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バンド初の連続シングルリリースや、待望の今年初ワンマンとなる
『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』の開催
音楽性同様タフにしなやかに逆境を好機に転じた
the band apartインタビュー&動画コメント

8月から11月にかけ、バンドにとって初となる4か月連続2曲入りシングルのリリース(オンラインショップ限定販売)、そして毎年恒例の『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』が今年はワンマンとして10月11日(日)に服部緑地野外音楽堂で開催と、the band apartからうれしいニュースが立て続けに飛び込んできた。連続リリースとなるシングル4作品には、これも初の試みであるメンバーそれぞれをフィーチャーした約2万字に及ぶソロインタビューをブックレットに収録。第1弾として8月28日にリリースされた『August e.p.』には、荒井岳史(vo&g)が生い立ちから現在に至るまでを語った読み応えのあるインタビューが掲載されている。本来ならば『Memories to Go』(’17)に続く9作目のアルバム制作、ツアーとなるはずの計画が一転。そこから逆境を好機へと転じた意欲的なシングルリリース、バンドの現状、そして関西のファンには特になじみ深いライブである『SMOOTH LIKE GREENSPIA』について荒井に聞いた。

やっぱりちょっと鬱屈しているところはあったと思う
 
 
――『August e.p.』を筆頭にシングル4作品が連続リリースされますが、もともとはアルバムをリリースする予定だったんですよね。
 
「はい。もともとアルバムを作ろうとしていたんですが、コロナ禍のこの現状でアルバムを一発出したところで、ただでさえ情報も錯綜している中ではアルバムの存在自体が流れちゃうんじゃないかなって。そもそも我々がアルバムを出す大きな理由の1つには、ツアーがやりたいから音源を出すというところがあるんですね。でもそのツアーもできないし、いつまでできないのかもわからないし、そんな時にただアルバムをボンと1枚出して流れちゃうより、話題や継続性みたいなものも考慮して、分割してシングルにして出せたらいいんじゃないかと」
 
――なるほど。
 
「ただ分割して出しているだけだと、自分たちが曲の単価を上げているだけみたいになっちゃうんで (笑)、ちょうど4枚出るので、今までやったことのないメンバー個々のロングインタビューをブックレットに載せていこうと。そうやって付加価値を持たせて、作品を出す意味をちゃんと持たせていこうということで連続リリースという形になりました」
 
――本来アルバムに入るはずだった曲を、シングルで聴かせてもらえているということになりますか?
 
「アルバムに入るものもあり、入らないものもあり。なので、シングルのみで聴けるものもあるという感じですね。曲を作る上では、アルバムだからこういう曲にしようみたいな感じで作ってはいないので、いつも通りの感じで。逆にシングルで2曲ずつ出していくことになって、今回はこの曲で行った方がいいかな?とか、2枚目はこれだなみたいに、曲の組み合わせをかなり考えてやっていますね。アルバムを作る時は統一性とかを一切考えずに、できたものがアルバムに入っていくんですけど」
 
――1曲目の『AVECOBE』ですが、曲が始まってまもなく“そいつはきっと バカだろ”という詞が聴こえてきて、このタイトルでバカって…と急いで歌詞を引っ張り出したという (笑)。
 
「アハハ!」
 
――曲も、80年代を生きてきた人間なら思わずにやけてしまうような味も匂いもある曲で。スカッとする爽快さと心地よさがありますね。
 
「曲としては80’sを意識したわけではないんですけど、結果的に自分のフィルターがそういう感じなのかなって。他でも“もろ80’sだね”と言ってもらえたりして、“そうなんだ”って逆に自分で思ったりして。この曲は4月、5月頃の緊急事態宣言が出ている時に作っていたんですが、その頃とにかくインプットが全然なくて。ライブもしないじゃないですか?だから珍しくインプットを音楽に求めて(笑)、コリー・ウォン(ヴルフペックのギタリスト)のアルバムをよく聴いていましたね。『AVECOBE』に関して言うと、彼のアルバムを聴いて“こういう曲作りたいな”みたいな雰囲気から作っていったんですけど、出来上がってみたらインプットしてきたものとは全然変わっていて。自分のフィルターを通ったら、80年代感のあるものになったっていう」
 
――そうだったんですね。
 
「ふだん僕は音楽自体でインプットするタイプじゃなくて、ライブをしたり人にいっぱい会ったり、そういう経験がインプットになって音楽ができるタイプなんですね。けど、あの頃は誰にも会わないし、ライブももちろんないからインプットが少なすぎて、珍しく音楽からインスパイアされて曲を作るというミュージシャン然としたことをやってみました」
 
――ミュージシャン然(笑)。私は今年に入ってthe band apartの『20years』(’18)をよく聴いていました。これまでの曲にも、心地よかったり聴きやすかったりする中に辛辣さが紛れていたりもしていましたが、『AVECOBE』の歌詞を追いながら、今年の3月、4月ぐらいの自分の心境にも当てはまるなと(笑)。
 
「 (笑)曲自体には謎の陽気さがあるんですけど、歌詞も5月頃に書いたと記憶していて、世の中の混沌とした感じというか珍しくそういうニュアンスの歌詞になりましたね。本当だったら『AVECOBE』はABECOVEになると思うんですけど、それだとあまりにもダイレクトでアレだなと思ってVをBにして濁してみたんですけど(笑)」
 
――タイトルを口にした瞬間にアレだとわかります(笑)。そういうものを書いてしまえという心情だったんでしょうか。
 
「当然そうだったと思いますね。今まで通りの感じだったらああいう歌詞にならなかった可能性は高いいというか。やっぱりちょっと鬱屈としていたっていうことはあるんじゃないですかね。鬱屈している分、アウトプットが強力になるみたいなところだったのかなって。誤解を恐れずに言っちゃうと、曲の間奏はちょっとふざけて作ってたんですよ。間奏に入った瞬間に僕が弾くギターのフレーズを思いついて、その時は原と木暮の3人でスタジオで合わせていたんですけど、やっぱりそういう時期で鬱屈しているからこそ、みんな笑いたいんですよね。そのギターのフレーズに合わせて、ドラムとベースがふざけてガーッとやり始めて、アッハッハー!みたいに遊んでたんですよ。で、その時の勢いもあってか、これでいいんじゃないの?って(笑)。滑稽で、バカみたいでいいじゃん。最初の曲調から間奏のふざけた感じになるのも面白いよねって」
 
――それがそのまま採用になったと。
 
「はい。その時にしかない不思議な力が働いて、謎のまとまりを見せました。結果的に歌詞の世界観みたいなのと相まって、うまく着地してるなと思いましたね。その滑稽な感じとか、ドタバタしている感じが良いなって」
 
――たしかに、間奏に入るといきなり“なんじゃこりゃ”みたいな感じになりますね(笑)。
 
「(笑)最初、“わ、ダサいなー”って自分で思ったぐらい。でもこのダサさはアリだなって。ただ、聴いてくれる人の中にはまじめにとらえてくれる方もいて、真剣にかっこいいなって思ってくれる方もいるのがまたこの曲の面白さだなって」
 
――2曲目の『9th Grade Bubble Pop』もいいですね。
 
「これは木暮さんが作詞作曲したものですね。わりと自由な発想で憧れを隠さずにやってみようみたいな感覚で、COMEBACK MY DAUGHTERSみたいな曲を作りたいと。そういうテーマで作っていたみたいですよ。でもフタを開けてみると、COMEBACK MY DAUGHTERSぽさもありながら、それだけじゃない自分たちのバンドのフィルターを通っているなという感じが出ているから、それはまた1つ自信につながりましたね。COMEBACK MY DAUGHTERSは好きだし、尊敬する友達として憧れる部分もありますし」
 
――自分の中で『9th Grade Bubble Pop』は、『SCENT OF AUGUST』(’11)を聴いた時の印象がよみがえってくる感覚がありました。あのアルバムが発売されて聴いていた頃、今年の感じと似ていたのか自分の中にあるモヤモヤしたものがふわっと消化されていく感じがあって。木暮さんの詞の切なさも含め、こういう曲で描かれるthe band apartならではの情景の豊かさを感じました。
 
「ありがとうございます。木暮さんは、文学的な歌詞を書く能力が年齢を経てさらに成熟してきているというか、深まってきているなと。彼の歌詞を読んでいると、そう思いますね」
 
――今後9月、10月、11月にリリースされる作品ももう完成していますか?
 
「11月のもの以外はできていますね、珍しく(笑)。2枚目も3枚目も、収録曲自体は録音も終わっていて、4枚目はこれからやります。バンド史上初だと思うんですけど、今回のシングル4作にも入らないストック曲が今存在するんですよ。1曲2曲とはいえ、余分があるということはこの20年間で今まで1回もなかったんですよ」
 
――20年間で一度も?
 
「ええ。ストックを抱えているという状態は1回もなかったです。毎回、できたものは全出し。あるいは足りないっていう(笑)。足りないから過去にためていたアイディアを引っ張ってくるぐらいの勢いでやってきていたんで」
 
――いわゆる自粛期間は、ずっと曲を作られていたんですね。
 
「それがなくても、もともとアルバムを作るための曲作りは春からずっとやる予定だったんですけど、こういうことになって余計それに拍車がかかったというか。ライブはほぼないし、月に1回バンドの演奏を配信するかしないかぐらいの感じなので、今までに比べると稼働率が極端に低いですよね。そうなるといよいよ制作するしかないし、時間はあったんで作業ははかどりました。今もそうですけど、この半年間はスタジオに通う日々でしたね。スタジオのありがたみをすごく感じながら暮らしてます。家でも曲は作ってたんですけど、せいぜい二人か三人ぐらいしかスタジオに来ないからそんなに密集することもないし、音を合わせる作業はしないで、パソコンを使ったり楽器を持って各々のスペースでやるっていうことを特に春先はずっとやっていましたね」

 
 
歌うということに関して、この半年間ですごく進歩しました
 
 
――春先以降、ライブがなくなりライブハウスがやり玉にあげられる報道も続きました。自分も仕事は激減して、音楽を好きでいる気持ちは変わりませんが考えることも多くて。作り手である荒井さんとしても、ご自分の中で考えること思うことはあったと思いますが、それが曲作りに影響することもあったのではないかなと。
 
「当然あったとは思うんですよね。最初に言ったみたいに『AVECOBE』はこの期間に書いた歌詞だからこうなったというのもあると思いますし、この曲もできてから4人で合わせるまでに相当時間が空いたんですね。やっぱこの世界になって、当たり前が当たり前じゃなくなっちゃうことを目の当たりにもしましたし、価値観みたいなものは相当変わったじゃないですか?だからいつもと違う感覚はあって、僕個人としては曲作りに関してはそこまで変わらないけど、歌詞は少し変わるものはあるのかなと思いますね」
 
――それだけ歌詞や歌というものが、荒井さんにとって音を鳴らす以上に具体的に吐き出すものでもあるということですかね。
 
「そうですね。僕はあまりテーマを持って歌詞を書き出すタイプではなくて、右脳的に書いているんですね。吐き出す時は特にそうで、出てきた言葉を自己分析して組み上げていくみたいな感じで書く。だから『AVECOBE』の歌詞も、“今の世の中を歌おう”と思って書いてないというか、なんていうかこの言い方は自分でもすごい気持ち悪いんですけど、……降ってきた感というか。あの、マイケル・ジャクソンみたいなことを言って申し訳ないんですけど(笑) 。そんな高尚なミュージシャンじゃないのに」
 
――(笑)。
 
「本当に、考えてやっていることというよりは、フッと頭にあったことを書いて試してを繰り返しているんですね。だから出来上がってみて、“あ、こういうことを思ってたんだ”って自分で知るみたいな感じで。論理的に考えて付け足す部分も時にはあったりするんですけど、それはずっと後の作業で。そういう書き方なので、今のこの世界の影響はあったかなと出来上がってみて思います」
 
――さっき鬱屈と言われましたが、意識しないレベルで荒井さんの中にあったそれが歌詞に表れたんですね。今年オンラインで開催されたいくつかのフェスにthe band apartも出演されていて、私は『SYNCHRONICITY 2020 ONLINE FESTIVAL』と『ビバラ!オンライン 2020』を観ました。SYNCHRONICITYではO-EASTのトリを務められて、この日一番の視聴者数だったと公式のレポートにありましたね。
 
「そうなんですか。ありがたいですね。配信だからできることを皆さんいろいろ考えてやられていますよね。こないだ『RUSH BALL 2020』も開催されましたけど、制限を設けながらやれるライブをもあり、配信もありで今は過渡期なのかなって。つい先日7か月ぶりの有観客+配信のライブが東京であったんですが、それはそれで不思議な感じでしたね」
 
――どんな感じでした?
 
「お客さんが見てる、人前で演奏するって良いなという感覚もありつつ、自分たちもお客さんにもかなり制限を加えた状態でライブをするわけですよね。声も出しちゃいけないし、立ち上がってもいいんだろうけど、立ち上がりづらかったりもして。そういうふうに制限をかけなきゃいけないことにモヤッとした気持ちもなんとなくあったり。それとともに、この数か月で配信でライブをやるということに自分がすごく慣れていたことに気が付きました。SNSとかで“なかなか慣れない”と言っていたんですけど、久々にお客さんの前でやった時に、ああ配信に慣れ始めていたんだなって感じましたね。どう説明していいか、なんともいえない感覚なんですけど、人間って慣れるんだなって」
 
――限られたスタッフやカメラの前じゃない場所で久々にやってみたことで、気付いたと。違和感とかではないんでしょうけどね。
 
「そう、違和感では全然なくて。ああ、良くも悪くも慣れてきていたんだなって。バンドとしては7か月、僕個人としても半年ぐらいは人前でやってなくて、それだけの間人前で演奏しないことがこれまでなかったんですね。今は配信の方が断然回数が多くなったし、今個人でも配信をやっていて、週に1回1人でパソコンに向かって延々しゃべり続けて黙々と歌うみたいな。“黙々と歌う”って変ですね(笑)。ほとんどしゃべってるんですけどね」
 
――『荒井の会』でしたっけ。
 
「はい。それをやっているからというのもあるんでしょうね。配信慣れというか、1人でパソコンにしゃべり続けることにも慣れてきて。ただ、今は一時的にメディアが変化してきているみたいなことであって、人前に出られないということはないし、逆に人前には自信を持って出られるというか。なんか成長しましたよ。技術的に」
 
――そうなんですか。成長の実感があると。
 
「歌うということに関しては、この半年はすごく進歩した部分があったなと個人では感じています。最初の頃は全然歌っていないせいか声が出ないというか、筋肉を使っていないから声が出づらいみたいな感じがあって。それがだんだん、週に1回配信をやって歌い続けていったらものすごく発見があって。ライブだと、マイクを通って増幅した自分の歌声を聴くことが多いけど、配信だとマイクは立ててますが、部屋で1人でギターを弾きながら歌う状態になるわけですよね。それがすごく良かったみたいで、ささやかではあるんですが、歌うことに関して自分にとっては大きなマイナーチェンジがあって。それがレコーディングとか、今回のシングルにもちゃんと反映されている部分もあると思います」
 
――配信のライブだと、通常のライブでは目で追えないような各メンバーのプレイや細かな手の動きが観れたりして、それは配信ならではの良さだなと。ただ、観ているとやっぱりワンマンに行きたいなと思っちゃいますね。
 
「本当にそうなって欲しいですよね。ただ、配信もあるという新たな選択肢が1つ増えた感じはしますね。逆境を逆手に取ったみたいな。世界中どこにいても観れますし、こういう取材もそうですしね。会って話した方がいいこともあるけど、選択肢が増えたと受け取っていいのかなと思っていて、僕としてはこの先ライブがやれるようになったとしても個人で配信はやり続けるだろうなと思います」
 
――そうですか。
 
「ライブがあっても、仕事とか家の事情などで来ていただけない方もいて、そういう方には配信もいいよなと思いましたね。『荒井の会』もそうですけど、画面を通して直接思っていることを伝えられるし、コメント欄とかもあって皆さんの心の声とかも全部聞こえてくるというか(笑)。そうやって対話ができるのは配信ならではの良さですよね」
 
――荒井さんが個人で配信をやられることを、意外に感じたりもしていました。
 
「バンドとしては僕らのレーベルのYouTubeチャンネルでやっているんですけど、それとはまた違ってソロでは庶民派な感じで(笑)。より近い距離感でやれた方がいいから、配信はそのスタイルに合っているんですよね。やっていて楽しいですしね」
 
――さだまさしさんばりにしゃべっていらっしゃるそうですね。
 
「はい。ずーっとしゃべっていますね。2時間ぐらいやっているんですけど、曲は5曲ぐらいしか歌ってない(笑)。事前に質問を募ったりしていて、その質問に答えるみたいなことをずっとやっていて、何でも聞いてくれっていう感じで。前からソロの時はよくしゃべると言われていたんで、ソロでの配信は自分にフィットしていますね」
 
――では『荒井の会』は絶賛会員募集中ということで。
 
「宣伝みたいになってすみません(笑)」
 

 
『SMOOTH LIKE GREENSPIA』は、
自分たちにとっても区切りになっている重要なライブ
 
 
――そして10月11日(日)に恒例の『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』の開催が決まりました。今年初ワンマンになるんですね。
 
「単純にうれしいですよね。ライブができなくなって、真っ先に今年春に東京でやるはずだった自分たちのフェスも延期になり、このまま行くと『SMOOTH LIKE GREENSPIA』もダメなんだろうなって雑談をしていたところに、なんとかうまくいい形でやれるかもしれないって話をもらって。最初は配信のみにするとか、無観客で東京から配信をやるかという話もあったんですけど、『SMOOTH LIKE GREENSPIA』はあの場所でやるからこその醍醐味でもあるし。そう思っていたら、有観客と配信という形でやっていただけることになって。対バンが呼べないのは仕方ないとして、あそこに行ってまたライブができて、お客さんに会えるのもお客さんの顔を見れるのもうれしいし、『SMOOTH LIKE GREENSPIA』にかかわるスタッフの皆さんに会ってお礼を言えるのもうれしいですしね。いろんなリスクは常にありますけど、その中でも前向きな、希望を感じるじゃないですか?」
 
――そうですね。シングルの連続リリースもあり、さらに今年初のワンマンとして『SMOOTH LIKE GREENSPIA』が開催というニュースに希望が持てたリスナーも多いと思います。
 
「“有観客”って言葉を今年の1月に誰が知ってた?って感じですよね(笑)。会場の服部緑地野外音楽堂はステージと客席の距離も取れますし、僕は歌う人間だからその日一番飛沫を出すのは間違いなく僕なので(笑)、野外で相当距離があるというのは安心してできるというか。さすがにそこまでは飛ばないだろうけど、そういう点にもストレスなくやれる状態を皆さんが作って下さっているので、もう思いっきり楽しんでやりたい。来場される方にも安心してもらえるようにやっていただいているし、遠方の方や来れない人のために配信もあるので、両方楽しんでいただけたらと思いますね」
 
――どんなライブになりそうですか?
 
「内容についてはまだ具体的に話し合ってないですけど、今回のシングルも2枚目まで出ている状態で、3枚目が出る前の開催になります。新曲もいっぱいあるし、長く見てくれている人のために懐かしい曲もやれたらいいなとは個人的には思ってます。我々も曲数が増えてきてどんどん忘れていってるんで(笑)、思い出す作業をしながら。なんだかんだ時間はあるので、面白いことを考えながらやっていきたいなと思います。『SMOOTH LIKE GREENSPIA』は自分たちにとってもすごく重要なイベントで、毎年夏の終わりから秋のはじめぐらいにこれがあることで、自分たちの区切りになっているところもあって。今年の大混乱の中でそれを絶やさずにやれることは本当にうれしいですね」
 
――『August e.p.』のブックレットに載っている荒井さんのインタビューで、『ロックバンドは不可思議なところがあった方がいいし、曲も突拍子がないことをやってもいい。でもソロは、聴いてくれている人と近いところにいられるような活動がしたい』と、バンドとソロのスタンスの違いを話されていました。配信ライブを観ていても思いましたが、たとえば『夜の向こうへ』など何度も聴いている曲でも改めて発見があったりして、そういう面白さや未知の体験を期待しているところもあります。
 
「そうですね。ロックバンドとしては自由に、ちょっと一歩先を行くことをやりたいという気持ちはあります。もちろん自分たちが良いと思えることをやるというのが大前提ですけど、想像を少し超えるようなことをやりたいという気持ちはあるんだと思います」
 
――また荒井さんのソロ作品も聴けそうですか?
 
「はい。これからバンドのシングルの作業が大半を占めてくるのでまだ着手できていませんが、ソロとしての新しいものも作りたいなと思って、いろいろ画策もしているところです」
 
――わかりました。今はとにかく10月11日(日)の『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』を楽しみにしています!
 
「もう本当にありがたいなという気持ちでいっぱいですね。『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』をやれることがうれしいし、感謝しながらライブをやりたいなと思っています」

Text by 梶原有紀子



(2020年9月17日更新)


Check

Movie

Release

Limited Single『August e.p.』
発売中  1000円(税別)
asg-048

《収録曲》
01. AVECOBE
02. 9th Grade Bubble Pop

Limited Single『September e.p.』
2020年9月25日(金)発売  1000円(税別)
asg-049

《収録曲》
01. MTZ
02. You never know

Profile

ザ・バンド・アパート…荒井岳史(vo&g)、原昌和(b)、川崎亘一(g)、木暮栄一(ds)。’98年結成。’01年にシングル『FOOL PROOF』発売。翌年『Eric.W』、’03年に1stアルバム『K. AND HIS BIKE』リリース。オルタナティブロックやジャズ、フュージョンなどの幅広い音楽要素にヒップホップのサンプリング感覚も加味された多彩な音楽性と、高い技術、メロディアスな歌の融合は当時の音楽シーンに革新的な衝撃をもたらした。翌’04年メンバー自身が運営するasian gothic labelより『RECOGNIZE ep』をリリース。’06年に以前より親交のあったアメリカのバンド、MOCK ORANGEとスプリット盤『DANIELS E.P.』をリリース(‘16年に第2弾シングル『Daniels e.p.2』を発売)。’12年にリリースした『2012e.p.』ではそれまでの英語詞に代わり、全曲日本語詞曲になった。ボーカルの荒井岳史は’13年にソロミニアルバム『sparklers』を発売し、以降これまでに3枚のフルアルバムを発売。’16年にthe band apart (naked)として『coral reef』などの既存曲をアコースティックで収録した初のアコースティックアルバム『1』、翌’17年に『2』をリリース。結成20周年を迎えた’18年はシングル『Falling in Love』、LOW IQ 01や坂本真綾らが参加したトリビュート盤や2枚組ベスト盤のリリース、リクエストツアーなど精力的に活動。’19年10月にメンバー4人がコンポーザーとして個性と手腕を発揮したEP『POOL e.p.』発売。‘20年4月に『Sons are back e.p.』を通販とライブ会場で販売開始。小野賢章に提供した『Rain Dance』、FRONTIER BACKYARDに提供した『夜の改札』のセルフカバーを収録している。8月28日発売の『August e.p.』以降、9月、10月、11月と4か月連続でシングルのリリースが決定。10月11日(日)服部緑地野外音楽堂にて、今年で4回目となる『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2020』を有観客と配信で開催。20周年記念フェス『ITa FES” the band apart 20th anniversary”』も来たる2021年4月17(土)、18日(日)に開催。

the band apart オフィシャルサイト
http://asiangothic.org/


Live

the band apart『SMOOTHLIKE GREENSPIA 2020』

9月19日(土)一般発売 Pコード:186-801
▼10月11日(日) 16:00
服部緑地野外音楽堂
前売(一般)-4400円(整理番号付、ドリンク代別途要)
前売(学割)-1650円(高校生以上の学生、整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]the band apart
※雨天決行・荒天中止。中学生以下は保護者同伴に限り無料(ドリンク代別途要)。客席を含む会場内の映像・写真が公開されますので予めご了承ください。
※販売期間中はインターネットでのみ販売。チケット引換えは10/8(木)朝10:00以降より可能となります。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224

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