インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート >  「このEPをひっさげていろんなところでライブをしたい!」 2nd EP『around dusk』を3月30日にリリース! chilldspotインタビュー&動画コメント


「このEPをひっさげていろんなところでライブをしたい!」
2nd EP『around dusk』を3月30日にリリース!
chilldspotインタビュー&動画コメント

次世代アーティストとして注目されているchilldspot。ジャンルレスでグルーヴィーな音楽性に深みを帯びたボーカルが合わさり、独特の中毒性を生み出している。この春リリースされた2nd EP『around dusk』にはヨルシカのn-bunaがアレンジ、プロデュースを手掛けた『your trip』、台湾のシンガーLINIONとのコラボ曲『music feat. LINION』など、新境地となる楽曲が収録。ぴあ関西版WEB初登場となる今回は、 比喩根(vo)とジャスティン(ds)にインタビュー。全員2002年生まれとなるメンバーの音楽的なルーツにも触れつつ、新作で楽曲のバリエーションが広がった理由や気になる制作背景について語ってもらった。ライブ活動にも意欲的なchilldspotの今後が楽しみだ!

自分なりの感情とか経験をちゃんと理解して、
歌に説得力を持たせられるようになりたい!
 
 
――chilldspotの楽曲はどのように作られるのですか。
 
比喩根(vo)「簡単なメロディーと歌詞は私が作って、アレンジはみんなでやったり、プロデューサーさんと一緒にやったりしています」
 
ジャスティン(ds)「(比喩根が作ってくる)元は弾き語りなので、そこからリズムはどうするか、各々の楽器はどうするかっていうのは他の3人次第という感じで。自分たちが思うようにやって良いものを汲み取って曲にしていきます」
 
――楽曲の元となる比喩根さんが作る曲をジャスティンさんはどのように感じていますか?
 
ジャスティン「僕らの年代が聴いてきたロックっぽい曲からはちょっと逸脱したジャンル感だなと。テンション感もそうだけど、歌い方が独特なんじゃないかな…。民謡の影響があるのかなって…」
 
比喩根「こぶし的な歌い方がね。両親が沖縄なんです」
 
――なるほど、わかる気がします。比喩根さんのそういうルーツと都会的な音楽センスが混ざり合って独自の楽曲が生まれるんですね。ちなみにおふたりの世代のロックってどのあたりですか?
 
比喩根「高校時代の軽音部でよくカバーしてたのは、KANA-BOONとかクリープハイプ、WOMCADOLE、My Hair is Badかな…」
 
ジャスティン「家で流れてた洋楽はエリック・クラプトンとか、イギリスのクリーン・バンディットというエレクトロなサウンドのバンドとかですね」
 
――日本のシティポップやブラックミュージックなどの影響は?
 
ジャスティン「僕個人ではそういうジャンルはここ3、4年で知りました。ドラムを教えてもらっている方がR&Bとかネオソウル、ヒップホップとかブラックミュージック好きなので、その影響で聴く機会が増えました。」
 
比喩根「高校生の時はNulbarichも聴いてましたね」
 
――歌詞はどのように書いているんですか?
 
比喩根「私自身、メロディーと歌詞は同時に進めていくタイプで、今までは基本的に自分の感情が変化した時とか、悩んだ時とか、自分の体験を元に書いていることが多かったですね。最近は映画を観て書いてみるとか、いろんな方法でやってみています。」
 
――感情というのは大事な部分ですか?
 
比喩根「すごく大事な部分だと思います。すごい大切というか…。最初は、誰に聴かせるでもなく、とりあえず自分が思っていることを作ってみようという感じで曲作りを始めたのがきっかけだったので…。最近は(感情以外でも)選択肢が増えてきましたけど、どんな曲でも自分なりの感情とか経験をちゃんと理解して、歌に説得力を持たせられるようになりたい!っていう思いは強くあります」
 
――そういう話はメンバーともよくされますか?
 
ジャスティン「そうですね、一個一個に意味があって、芯があるバンドってカッコいいよね…みたいな話しはよくしてるので。曲のゼロから1の部分は比喩根が作っているので、“こういう意味で…、こういう感情の動きがあって…”という歌詞の解説を送ってくれたりすることがよくあります」
 
 
 
2nd EPはライブを意識して作った
もうちょっとバリエーションを増やしたいなと
 
 
――最新作の2nd EP『around dusk』はどのように作っていったのですか?
 
比喩根「“around dusk”というのは“夕暮れ時”とか“陽が沈む時”という意味で、前作よりも少しコンセプチュアルな感じになりました。今まで自分たちはけっこう“夜の曲”を作ることが多かったんですが、そこからちょっと幅を広げて。chilldspotってポップな曲とか少し明るめな曲も似合うんだよ、もっと新しい一面があるんだよっていうのを知ってもらいたくて。それで少し(これまでのような)夜の雰囲気も入れながらも、明るかったり、お昼っぽい曲だったりを入れて、夕暮れ時に仕事や学校とかやることが終わって、おうちに帰る楽しい時間をこの5曲と一緒に過ごしてほしいなあっていう思いで、“around dusk”っていうタイトルにしたんです」
 
――今まではたまたま夜っぽい曲が多くなっていたと?
 
比喩根「そうですね。夜のイメージの曲を作ろうと思って、曲を作っていたわけではないんですよね。(今までも)お昼の曲を作りたいと思って、気づいたら夜の曲になってるみたいな…、私自身はそういうことがけっこう多かったので…」
 
――これからもっと幅広い楽曲を届けていきたいという思いもあって?
 
ジャスティン「そうですね。ワンマンライブとかだと夜にやることが多いんですけど、フェスに出たりすると昼の出番もあったりするので、そういうライブとかを意識して作ったEPでもあったりするので。もうちょっとバリエーションを増やしたいなと思って。昼っぽい明るい曲もほしいねっていう話をして今回のEPの曲を作っていきました」
 
――リード曲の『your trip』(M-5)は気持ちを解き放つような疾走感があって、今までにないタイプの楽曲かなと感じましたが、この曲はヨルシカのn-bunaさんがプロデュースされていますね。
 
比喩根「私自身のルーツにボーカロイドがありまして。中学生ぐらいからずっとn-bunaさんの曲もヨルシカも大好きなんです。とにかく大ファンなので、いつかn-bunaさんと一緒にお仕事したい!って熱望していて、今回ついに実現しました。自分たち的にはけっこう挑戦というか…。今までにないタイプの曲になったので。曲調がいきなり変わって、今まで聴いてくれていた人たちが驚くのかなあって少し不安もあったのですが、私たちはすごく嬉しくて、良い曲できたなと、自信を持って言える曲になりました!」
 

 
――そうなんですね。では、この『your trip』で特に気に入っているポイントを教えてください。
 
ジャスティン「僕は、やっぱりn-bunaさんにプロデュースしてもらうっていうことで、アレンジでn-bunaさんらしさを全開にしてほしいというお願いをしていて。ど頭のギターのイントロからn-bunaさん色が全開になっているので、やっぱりそこかな。そういうn-bunaさんらしさとメンバー各々の自分らしさがちょっとずつ融合してるところが面白いのかなと思います」
 
比喩根「メロディーと歌詞は元々考えていたんですけど、曲全体としてはやっぱりn-bunaさん節がすごく光っている曲だなと思います。初期のヨルシカだったり、n-bunaさんが個人でやられていた時の曲の雰囲気もすごくあって。そこの懐かしさもすごいポイントだと思うし、バンドサウンドとの親和性というか、全部が上手く溶け合ってn-bunaさん色になっているところもすごく聞きどころだと思います」
 

 
比喩根自身が体験したことをそのまま書いているだけ
そこに共感できる部分があるとすごく嬉しい

 
――『line』(M-2)の歌詞の中で、“私大人になっちゃったのね”とか、“私大人を過ぎちゃったのね”という歌詞が出てきますが、これはどういう想いで書いたのかなって?
 
比喩根「私は悲しいこととかネガティヴなことを書くことが多かったので、ポジティブな明るい感じがほしいなって思ってて…。大人になった悲しさじゃなくて、“あ、なっちゃった…”みたいな(笑)。“ああ、もう大人過ぎちゃったー”みたいな…。明るい表現というか、それをどうポップに現せるかな~って思った時に、そういう表現が出てきたんだと思います」
 
――この歌詞も等身大の気持ちなんですね。
 
比喩根「はい。私はほぼ等身大でずっと書いているので、(歌詞冒頭の)“27時道には1台タクシー 私大人になっちゃったのね”というのは、ホントに深夜に帰ってる時に道路にタクシーが1台しかなくて、ああ、大人だなぁ~って思っただけの歌詞なので、比喩根自身が体験したことをそのまま書いてるだけです。『yours』(M-1)っていう曲にもあるんですけど、“全部バランスが大事って 分かるわけないだろ”とか、“立派な人になりたいのに もう、なんで”というところも、葛藤している今だから書ける歌詞というか…。でも、歌詞は自由に解釈できるように書いてるつもりではあるので、自分なりのストーリーを感じて、そこに共感してもらえる部分があるとすごく嬉しいです」
 
――『夜更かし』(M-3)の歌詞は、“チープカシオ”がモチーフになっていて。“夜更かしを”と“チープカシオ”が韻を踏んでいますが、こういうリリックもメンバーの日常の中から生まれてきたんですか。
 
比喩根「これは、MVの撮影を深夜にしてた時に、“今めっちゃ質の良い夜更かししてるよね~”みたいな話をジャスティンとしていたんです。その言葉いいな、それで曲作るわ!っていう感じで作った曲です。チープカシオだったり、レコードの話だったり、ジャスティンがふだん身につけてるものとか最近好きなものとか、そういうのを入れながら軽~く聴けるようなやさしい曲になったんじゃないかなって思います」
 
――『music feat.LINION』(M-4)ではLINIONさんという台湾のシンガーが参加されていますが、この曲ができたきっかけは?
 
ジャスティン「高校の修学旅行で台湾に行った時、現地の高校生と交流をする機会があって。その時に仲良くなった男の子が上げていたInstagramのストーリーズの中にLINIONさんの曲があったんです。カッコいいな!って思って、この曲を作る時に、LINIONさんとコラボするのはどうだろう?って提案しました」
 
——この曲の歌詞はどんなふうに書かれたんですか。
 
比喩根「最初、曲のテーマは恋愛ものがいいのかなと思いつつ、もうちょっと深い歌詞を書きたいなと思って、ジャスティンとかと相談していて。今の生活はすごく幸せで特に困ったことはないけど、何かひとつ埋まらないものって必ずあると思うんです。それを私たちの場合は音楽を聴いて埋めてるよねっていう話しをしたんです。LINIONさんにもそういうことをテーマにお願いします!と伝えてもらってこの曲になりました」
 
――そうなんですね。“不満はないのに完全じゃない きっと何かが欲しくて動き出す 言葉じゃ無いものを”と歌っている背景にはそんな想いがあったんですね。こういう外部のアーティストとのコラボは今後もやってみたいですか?
 
ジャスティン「そうですね、この曲にこういうメロディーをのせてくるんだっていう、自分たちとは違う発想が出てくるので。それってバンドとしてすごく刺激になるし、今後もまた誰かとできればなと思います」
 
 
 
バンド名だけじゃなくてメンバーの名前を
一人一人覚えてもらえるようなバンドになりたい
 
 
――この2nd EPを完成させて、今後はどんな活動をしていきたいと思っていますか。
 
比喩根「今回のEPはライブのことを意識して作ったものでもあるので、このEPをひっさげていろんなところでライブをしたいなあって思ってます! ライブはできることならたくさんやりたいですね。コロナ禍の影響もあって、結成してから累計で、12本ぐらいしかできてないので。(今年は)1年でそれを取り返すぐらいにできたらいいなって」
 
――ところで、chilldspotの音源とライブの違いというのは?
 
ジャスティン「ライブではアレンジを大きく変えてやったりしてます。僕たちはCD音源を再現するためのライブにはしたくないなと思って」
 
比喩根「あと、音源では自分の歌がけっこうクールな印象みたいなんですけど。ライブで聴くともっと感情豊かで喜怒哀楽がはっきりしてるって言ってもらえることがあるので、そこがライブと音源の違うところだと思います」
 
――では最後に、このバンドで目指していることは?
 
ジャスティン「やっぱ、唯一無二になりたいなっていうのはありますね。自分たちなりの個性を入れて、もっと独自のバンドになっていきたいです。」
 
比喩根「あと、chilldspotというバンド名だけじゃなくてメンバーの名前を一人一人覚えてもらえるようなバンドになりたいですね。メンバーのキャラクターも面白いと思うのでそういう部分もみんなに知ってもらえるように、まずはバンドの活動をがんばってやっていきたいなぁと思っています!」

Text by エイミー野中



(2022年5月12日更新)


Check

Movie

Release

EP『around dusk』
発売中 4180円(税込)
REP-060,061

《収録曲》
01. yours
02. line
03. 夜更かし
04. music feat.LINION
05. your trip

Profile

チルズスポット…比喩根(vo)、ジャスティン(ds)、玲山(g)、小崎(b)。バンド名はchill、child、spot、potを組み合わせた造語。ボーカルの比喩根が作詞・作曲も担当。異なる音楽ルーツを持つメンバー全員で生み出すグルーヴとジャンルレスな感覚で自由に遊ぶネクストエージ。2020年11月、初作品となる1st EP『the youth night』を高校在学中にリリース。2022年3月30日に2nd EP『around dusk』をリリース。

chilldspot  オフィシャルサイト
https://fan.pia.jp/chilldspot/