東京初期衝動・しーなちゃん(vo&g)インタビュー
「コンプラは気にせず、私たち基準で歌いたいことを歌う」
パンク精神を握りしめて制作したフルボリュームの16曲
ガールズバンドという言葉で彼女たちを紹介するのは、ちょっと違う気がする。どう違うか説明がしづらいのだが、4人の女の子がすんごい正直な言葉ですんごいロックを鳴らしている。そういうロックバンド・東京初期衝動。
前回ぴあ関西版WEBへの登場時は、ベースのあさかが加入し新体制後初となる『Second Kill Virgin』のリリースツアー中だった。あれから約8カ月、16曲入りのニューアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』を携えてバンドのキーマンでもあるしーなちゃん(vo&g)が単独で来阪。前回インタビュー以降のバンドの動きやニューアルバム制作について、4月から始まるリリースツアーへの意気込みなど、しーなちゃんらしい言葉のチョイスで存分に語ってもらった。
今だからこそできた16曲が入ったフルアルバム
――ぴあ関西版WEBへの登場は昨年の7月ぶりということで、ご無沙汰です! というほどではないのですが、2021年はどんな年でした?
私、昼間に看護師の仕事をしていてそっちがほんっとーに忙しくて! 音楽に取り組むのが大変な年でしたね。
――それはめちゃめちゃ大変! どちらか休みたいな…という気分にはならなかったですか。
それが全然ならなかったんですよ。職場にも穴は開けたくなかったし、両立できるうちはちゃんとやろうっていう思いが強かったですね。2~3時間しか寝られない日が続いたり夜間の患者さんに対応することもあったので、それが終わって家に帰って曲を作って少し寝て、また出勤。フラフラな時もありました。
――コロナ禍で思うようにライブができないという悩みをたくさんのミュージシャンのインタビューで伺ってきましたが、しーなちゃんの場合はそこに“仕事(しかも看護職)との両立”っていう課題がひとつ上乗せ…。
そうなんですよ! でも私にとっては仕事も大事だし音楽も大好きだし、自分の好きなことだから途中で投げ出すのはいかがなものかというか。とはいえこの1年はずっと悩んでいましたね。今だに忙しいです。自分の時間がないストレスはずっとどこかにありますね。
――そんな状況の中で見出せたことはあったんでしょうか。
なんとなく「効率のいい曲制作」ができるようになりました。物理的に時間がない分、隙間時間にたくさんいろんな曲を聴いてインプットしながら、自分自身もどんどんアウトプットしていく。そういうことが得意になったかなと思います。
――それって、これまで以上に音楽について考える時間が増えたということですか?
うん、そうですね。これまでは時間があったから余裕を持って音楽のことを考えていたけど、パッ、パッ、パッ、パッといっている感じですね。決断力がついたかな。曲づくりのペースが上がったからこそ、アルバムも16曲入りにもなったし。
――コロナ禍でなければ…。
うん、16曲もできなかったかもしれないです。悩んで、6曲とかになっていたかもしれない。
――時代の流れかもしれないですけど、今6曲ぐらいを収録したEPでのリリースが多いですよね。
多いですね。多いですけど、私はそういうバンドに対して、とっても気合が足りないなと思っちゃいます。
――あははははは! もっと頑張れ! と。
私よりは時間あるよね? と思っちゃいます(笑)。
――確かにしーなちゃんは最大級に時間パツパツだろうなっていうのは想像に容易いです。ちなみに16曲入りっていうボリュームあるアルバムは不思議でもありました。東京初期衝動のリスナーは俄然サブスク世代が中心でしょうから、アルバムを通しで聴くというより好きな曲からかいつまんで聴く派かなと。そういうリスナーに対して曲数の多いアルバムっていうのは意外だなと。
彼らは通しで聴かないだろうなあとは思います。そう思いながらも聴かせることができたら、自分的には満足できると思って。「聴けよ? アルバム1枚通しで聴けないっていうのは音楽好きっていっちゃダメ!」ですよ。あとね、曲数の少ない作品をちょこちょこ出すのカッコ悪いじゃないですか。
――フルアルバムを出す方がカッコいい?
銀杏BOYZが2作同時リリースをしたじゃないですか。あれがすごくかっこよかったし、影響を受けているというか…どうせアルバムを作るなら16曲から20曲ぐらいは! って。昔はそのくらいの曲数って普通でしたよね。
――逆にEPっていう概念がなかった気がします。
私にもその概念はないです! まぁ、バンドごとにいろんな事情があってEPをリリースしているんだと思うけど、それはカッコ悪いなと思ったから。また次のアルバムをパッと出すっていう感じですかね。
――でもフルアルバムの制作ってそれなりの時間を取るだろうし、その制作期間中はなかなか表に出る機会も失われてしまうわけで…。そこに対するジレンマとかはなかったですか。
全然なかったですね。だっていつもTwitterで適当なことつぶやいてるし。そこで出ている分、出られないジレンマとかはなかったです。
――そのTwitterで今回のアルバムリリース直前には複雑とか不安とか、ポジティブな言葉よりモワモワとした言葉が並んでいましたけど、その真理としては?
すごく自分の中で大切にしてきた曲たちじゃないですか。それを世に出しちゃうのって、なんだか娘をどこかにやるみたいな気持ち? すごく喜ばしいことだけど、もう少し家にいてもいいんじゃないのって。
――なるほどなるほど。そもそも今回はどんな経緯でアルバムを出そうっていう話になったんでしょう。
実は私、レコーディングがないと曲が作れないんですね。だからアルバムを出さないと、自動的にライブもマンネリ化してきちゃうんです。同じような曲で構成しちゃうから。だとすると、アルバムを出して曲を増やすしかないと。そうすればライブも新しくなる。ベースのあさかも入ったし、アルバムだ! と。
――あさかさんが入ってバンドとしても新しいフェーズに入ったうえでニューアルバムの制作を始める前に、方向性などバンド内で共有していたこととかありました?
最初はすっごいパンクなアルバムにしたくって。全部1~2分の超短くて超パンクな作品にしたいと思ってたけど、結局パンクって作るのがすごく難しいという壁にブチ当たりました。メロディがかっこよくないとパンクにならないんですよ。文化祭ノリのダサい音楽になっちゃう。パンクって難しいなあって悩むっていうことを11月までやって。
――制作スケジュールとして11月はギリギリ?
相当ギリギリ(笑)。で、その頃に「腐革命前夜」っていう曲ができて、こういう曲を入れるならもうパンクにこだわらずどうなってもいいかなって受け入れ始めて、そこからガーッと全部できてきたんです。それまでは「不純喫茶」と「空気少女」くらいしかできあがっていなかったんです。
――曲に幅があってもいいと受け入れるまでは、相当葛藤していた?
そうですね。「パンクなアルバムを作る」っていうのがバンドとしてもテーマだったから。
――それは今の4人で動き出したからこそ「今、パンクだ」なのか、この鬱屈とした時代にこそ「今、パンクだ」なのか、どちらだったんでしょう。
んー、女の子がパンクやってるのってかっこいいじゃないですか。
――確かに。単純にかっこいいです。
パンク=かっこいいって私は脳に直結しているので、それだけです。メンバー全員が同じ気持ちで、その話もずっとしていました。1曲目は1分で終わる超短い曲で始めてとかいろいろ構想はあったんですけどね。
――メンバー4人いれば「パンク」っていう音の捉え方もそれぞれだろうなとは思うんですけど…。
そこはYouTubeをみんなに送って、この感じのパンクだよ! とか。
――誰のMVを送ったんですか?
Atari Teenage Riotとか、ミドリ、銀杏BOYZ、あとはYouTubeで見つけたMVをメンバーのグループLINEにどんどん上げて。私とまれちゃんの「イケてるYouTube」っていうグループLINEもあって、そこでもいろいろ共有したり。そっちでよかったものを、メンバー全員に共有したりですね。
――それこそ今っぽいやり方ですよね。でも「腐革命前夜」っていうパンクの枠を超えていく名曲が完成したことでパンクしばりを緩めて、そのあとどう制作は進んでいったんですか?
9曲目の「山田!恐ろしい男」はあさかちゃん、11曲目の「ボーイズ・デイ・ドリーム」はまれちゃん(g&cho)が作ったんですけど、それ以外は私ですね。バーっと作ってバーっと送る感じで進めました。
――その「バーっと」にめちゃくちゃ集約されていますね、いろんなこと(笑)。
とりあえず弾き語りを送って、歌詞をつけて、その後にこうしたいっていう方向性を文章にしてメールで送るんです。例えば「この曲はジュディマリの『ラッキープール』の音の感じで、同じ雰囲気でつくってほしい」みたいな。そういう具体的な指示を全ての曲につけてメンバーに共有するんです。そうするとなおちゃん(ds&cho)がDTMでバンドバージョンに作り直してくれるんですよ。
――あぁ、そういうこと! 元々そういうやり方で?
いや、今回からです。1曲、アレンジャーの方に参加してもらったんですけど「作った曲を打ち込んで、客観的に聴いてみたらどう?」ってアドバイスをもらったんです。じゃあそれやってみよう! って。なおちゃんも「勉強したいからDTMやってみたい」って言ってくれたのでお願いしたら、なんか翌日にすぐできてきて(笑)。
――早っ。
すごいですよね。でもそれを作ってくれたことで「この曲はこんな感じになるんだな」ってイメージできるようになったんです。そこからの調整を、それぞれメンバー個人でやっていく感じですごくレコーディングも練習もやりやすくなりましたね。
――東京初期衝動内の大きな革命ですね。
革命ですよね。だからLINEのやりとりでも「ここのBメロはもうちょっとこうしてほしい」ってボイスメモで送ったりしましたね。それもDTMで修正してもらったり、メンバーそれぞれがやってみて送ってきたりでした。
6つのキーワドから読み解く『えんど・おぶ・ざ・わーるど』
――ここからは、もう少し収録曲にフィーチャーしていけたらと。私が個人的に『えんど・おぶ・ざ・わーるど』を聴かせていただいて心に残ったキーワードについて、しーなちゃんにいろいろお答えいただければと思っております!
よろしくお願いします!
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ①再録
――今回、過去にリリースされた音源の再録曲がありますが、なぜ再録を?
メンバーが変わると、音やノリも変わるじゃないですか。あと、あさかちゃんもすっかり東京初期衝動だし、やりたい曲もあるかなと。本人に聞いたら「ベイビー・ドント・クライ」が挙がってきて。あとは…「BAKAちんぽ」に関しては、なんか人気なんですよ。女の子に。
――本人的には「なんか人気」って、理由はよくわかっていない感じですか?
私的に特に凝った曲でもこだわり抜いた曲でもなくて、バンド結成日にできた曲なんです。だからなんで人気なんだろう?…っていうのはあります。
――これ以上ない、突き抜けたタイトルとタイトル通りの内容にもあると思いますよ!
元々この曲、「ウチのカレピに手を出すな!」っていうタイトルだったんです。その時はまだコンプライアンスとか気にしていたんですけど、この後に及んでうちらはコンプライアンスとかどうでもよくない? ってなったのを機に、今回「BAKAちんぽ」っていうタイトルで再録しようってなりました。
――ちなみに私がふたつめのキーワードとして聞きたいと思っていたのが、まさに「コンプライアンス」についてでした(笑)。
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ②コンプライアンス
――今回の『えんど・おぶ・ざ・わーるど』の制作に関してはコンプライアンスについてしーなちゃんがどう捉えたかという…。
そうですよね。歌詞で「ワンツーちんぽ!」って言ってるのにピーはかかってないもんね(笑)。だって、かわいくないですか? 私的に「これって、かわいければコンプラ引っかからないのでは…?説」が浮上してきていて。もう私ら基準でいいというか。
――一旦コンプライアンスっていう言葉は端に置いて、鳴らしたい音と言葉を重視していこうと。
うん、そうですね。今更コンプライアンスとか知らないわと。メンバーが変わって、新しく入ったあさかちゃんはまだ若いのもあるし…平均年齢が下がったことでブレーキが効かなくなった? それでコンプライアンスが存在しなくなっちゃいましたね(笑)。
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ③空気階段&曽我部恵一
――収録されている「空気少女」はお笑いコンビ・空気階段の番組に提供された曲で、しーなちゃんはもぐらさんと対談もされていましたし、「銀河」に関してはタイトルにwith 曽我部恵一とついていますし…。それぞれからインスパイアされたことなどあれば教えてください。
もぐらさんはね、私にとってはロックスターなんです! 芸人さんってロックバンドよりロックですよね。とろサーモンの久保田(かずのぶ)さんや、かもめんたるの(岩崎)う大さんとか本当に周りのことを気にしないで自分が言いたいことを言って、「俺は大衆を向かずに、見てくれる人・聞いてくれる人を大事にするんだ」っていう思いが伝わってくる。「俺、マズいこと言った?」って振り向く感じがないんです。
――前だけ見ている。
そう! もぐらさんもそうです。私は結構「まずいこと言ったかな~」って振り向いちゃうタイプだから、それがない人ってかっこいいしロックだなって。
――コンプラを気にしないことも、振り向かないことですよね!
もう後ろは見ません! 最近は音楽のライブよりも芸人さんのライブをよく見ていますね。学ぶことがいっぱいあっていいなぁって。
――曽我部恵一さんはどうですか? 一緒にやってみて。
いや~、素敵な人でした。作曲のセンスが凄すぎて、私たちできることがなんもない! ってなるくらい凄かったですね。それも受けて、「銀河」に関しては曽我部さん作曲、私が作詞しました。すごい曲に作詞をするのはなかなか大変でした…。だって曽我部恵一ですよ!? 大先輩っていうか神様を前にって!
――そのへん、パンクじゃなくて乙女ですね(笑)。
そうですねぇ、乙女でしたねぇ。結局「銀河」は悩みに悩んで1カ月ぐらいかかっちゃいましたね。
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ④メンバーが制作した曲
――今まではしーなちゃんが作った曲が東京初期衝動として世の中に出ていた訳ですけど、まれさんやあさかさんが書いてきた東京初期衝動の曲を初めて聴いた時はどうでしたか?
なんだ、できんじゃん! って思いました(笑)。今までは誰もやらないから私がやっていただけなんですよ。
――なぜ今回はおふたりも曲を作ることに?
実は私がずっと曲を作らなくて、メンバー全員「これじゃレコーディングも終わらない!」って怒ってたんですよ。それで痺れを切らしたまれ&あさかが作ってくれたっていう。やらなきゃやってくれんだな~って学びましたね。
――(笑)! どうでした? あさかさんがつくった「山田! 恐ろしい男」を聴いた時。
バカじゃねーの、コイツ。…って思いました。最初ゴリッゴリのメロディーだったんですね。まれちゃんとふたりで聴いて「これはゴリゴリしすぎじゃない?」って。The Dickiesみたいな感じで。タイトル「Dickies」でもいいぐらい。でもギターを入れたり、あさかちゃんがドラムをこうして欲しいとか指示をしてアレンジを加えたらめちゃめちゃよくなって、歌詞もこういう視点で書いて欲しいっていう私に対してのプロデュースがあって、その通りにしたらめちゃよくて「あさか様!」って。化けましたね。でもあさかちゃんは、完成までしっかりイメージができていたんでしょうね。
――まれさんの曲は?
誰か聴いてもメロディーが優しくてほんわかして「まれちゃんの曲だ」ってわかると思いますね。
――この曲、こんなことができるんだ(お風呂の中で歌っているような声の加工がなされていて臨場感抜群)! って感動しました。
この曲はお遊び程度に歌部分を宅録で録って眠らせていたんです。でもそのデータが消えてしまって、改めてレコーディングした頃はすごく声が枯れている時期で…。試しにエコーを強めにかけたらお風呂の中っぽくなったから、「じゃーお風呂で録った風にしちゃえ!」って。ちょうど10曲激しい曲続きで耳も疲れているだろうし、水の音で癒しだねって。新しいじゃん! やろ! って。
――終盤に効果音で入っている、浴槽と素肌が擦れるキュっていう音がなんともリアルでなんかエロく…。
ありがとうございます! あれ、ウチで撮りました! よかった! トキョショキ、エロ要素がないのでそう言っていただけると!
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ⑤ライブ映えフレーズ
――ライブ映えのフレーズといいますが…「産みたいくらいに愛してる!」(「トラブルメイカーガール」)というワードの破壊力たるや…脳みそ叩かれた気がしました…。
ねー! この言葉いいですよね!
――「2021年も誰も誰も優しくなかった」(「クリスマス」)っていうのも、すごく響いている人がいるはずだと。キラーフレーズの意図というか、生まれた経緯を知りたくて。
「産みたいくらいに愛してる!」っていう言葉に関してはライブの時にみんなで叫べるかなって。今、コロナ禍だからじっくり聴いてもらおうっていう思いでバラードを作る人が多いんですよ。だけど私的には、「早くこれを終わらせよーぜ!」っていう感じだし「やっちゃおうぜ!」っていうスタンスでいるから、みんなで歌える曲を作りたいっていう思いは大きかったかもしれないです。
――野外フェスでこれをみんなで叫ぶ景色まで想像できますね。本当、コロナが早く終わって欲しいです。
気になる『えんど・おぶ・ざ・わーるど』 ⑥東京
――バンド名もそうだし、今回の収録曲にも「東京」がありますが、私のイメージでは東京を歌うっのは地方出身者の方が多いのかな…と思っていました。けれどしーなちゃんは東京出身で。
地方出身の人って出てきて感じた東京を書くでしょう? でもずっと私は東京だから、「そんな東京ある?」と思うこともあって。今回アルバムに入れた「東京」に関しては、実はずっと東京にまつわる曲を作ろうと思っていて、自分にとっての東京ってなんだろうって考えていたんです。
――それ、答えは出ましたか?
わからぬままです! わからぬままにできたこの「東京」っていうことが答えかなと思います。じっくりと聴いてみてください。
必要としてくれる人に、聴いてもらいたい
――今、正しいことを言ってもそうでなくても言いたいことを言うことで叩かれるという不穏な時代に、『えんど・おぶ・ざ・わーるど』という作品で成し遂げたいことはありますか?
成し遂げたいこと…こういう曲を作っていると、人から何かを言われることもなくなってきたんですよね。
――行ききってる! と思われて?
いや、あの人には何を言っても無駄と思われているような気もします。だから、とりあえず音楽を聴いて! としか言うこともないし、もう何を言われてもあんまり気にならなくなってきました。
――世の中には東京初期衝動みたいな、なんなら表に出さない本音を歌うというよりも世界観として美しい曲が流行している流れもあるような気がしていて…。
美しく綺麗な恋愛の曲、多いですよね。みんなそういう恋愛してるんだろうなぁ。結局トキョショキを好きって言ってくれる女の子たちは、どうしようもない男のことを好きになってどうしようもない振られ方をして、どうしようもない生活をしとるな…っていう子ばっかりで(笑)。男の子たちも童貞とか! そういう必要としてくれる人が聴いてくれたらいいなって思います。
――必要としてくれる人たちに届けるためには、本音や実体験を歌うって大事ですよね。
そうやってコンプラ無視したものを発信していくしかないし、世間に受けないこともやるしかない。世間の人の多くは綺麗な人生なんだろうなぁ。チャートに入っている、綺麗な曲たちもめちゃくちゃ聴くんですよ。あいみょんの「ハート」も大好きで。あぁ、私もこういう気持ちなんだよねって思いながら聴いてるんです。同じことを思っているけど、私は表現の仕方が違うんだなって。だから私はいつも「あいみょんと同じ心を持ってる!」とは思ってます。表現の仕方が違うだけ(笑)。でもその世界観を自分なりに表現しようとすると、「産みたいくらいに愛してる!」ってなっちゃうんですよね~。
――それこそがしーなちゃんにしかできない表現ですよね。今、アルバムを作り終えて、次のステップに向けて見えてきたモノはありましたか?
早くお金欲しいですね~。お金あればまた次の制作ができますからね。…真面目なことを言うと、曲が作りやすくなったのは収穫でした。いろいろやりやすくなったので、次のステップでも活かせるかなと思っています。
――発表になった4月末からの全国ツアーも楽しみですね。
2月に東名阪で一度リリースライブをやっていて、あれは本当に『えんど・おぶ・ざ・わーるど』初披露だったので前菜的な位置付けでした。メインはこの4月からのツアーって考えています。とりあえず持ち曲は全部やりたいですね。MCなしで。MCは絶対にしません!
――その心は?
なんかMCで冷めちゃうんですよ。ライブって、話聞きに来たんじゃないよな~と思うんです。もっと音楽が聴きたいっていうか。そう思うと安室ちゃんみたいに黙ってパフォーマンスしようって思うんです。とにかく歌いまくりたいですね。
取材・文/桃井麻依子
(2022年3月11日更新)
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