デビュー、リリース、ライブができないもどかしい日々… 前例にないデビューイヤーを駆け抜け 念願のデビューアルバムをリリースした新時代のディーバ yukaDD (;´∀`)インタビュー
大阪から東京、そして世界へ。
まるで大阪万博のスローガンのようでもあるが、これは昨年堂々デビューを果たしたシンガー・yukaDD (;´∀`) [ユカディーディー]の今とこれからの夢の話。幼い頃からシンガーを夢見てひたむきにボーカルレッスンやダンスレッスンを重ね、大阪の大阪スクールオブミュージック高等専修学校に入学。音楽漬けの学校生活を送る中で受けた、音楽プロデューサー・Jin Nakamuraが主催したアーティストオーディションで見事合格を勝ち取った彼女。合格の2週間後にはロサンゼルスでレコーディングを経験し、そこから再びレッスンの日々を経て2020年1月にデジタルシングル「Carry On」でメジャーデビューした令和のシンデレラだ。デビュー直後にやってきたコロナ禍をものともせず、「Carry On」リリース後もコンスタントに4曲の配信リリースを続け、ついにこの3月メジャー1stアルバム『21×21』を発表した。「デビューアルバムではこれまで生きてきた21年間の集大成を表現したかった」というこれまでの並々ならぬ思いが凝縮された歌詞と、カラフルな楽曲が織りなす新時代の歌姫の名刺がわりとなるエポックメイキングな1枚だ。
聞く者を圧倒しながらも勇気づけるようなパワフルでソウルフルな彼女の歌と音楽はいかにして作られてきたのか。「夢は大きく、グラミー賞を取ること!」という2021年、現在21歳、yukaDD (;´∀`)のことをもっと知りたくて、話を聞いた。
演歌歌手志望の少女からプロのソロシンガーへ
夢を叶えるストーリー、始まりの大阪
――4月といえば新生活の始まりで、自己紹介をする機会って多い時期だと思うんですけど、今自己紹介をお願いしますって言われたら、なんて言いますか?
え〜難しいですね(笑)。yukaDD (;´∀`)、シンガーとして2020年1月にデビューしました。あとは…去年から続くコロナ禍でストレスとか悩みとか抱えている方は多いかなとも思うし、私も全然ライブをすることができなくて悔しい思いをしたので、今年こそ去年の分を取り返せるくらいにライブをたくさんやって、多くの方に生でも見て、聞いて頂けたらいいなと思います。とか言うかなぁ。
――出身は大阪ですよね。
はい、大阪です。
――yukaDD的、大阪の思い出の場所はありますか?
大阪にいた頃は近かったこともあって、梅田によく行っていましたね。私、高いところとか景色を見るのがすごく好きで、梅田スカイビルの空中庭園にはかなり行きました。あそこから見える景色が昼間も夕方も本当にきれいなんですよ。空中庭園は自分にとって落ち着く場所でもありますね。
――そういう大好きな場所もたくさんある大阪がyukaさんの夢の原点だと思うんですが、デビュー前はどんな日々を過ごされていたんですか?
もともと小さい時から歌手になるのが夢だったんですが、最初は演歌歌手になりたかったんです。
――演歌歌手!?
そうです(笑)。うちのおじいちゃんが音楽好きで、特に演歌が好きだったんですね。私も小さい時からNHKの『BS日本のうた』をずっと一緒に見ていて、そこに島津亜矢さんが出ていたんですよ。おじいちゃんは島津亜矢さんが大好きで、私もその影響ですごく好きになりました。堂々と歌われる姿がとにかくかっこよくて、強烈に「演歌歌手になりたい!」と思ったんですよね。そこから私も歌を始めました。
――演歌が入口なんて想像もつきませんでした。むしろゴスペルとかをやられていたのかと…島津亜矢さん以外に好きな歌手とかいらっしゃいましたか。
キム・ヨンジャさんの歌も歌っていましたね。当時『BS日本のうた』で、キム・ヨンジャさんと島津亜矢さんがツインで歌っているのをよく見ていました。あとは…北島三郎さんとか。
――『紅白歌合戦』は前半のポップソングより、後半の演歌が楽しみだったとか?
そうそう。演歌勢のステージに夢中になっていました。演歌歌手のみなさんは歌声が太くて力強いのがすごく特徴で、本当にいい声ですごく好きでしたね。演歌はとっても好きだったんですけど、8歳のときにたまたまテレビを見ていてクリスティーナ・アギレラに出会ったんですね。…今思い返しても、彼女の音楽との出会いが本当に衝撃的でした。信じられないほどパワフルな声とフェイクのアドリブが本当にかっこよくて、私もあんなふうに堂々とステージに立って歌ってパフォーマンスがしたい! ってシビれちゃって。そこからは演歌歌手というよりはシンガーになりたいと思うようになったんです。それはもう本格的に。そこから私の夢が始まりました。
――よほどの衝撃体験だったんですね。
はい。それからボーカルとダンスのレッスンに通い出したんですけど、長く続けていてもなかなか結果が出なくて…。中学から高校生ぐらいになった時、同じスクールにいた子はどんどんデビューの夢を叶えていく中で、私は歌っていても何もつながらない時期がありました。そのときはもう、本当に悩んでいましたね。小学生ぐらいからずっと本気で歌手になりたいと思っていた分、中学・高校あたりで結果が出なければ歌うこと自体諦めようかなと思ったりもしていました。でも、そんな私の姿を見ていた母が「まだ頑張る力が残っていると思うから、歌をもう少しだけ頑張ってみたら?」って背中を押してくれたんです。
――母の愛ですね。
その言葉をもらったときに、もう一度イチからスタートして頑張ってみようかなと思えたんですよね。それで音楽をじっくり学ぶことができる大阪スクールオブミュージック高等専修学校に進学しました。国語とか数学とか一般の高校で勉強するような教科もありましたけど、自分の好きなことに比重を置いて学べる学校だったので歌とダンスに没頭しました。
――その頃には「こんな活動ができるようになりたい」とか「こんなアーティストになりたい」みたいな具体的なイメージはできていましたか?
そうですね。入学した頃にはもう、かなりそういうイメージは明確でした。ずっとソロシンガーに憧れてレッスンしてきたので、将来的には海外のステージに立てたらいいなとその頃には思っていました。そのためにはとにかく人前に立つ経験をしたかったので、当時はライブのステージに立つことをひたすら重ねていきました。そんなときに先生から勧められたオーディションが今プロデュースを手がけてもらっているJinさんのオーディションだったんです。
――チャンス到来!って感じですね。
そうなんですけど…実は私、それまではオーディションを避けていたんです。
――え? どうしてですか?
まだ私はオーディションを受けるレベルにもないなって感じていたんです。もっとパフォーマンス力を磨かないと、オーディションを受けても…って思っていたこともありました。でもそこには受けないと状況は変わらないっていう葛藤もあって。そのとき先生に「これは絶対にチャンスだから!」ってこれまでにないほど推されたこともあって、ようやく「じゃあ受けます!」って(笑)。とはいえ気負いがあったわけでもなく、今後にプラスになるようなアドバイスがもらえたらありがたいなぁぐらいの気持ちでオーディションに挑んだので、受かったときは「まさか選ばれるとは!」って信じられない気持ちでした。
――じゃあ合格からは、想像していなかったことの連続だったんじゃ…。
そうなんです。合格2週間後にはロサンゼルスに行って曲を渡されてすぐレコーディングをしました。
――まさに急展開!
それが今回のアルバムにも入っている「HIGH SCHOOL FUNK !!!」っていう曲です。不思議なんですけどこの曲を歌ったときに、Jinさんとは一生一緒にやっていくんだろうなっていう気持ちが芽生えました。
――それは、どうしてだったと思います?
う〜ん…なんでだろう? もう1曲目からめちゃくちゃ好みの楽曲に出会えたっていうこともあるし、何より「自分がやりたかった音楽はコレだ!」って本当に思ったんです。私もJinさんも洋楽が大好きっていう共通点もあったし、私、オーディションのときにクリスティーナ・アギレラの曲を歌ったんです。そのときにJinさんが「こういう楽曲が歌える子がいるんだ」って思ってくださったみたいで、すごくいろんなポイントが合っていたんだと思います。ロスではレコーディングの後はボイストレーニングをしたりして、帰国してからは上京して修業期間に入りました。
――修業期間?
ボーカルやダンス、もちろん語学も。大阪にいるときより練習量も格段に増えて、そんな毎日の中で少しずつ自分の楽曲ができていくに従って「自分のオリジナリティをもっと出さなきゃ」っていう気持ちも大きくなっていきました。歌い方ひとつとっても自分のスタイルを確立していかなきゃって。
――デビューまでの4年の長い修行期間で、自分のスタイルは少しでも掴めた感じですか?
そうですね。自分のやりたいジャンル・音楽はクリスティーナ・アギレラの影響がすごくあって、自分もあんなふうにパワフルに歌えるような形にしていきたいなとずっと思って練習してきたので、やっと掴みかけているというか。自分のやりたい音楽・ジャンルはこれなんやなというのはすごくハッキリと思えるようになりました。
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思うようにライブができなかったデビューイヤー
それでも配信リリースで自分の歌を届けたい
――念願のデビューから1年とちょっと経ちましたが、ここまでどんな日々でしたか? 音楽業界としては前代未聞の年だったし、なかなか前例にないデビューイヤーだったのではと思うんですけど…。
そうですね、自分的にはあっという間だったなと感じています。毎日初めてのことばかりで、緊張感がありました。
――とはいえ、状況的にはライブができないわけで…。その分デビューから10ヵ月の間にシングル5枚リリースっていうのは、なかなかのハイペース具合でしたよね。
はい。ライブができないならば、リリースをしようと。1月にデビューしたので、本来ならライブもやっていく予定だったんですけど、デビューしてまもなく緊急事態宣言も出てしまって。そんな中で、ライブができなくても歌を届けたいなっていう気持ちが強かったので、リリースという形を取りました。
――デビュー以降作詞も手がけられていますが、作詞はずっとされてきていたんですか?
いや、実はしたことがなかったんです。デビューにあたって、自分のボキャブラリーを増やすいいきっかけにもなるかなと思って挑戦しました。あと、自分で作詞をすることによって曲について深く考えるきっかけにもなるんですよね。それも勉強だ!と。
――とにかく歌に対して真面目でストイックなんですね。言葉を紡ぐにあたって、なにか意識していることはありますか。
共感してもらいたいっていう気持ちは強くありますね。だからこそわかりやすい表現をしたいなというか。今回リリースしたアルバム『21×21』は、収録曲全てが自分自身のことを描いているんですけど、例えばこの「blackboad」っていう曲の歌詞には、自分の好きな食べ物を入れようと思ってヒジキって言葉を使ってみたり。わかりやすい表現をすることで、学生さんから年配の方まで気持ちを共有できるものになるかなっていうことを常に考えながら言葉を選ぶようにしていましたね。
――確かにyukaさんが手がけた曲はもちろん、詩を提供された曲も含めて、とっても言葉の使い方がシンプルでストレートですよね。
実は、yukaDD(;´∀`)の楽曲は最初は英語歌詞で作られるんです。
――!!! それを日本語に直すんですか?
最初に英語詞が作られて、それを自分なりに解釈して訳して、そこから製作陣と話し合いを重ねて作っていくんです。私にとっては英語の方がフロウが柔らかいから、すごく表現がしやすいんです。ずっと洋楽をたくさんたくさん聞いてきたので、耳が慣れているというのもありますね。
――英語の方が作りやすいっていうのは初めて聞きました。
語学の勉強にもなりますし(笑)。
――ちなみに今回リリースされたアルバム『21×21』はどんなテーマで制作されたんでしょうか。
今回の作品は、自分の集大成としての位置付けのアルバムにしたいというのはずっと考えていました。それはライブができない中でシングルをシリーズ的に5枚出したときに「自分の思いをまとめたアルバムが作りたい」って思ったことがきっかけですね。そのテーマに関しても、かなり早い段階からJinさんとは話をしていました。
――集大成っていう言葉を聞くと、個人的なイメージとしては「デビュー10周年の集大成アルバム」とか、かなり活動年数を重ねたアーティストさんがテーマにされているイメージもあったんですが…デビューのアルバムでテーマを集大成にした理由っていうのは?
21年間生きてきたこれまでの自分の精一杯を、一度表現したかったというか。夢を追いかけながらも停滞していたり結果が見えない時期が長かったこともあって、自分が今夢を掴めているのも家族の励ましや周りの人の支えがあったからこそ突っ走ってこれたし、いろんなことも乗り越えられました。だからこそ今の自分の集大成を表現しつつ、そこに感謝の気持ちとかみなさんからもらった愛情を込めたいって思ったのが一番大きな理由です。聞いていただく方にもそれぞれ大切な人を思い浮かべてもらえたらうれしいですね。
――アルバムの中で、特に思い入れの強い曲を紹介していただけますか?
そうですね、一番最初に作っていただいたこともあって「HIGH SCHOOL FUNK !!!」は思い出深い楽曲なんですね。yukaDDとしてこれまで一番歌ってきた楽曲ですし。実はアルバムに収録したのは、オーディション合格直後にロサンゼルスで録った当時のままの声なんです。
――あえてそのまま!
そうです。自分のこれまでを振り返る意味も含めて、本当に当時のままの音源を使いたかったんです。だからこの曲だけ17歳の私が歌っていて、他の曲は21歳の私が歌っています。
――今日の時点でまだリリースから数日ですが、手応えはどうですか。
私のレッスン時代からずっと見てくれていた人や友達は、「長かったけどよく頑張ってきたね」って(笑)。自分としてもアルバムがひとつの作品として形になって、やっと…っていう感じでしょうか。でも、やっぱり作品になったっていうのがうれしくてしょうがないです!
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まだまだ続いていくシンデレラストーリー
夢は大きく「グラミー賞を狙いたい」!
――ここまでお話を聞いてきて、夢や憧れがあって、挫折があって、夢が叶う瞬間がいくつもやってきて…って、yukaさんのひたむきな努力が大前提にあったうえで本当にリアルシンデレラストーリーだなって思うし、まさに今も夢が実現していっている段階だと思いますが、これから叶えていきたい夢はありますか?
形にしたいなとずっと思っていたアルバムが完成して、ひとつ夢が叶ったので…。あとは、やっぱり大阪が大好きなので大阪城ホールで自分のコンサートを開けるようなアーティストになりたいなと思いますね。
――あれ? この間大阪城ホールで歌われていましたよね?
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そうですね。あの空間で贅沢にもアコースティックライブを。
――凛と立ってアカペラで歌っている姿と歌声にゾクゾクしました。
ありがとうございます。50人限定だったんですけど、あの場所で歌わせていただいたことによって、改めて自分はここでコンサートを開きたいという思いがいっそう強くなりました。やってみたら、めちゃめちゃ広かったし、めちゃめちゃ緊張したんですよ。でもその一方で「あぁ、自分が目標としていたステージで歌ってるんだ」って感動もしましたし、次の夢はお客さんが満員にいる状態の自分のコンサートで歌いたいなっていう思いが強くなりました。
――これまで大阪城ホールでどなたかのライブを見たことは?
小学校のときに安室奈美恵さんのライブを見に行きました!そのときも「自分も絶対このステージに立つぞ」っていう気持ちで見ていましたね(笑)。本格的に歌をはじめた頃だったので、余計に思いが強かったというか。でも安室さんを見たその日に、ダンスボーカルでかっこい立ち居振る舞いができるアーティストになりたいっていう新しい決意も生まれましたね。
――この間はアコースティックだったこともあって歌に集中したライブでしたけど、ダンスも織り交ぜた華やかなライブを見せていただけるのが今から本当に楽しみです。では最後に、今後歌っていきたい歌について教えてください。
今後は目標にしているクリスティーナ・アギレラのような、パワフルでソウルフルな歌声を届けられたらいいなと思っています。あと何度も言っちゃいますけど、将来は海外で活躍したいです。夢は大きく、グラミー賞を狙えるアーティストになりたいなと思っています!
取材・文:桃井麻依子
(2021年4月 8日更新)
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