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“ODD”で“踊れる”摩訶不思議な夜が東京に上陸!
オープニングアクトにkim taehoonを迎え
FNCY、Mega Shinnosuke、マハラージャンという
才能、センス、個性を併せ持つ3組が集結した
『ODDL PARTY in TOKYO』ライブレポート

2021年8月に大阪でローンチしたイベント『ODDL PARTY』の“東京編”『ODDL PARTY in TOKYO』が2021年10月27日、渋谷・WWW Xで開催された。出演はFNCY、Mega Shinnosuke、マハラージャンという才能、センス、個性を併せ持った3組。オープニングアクトのkim taehoonを含め、“ODDで踊れる摩訶不思議な夜”というこのイベントのコンセプトをたっぷりと体感できる一夜となった。

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最初に登場したのは、韓国生まれ、東京育ち、東大卒のシンガー/トラックメイカー、kim taehoon。ヒップホップ、ファンク、エレクトロ、シティポップなどをマッシュアップさせたトラック、そして、日本語、韓国語、英語を交えたフロウによって、観客の身体をナチュラルに揺らす。ラップ/ボーカルはもちろん、ルーパーでギターのフレーズを重ねたり、ロックテイストのギターソロを披露するなど音楽的なクオリティもきわめて高く、“どうしてこんなに独創的な音楽が生まれたのか?”という知的好奇心と快楽的なダンスビートの渦に強く引き込まれた。

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続いてステージに上がったのは、FNCY。ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSというキャリアと実績を兼ね備えたアーティストたちによるユニットだ。“JET STREAM”風のskitとともに登場した3人は、「Train」「DRVN’」とスムース&グルーヴィな楽曲を響かせ、フロア全体を心地いい空間へと導く。3人が順番にDJブースに立ち、全員でラップを共鳴させるスタイルは、見た目にも音楽的も魅力たっぷり。

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ライブの中盤には、「REP ME」「COSMO」「CONTACT」と9月にリリースされた最新アルバム「FNCY BY FNCY」の収録曲をシームレスにつなげた。「特に印象的だったのは、「俺たちは投票にも入れるんですけど、常に入れる一票はヒップホップ」(ZEN-LA-ROCK)という言葉に導かれた「あなたになりたい」。ヒップホップの歴史を作り上げてきたラッパー、DJたちへの愛と憧れをストレートに表明するリリック、オールドスクール系のビートをアップデートさせたトラックが響き合うシーンは、FNCYの本質と直結していたと思う。全体を通しFNCYらしさ溢れるダンスチューンを繰り出したパフォーマンスは、イベントのテーマである“踊る”を見事に体現。経験に裏打ちされた質の高いパフォーマンス、そして、リラックスして楽しめるエンタメ性が完璧に融合したステージだった。(11月19日(金)SHIBUYA TSUTAYA O-EASTで行われる初のワンマンライブも楽しみ!)
 


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イベントの熱気をさらに引き上げたのは、2000年生まれ、Z世代を象徴するアーティスト・Mega Shinnosuke。バンドメンバーのsoogood!(g)、カメヤマケンシロウ(b)、松本ジュン(key)、GOTO(ds)とともに繰り広げられたステージは、アグレッシブなダンスチューン「Sweet Dream」からスタート。強靭なグルーヴをたたえたサウンドとポップにして鋭利な歌声が広がる。さらに直線的なビートとニューウェイブ的アレンジが気持ちいい「Sports」、自らギターをかき鳴らした「School」とアッパー系のナンバーを続け、解放的なムードを引き寄せた。

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「今日の衣装のテーマは“キャプテンアメリカ”」「僕、家に350着くらい持ってて、バンドメンバーが着てる服も全部自分のです」というフレンドリー過ぎるMCの後は、90年代オルタナ直系のロックチューン「反好青年」(アウトロではニルヴァーナの名曲を差し込む演出も)。エレクトロ、ギターロック、ヒップホップなどを自在に行き来しながら現代的なポップミュージックの在り方をダイレクトに示してみせた。

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「お洒落すぎてどうしよう」から始まったライブ後半は、高揚感に溢れたダンストラック3連発。あらゆるジャンルを飛び越えながら、“とにかく楽しい!”という気分を極限まで引き上げる圧巻のアクトだった。11月に実施中の自身最大規模の全国ツアー「CULTURE DOG TOUR」でもめいっぱい楽しませてくれるに違いない!



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『ODDL PARTY in TOKYO』の最後を飾ったのは、マハラージャン。今年3月に「セーラ☆ムン太郎」でメジャーデビューを果たし、ターバン姿のルックスとともに瞬く間に注目を集めた彼は、このイベントがメジャーデビュー後初の東京でのライブ。澤村一平(ds)、まきやまはる菜(b)、小川翔(g)、皆川真人(key)という凄腕のミュージシャンとともに、独創的にしてダンサブルなライブを見せてくれた。

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極上のファンクチューン「何の時間」「示談」で幕開け。「こんばんは、マハラージャンです。素晴らしいアーティストの方々と一緒にやれて、本当にうれしくて。僕もがんばるんで、最後まで盛り上がりましょう」と紳士的な挨拶を挟み、ロックテイストの「僕のスピな人」、ソウルフルな歌唱が響き渡った「eden」など、色彩豊かな楽曲を披露した。本格的なファンクを軸にしたサウンド、奇妙でコミカルな歌詞を軸にした音楽性は、ライブにおける求心力も強烈。サイケな出で立ちとストイックな演奏のコントラストを含め、“初めて曲を聴いた”という観客であっても間違いなく惹きつけられるはずだ。本編ラストはもちろん、代表曲「セーラ☆ムン太郎」。オーディエンスも手を挙げながら盛り上がり、会場全体が多幸感で溢れた。

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鳴り止まない拍手に導かれ、再びステージに登場したマハラージャンは、「Monkey Magic」(ゴダイゴ)のカバーを演奏。エキゾチックな音像と熱を帯びたグルーヴに満たされ、イベントはエンディングを迎えた。


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 圧倒的なオリジナリティと高い音楽性を兼ね備えたアーティストたちの音楽を浴びまくり、思い切り身体を揺らして楽しめる“ODDL PARTY”。今後の展開にも期待してほしい。

文:森 朋之
撮影:小境勝巳



(2021年11月12日更新)


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