ホーム > インタビュー&レポート > これからの活躍にも多大なる期待を! 若手アーティスト4組が集結した 『STYLE PARK』@なんばHatchライブレポート

「こんな大きなステージは人生で初めてです!」。オープニングアクトは、オーストラリアと日本をルーツに持つシンガーソングライター・Sean Oshima(ショーン オオシマ)が、サックスを含めた5人編成のバンドスタイルで登場。疾走感のある爽やかなサウンドにたっぷりとエフェクトをかけたボーカル&サックスの音色がアーバンな雰囲気を演出した「ラブソングはいらない−No More Love Song−」から始まり、どこか懐かしさも感じられるカントリーポップソング「LAの道を−Load of LA−」など全4曲を披露。大きなステージのセンターで飛び跳ねながらギターを鳴らし歌う彼の姿が音を奏でる面白さを体現していたのはもちろん、面白かったのはバンドのグルーヴ感。メンバーそれぞれが骨太な音を鳴らしながら、バンドとしての一体感を魅せてくれる。まるでガレージに持ち寄った楽器で思う存分セッションしている5人を見ているような感覚は、心の底からワクワクすることができた。
本編1組目としてステージに上がったのは、ボーカルのEMILYとアコースティックギターのKAWAGUCHIによるフォークデュオ・HONEBONE(ホネボーン)だ。大阪でも屈指の大きさを誇るなんばHatchのステージにボーカルとギターがたったふたり、究極にミニマムなライブになる予感が漂う。「どうもこんばんはHONEBONEでございます! 2階席も1階席もありがとう!」とEMILY。1曲目のミュージシャンの悲哀を歌った「バンドマン」、大好きな飲食店への愛を叫んだ「オムニマッ」、そして2人のMCまでを見て頭に浮かんだ言葉は“まるでギター漫談”。自分の人生に起こること良し悪し選ばず日本語で生々しく歌い上げるEMILYと、全てをさらけ出す歌詞にがっちり寄り添うKAWAGUCHIのギター。それに加えて、曲で表現する以上によく喋る2人のMCが加わればもはや芸の域。NGKでもライブできそうなふたりだなあとの思いをよそに、恐ろしく人の心をえぐるようなメッセージ性の強烈な曲が始まる。その独特な詞の表現は刺さるではなく、えぐる。それが正しい気がする。セットリストからも曲の内容が少し想像できるかもしれないが、実際に聴くと想像以上に心をえぐってくる。中でも「生きるの疲れた」のインパクトはエグいとしか言いようがなかった。




そしてこの日最後のステージを任されたのは、Myuk(ミューク)。元々シンガーソングライターとして活動をしていた熊川みゆの音楽プロジェクトとして今年1月にスタートをきったばかり。コロナ禍だったこともあり、この日が初めてのライブという貴重な一夜だ。ステージにはMyukのほか、大きなグランドピアノとバイオリン・チェロ奏者が1名ずつ。記念すべきファーストライブは、優しいメロディーを奏でるピアノに弦楽器の調べが豊潤に重なっていく「シオン」でスタート。ライブハウスであるなんばHatchではなかかなお目にかかることのできない、クラシカルでアコースティックな演奏がとても新鮮だ。1曲目を歌い上げると挨拶を挟み、フーッと息を吐いた後『11月6日 大阪・なんばHatch 初めて君と出会った日 教えてくれた花の名前 2人の愛と重なった 街に埋もれそうな小さな花』とオリジナル詩の朗読が行われた。そして朗読された詩の世界がそのまま広がる尾崎豊「Forget-me-not」のカヴァー、自らギターを演奏しながら歌い上げた切ない恋の歌「あふれる」、Myukの伸びやかでふわりとした声で優しく会場を包んだ絢香の「みんな空の下」のカヴァーを披露。そして再び詩が朗読される。『星が降る夜 見上げた光 同じ光を映した瞳 君も覚えているだろうか また会える日を 星に願いを』。
(2021年11月30日更新)
01. ラブソングはいらない −No More Love Song−
02. 君のバンドが嫌い −I don’t like your band−
03. LAの道を −Load of LA−
04. 疲れた日の夜に −Hard Day’s Night−
01. バンドマン
02. オムニマッ
03. 冷たい人間
04. 捨てられない花
05. 生きるの疲れた
06. リスタート
07. フリーター
01. No NAME
02. Lips
03. Don’t Need the Pain
04. 東京フラッシュ
05. そっけない
06. Eyes
07. 足りないよ
08. In Our Hearts
09. カタオモイ
10. Snake Love
01. シオン
02. Forget-me-not
03. あふれる
04. みんな空の下
05. 星に願いを
06. 魔法