インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 「迷いはあったけど、悔いのないようにずっと生きてきた」 その宿命と歌声を背負って転がり続けた 尾崎裕哉の夢も孤独も、ルーツもオマージュも刻んだ人生の回顧録 『Golden Hour』インタビュー&動画コメント


「迷いはあったけど、悔いのないようにずっと生きてきた」
その宿命と歌声を背負って転がり続けた
尾崎裕哉の夢も孤独も、ルーツもオマージュも刻んだ人生の回顧録
『Golden Hour』インタビュー&動画コメント

 “僕は選んだんだ 受け入れてやると/僕しかいないんだ”(『Awaken』)。その覚悟、その才能、そして、偉大なる父より受け継いだその歌声を背負い、デビューから約4年にして尾崎裕哉がついに作り上げた1stアルバム『Golden Hour』は、彼が生まれて初めて完成させたオリジナル曲『Road』から、敬愛するKREVAより楽曲提供を受けた『想像の向こう』、いしわたり淳治、蔦谷好位置らとポップスという大海へと挑んだ『Glory Days』に加え、大比良瑞希のスモーキーな歌声をフィーチャーした『つかめるまで』『音楽が終わる頃』、布袋寅泰が泣きのギターで唸らせる『Rock'n Roll Star』まで、さまざまな音楽的造詣を感じさせる充実の楽曲群をコンパイル。旧知の仲であるトオミヨウや、グローバルに活躍するSUNNY BOYや小袋成彬という第一線のクリエイターとの共同作業のもと、R&B、ヒップホップ、ソウル、ロックetc、“デジタルネイティブ世代のバイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター”と称される持ち味とバランス感覚でキャリアを総括し、ネクストフェイズへの起点となる才気溢れる1枚に仕上がった。12月には横浜、東京、大阪のビルボードライブでバンド編成の『INTO THE NIGHT』、クリスマスイブには大阪市中央公会堂で弾き語りの『ONE MAN STAND 2020 CHRISTMAS SPECIAL』を控える尾崎裕哉に、時に迷いながらも自らの人生を選択してきた、彼の生きざまそのものと言える『Golden Hour』を振り返ってもらった。

ozakihiroya2_yoko.jpg
 
自分で自分に懸けたような感覚なんですよね
 
 
――『Golden Hour』は自分の人生を振り返るような、パーソナルなアルバムを作りたいという想いがあったと。
 
「そうですね。’20年について歌うなら、“東京オリンピック、延期になったよね”とか、もうちょっと今を歌うというか…ユーミン(=松任谷由実)さんのアルバム『OLIVE』(’79)にも、“東京のまちはオリンピックひかえ…”という曲(=『未来は霧の中に』)があるんですけど、そういう時代感を切り取ったものになったと思うので。『Golden Hour』はあくまで回想だし、昔の景色を思い出しているので、ジャケットもその景色なんです」
 
――その回想を1stアルバムで、このタイミングでやろうと思ったのには何かあったんですか?
 
「レコード会社の移籍もあったし、自分も31歳になって、これまでにできた曲が埋もれてしまうのはもったいないというか…“全部出したい、さらけ出したい!”という気持ちを形にしました」
 
――今作には22歳のときに生まれて初めて完成させた『Road』(M-3)まで入っているという意味では、まさに。
 
「プロデューサーの須藤晃さんが携わる作品は、だいたい人間味が出るんですよね。俺も自分の人となりをさらけ出せた感じがします。よくも悪くもどの曲も飾ってないんですよ。自分の人生についてここまで歌っているアーティストは最近、周りで見ないような気がするので、それはそれで面白いのかなぁと(笑)」
 
――収録曲を振り返ると、思い出すことがいっぱいありそうですね。
 
「『つかめるまで feat.大比良瑞希』(M-4)なんかは特にそうですけど、だいたいは自分がミュージシャンになるか/ならないか分からない時代の話で、どっちつかずの目標を持っているときの自分の停滞感というか、“前に進めていないときに意識を高く持っているとこうなっちゃうよ”というか(笑)」
 
――アハハ!(笑) 勘違いでも“俺はミュージシャンになって武道館に立つんだ!”と思い込んでいたら、そのために何をすればいいかの話になりますけど、そもそもどういう人生を歩んでいくのか。夢を取るのか生活を取るのか、誰もが立たされる岐路が大学卒業時とかにはありますもんね。
 
「あと、人生を選択しなきゃいけないとき、男はまだ夢を描いていても、女性は割と堅実だったりしますからね」
 
――男は“俺はまだ、本気を出していない”って、常に思っていますからね(笑)。
 
「間違いない(笑)。それでもやっぱり、やりたいことは曲げられないんですよね。特に俺の場合は音楽をやらざるを得ない感じがやっぱりあったし、俺自身も5歳の頃からずーっと“音楽をやりたい”と思い続けてきたので、自分で自分に懸けたような感覚なんですよね」
 
――それだけ前から音楽をやりたいと思いながらも、実際にはおいそれとは手を出せなかったんですね。
 
「音楽を聴くのはずっと好きで、ピアノのレッスンとかも一応やってはいたんですけど、バリバリの進学校にいたせいもあって、周りに音楽友達みたいな人があんまりいなかったんですよね。親がきっかけを作ろうとしてくれたこともあるけど、音楽は“やりなさい”と言われてやるものじゃないというか、若者が集まって何となく始まっていくものだろう、みたいなイメージもあったので。そもそも、音楽はバックグラウンドがあるからやるものじゃないと思っているんですよ。もっと自然発生的なきっかけを探していたし、自分が曲を書き始める理由にもそういうところを求めていて…(意図的に)作られたものがあんまり好きじゃないんですよね。だから、自分の人生でなるべく自然な形を模索していました。そうしたら、曲を一緒に書けるような人とか、音楽について語れるような人が周りに増えてきたのが、20代後半になってからだったという」
 
――音楽という形のないものに対して、理想や美学を早くから持っていて、それも血なのか運命なのか…。そう考えたら、このタイミングでようやく1stアルバムが出たのも。
 
「ある種の必然というか…うん」

ozakihiroya2_dansho.jpg
 
結局、選んだのは全部自分
 
 
――タイトル曲の『Golden Hour』(M-1)は人生の転換期にフランスを訪れた際の風景が脳裏に残っていたことから生まれたということですけど、言わばその青春を『Golden Hour』と呼べるなら、すごくいい人生だと思ったんですよ。みんながみんなそうじゃない気がして。
 
「何だろうな…迷いはあったけど、悔いのないようにずっと生きてきたと思います。人生は出会いと別れの連続で、長い付き合いであっても離れたり、あえて自分からそうしたり…その結果、人を傷付けたり、自分も傷付いたりしましたけど、結局、選んだのは全部自分じゃないですか。その全部の後悔についても、自分が納得しないと前に進めないですよね。例えば、俺のデビューが遅かったことも、自分が納得したかったからそうなったわけで。アーティストというより人として、“自分はこういう人生を歩んできたんだ”と胸を張って言えるかどうかは大事じゃないですか」
 
――ここで1つ聞いておきたいのは、尾崎さんはCapeson名義での活動もされているじゃないですか。それはどういう棲み分けなのか、自分の中でチャンネルが分かれているのか。
 
「尾崎裕哉だから/Capesonだからできることがあると思っていて、Capesonはアーティスティックな要素がより強いかもしれないですね。やっぱり“尾崎”と名乗った時点で付いてくるカラーみたいなものがあるので」
 
――その覚悟みたいなものを、『Awaken』(M-2)の“僕は選んだんだ 受け入れてやると/僕しかいないんだ”という歌詞を見たときに感じたんですよね。
 
「そうですね。この曲は最初から頭のサビまでのフレーズを元に出来上がっていった曲で、ある種、尾崎豊の『シェリー』('85)じゃないですけど、宣言する曲を作りたかったんですよね」
 
――個人的には、今の時代的にもCapesonの方向性に振り切っても面白いと思っているんですよ。でも、尾崎さんからは常に、サウンド面における洋邦の音楽的要素のバランスだったり、J-POPであることを意識した発言が出てくるのが興味深いなと思ったんですよね。
 
「2枚のEP『LET FREEDOM RING』('17)『SEIZE THE DAY』('17)を作っていった中で、蔦谷好位置さんたちと話したり作業していくうちに、J-POPというものを明確に意識させられたんですよ。それって絶対に必要な感覚だと思ったし、亀田誠治さんも“ポピュラーミュージックは聴かれて何ぼ”と仰っていて、本当にその通りだと思うので」
 
――ずっと海外にいたからこそ、余計にそう思ったのかもしれませんね。
 
「最初は日本語詞で音楽をやれば=J-POPだろうと思ってたんですよ。でも、どうやらそうじゃないと。楽器構成もメロディも展開も歌謡曲にするためのフォーマットがあって、例えば、サンバにはサンバのリズムがあるように、ジャズにはジャズの方向性があるように、J-POPもフレームワークがある程度決まっているんですよね。最初はそれが分からなかったけど、最近は何となく分かるようになってきたのかなと」
 
――ある意味、1つの様式美として捉えるというか。
 
「そう! もう様式美以外の何物でもないと思いますよ。K-POPにはK-POPのスタイルがあるようにね」

ozakihiroya2_egao.jpg
 
いろんなものに影響を受けたことが形になったのがアート
 
 
――今作に参加しているSUNNY BOYさんは洋邦問わずグローバルに活躍されている方ですけど、そういうクリエイターとの仕事も刺激的だったんじゃないですか?
 


「いや〜とても勉強になりました。SUNNY BOYは頭の中でものすごく考えていると思うんですけど、その感じを全く出さないというか、それを自然とやっちゃうのがすごいですよね。試行錯誤が見えないんですよ。本当に仕事が早い。トオミ(ヨウ)さんも、蔦谷さんもそうですし、やっぱり一線で活躍している人には理由がありますね」
 
――『143』(M-10)はリハーサルのときに何となく弾いていたコード進行をブラッシュアップした曲で、143=スラングで“I love you”(※各単語の文字数を143で表している)というのもしかり、『Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰』(M-11)の、“窓ガラスを割ったこともない”、“転げ落ちたベッドの下”、“放課後のチャイムがなる”などの歌詞もしかり、今作にはところどころに遊び心とオマージュが入っているのも粋ですね。
 
「結局、アーティストって聴いてきた音楽とかやりたいスタイルを全部取り入れていると思うんですよ。だから、俺は俺のバックボーンをなるべくいろんな形で反映させたいなと。詞的な部分で尾崎豊だったり平井堅のフレーズを使えば、寺山修司だったり鑑真の言葉とか、何でも取り入れているつもりなんですよね」
 
――それがいわゆる“歌詞のサンプリング”だと。
 
「いろんなものに影響を受けたことが形になったのがアートだと思うんですよ。そこから全てが始まった結果、それが作品になって、人間の表現になっていくというか」
 
――聴いてきた音楽とか影響を受けてきたアートは=その人自身を表していますもんね。
 
「そう思います。“You are what you eat.”という言葉があって、“自分とは=自分が食べてきたものである”ということなんです。だから音楽においても、自分が聴いてきた音楽は自分であると。選ぶ服だってそうじゃないですか。全部が知らない間に自分の表現になっている。例えばそれが、“牛丼を毎日食べる”でもいいんですけど(笑)、意外とみんなも知らず知らずに自分を表現しているんだと思いますよ」
 
――先ほど話題に上がった『Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰』は、かつてCapesonとして発表した『Back In The Day』('16)のセルフカバーですけど、この曲をここでまた改めて入れたのはキャリアを総括するという意味でも。
 
「もう完全にそういう意味も含んでいますね。元々この曲は英語と日本語の両方で歌っていたんですけど、たまたまCapesonの方が先に作品になった感じもあって。この曲は歌い始めた頃の自分にとって大切な曲でもあったので、こうやって入れられてよかったですね」
 
――この曲には布袋寅泰さん、『想像の向こう』(M-6)にはKREVAさんが参加して…ってどんだけ贅沢やねん!(笑)
 
「アハハハハ!(笑) いやぁ〜そこは知り合いに恵まれた感じですよね。ほぼ人の縁ですよ」
 
――KREVAさんは、軽く打ち合わせした際の会話をくみ取って曲にしてくれたと。その『想像の向こう』の冒頭の、“見えない壁は見なけりゃいいのさ/どこにもないんだろう?/行こうよ 想像の向こう”というフレーズは、リスナーだけじゃなく尾崎さんへの激励とも思えたんですけど。
 
「あぁ〜そういうところもあると思います。クレさん(=KREVA)にどういう意図でこの曲を作ったのかは聞いていないですけど、俺に向けられた言葉な気はしていましたね。彼もプロデューサーだからいろんな視点で考えたと思いますし、俺に対するメッセージと、俺から発する言葉でみんなに伝えることを、多分意識してたんじゃないかなぁと」
 


――しかもKREVAさんから届いた曲がラップではなくて歌モノで、さまざまなサウンドが混在する今作の中でも、割とストレートな曲だったのは意外でした。他にも、大比良瑞希さんが参加した曲もありますし(=『つかめるまで feat.大比良瑞希』、『音楽が終わる頃 feat. 大比良瑞季』(M-9))、1stにして多彩なアルバムになりましたよね。

ozakihiroya2_yorishomen.jpg
 
もっとわがままに、もっといろんな音楽を奏でていきたい
 
 
――12月には横浜、東京、大阪のビルボードライブで恒例の『INTO THE NIGHT』があり、クリスマスイブには大阪市中央公会堂で『ONE MAN STAND 2020 CHRISTMAS SPECIAL』という弾き語りのスペシャルライブもあり。
 
「まずビルボードライブではピアノとドラムのトリオ編成でやります。ああやってご飯を食べながら音楽を聴けるのはアメリカっぽいというか、エンタテインメント感があるし、自ずと席の間の距離も取れるし(笑)。なかなかない編成でのライブだし、今回は『INTO THE NIGHT』がリリースツアーの代わりみたいなものになるんじゃないかな? ビルボードライブはレストランで音楽をやっている、みたいな環境に近いので、気軽に見に来てほしいですね」
 
――そして、大阪市中央公会堂はもう、めちゃくちゃ雰囲気がいいので。
 
「みたいですね! みんなからそう聞きます」
 
――大阪市中央公会堂×クリスマスでドラマチックにならないはずがない! あそこで音を鳴らすだけで完璧(笑)。
 
「アハハ!(笑) クリスマスライブなので、それっぽい曲もいろいろやりたいなぁ〜と考えたりもしていますね」
 
――自分のキャリアを区切るアルバムができた’20年を総括して、どういう1年だったと思います?
 
「今年は徐々にライブも始めましたけど、何より制作に専念できてよかったなと思いますね。環境が整い始めて、新たな体制でどんどん回していけるようになってきたので、今度はそんなに長いスパンを設けず、次へ次へと活動していけるといいなぁと思います。もっと新しい曲を作って、それこそもうちょっとJ-POP寄りのスタイルでやってもみたいなぁと考えてはいますけどね」
 
――こりゃ来年以降も面白くなりそうですね~!
 
「そうですね! 面白くしていかないとって感じです。この作品に関してはやりたいことが結構できたので、もっとわがままに、もっといろんな音楽を奏でていきたいですね」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史

ozakihiroya2_yorinaname.jpg



(2020年12月10日更新)


Check

Movie

アルバム&ライブ解説と和歌山ラーメン
尾崎裕哉からの動画コメント!

Release

KREVAや布袋寅泰らも参加した
才気溢れる渾身の1stアルバム!

Album
『Golden Hour』
発売中 3100円(税込)
SME Records
SECL2629

<収録曲>
01. Golden Hour
02. Awaken
03. Road
04. つかめるまで feat.大比良瑞希
05. LONELY
06. 想像の向こう
07. Glory Days
08. 蜃気楼
09. 音楽が終わる頃 feat.大比良瑞希
10. 143
11. Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰

-Bonus Track-
12. ハリアッ!! (Smooth Drive Ver.)
『ONE MAN STAND SPRING 2019/Live at EX THEATER ROPPONGI 19/04/19』

Profile

おざき・ひろや…’89年、東京生まれ。デジタルネイティブ世代のバイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター。2歳のとき、父・尾崎豊が死去。母と共にアメリカに渡り、15歳までの10年間を米国ボストンで過ごす。慶應義塾大学大学院卒。’16年8月に自伝『二世』(新潮社)を出版し、9月にはアーティスト“尾崎裕哉”としては初音源となる1stデジタルシングル『始まりの街』をリリース。’17年3月には、初のフィジカルCD作品『LET FREEDOM RING』を、10月にはアニメ映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』主題歌『Glory Days』を含む2nd EP『SEIZE THE DAY』をリリース。以降はフルオーケストラとの競演『billboard classics』、弾き語りツアー『ONE MAN STAND』、バンドライブ『INTO THE NIGHT』などさまざまなスタイルでライブを開催。’20年10月21日には、初のフルアルバム『Golden Hour』をリリースした。

尾崎裕哉 オフィシャルサイト
https://www.hiroyaozaki.com/

Live

ピアノ&ドラムと巡るビルボードに続き
クリスマスイブには弾き語りで大阪へ

 
『INTO THE NIGHT』

【神奈川公演】
▼12月9日(水)ビルボードライブ横浜

【東京公演】
▼12月14日(月)ビルボードライブ東京

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード189-367
▼12月17日(木)18:30/21:30
ビルボードライブ大阪
自由席7200円
ビルボードライブ大阪■06(6342)7722
※本チケットに整理番号はございません。ご希望の方は発券後、お問合せ先まで要連絡。当日は整理番号順でお席へご案内しておりますが、整理番号をお持ちでないお客様は開場時間の30分後のご案内となります。カジュアルエリアの取り扱いなし。未就学児童及び高校生同士の入場不可。18歳未満は成人の同伴が必要。

チケット情報はこちら

 

Pick Up!!

【大阪公演】

『ONE MAN STAND 2020
 CHRISTMAS SPECIAL』
チケット発売中 Pコード189-265
※インターネットでのみ販売。
▼12月24日(木)18:30
大阪市中央公会堂 大集会室
指定席6000円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※未就学児童は入場不可。

チケット情報はこちら


Column

フルオーケストラとの共演で
裕哉作品&尾崎豊の名作とともに
「尾崎豊の楽曲を受け継いで
 新しい表現をしていく」
初登場インタビュー('20)

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「今回が初取材となった尾崎裕哉でしたが、まぁ親父が親父なだけに、多くのプレッシャーやら期待やら決断が当然あったんだろうなと思うし、同時に、そんな人生を歩めるのも、この世に1人しかいない。葛藤と迷いの季節を過ぎて、こうやって多彩な音楽を聴かせてくれる状況で彼に出会えたことが、何だか嬉しかったですね。海外のトレンドを同時代的に自らのサウンドに引用するアーティストは多くなってきていますが、彼の解釈というかさじ加減が他にはない独特さで、聴けば聴くほどクセになる。さらには、日本国内での活動をことさら意識した発言にも、そのプロ意識と挑戦心を感じました。海外生活が長かったゆえのこの特異なハイブリッド感が、今後どう化学変化を起こしていくのか、予想がつかな過ぎて楽しみです。あと、今ってハングリーな環境で育って音楽だけが救いだった、みたいなアーティストは少なくて、ドラマみたいに壮絶な人生じゃないのが逆にコンプレックスみたいな話も聞くんですけど、ご多分に漏れず彼もそうで。何でもない、普通である自分に悩むというか…。でも、言わば現代病であるその感覚が分かるからこそ、今を生きる人に響く曲が書けるのかなとも思うし(ただ、話していて“心配しなくても、あんた全然普通じゃないよ”と思ったけど(笑))。そして、KREVAさんはファンクラブに入っていたほどのファンだったようで、KREVAさんのライブのスタイルが変わった時期のことを前のめりで話す姿に、これは“ガチだな”と(笑)。多くのクリエイターが参加した『Golden Hour』でしたが、それが話題の中心にならないのは、彼の作り上げてきた音楽さまさまで。ちなみについ先日、大阪市中央公会堂にライブを見に行ったんですが、本当に素晴らしい会場で。弾き語りで見る国内最高峰の場所じゃないですかね? 尾崎裕哉×大阪市中央公会堂×クリスマスイブ、いい夜になることをここに保証します!」