10年分の感謝を込めた新曲を携えて明るい未来に向け発車
超特急インタビュー
超特急は2012年6月10日のCDデビューからついに10年。これを記念して今年の6月10日にはメンバー5人の思いを詰め込んだ配信シングル『クレッシェンド』をリリースし、現在は「BULLET TRAIN 10th Anniversary Tour 2022『Progress』」を開催中だ。そこで今回はグループを代表して5号車・ユーキと7号車・タカシにインタビュー。新曲だけでなく、10周年のことやメモリアルイヤーを飾るあれこれ、そしてこれからのことについても語ってもらった。
――CDデビューから10年が経ちましたが、今日までを振り返ってみていかがですか?
ユーキ「高校の時から超特急の活動をしてるんですけど、体感はめっちゃあっという間です。フリーライブ、路上ライブ、小さい小屋(会場)って思い返せばいっぱいあるんですけど、常にその瞬間その瞬間で目の前の山を越えようと頑張ってきて、いつの間にか20代後半。気持ちは10代で止まってるんですけどね(笑)」
タカシ「僕も15歳から活動を始めて、もう数年すると人生で超特急の期間が半分より長くなるんですよね。いろいろなインタビューで、これを言葉に出しているんですど、言えば言うほどその重みを感じます。もともとは期間限定ユニットの予定だったのに、今があるのはたくさんの8号車(ファン)の支えがあったからだと思うし、こうやって取材やライブができる現状は改めてうれしいなって思いますね」
――8号車の応援はもちろんですが、グループとしても個人としても努力や成長があったからこその10年ですよね。
タカシ「超特急としては自分たちのやりたいことや信念を曲げなかったのが結構大きいかなと。この(エンターテインメントの)世界って流行り廃りがあって、何か一つのジャンルが注目されるとみんなそっちに流れていく傾向があるけど、自分たちは敢えて変えずに、ずっと続けてきた、ダサかっこいいパフォーマンスを一貫してきたんです。それはある意味、現状維持にも見えるけど、やり続けるからこそ兆しが見えてきた部分もあって、超特急はずっと成長できる起爆剤を持てているから成長できたとも思うし、むしろこれからも成長できるなって感じられますね」
――10年間、ブレずにいられた理由は?
ユーキ「最初は“リスペクト韓流ジャパニーズPOP”っていうキャッチコピーがあったりしてジャンルレスだったんですけど(笑)、3rdシングルの『POLICEMEN』あたりから、ちょっと何かに変装するじゃないけど、『POLICEMEN』だったら警察官っていうような曲ごとのコンセプトが強く出てきて、それでキャッチーさだったり、ほかにはないダサさだったりに初めて触れて、それが僕たちの長所かもって。ただ僕たち自身は変わってきたっていう意識は正直なかったです。とにかく一生懸命だったので(笑)。今ある曲を全力でやって、でも見ている人たちからは、おもしろいとかダサかっこいいっていうアンサーがもらえて、その時にこれは絶対に曲げちゃいけない武器なんだなって、ほかのアーティストにはないし大事にしなくちゃいけないなって感じました。そこからはダサかっこいいが僕たちの見どころで強みだから超特急に欠かしちゃいけないって思ってます」
――昨年発表のアルバム『Dance Dance Dance』に収録の曲『Добрый день』(ドーブリジェン)のMVを拝見しましたが、とてもおもしろかったですし、ちゃんとかっこよかったです。そういう部分ですね。
ユーキ「キャッチーだし、ダサいし、そこでそうすんの?みたいな(笑)。たぶんダンサーとかだと、おいしいところにはめちゃくちゃ詰め込みたいと思うはずなんですけど、ああやって全部敢えて脱力する方に振り切ってやるのが僕たちらしいなって。その振り切るってことが大事で、羞恥心を持ってたら伝わっちゃう。堂々と俺らはこれがかっこいいと思ってる!っていうマインドは、やってくなかで自然に培えたと思います」
――では次に新曲『クレッシェンド』の話へ。この曲は10周年記念ということもあり、華やかでストレートにかっこいい部分が楽しめます。ダンスはユーキさんが手掛けたそうですね。
ユーキ「みんなで踊れるダンスを後半の方に詰め込んでます。クレッシェンドマークを表すような振付けになってるんで、それに注目してもらってライブで一緒に踊ってもらえたらうれしいですね」
――ほかに曲の世界観が伝わってくるパートも。
ユーキ「10周年の記念の曲なのでAメロでは僕たちの出会いからを表現して、愛やありがとうの気持ちをイメージして作りました」
――歌はタカシさんのさわやかなハイトーンが響きます。特にサビのファルセットが印象的。歌録りは大変でしたか?
タカシ「大変な感じはなくて楽曲が明るいので歌っていて素直に楽しい気持ちが先行しました。あと、もともと僕はファルセットで歌わせてもらうことも多いんですけど、今回のようなアップテンポな曲のサビでファルセットを多用することはあまりなかったので、それは新しい挑戦だったなと思います。これからライブでどう聴かせられるか? 育てていけるか⁇っていうのも楽しみですね」
――今はまだライブで声を出せませんが、キーが高いので女性は一緒に歌いやすいかも。
タカシ「実は結構そこは意識していて、基本的にキーは高いですね。カラオケとかでも歌っていただけるようにって」
――8号車思いですね。その8号車への感謝が詰まった曲ですが、お気に入りのフレーズなどはありますか?
ユーキ「もともとあったものをタカシがちょっと変えたんですよね」
タカシ「最初にデモ音源でいただいた歌詞があって、もちろんそれもよかったんですけど、自分たちらしさとかをもっと織り交ぜられたらいいなって。細かなところなんですけど、電車(というグループのテーマ)を交え、線路と書いてみちと読んだりとか、“ありがとうのクレッシェンド”の部分を、ラストのサビだけ“ありがとうのプレゼント”にして変化をつけたりとか。ラストの部分も、僕たちはこれから体制が変わるかもしれないけど超特急というもの自体は変わらないんだよっていう意味で、“忘れない あの約束 叶えるまで 終われない”っていうのを入れたりしています」
――さて今度は現在開催中のツアーのことも。すでに前半戦を終えましたが、ここまでの感想は?
タカシ「初日に『超特急募』(新メンバー募集オーディション)を発表して、期待も不安もあったスタートだったんですけど、『超特急募』ももう締め切りが迫っているし(取材時6月上旬)、まさに楽しい時間はあっという間に過ぎるっていうのはこのことだなっていうのを、久しぶりに体感してますね。最近はアリーナで単発のライブが続いていて、前回のホールツアーからは3年ぶりで、長期間、毎週末に地方へ行ってっていうのが、やっぱり超特急の春・夏ってこう過ごしたいよね!っていう。歓声はまだ出せないけど8号車もすごくリアクションしてくれて、より一つになれている気がしてます」
――新曲『クレッシェンド』のお披露目もあるツアー後半戦にも期待が高まります。
ユーキ「後半戦は夏になって暑くなるし、一層8号車のみんなに熱くなってほしいなって思っているので、そういう仕掛けや見せ方を企画しています。今回は『Progress』というツアータイトルで、ライブを積み重ねて、成長して進化していくような内容になっているので、そういうところを楽しんでもらえたらうれしいです」
――そして、先ほどツアー初日の話で少し出た「超特急募」ですが、ボーカル限定で応募締め切りが6月15日(水)まで延長。どんな人に新メンバーになってもらいたいですか?
タカシ「もちろん歌が好きな人やボーカリストになりたい人に応募してもらいたいなって思うんですけど、リアルな話をすると僕の歌い方のタイプと違う人がいいなって思ってはいます。でもだからといって、どれが正解とかはないですね。あとはメンバーと僕とどういう風にマッチするか?っていうのが重要になると思うので、正直、歌だけですべて決まるわけではないから難しい話になってくると思うし、それこそ応募がこんなに来たけど結局決まりませんでした……みたいな可能性もゼロではないですし。(合格者が)何人になるかはわからないですけど、でもしっかり見つけるぞ!っていう気持ちで延長しています。実際に動画や音声を見聞きさせてもらって、いいなって思った方もたくさんいらっしゃいますし、とにかく自分がこうなりたい! こういうことをしたい‼って人は、ぜひ応募してもらえるといいなと思います」
――選考風景の動画を見ましたが、みなさん真剣。応募者のどこを見ていますか?
ユーキ「超特急らしさを出せる人もいいんですけど、超特急にないものというか、プラスαで光るものがあるというか。ダンスが踊れるだけじゃなく、踊れてプラス何ができるか?っていうのが大事にしたいところですね。歌える人だったら、より感情が伝わってくるとか、声が透き通ってるとか。それと5人とのバランスがいい感じで全員のパラメータがどんどん上がってく……みたいな人がいたらいいなって思って僕は見てますね」
――選考する側になることはいい経験になりそうですね。
タカシ「こういう仕事をしていると、人を見る力とか何かを見極めるっていうことがすごく重要になると思うし、あと魅力を引き出す能力も絶対に必要になってくると思うんですよ。仮に新メンバーが決まって入った時、その子の魅力をどうやって引き出してあげるか? 自分がどう引っ張っていくか⁇っていうのがカギになってくるかなと。オーディションは初めてなので手探りのことも多いですけど、僕たちも勉強させてもらっているような感じでおもしろいなって思ってます」
――頼れる兄貴になりそう。
タカシ「どうですかね。実際、新メンバーが入ったら全然そんなことないかもしれないし、この人はやんなくても(自分が引っ張らなくても)大丈夫だっていう頼りがいのある人が入るかもしれないし(笑)」
――いずれにせよ楽しみです(笑)。では最後に10周年を越え、今後の目標や抱負などを教えてください。
ユーキ「東京ドームに立ちたいってずっと言ってますけど、東京ドーム(公演の実現)以上にワクワクさせられるようなグループになりたいですし、新メンバーが加入したら一層闘志を燃やしていい刺激にして、それぞれが自分を磨いてどんどん上へ向かって活躍の場を開拓して、また超特急でそろった時に洗練されて輝いた姿を見せられたらなって思ってます」
タカシ「超特急はどんな風にでも変化ができるし、どんなこともできる可能性を持っているから、僕自身は終わりがないグループだと思っているので、新体制になるかもしれないですが、そういうこと(変化)も楽しみながら、明るい未来を見すえて真っ直ぐスピードを落とさず走っていけたらいいなと思います」
Text by 服田昌子
(2022年6月21日更新)
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