うと楽器で、リリカルな歌詞をビートに乗せるとなると、ラップという手法が自分の中ではしっくりくる。だけど、メロディも大好きなので、やはりサビとか印象的なフレーズには美しいメロディを使いたい。だから、ヒップホップの人たちがラップを使うのとはちょっと意味合いが違って、そこには明確な差があるのかなと」
 
――ソロの頃より、バンドの方がその点をすごく感じました。
 
ASH「ラップが多用されているのは、むしろバンドになったからですね。ボーカルとして声という楽器でどうセッションするかとなったとき、ラップってみんなが奏でているリズムの狭間に刻んでいけたり、ジャストにハメられたりするので、音符と言葉で遊ぶという点でもむちゃくちゃ楽しいんですよ」
 


――楽器の話で言えば、DhalsimさんのDJは時にツインギターのような役割を担っていて、スクラッチ=効果音と言うよりはリフみたいな感覚で聴けますね。
 
Dhalsim「言ってしまえば、デモの時点でバンドとしては完成されているんです。だから自分の仕事は、100点を120点にする作業かな。もう一味加えて、もっとカッコいいものにする役割」
 
――ソロ時代にすでにサポート経験のある4ピースならある程度、予想がつきますけど、そこに不確定要素にもなるDhalsimさんが入ることによって。
 
ASH「要はオーガナイズド・カオス(=整備された混沌)が欲しかったというか、計算された暴走にスクラッチ=DJはドンピシャですよね。Dhalsimがいてくれるからこそ、いわゆるセオリー通りのロックバンドのアンサンブルにはならないので。例えば『エゴイスト』(M-6)は、アルバムの候補曲が固まってきたとき、最後に滑り込みで俺が書いた曲で。さっきはDhalsimがバンドとして曲が成立している中で、どうアンサンブルに食い込んでいくのかという話をしましたけど、この曲はDhalsimのスクラッチが求心力を持って真ん中に存在していて、そこに我々4人がどうアンサンブルしていけるかなので、全く逆の発想なんですよ」
 
Narukaze「本当にスクラッチはデカくて、一気に曲の雰囲気を変えてくれるので。ちなみにExtremeの『Cupid's Dead』('92)はギターとベースがひたすらユニゾンしているんですけど、アレンジの指標にしたのはその曲で」
 
ASH「だから、リファレンスは実は超古い。しかもハードロックなんで(笑)」
 
――このメンバーによるバチバチの化学反応があったからこそ、『エゴイスト』みたいな形に着地した感じですね。かと思えば、『レーゾンデートル』(M-8)のようにしっかり歌い上げる曲もちゃんとあって。メンバーとしても、やっぱりいいボーカリストだなと思ったんじゃないですか?
 
Narukaze「まぁ、そうじゃないと一緒にやってないですから!」
 
ASH「フフフ(笑)」

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理想だけで生きていけるほど世の中は甘くない
だからこそ、理想とか夢とか目標があるならぶっちぎってやらないとね
 
 
――長年、サポートミュージシャンとして活動しながら、バンドへの並々ならぬ思いがあったSato(b)さんは、レコーディング一つでも発注されてやる仕事とは違う喜びや充実感があったんじゃないですか?
 
Sato「今のダルちゃん(=Dhalsim)の話にも通じるんですけど、みんながしっかり点を取ってくるというか、攻めるときのエネルギーや手数がすごいんですよ。だから逆に、自分はとにかくベーシックに徹して、いくときはとことんいかせてもらう。そういうポジション取りをすることで自分が自分をもっと生かせるというか。バンドだからこその味わい深さを感じられているのが楽しくてうれしくて。みんなサッカーで言うところのフォワードだから僕は一番後ろでルートを弾いて支えようみたいな、引き算の楽しさも改めて見つけられたし」
 
WANI「でも、一番後ろで一番エロいプレイしてるよね?(笑) だから逆に一番攻めてる気がする」
 
Sato「フフフ(笑)。その両極を味わえるのがベースという楽器の面白さだと思っているんですけど、これでダルちゃんがいなかったらまた全然違うフレーズを弾いていたんだろうなと思ったり。いや~本当にバンドは面白いなって」
 
――WANIさんはドラムを1日中叩き過ぎてバグったみたいですけど(笑)。
 
WANI「アハハ!(笑) もう自分のフレーズが全部飛んじゃうぐらい楽しかった。バンドでのレコーディングがすごく懐かしくて…。ナルくんのデモが“WANIさん、こういうの好きでしょ?”みたいな俺のルーツとかも全部打ち込んでくれて、そのドラムを聴いて“それそれ!”というようなことも含めて、結成当時から濃密な時間を過ごせてます」
 
――ライブで盛り上がることが間違いない曲もきっちり入っていて、冒頭の『Genesis』(M-1)~『New Revolution』(M-2)の流れや『WARAWARA』(M-10)、最後もメロウな『Remember』(M-11)で終われるのに、『世界をぶん殴れ』(M-12)を入れちゃってもう1回かき回す(笑)。『Remember』みたいなメッセージ性の高い曲も、今だからこそだと思いますね。
 


ASH「いわゆる新しい生活様式が今では当たり前になってしまって。けど、みんなフェスでダイブとかモッシュしてたでしょ? 暑い中、汗水垂らしてみんなで拳を上げて歌ったでしょ? ライブハウスでもみくちゃになって、“ヤバい、もう死ぬ…”とかハァハァ言いながら、ドリンクカウンターに並んで…そういう景色はきっとなくならないから、今まで築き上げてきたものを忘れてほしくないし、自分自身も思い出せるように残しておきたかったんですよね」
 
――これが過去の思い出じゃなくて、またそんな日が来るかもしれない。
 
ASH「だから記憶=Memoryじゃなくて、いつでも思い出せるように覚えておく=Rememberですよね」
 
――このアルバムからはASHさんの生きざまをビシビシ感じます。悟ったり諦めることはいくらでもできますけど、理想を追い求めることをやめてしまったら、もう進化できないし前進できない。
 
ASH「本当に。もちろん、理想だけで生きていけるほど世の中は甘くない。だからこそ、理想とか夢とか目標があるならぶっちぎってやらないとね」
 
――そういう信念とこの5人が集まった縁、今までやってきた音楽…全てがここに帰結した感じすらするアルバムですね。出来上がったときは感慨深いものはあったんですか?
 
Narukaze「うれしかったですね。と同時に、“もう次”と思って」
 
ASH「そうそう、その話をしてたんですよ。“できた〜イェ〜イ! で、次なんだけどさ”って(笑)」
 
――ファーストライブのときと全く一緒ですね(笑)。
 
ASH「ロックだけじゃダメで、ロールしないとね。次へ次へと転がっていかないと。俺たちはロックバンドなんで」

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時代をかき回しながら引っ張っていくバンドになっていこうと思っている
 
 
――9月からはリリースツアー『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"』があります。このメンバーで旅に出られるのがまた楽しみですね。
 


ASH「ですよね! 何かもう久しぶりだもん、ツアーをやるのも。ここ何年かは制限もあったので、こうやってツアーを切らせてもらえるのはありがたいですし、まずはアルバムを皆さんに受け取っていただいて、ライブで『Genesis』が完成する。みんなと一緒にこの『Genesis』の世界をさらに広げていけるツアーにしたいですね」
 
WANI「ツアーの醍醐味って、初日と最終日でどれだけ変わっているかだと思っていて。それこそ、すごく仲が良くなっているかもしれないし、めちゃくちゃ仲が悪くなっているかもしれない(笑)。そういうことも全部楽しみです」
 
ASH「みんなが尊重し合える、リスペクトし合えるメンバーなので、絶妙なバランスだと思います。ケンカも起こったら起こったで面白いんじゃないですか?(笑) でも、ステージ上でいつもケンカしている感じもあるけどね。俺、背中で結構ヒリヒリ感じてるよ? ライブに来ていただければ、それをすごく感じられるんじゃないかと思います」
 
Dhalsim「ひとまずはツアーに向けて音源を聴いてほしいけど、やっぱりライブとなったらアレンジが違ったりもする。それはもうその場所でしか聴けないものだから。今からツアーがすごく楽しみなんですけど、来てくれる人たちはそういう仕掛けみたいなものも楽しんでもらえたらいいなと」
 
Sato「僕はロックバンドがやりたくて、音楽もベースもそこが全部の原点なので思いが強いのもあるんですけど、“楽しい、気持ちいい”みたいなことを純粋に今、現在進行形で味わえているんです。さっきのASHの『Remember』の話じゃないですけど、それをそのまま届けたいし、そう感じてもらえたならシェアしていきたい。もちろんライブに足を運んでほしいし聴いてほしいのはあるんですけど、今はSNSとかもあるからお互いに届けやすいし、いろんな方法で“楽しい”をたくさんシェアしたい。それに尽きますね」
 
WANI「ちょっと言い方は悪いかもしれないですけど、この5人って、やりたいことがやれなかった、もしくは諦めた人間の集まりだと思っているんです。だからこそ、今後はそれを一つ一つ見逃さずにかなえていきたい。それこそZeppツアーをするとか、キャンプをするでもいいし(笑)。遊びも仕事も本気で、この5人で夢をかなえていければ」
 
――ASH DA HEROがそれを実現させることが、心のどこかに消えない炎がある人たちにとってのきっかけになるかもしれない。それこそ以前、『ASH DA HERO LIVE TOUR 2019 GOD SAVE THE ROCK AND ROLL II』初日のライブレポをさせたもらったとき、MCでこう言っていたんですよ。“今からでも、何歳からでも、人は変われる。俺の人生がそうだったし、今もそうだよ”って。本当に今日に通じる言葉だなと思って。
 
ASH「そんなこと言ってました?(笑)」
 
WANI「さすがっす!」
 
――変わったからこの5人が今ここにいるわけで。
 
Narukaze「俺、このバンドを始めてからの方が、メンバーみんなのことが好きになれたんですよ。前はサポート仲間だったり音楽仲間という意識だった。でも、一緒にバンドをやると、人間性だったり音楽以外のことも見えるじゃないですか。そこで嫌いにならなかった経験が、今まではあんまりなくて。だいたいがその…」
 
――バンドを始めると、“あ、こいつダメだわ”って思っちゃう?
 
Narukaze「はい!(即答)」
 
(一同爆笑)
 
Narukaze「だから、みんなを好きになれたことは、自分の中ではすごく大きいというか」
 
――確かに、基本はASHさんが選んだメンバーだから、“いや、俺はあいつのこと、そこまで好きじゃないけど”、みたいなことは起こり得ますもんね。
 
Narukaze「そうそう! 今回はそれがなかったから、ここから嫌いなところが見えても大丈夫な気がする(笑)」
 
ASHWANIDhalsim「よかったぁ〜!」
 
(一同笑)
 
ASH「多くの人が、ASH DA HEROというバンドをまだ知らないし、全貌が分からないのもあると思う。ただ、この5人はロックという枠だけに収まる気もしてないんですよ。時代をかき回しながら引っ張っていくバンドになっていこうと思っているので、ぜひ今後とも注目してもらえたらうれしいです!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 井上翔
 




(2022年8月 4日更新)


Check

Release

これぞ新時代のミクスチャーロック!
メジャー1stアルバムが堂々完成

Album
『Genesis』
【初回生産限定盤Blu-ray付】
8月31日(水)発売
5500円
Purple One Star
LAPS-35014
※豪華ブックレット付属

<収録曲>
01. Genesis
02. New Revolution
03. Merry Go Round
04. Dead or Alive
05. Avengers
06. エゴイスト
07. Rain on the roof
08. レーゾンデートル
09. Just do it
10. WARAWARA
11. Remember
12. 世界をぶん殴れ

<Blu-ray収録内容>
ドキュメンタリー映像収録予定

【通常盤】
8月31日(水)発売
3900円
Purple One Star
LAPS-5014

<収録曲>
同上

Profile

アッシュ・ダ・ヒーロー…写真左より、WANI(ds)、Sato(b)、ASH(vo)、Narukaze(g)、Dhalsim(DJ)。’21年9月結成。ロック、パンク、ヒップホップをルーツとした楽曲や変幻自在なスタイルで表現する、ASHのボーカル力とバンド全体から放たれる圧倒的ライブパフォーマンスは必見。5つの才能が運命的に交わった新時代のミクスチャーロックバンド。

ASH DA HERO オフィシャルサイト
https://ashdahero.com/

Live

新体制初の全国ワンマンツアーが
9月より開幕! 秋には大阪BIGCATへ

 
『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 “Genesis”』

【千葉公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月3日(土)千葉LOOK
【埼玉公演】
▼9月11日(日)HEAVEN'S ROCK
さいたま新都心 VJ-3
【神奈川公演】
▼9月17日(土)F.A.D YOKOHAMA
【愛知公演】
▼10月1日(土)ダイアモンドホール
【静岡公演】
▼10月2日(日)LIVE ROXY SHIZUOKA
【広島公演】
▼10月15日(土)セカンド・クラッチ

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード218-779
※販売期間中はインターネット販売のみ。
▼10月16日(日)18:00
BIGCAT
スタンディング5000円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。再入場不可。

チケット情報はこちら


【宮城公演】
▼10月22日(土)仙台CLUB JUNK BOX
【東京公演】
▼10月29日(土)Zepp DiverCity(TOKYO)


Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「インタビュー中にも触れていますが、まだソロだったASH DA HEROのライブレポートをした3年前。これぞ“魂を鼓舞する”という感じの熱い夜で、あれから年間相当数のライブを見てきた今でも鮮烈な印象が残っています。そんな彼に初取材、と思いきや“彼ら”になった大変化にも驚きつつ、話していて感じたのはソロでもバンドでも一貫した情熱と信念で。結局、何事でも最終的に人を動かすのってそこだと思うんですよね。僕の周りで、バンドを辞めてプレイヤーや作家になった途端にいきなり食えるようになったヤツもいるけど、一抹の寂しさがあるというか…。だからこそ、酸いも甘いも知った大人たちが、今さらバンドみたいな面倒くさいことをやるなんて最高だなって。その喜びと信頼が伝わってきた取材でしたね。このタイミングで新たに出会う人も多いと思いますし、先入観なしで1回見て/聴いてほしいです。新人バンドにしては音がゴツいですけど(笑)」